ブタさん子爵の大戦略!?

SA・ピエンス・ブタ史 ~第八惑星創造戦記~
黒鯛の刺身♪
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第二十六話……メンデム将軍現る!

公開日時: 2020年11月29日(日) 16:15
文字数:1,708

お空は青いポコ。今日は洗濯にちょうどいい日ポコ~♪






──


「大丈夫ぽこ?」




 ブルー君もウサも包帯グルグル巻きでベッドの上ぽこ。


 ……お返事もしてくれないぽこよ。




 ヘーデルホッヘお爺ちゃん達は朝早くから出ていったぽこ。


 ポコはビットマンとお留守番ぽこ。




 でもね……ブルー君やウサと久しぶりに一緒でうれしいぽこ。


 ビットマンは亡くなった人たちを埋葬しに行ったぽこ。






 ビットマンは『大地に還るだけだから、悲しまなくっていい』って言っていたけど、ビットマンは泣いていたぽこ。


 みんな嘘つきぽこね~。




 蘇生魔法ってあるらしいけど、とても裕福な人しか使ってもらえないらしいぽこ。しかもそんな偉い人は、こんな僻地まで来てくれないぽこよ。






 ……みんな起きないぽこね。


 なんだか心配だけど、川に洗濯に行くポコ。






──ゴシゴシゴシ。




 川でゴシゴシ洗うぽこ。


 お魚が泳いでいるぽこね~♪










 嗚呼ウキが沈んで……、




──ビシィィィ!!


 心地よい合わせの音が響く。




 Σ( ̄□ ̄|||) だれぽこ!? こんなところで釣りをしてるのは!?






 タヌキが振り向いた先には、竿を手渡してくれる包帯グルグル巻きのブタとウサギがいた。






──その日、ポコは今までの人生で最高に幸せだった。





☆★☆★☆


今日の空は晴れ。だけどいきなり雨が降ってきた。



「こ……これをお納めください」

 金箔をあしらった金属鎧に深紅のマントを羽織る威厳のあるブタ(人形)に、地方豪族がつめかけ貢物を届けていた。


 国境付近の彼らは有利なほうになびく。そして必ず万一のために敵方への窓口も常に確保した。無為無策では国境地帯を生き残ることは到底できなかった。



 ブタ人形……、そもそもハロルド王太子の使者との謁見の際もブタ人形であり、ほぼすべての人がブタ人形を領主として認知しているきらいがあった。ちなみにこのブタ人形はDEX(器用さ)255のポコが作った最高傑作である。




──

 バートルム砦奪還後、ブタ領の家宰ヘーデルホッヘは麾下の兵力とともにすぐさま南下し、平原で野営していたアーベルム港湾自治都市の主力4万を捕捉、すぐさま夜襲をかけた。

 このとき、ヴェロヴェマ率いる骸骨部隊は夜目を活かし活躍。敵を混乱の極地に陥れた。


 ヴェロヴェマは兵士たちに、「人を襲うな、糧秣を焼け!」と厳命していた。

 そのためアーベルム勢は多くの人的被害を同士討ちにておこしていた。



 アーベルム勢は、ブタ領目指して長駆北上してきたと見られていた。よってブタ領軍務役アガートラムは、麾下の者たちに敵の糧秣を焼くことと、水瓶を叩き割ることを厳命した。

 遠隔地においての物資の価値は輸送コストがかさみ、その価値は何倍にもなるためだった。


 この夜襲の後、アーベルム勢は陣地を構築しはじめた。

 それを見たアガートラムは、敵方についている近隣の村々を焼き払うようにヴェロヴェマに命じた。


 ヴェロヴェマは近隣の村々に次々と夜襲をかけた。アーベルム勢の陣地に次々と救援の要請が来るが、アーベルム側は夜間には動かず早朝に援兵を出すにとどめた。



 ヴェロヴェマは昼を休息とし、夜間にのみ作戦を展開。襲った村々の捕虜から情報を得、近隣の在地領主の館まで襲った。

 そこで食料の接収。さらにそこの捕虜よりの情報をもとにアーベルム勢の補給線にまで牙を向けたのだった。




──

「あ……アイスマン子爵殿は何がお好みで?」

 近隣の豪族は恭しく尋ねるが、立派な風貌のブタ人形はひげをさするのみで一言も発しなかった。

 何と言ったって、ポコが頑張ったカラクリはひげをさすることのみ。ブタ人形がしゃべるとかできるわけがなかった。


(……アホな作者の好みの設定でスイマセン)




──

ヾ(゜∀゜)人(゜∀゜)人(゜∀゜)ノ ぽこうさぶひぃ~♪


 3匹は療養もかねて、アガートラムの森まで戻っていた。

 森の中で釣りを楽しんでいた。


 ウサは痛めた足を引きずり、ブタは動くたびに矢傷が痛そうだったが、3匹はとても幸せそうだった。



 ブルー・アイスマン14歳。この世界での成人である18歳までは、まだ4年を要した。





──


「家宰様!」

「なんだ!?」


「アーベルム港湾自治都市のメンデム将軍と名乗る方がお越しです」

「丁重にお通ししろ!」



 両軍にとって、益のない長い対陣は終わろうとしていた。

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