今日の空も雨だった。そろそろ町内の連歌会だなぁ。
ゲームの中は赤い…、そう赤かった。
──
痛い痛い (´;ω;`)ウッ…
……ウサから逃亡した罪で、拙者はポコにほっぺた抓られまくりで、お顔が真っ赤かになっていたでござる。
──
赤毛の女アサシン【ライン・シュコー】によれば、クローディス商館商館長の逃避先はこの粗末な納屋だった。
どうやら、クローディス商館長は暗雲を察し逃亡していたのだ。
「第二班、下水道路封鎖いたしました」
「うむ!」
赤毛の女アサシンは部下の元盗賊達の報告を聞いていた。
どうやら建設中の下水道路まで部下を配備しているようだ。
──
「投降せよ!」
赤毛の女騎士は説得を続けたが、納屋は静かなままだった。
( ‘д‘⊂彡☆ ぱ~ん ☆
よって、ウサによって、納屋は倒壊した。
が、商館長はいない。
……(´・ω・`) おらんでござるな。
「殿! お耳を拝借」
老騎士はブタになにかを耳打ちした。
「……。あ~、新しい石炭採掘はどこの商館に任せようかな~?」
とブタがこれ見よがしに大声でつぶやく。
すると、ポコの足元から【土遁の術】が解け、満面の笑みのクローディス商館長の姿が現れた……。
「是非とも私どもにお任せを!」
Σ( ̄□ ̄|||) シマッタとなる商館長だが。
「裏切者は許さんウサー!!」
( ‘д‘⊂彡☆))Д´) ぱ~ん ☆
「ぽこ~( ノД`) 」
タヌキのポコがぶっ飛ぶ!
( ‘д‘⊂彡☆))Д´) ぱ~ん ☆
「拙者は無罪でござる (´;ω;`) 」
癇に障ったらしく、ついでにブタもグーでビンタされた。
クローディス商館長は無事(?)に説得され……。
ここにハロルド王太子接待作戦は、接待主任クローディス、料理主任ドリス夫妻、諜報主任シュコー、総司令官はヘーデルホッヘと決まった。
──ここにブタ領始まって以来の【史上最大の作戦】がはじまった(大げさ)
作戦目標はただ一つ!
【さっさと王太子にお帰り頂く!】
一秒でも早く帰っていただくべく、アガートラム軍務役以下幕僚も英知をしぼった作戦が展開されることとなる。
──当日。
「本日の王太子殿下のご行幸を至福と致しまして、臣たる──
お迎えは、領主代行であるヘーデルホッヘ騎士爵。
ブタは無礼があるとまずいので隔離された。
ブタとタヌキとウサギはンホール司教のもとでお勉強中である。
ちなみに、邪教の館別館はブタ領都ニャッポ村にあった。
とりあえず、建設中の港湾もであるが、銅山、石炭坑道、鉄鉱山の存在も秘匿とせねばならない。 視察などされたらたまったものではなかった。
……俗にいう、検地など領主にとっていいことなんか何一つないのだ。
秘密を守るためには、赤髪の女アサシンのシュコーの手の者による、落石による交通路遮断や、毒物流布による施設閉鎖も検討されていた。
村へ続く道を進むハロルド王太子一向は沿道にて、果物などを捧げてくれるニャッポ村民に囲まれていた。
果物を受け取り、老騎士が毒見をして見せ王太子に渡す。
小さな王太子は果物を齧り。
「余は満足ぞ!」
と満面の笑みで答えた。
5歳の王太子の御つきの宰相ドロー公爵も果物を齧る……。
「っ!?」
……なぜか老騎士が毒見したはずの林檎を食べたドロー公爵は、腹痛をもよおした。
「お手洗いはこちらですぞ!」
めちゃめちゃ手際がいい、ハイオーク族族長。
なにしろ、昨日までの猛訓練の通りだ(苛烈)
──
『第一段階成功セリ!』
民家や茂みからは、怪しげな発行信号が光り、近隣の山々からは色鮮やかなのろしが上がっていた。
【システム通知】……サーバーが切断されました。
Σ( ̄□ ̄|||) リアルはまだご飯じゃないはず!? どした~?
……しばしの暗転のち、とおちゃんが電子レンジと電気ストーブを使いながら、オーブントースターを使ったため、ブレーカーが落ちたのだった (´・ω・`)
☆★☆★☆
現実の空は赤い放射能雲だけど。
今日のゲームの中の空は快晴。
だけどなんだかつまらない。
はぁ~、釣りにでも行きたいな。
──
「第六段階成功セリ!の狼煙があがりました!」
ニャッポ村にある丸太小屋、現・ブタ領統合情報戦略本部の窓から観測員が叫ぶ。
「同内容!発行信号確認!」
組まれた櫓からも観測員が知らせる。
丸太小屋の中では、赤毛の女アサシン【ライン・シュコー】以下、暫定情報幕僚たちが次々と報告をメモにつけ、集計した結果をもとに、予め予定された作戦担当者にGOサインを出していった。
その様相は現代のコンピューターさながらであり、まさしくブタ領ニャッポ村最大の作戦であった。
現作戦の要旨は、港や鉱山などの【情報機密】と王太子たちの【安全確保】が主要目的である。
王太子にもしものことがあれば貴族としての信用は失墜してしまう。
又、王太子に対して、矢の一本の飛来も許されない。矢が当たったとて魔法で治療できるとか、そういう問題ではないのだ。
王都から睨まれれば、地方豪族はひとたまりもない。が、成功すれば『あいつらは意外と使えるから生かしておこう』と王都の参謀たちに思わせることも可能だったのだ。
たしかに伝説の勇者であれば違うのだろうが、そんな者とて王都を敵に回し夜討ち朝駆け、自分だけだはなく家族や仲間も狙われて続けていては、精神がもつのかどうかは自明の理かもしれない。
そのようなことを一切考えないブタではあったが、自らのおばあちゃんの教え『亀の甲よりは年の功』を思い出し、無責任に老騎士に任せたが運の尽き、地獄のように退屈なンホール司教による魔法講義が待ち受けていたのだった。
──無知蒙昧なモンスターに日頃魔法を教えているンホール司教の方針。つまるところ、ただの詰め込み式暗記教育であった。
しかしながら当時の方針に対し、3匹のなかではINTのまだマシな狸のポコは後日、『非才の身なれば、暗記するより他はなし。真の学習とは二度とやりたくないものポコ』と語ったという。
それはさておき……。
──
ハロルド王太子が昼食中の時、ブタ達は。
「勉強時間が終わった!ご飯だ!ご飯だ!」
(゜∀゜)人(゜∀゜)人(゜∀゜)ノ ぽこぶひうさ~♪
……が、そこはテーブルマナーの時間だった。
ンホール司教に、ナイフとフォークはもとより素手での食べ方も習う。
もちろん現実社会で下流なブタは大いにに苦しんだ。
「こんな食べ方だと、スープがおいしくないでござる!」
「ぽこ~(怒)」
「うさ~(怒)」
下流層の魂の叫びだったが、ンホール司教は一顧だにしなかった。
キノコ族は恐ろしく長寿であり、さすがに生物としての大先輩に対しては、ウサも悔し涙を流すしかなかった。
【システム通知】……サーバーが遮断されました。
Σ( ̄□ ̄|||) なんだ? なんだ?
……しばしの暗転ののち。
「ブルーや! 急いで! 急いで!」
Σ( ̄□ ̄|||) ぇ? 何?何?
……おばあちゃんは夕方からクラス会があり、白髪染の手伝いをさせたいがためにVRMMOのコンセントを引っこ抜いたのだった。
(´;ω;`)ウゥゥ 「壊れちゃうよ」
「壊れたら、また買ってあげるよ」
……(´・ω・`) もちろんおばあちゃんにセーブデータの概念などなかった。
──その晩。
「ブルー、めちゃめちゃナイフ使うの上手いな!」
とうちゃんに褒められた (*´▽`*)ノ~♪
……それ以来、褒められるのが嬉しくて、彼はトンテキの日は必ずナイフとフォークだった。
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