今日のゲームの中は窓越しの空。しとしとと雨が降っている。
【ミカンの汁で炙ると古の最強古代ドラゴンが出てくる】という羊皮紙を大金で手に入れたポコはウサに……。
(‘д‘⊂彡☆))Д´) ぱ~ん ☆
されすぎてポコはボコボコタンコブだらけ……やりすぎでござる (´・ω・`)
<(`^´)> むふ~ いまだにウサの鼻息はあらいでござる。
もめている獣たちをよそに、老騎士は羊皮紙にヒカンの汁を塗りたくりあぶっていた。
……。
ぼふ~ん♪ 怪しい白い煙が立つ。
なんかデタ━━━━(゜∀゜)━━━━??
ポコが息を吹き返すと、ブタたちはみんなでその煙からでるであろう竜に息をのんだ。
ゴクリ……一同の咽喉が鳴る。
果たして出てきたのは?
「にゃ~ん♪」
……ちっちゃな子猫ちゃんだった。
一同はふたたび冷たい目線をポコに向ける。
「どこが古代ドラゴンでござる? ノラネコではござらんか?」
「ちがうにゃ~」
子猫が可愛く吠える(?)
「ちがわないブヒ! 猫じゃなければナニブヒ?」
拙者たちは、怪訝な目つきで子猫を見る。
「虎でちゅ~♪ 猛虎でちゅ~♪ 」
(……さては作者が、某球団のふぁんだからか?)
(´・ω・)(・ω・`) 虎なのか、ややこしいネー。
しかしながらポコだけは目をきらめかせて問う (☆ω☆´)キラーン!
「おなまえは何っていうポコ?」
ちいさなちいさな自称虎は、後ろ足で顔をかきながら答える。
「わらわはの名前は、コダイ・リューでちゅよ~♪」
Σ( ̄□ ̄|||) ナンデストー
勝敗は兵家の常、たぬきは勝ち誇り、ウサギは肩をおとしうなだれた。
(まぁ、古代竜かどうかは (。´・ω・)? ではあるが……。)
……グツグツ。
子猫ちゃんと意気投合して夕餉の鍋をみんなでつつく。
「わははは……」
一向は楽しそうだった。
「わ~い、めでたく仲間が増えたポコ!」
「ぇ? 誰が仲間だにゃ?」
Σ( ̄□ ̄|||) どうやら機嫌が良かったのはタダ飯の影響でござるか?
…… (´・ω・`)
「にゃ~にゃ~にゃ~♪」
もったいぶった子猫の話が続いた。
……つまるところ、こちらの力をみせつけで契約にこぎつけなければならないらしい。
「その強さが伝説になっている、この『コダイ・リュー』様に腕相撲にかったら400ねんしもべになってやるにゃ~♪」
(`・∀・´) 汚名返上の大チャンスうさ……ニヤリとウサの目に光が戻る。
……結果、100戦やって100回勝ったウサと、全然さっぱりなコダイ・リュー。
そう、彼我の差は純粋なるSTR! やっぱりSTR極振りTUEE! (誰の叫びだ?)
「え~ん。」
子猫が泣き始めた。
流石に100回やって100回負けるのはきつかったようだ。
(´・ω・`) ……ぢゃあ、やったらだめでござろう。と拙者はおもったでござるが、
……。
「あひゃひゃひゃ (゜∀゜) おぬしはよわいのぉ~わらわは満足にゃ~♪」
拙者は皆がお鍋でお腹が膨れて寝ている中、子猫にわざと負け続けたのであったでござる。
「ブタよ! あんまりにも弱いから、わらわがその覇業てつだってやるにゃ~♪」
……(´・ω・`) 覇業ってなによ? それより、釣りが上手になりたいでござる。
【システム通知】……【虎】のコダイ・リューが仲間になりました。ぱんぱかぱ~ん★ どんどんぱふぱふ~♪
……その後、拙者は眠い目をこすりながら、この子猫に朝方までウデズモウで負け続けた。
(……ブタの明日はまちがいなく筋肉痛だだだ!)
☆★☆★☆
──珍しくポカポカ陽気な雲の下、拙者たちはウシやロバが曳いてくれる荷車の上にいたでござる。
「また、じいやの負けウサ~♪」
「某、もう腹を召す!!」
よしよしヾ(・ω・`)
……町で買ってきたカードで【大富豪】の激闘でござった。
──ちょうどそのころ、ハイオーク族族長【アガートラム】は、ボロンフ辺境伯爵の差し向けたスメルズ男爵率いる3000の兵に向けて迎撃の為進発していた。
アイスマン(ブタのこと)辺境蛮族子爵領の家宰を務めるヘーデルホッヘ翁の施策で、辺境伯爵との前線である山間の峡谷に砦が築かれていた。
留守居役にて、砦の守将を兼務するハイオーク族族長【アガートラム】は、勇壮なるオーク族500名を率いて遥か彼方のボロンフ辺境伯爵領奥深くまで迎撃の歩を進めた。
──実は、ブタたちが馬を買い出しに行っている間は、ハイオーク族族長の義理の弟でもある老騎士【ヘーデルホッヘ】により、『決して殿が帰るまで、何があっても打って出てはならぬ!』と釘を刺されていた。
が、スメルズ男爵率いる遠征軍を斥候による捕捉ができるや否や、当然のごとくオークたちは砦から我先にと飛び出していった。
「野郎ども! 飛んで火にいる夏の虫とはこのことだ! 出撃じゃ~ワシにつづけ! 義弟の言うことなんぞ聞けるかぁ~うははははは!」
「ゥォォオオオオ!!」
オークたち500名の地鳴りのような勇ましい声が峡谷にこだましたのだった。
──歴史学者にて戦史評論家でもある【マーチャン・アサイ】の記述によれば、『自領にて戦えば田畑が興廃する恐れもあって迎撃するもまた良し』とある。が、ここは山と砂漠しかない明らかなる荒野だった。
……そう、彼らはただ砦にて待つのが嫌なだけだった (´・ω・`)
攻め寄せるスメルズ男爵率いる兵3000に対して、オーク勢は500。
寡兵とも思われるが、筋肉隆々で人間より少なくとも二回りは大きいオーク族の戦士達だった。
「ぶひぶひぶひぶ~」
「ぶうぶうぶう」
「ぶひ」
ブヒブヒやかましいブタやイノシシたち500匹(オークは豚族)。
やたらと人間からしたらブウブウやかましかった。
──眼のいい青い色の堅い肌をしたハイオークガ叫ぶ!
「族長! 発行信号です!」
斥候のホブゴブリンより「敵兵見ユ」との報。
族長アガートラムの指揮のもと、大盾を持った者を前に繰り出し、そのすぐ後ろにひときわ大きい緑色のでっぷりとしたオークたちが弓に矢をつがえた。
アガートラムの遥か前方の丘陵に、スメルズ男爵勢の先鋒隊が姿を現す。
──刹那。
「放てぇぇぇぇええええ!!」
「グォォォォオオオゥ!!」
大地を揺るがす咆哮とともに矢が放たれ、はるか遠くの丘陵の敵兵に矢が降り注ぐ。
戦において先ず【矢合わせ】は常套であるが、筋肉がはち切れんばかりの選りすぐりのオークたちが強弓を引き絞った。
本来、弓は引いた力の運動量に射程は比例する。よって種族の違いという圧倒的な力の差によって完全な【アウトレンジ攻撃】となった。
スメルズ男爵の先鋒隊の指揮官であるトリスタン騎士爵は勇士であったが、人間の距離での戦しか知らない。
ましてやモンスターたちが整然と並んで矢を放ってくる光景なぞ、有史以来誰も見たことはなかったのだ。
トリスタン騎士爵は、大盾をもった兵たちを前へと繰り出すが、放物線を描いてみたこともない高さから降り注ぐ矢は恐ろしい加速度で人間たちに迫り、信じられないような重い鏃を叩きつけてきた。
開戦の半刻後には、俊敏さも兼ね備えた若いオークたちの突撃の前に、すでに矢の雨で四散していた人間たちは次々に打ち破られていった。
──トリスタン騎士爵は降り注ぐ矢によりハリネズミのようになり壮絶なる戦死。
逃げそこなった人間の兵士たちは残らず捕らえられ、木の檻に家畜のように放り込まれた。
ハイオーク族族長アガートラム以下オークたちは各々の獲物を振り上げ勝鬨をあげた。
「ぶひぶひぶ~!」
──勇壮なる凱歌も、残念ながら人間の耳には狼に襲われた養豚所のそれと同じようにしか聞こえなかった。
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