今日のお外は晴れですね。
気持ち良い陽気ですよ。
──
「ポコォォォオオ!!」
ポコの悲鳴が、狭い丸太小屋中に響き渡ります。
コダイ・リューが、モイスチャー技師の作った船が好きで、丸太小屋を出ていったが、代わりに住人として入ってきたのが4歳の姫君であるリーリヤでした。
彼女はやってきて早々に、ポコの大切にいていた釣り竿の先端の細く弱い部分を踏み砕いたのです。
丸太小屋の家事は、老騎士の実の娘であるナシャータ・ヘーデルホッヘが行っており、リーリヤの育児係もナシャータでした。
リーリヤはもはや大都市の姫君ではないので、特にこれといった高度な教育プランもありませんでした。
「はいはい、リーリヤちゃんもポコ君も仲良くしましょうね~♪」
実はウサもリーリヤが苦手でした。ウサはそこそこ常識のある大人に対しては強いのですが、4歳のモンスター相手にはちょっと分が悪いみたいです。
扱いがわからないみたいですね。
だから、ポコが泣いていても、ウサは知らんぷりです。ウサはベッドの上でブタの横で寝たふりです。
もちろんブタは本気で惰眠をむさぼっているだけですが……。
だれも味方してくれないと悟ったポコは、丸太小屋の治安と自らの資産保護のために一大決心をします。
なんと、彼はよわよわの火炎魔法で、リーリアをビックリさせようとします。
動物は皆、本能的に火を恐れます。
きっと、リーリアはびっくりしてくれるに違いないと思ったのですね。
Σ( ̄□ ̄|||) ぇ? 今日の気持ち悪い「です・ます」調はなんですって?
今日は、ベルンの妻、キルカフ・ヘーデルホッヘがお贈りいたしました。
てへぺろ。
☆★☆★☆
今日の天気は晴れ。
ここ数日いい天気でござるよ。
──ビシィィィイイイ!!
リーリヤに向けたポコのよわよわ火炎魔法が発動すると同時に、凄まじい閃光がほとばしり、炎が消えた。
ポコはリーリヤ相手にコッソリと同じことを繰り返したが、同じく消えた。
……(´・ω・`)
変だと思い、ポコは老騎士に相談するも、
「はいはい、あとでね。某は忙しいから」
と、相手にしてもらえない。
仕方がないので、いつもお昼間は暇そうなンホール司教のところへいった。
──
「ンホー!?」
「カウンター魔法の才能ンホ!!」
やってきたンホール司教の話に、丸太小屋のみんなはびっくりする。
ちなみにこの世界の魔法は才能である。才能がないものが長年必死に努力しても、到達できるのはポコのよわよわ火炎魔法といったところであった。
よって、小さいころに適性がないと見るや、剣の道に進むものが多かった。
ちなみに実用的な魔法適性がある者は、ハリコフ王国で言えば100人に3人くらいで、実に3%という希少な存在だった。
ちなみに、老騎士は魔法を全く使えないし、ブタも狭義での魔法を一切使えない。
「カ……、カウンター!?」
「カウンター魔法ってなんなのです?」
リーリヤの育児係であるナターシャ・ヘーデルホッヘが尋ねる。
いつもは、司教のことを如何わしい人と思っている皆も、今回は興味深々である。
「今のところ、火炎魔法だけの対象のようンホけど、跳ね返したり消したりできる魔法ンホ!」
「今まで、リーリヤのカウンター魔法の才能は、なぜわからなかったのですか?」
常識的な問いかけを、ナシャータが続けた。
「あくまでカウンターですンホ。周りに火炎魔法が発動していなければ使えないンホ」
「……ということは、危ない火炎魔法がリーリヤの周りになかったので、今まで判らなかったと仰るのですか?」
「ンホ!(肯定)」
Σ( ̄□ ̄|||) なんか判らないけど、凄くない? でござる。
──バキッ!
Σ( ̄□ ̄|||)
皆が目を離したすきに、ブタの釣り竿が、か弱い悲鳴を上げた。
そう、足取りおぼつかない四歳のリーリヤ姫の踵は、ブタの釣り竿の最も弱い部分にクリティカルヒットしたのだった。
──ぇ? 片付けが悪いって?
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