とりあえず、なんとかしよう。と思う。
あと、時間がどれくらいあるか、正確にはわからないが、やるだけやるしかない。
「あの‥お父様‥」
父は少しビックリした顔をして、カトラリーをおいて、こちらを向いた。
母もおやっ?という顔をして、こちらを見ている。
まあ、昨日までわがまま三昧、甘えたい放題だった娘が深刻な顔をして、話しかけてきているのだ。ビックリもするだろう。
「どうしたんだい?アリー。また第3皇子に冷たくされたのかい?それとも、来週末のアリーの6才の誕生日パーティーのことかい?」
父は心配気に話しかけてきた。
そうなのだ。3才のころ、ひとめぼれした、第3皇子と婚約したのはいいのだが、2才年下のわがままな娘が、自分の遊びに加わって足手まといになるのが嫌で、今まで皇子に邪険にされていたのだ。
今なら、なぜ嫌がられたかわかるが、昨日までわからなかった。そして父に言って、皇子は怒られ、更に私を嫌いになるというループだった。
ゲームでは、この悪循環は続き、やがて婚約破棄されるというわけだ。
違います。皇子は‥今ではどうでもよいです。
父と母は目を見開き、こちらを唖然たみつめた。マナーにうるさい母の手から、カトラリーが落ちてカラーンと音をたてた。
「どうしたの?具合が悪いの?昨日まで皇子のこと大好きだったじゃないの」
確かに、つい先ほどまでは大好きだったが、今では、ただ、自分の婚約者を邪険にする残念なやつとしか思っていなかった。
前世の記憶を思い出したので、皇子が、カッコいい年上の男の子、から、年下の婚約者を大事にできないカッコ悪い人に変わってしまったからだろう。
「それよりも、お父様!来週末の誕生日プレゼント、に欲しいものがありますの!」
私のおねだりに、父も母も口調は違ってもいつもの私かと、少しほっとした顔をして、食事を再開した。
「何が欲しいんだい?アリー。」
「あのね、お父様‥」
私は、できるだけあざと可愛く見えるようにしながら、お父様におねだりした。
おねだりを聞いたお父様はかなりビックリさしていたが、最終的にはおねだりを聞いてくれたのだった。
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