「ザザ君、悪いんだけど仕事手伝ってもらえないかな」
17時過ぎ、ザザは仕事にある程度の見切りをつけ、今日も定時で帰ろうと喜び勇んでいた時の事。上司であるカイリキから呼び止められたが、ザザはさっさと帰りたいので無視を決め込むことにした。あーあー、何も聞こえない!
「ザザ君、声に出てるよ」
「それは残念です。何事でしょうか」
渋々、嫌々、上司の命令でどうしても仕方ないからという風を装ってザザはカイリキに近付く。あからさまに嫌そうな顔のプレゼント付きだ。おまけに溜め息も付けてあげよう。
「この仕事手伝ってくれたら、ザザ君の仕事も減るかもよ」
「さあ、一体どんな仕事ですか!」
腕まくりをして力こぶを見せるザザ。カイリキもザザの操縦方法が分かってきたのか、ちょっと溜め息をつかれたくらいでは動じなくなってきたし、カウンターを決めてザザを仕事に引き込めるようになったのは成長したと言えるだろう。
先程とはうってかわって上機嫌になったザザに苦笑しつつ、カイリキは本題に移った。
「実は、新しく人を雇おうと思ってね」
「おお、いいじゃないですか!新卒ですか?それとも中途ですか?」
「今回は中途採用でいこうと思っているよ。マカオやお嬢にも聞こうと思ってるんだけど、ザザ君は一緒に働くならどんな子が良いと思う?」
「そりゃまた、随分とざっくりした質問ですね。うーん、そうですね……俺みたいに『改善!改善!』って言ってる人がいいですけど、基本的にポンコツじゃなければなんでもいいですよ。俺には人事権がないですからね」
「すごくざっくりした答えをありがとう。まあ、こんな質問じゃそういう答えにしかならないよね。じゃあ、この中から選ぶとしたら誰がいい?」
そう言うと、カイリキは引出から数枚の紙を取り出す。
「実はもう応募はかけてるんだけどね、これが何人かの履歴書で――」
「手書き!!!!!!!」
ザザは悲鳴をあげた。
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