「こんな紙、ケツ拭いてトイレに流してやる!!!!」
「や、やめるんだザザ君!!!!」
「手で書くなよおおおおおおお!!!!!」
「うわああああああ!!!」
履歴書を前に怒りに震えるザザを羽交い締めにし、カイリキはなんとか荒れ狂う獅子を鎮めることに成功した。
「申し訳ありません、取り乱しました」
「い、いや、いいんだ、大丈夫。ところで、どうしてあんなに怒ってたんだい?」
「どうして?」
くるり、と。ザザは幽鬼の如く振り返る。
「そりゃあ“手書きで履歴書出してくるアホ”が、行政改革ギルドの書類選考に残ってるからですよ!!!!!」
「うわああああ!!!びっくりした!!!!」
「なんて怒ってもしょうがないんですが」
「うわ、今度は凄くトーンダウンした!」
「色々言いたいことはありますが、採用試験の方法が怪しく見えてきました。概要を説明してもらえますか」
「い、いきなり冷静になるね……まあいいよ」
ということで、行政改革ギルドの採用試験の詳細について説明しよう。
まず行われるのが書類審査だ。新卒中途どちらも履歴書による審査があり、そこから新卒採用の場合は学校等から提出される内申書、中途採用の場合は自身で職務経歴書を作成して提出し、それら複数の書類をギルド長であるカイリキが審査するシステムとなっている。
行政改革ギルドは現代日本における国家公務員的なポジションにあたるため、ある程度優秀な学歴を持った人物が就くことになるのだが、基本的にこの世界は頭の悪いおバカさんしかいないので、転生前に大した学校を卒業していないザザでも頭が良い扱いされているし、現に活躍もしている。
この書類審査に通過したものは、筆記試験を行う。といっても、筆記試験とは名ばかりの性格診断テストだ。与えられた2つの選択肢のうち、どちらがより自分の考えに近いか5段階評価で丸を付けていく。例えば『人をまとめるのが得意だ』『リーダーを補佐するのが得意だ』という二択があり、どちらかと言えば人をまとめるのが得意なら2、完全な補佐型なら5、といった具合に。
ちなみに、ザザは全部1か5に丸を付けている。彼の人生に『どちらかと言えば』という言葉はないからだ。そこをカイリキに気に入られたというのは裏話であるが。
この筆記試験もとい性格診断テストにおいて、人間性もとい人格に問題がなさそうだと判断された者は、1次面接に臨むことになる。1次面接はギルド長であるカイリキが行い、志望理由や自己アピールを始めとした当たり障りのない質問をしていく。
ここまでの総合的な結果で合否が決まり、合格した者は最終面接と称した中央ギルド幹部との面接 が待っている。各ギルドでの面接で合格であることはほぼ決まっているのだが、中央ギルドは『俺たちもちゃんと仕事をしている』感を出すため、最終面接と称してお偉方が一堂に会して面接を行うのだ。同時に、中央ギルドが各ギルドの頂点に君臨しているという意味合いを出すためでもあるらしい。
「なるほど、お話は分かりました。カスみたいな採用の方法ですね」
「うわ始まった」
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