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のちのちザウルス
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幕間 ―部下の仕事を増やすポンコツ上司チェックリスト―

公開日時: 2021年4月14日(水) 20:00
文字数:1,877

『こんなふるまいや習慣で、ギルドメンバーをムダに働かせていませんか???』

<部下の仕事を増やす上司 あるあるチェックリスト>

 

部下の皆さん!あなたの仕事が大変なのは、もしかしたら上司のせいかもしれません!

このチェックリストを使って、あなたが上司に感じていることを教えて下さい!

項目に5つ以上チェックが入るようだったら、行政改革ギルドに「働かせ方」の見直し改革を依頼してみましょう!

 

 

 

1.ギルド内会議などで、「そういえば、あれどうなってる?」と、突然議題とあまり関係のないことを質問される。

 

2.何も言われなくても資料がさっと出てくることを、「気が利く」「できる」と評価しているように感じる。

 

3.上司は「私は聞いていない」が口ぐせなので、 個別の根回しが必須である。

 

4.「もっと具体的な情報がないとわからない」「資料がわかりにくい」と、やたらに詳細な資料を求めてくる。

 

5.仕事の中身よりも、資料の出来栄えやプレゼンの巧拙など、枝葉末節しようまっせつ(本質から外れた些末なこと)を指摘される。

 

6.「過去の数字(データ)を洗い出してみろ」「費用対効果は?」と、必要以上に根拠を追及される。

 

7.「誰またはどのギルドの責任か」を問われる。「失敗はあってはならない」と言われる。または失敗が許されない空気がある。

 

8.ミスやトラブルが起こると、再発防止のために"事実・実態”から原因を探り、衆知を集めるのではなく、自部門、自論の正当性を担保する情報を集めようとする。

 

9.直接は聞くことをしないが、常にギルド長や中央ギルド等上位の人間の意向を付度そんたくする。

 

10.役員同士の意見が相反していても表面的には合意する(例えば、稟議書・決裁書を回す際「俺は納得してないけどね」と言って押印する等)。

 

 

 

その結果、部下の仕事は……。

 

1.「もしかしたら聞かれるかも」と想定して資料をあれこれ準備する。

2.会議の前には担当者が部長に細かく説明する。

3.いつも上司対策のために入念な資料作りをする。

4.事前説明、根回しなどに時間をかける。

5.会議に説明要員として駆り出される。または代理出席を求められる。

6.情報収集、詳細な資料作りにエネルギーを使う。

 

 

あなたの仕事が遅いのは上司のせいかも?上席者のマネジメント不足を感じているなら、今すぐ行政改革ギルドにご相談を!!

匿名、記名どちらでもOK!

 

担当者:行政改革ギルド ザザ・ナムルクルス

提出先:gyouseikaikaku.zaza@guild.cam

 

 

 

「よし、送信!カイリキさーん、例のやつ他のギルドに送りましたよー」

「ありがとう。もう完全に任せちゃったけど、管理職クラスには送ってないよね?」

「ばっちりですよー。言われた通り、中央ギルドの担当にだけCc入れておきました」

「じゃあ大丈夫。うちのギルドがどんどん見違えるように進化してるからね、中央ギルドも他のギルドを良くしたいのさ」

「こういう時って統括の中央は大変ですね」

「ザザ君だって、これからたくさん書類が戻ってくるから大変だよ」

「あー、そうでした。まあ、大体どこのギルドも似たような感じでしょうから、全部結果が来てから管理職の一斉摘発コースで良いと思いますけどね」

 

――後日。

冒険者ギルド、商人ギルド、建築ギルド、生産ギルド、農林水産ギルド、市民管理ギルド、軍事ギルド。以上、行政改革ギルドを除く全てのギルドにて、勤務している一般ギルド職員がポンコツ上司チェックリストに10点満点のダメ評価をつける。そして、その知らせを受けた中央ギルドの担当は全ギルドマスターをオンライン会議で呼び出し、即日の意識改革を求めるように通知したのである。

とは言え、年老いたギルドマスターたちの意識はそう簡単には変わっていかない。これからもちょこちょこギルド員に迷惑をかける日が続いていくのだろう。しかし、同時に改革の火蓋が全ギルド同時に落とされたことも事実だ。

 

ザザは、建築ギルドのギルド員から送付されたチェックリストを見て思う。別に彼らの上司が無能というだけではない。ただ、やつらは部下への指導方法を知らないだけなのだ。現代日本において素晴らしい教えだと感銘を受けた山本五十六の言葉がある。

 

『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かず』

『話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず』

『やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず』

 

この言葉をいかにして伝え、そして新しい仕事のルールに取り入れるか。その手法に考えを巡らせながら、ザザは肩をぐるりと一回し。再び画面に目を向け、キーボードを叩いた。

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