これは、いずれ訪れる出来事――。
◆ ◆ ◆
吹き荒れる暴風。崩壊した王城。その中央で無表情に腕組みして宙に浮く、白銀の機械龍。この魔物さえ倒せば、すべてが終わる。
だが、あまりの強風に、我々や兵士騎士たちは地に伏せ、身動きができないでいた。
「何だ! 何が目的でこんなことをしてきた!」
大声で問いかけるも、風音に阻まれ聞こえないのか、はたまた俺のことなど路傍の石ころ程度にしか見ていないのか。目もくれず、答えも返さない。
頭上を、大きな瓦礫が飛び過ぎて行った。当たっていたらと思うとゾッとする。実際、こいつでかなりの兵士たちがやられていた。
カン、カン。
人差し指で自らの二の腕を叩き、眼前の邪龍はいかなる感情をもってか、死屍累々の光景をじっと見つめている。
何か、何か突破口はないだろうか――。
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