弱小貴族の成り上がり生活 〜希少な魔法で学院無双〜

〜希少な魔法で学院無双〜
たまご豆腐
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幼少期編 三話 披露宴

公開日時: 2020年9月2日(水) 19:30
文字数:5,812


父さんから披露宴に出るように言われてから3週間が経った。今日は披露宴当日だ。


「レオ。準備はできたか?」

「はい、大丈夫です。いつでも行けますよ」

「よし、それじゃあ皆行ってくる。ゼル、留守は頼んだぞ」

「かしこまりました。御気をつけて行ってらっしゃいませ」

「と言っても王城に行ってくるだけだ夜には帰る」

「レオ様お友達沢山できるといいですね!」


そう言ったのはカレンだ。


「ははっ、頑張ってみるよ…」


俺は初めての王都でしかも王城に行くという事もあり少し緊張していた。上手くやれると言いけど…


「そろそろ時間だな。それじゃあ出発してくれ」

「はい!かしこまりました」


父さんが御者の人に出発するように言うと御者の人は馬を走らせた。


「それじゃあ、母さん、カレン、兄さん達行ってきます!」


「「「「行ってらっしゃい!」」」」


そうして僕と父さんは今日の舞台である王城へと向かった。


王都は初めてリヴァイス家の屋敷から王都まではそこまで遠くないらしく馬車で1時間程で着くと言うのでその間父さんと今日の披露宴について軽く打ち合わせをした。

王都に着き王城の前まで行った俺はその光景に驚き固まってしまった。


(うわぁー、想像してたのより何倍も大きいや門だけでも家の門より一回り以上大きい)


その大きさはリヴァイス家の屋敷とは到底比べ物にならないような大きさで道中で少し和らいでいた緊張がさっきの数倍にまで跳ね上がったような気がした。


「そういえばレオは王城は初めてだったかな」

「は、はい!というか王都も初めてですよ」

「そうだったな、はっはっはっ!俺も最初はかなり緊張したよそれこそ俺なんて平民だったからな。

けど、何回も来てると案外慣れるもんだぞ?」


父さんはそう言うが俺にはまだこの大きさに慣れることが想像出来ないでいた。

そんな事を父さんと話していると馬車が止まった。

どうやら入口に着いたらしい。


俺と父さんは馬車から降り王城の中へと入っていく。周りを見みると他にも貴族の人達が沢山来ており中には子供と一緒の人も当然いる。王城に入ると披露宴が始まるまで控え室で待つように案内された。控え室でこの後の予定についてある程度説明されその後は少し休憩の時間となった。


「披露宴まではあと1時間か、レオ20分後に広間に行くぞ」

「え、どうして?1時間後ならもう少し余裕があるんじゃ…」

「家は子爵家だからな特にそう言った決まりがあるわけじゃないんだが家よりも高い爵位の人よりも早く行っていないと色々と面倒臭いことになるんだよ」


父さんはそう言いながら苦笑していた。


「それに仲のいい家の方や家と同じ子息が参加してる方達にも挨拶に回らないといけないからな」


どうやら貴族が集まる場では階級の低い子爵と男爵は他の貴族の人達よりも先に並んで待っていないといけないらしい。


(なんだか面倒くさそうだな)


俺はそう思うのと同時に将来この中で生きていかないといけないアラン兄さんに少し同情した。

そんなことを話していると時間はあっという間に過ぎたようで……。


「そろそろいい時間だな。レオ行くぞ」


そう言って父さんが立ち上がったので僕もそれに続き広間へ向かった。

広間へ着くと既にいくつかの家がの人が到着しており数人で談笑していた。

僕と父さんが歩いていると1組の親子が話しかけてきた。


「リヴァイス子爵!お久しぶりです!」

「おぉ!グランディオ子爵!お久しぶりです!1年ぶりですか?」


どうやら父さんの知り合いの人らしい。かなり大きな人で父さんよりも一回りは大きいだろうか。


「そうですね。前回の披露宴以来なので1年ぶりですか!お元気そうで何よりです」

「そちらこそお元気そうで最近はどうですか?」

「はい、お陰様で細々とですが貴族として上手くやっていけてますよ!」

「それは良かった!これからも共に頑張っていきましょう!」


そう言って父さんとグランディオ子爵は握手をしていた。


「ところで、そちらにいる子が前に言っていた…?」

「あぁ、紹介が遅れました。そうですこいつが前に言っていた三男のレオです!」

「レオナルド・フォン・リヴァイスです。よろしくお願いします」

「こちらこそ!よろしくうちの息子も君と同い年なんだ仲良くしてやってくれ。」


そう言ってグランディオ子爵の後ろから僕よりも少し大きな子が出てきた。


「ダリス・フォン・グランディオだ!よろしくな!」

「レオナルドです。こちらこそよろしく!気軽にレオって呼んでくれ」


俺はダリスと握手をした。初めての同世代の友達で少し嬉しくなりさっきまでの緊張が嘘かのように無くなっていた。


「お、早速仲良くなったようだなレオ。

ところでそちらのダリス君の属性はどうでしたかな?」

「それが、ダリスは火と土属性だったんですよ!」

「おぉ!火も持っていましたか!グランディオ家は代々土属性だと聞いていましたがこれはめでたいですね!将来はやはり魔法師団ですか?」

「はい、こいつも魔法師団には興味があるので15歳になったら魔法学院に入学させようと思ってるところです!」


どうやらダリスも魔法師団を目指しているらしい。


「うちのレオも魔法師団を目指していましてね!」

「そうですか!それは良い!レオ君これからもうちのバカ息子と仲良くしてやってくれ!」

「はい、こちらの方がお願いしたいぐらいです」

「そうかそうか!ところで、レオ君の属性はどうだったんだい?」

「僕は光と闇属性でした」

「「え?」」


グランディオ子爵とダリスの声が見事に一致した。


「え、えっと今なんて?」

「光と闇属性です」

「親父、俺の聞き間違いじゃなきゃ光と闇って聞こえたんだが…」

「あ、あぁ俺の耳にもそう聞こえたぞ息子よ…」

「あぁ、レオの属性は光と闇の2属性ですよ」

「「なっ、えぇ!?!?」」


またもや2人の声がピタリと一致した。


「ひ、光と闇ってタダでさえ希少な属性を2つもですか!?」

「えぇ、これに関しては俺も同行していて驚きましたよ。はっはっはっ!」

「これは驚いた。レオ君、君には魔法の才能があるようだな」

「ありがとうございます。けど珍しいだけに分からないことも多いのでこれからできることを増やしていこうと思ってます。」

「なるほど。これは将来が楽しみですな!リヴァイス子爵!」

「えぇ、全くその通りですよ。それでは他の方にも挨拶に回らないといけないのでこの辺で失礼します」

「あぁ、長く引き止めてしまって申し訳ない!また今度近いうちに酒でも飲みましょう!レオ君も改めてこれから息子共々よろしくな」

「はい。よろしくお願いします」


そう言って俺と父さんはグランディオ子爵達と別れた。その後数件挨拶に回り披露宴開始の時間になったので父さんと共に整列した。

披露宴が始まると広間の扉が開き国王様と王家の人達が入ってきた。その中には俺と同い年ぐらいの子も見えた。


(あの子も同い年なのかな)


ぼんやりとそんなことを思っていると国王が玉座に座りその後ろに王家の人たちが並んだ。そして全員の準備ができたところで国王様が話し始めた。


「皆、今日はよく来てくれた。このめでたき日に出席者が1人もかけることなく集まれたことを嬉しく思う。今年は前回よりも披露宴に参加する子息たちも多くその多くの若き未来が希望に満ちることを願って披露宴を始めるとしよう。それでは乾杯!」


「「「「「「「乾杯!」」」」」」」


国王様のその合図と共に広間に並んでいた参列者がいっせいに声を上げた。その後の内容は公爵家から順に国王様と今年5歳になる第2王女様への謁見の時間になるらしい。俺と父さんは子爵位なので順番はまだまだ後だ。それまでは自由に食事をしたり談笑をしていていいらしい。

俺たちはまたグランディオ子爵達と一緒に談笑しながら食事を取っていた。

謁見が始まってからしばらくすると俺たちの方へ1人、中年ぐらいの男が近づいてきた。


「これはこれは、『元平民』のリヴァイス子爵では無いか!調子はどうかな?」

「これは、ベリス伯爵ご挨拶が遅れ申し訳ありません」


どうやらこの貴族の名前はベリス伯爵と言うらしい。この人がアラン兄さんの言っていた一部の選民意識の強い上位階級の人か。


「ほんとだよ。まさかこの俺から挨拶をさせに来るなんていつから君はそんなに偉くなったんだい?」

「全く返す言葉もありませんな」


父さんは苦笑混じりに返答する。


「何をヘラヘラとしている!これだから『元平民』は礼儀がなっていないと言われるんだ!自分の立場を弁えるがいい!」

「これは、申し訳ない事をした今後は気をつけよう」


そう言って父さんは頭を下げた。


「全く君の爵位はなんだ!子爵だろう?子爵が伯爵である俺に不遜な態度をとればどうなるかはわかっているんだろうな!」

「ましてや君は『元平民』で本来ここにいてはいけない人間なんだ!それがこの場にいるだけでも腹立たしいと言うのに」


最後の方の言葉は小さくなってよく聞こえなかったがあの父さんがここまで言われて俺はとてもじゃないが我慢出来なかった。だがそこでアラン兄さんの言葉を思い出した。


父さんがここで何も言わないのは自分が言われるだけなら耐えられるからだ。ここで俺が何かを言って俺まで罵倒されたらそれこそ父さんは我慢ができないだろう。そしたら最悪の場合俺達家族の暮らしが危なくなるかもしれない。

そうして俺が何も言えずにいるとベリス伯爵の口撃はより激しさを増していく。そんな時だった。


「何をしている!」


横からその言葉が聞こえてきたのだ。


「こ、これは!アルカード公爵!」

「次の謁見は伯爵位の番だぞ国王を待たせる気か?」


アルカード公爵と呼ばれたは男はその綺麗な銀髪を揺らし俺たちのいる場所へゆっくりと歩いてきた。


「い、いえ!国王を待たせるなどそのようなことは決してありません!」

「ならいつまでそうしている。すぐに国王の元へ行け!」

「は、はい!今すぐに!」

「ところでベリス伯爵。先程から少し話しは聞かせて貰ったが『元平民』とはどういうことだ?

この国では身分差別は法で罰せられているはずだが。まさか、誇り高きルステリア王国の貴族が法を破るような事は無いだろうな?」

「い、いえ!とんでもない!そのような事は決して有り得ません…」

「ならばいい、今回は見逃してやる。だが、次はないと思えよ?」

「は…はい。」

「わかったなら良い、引き止めて悪かったな。国王を待たせてはいけないすぐにこの場から立ち去れ」

「か、かしこまりました、」


そう言ってベリス伯爵は足早に国王の元へと去っていった。


「いやはや助かりました、アルカード公爵。ありがとうございます」

「何、これぐらい貴族として当然のことだ。ベリス伯爵の選民意識は前々から気にはしていたからな、リヴァイス子爵に何事もなくて良かった。ところでそちらの子はリヴァイス子爵の息子さんかな?」

「はい、家の三男のレオです。確かアルカード公爵のご子息も今年で5歳でしたかな?」

「あぁ、そうだ。レオくんと言ったかグランディオ子爵の子同様家の息子とも仲良くしてやってくれると助かる」

「は、はい!こちらこそよろしくお願いします」


俺はアルカード公爵のそのオーラに圧倒されていた。


「うむ、うちの息子も紹介したかったのだが先日から体調が優れなくてな今日も出席はしたのだが今は端で休んでいるんだ」

「そうだったんですか、道理で息子さんの姿が見えないと思ったら…」

「あぁ、だが家の息子も魔法学院に入学したいらしくてないつかはレオ君とも顔を合わせることになるだろう。それよりもグランディオ子爵から聞いているぞなんでも光と闇の2属性持ちなんだろう?」

「は、はい」

「凄い才能だな。だが家の息子も才能だけなら負けてはいないぞ?」

「ほほぅ、それは気になりますな!アルカード公爵のご子息はもしや3属性持ちですか?」

「いや、4属性だ」

「な、!4属性!?は、派生は!?」

「得意不得意はあるようだが全て使えるぞ」

「そ、それは確かに凄い才能ですね…これは将来が楽しみだ!」

「あぁ、この世代の魔法学院は中々に才能豊かな者が多くなりそうだな。先程聞いた話によるとシルフィード辺境伯のご息女も2属性持ちらしいぞ」

「グランディオ子爵の子のダイス君もいますしこれは凄いことになりそうですな…」

「あぁ、全くその通りだ。おっと次は子爵の番のようだなではまた今度改めてゆっくりと話そう」

「えぇ、こちらこそ。では失礼します」


そう言ってアルカード公爵は去っていき俺達も国王謁見の列へと並んだ。アルカード公爵かぁなんかかっこいい人だったな。


謁見の列に並んで数分後遂に俺と父さんの番が回ってきた。


「国王!本日は息子共々ご招待頂きありがとうございます」


そう言って父さんが頭を下げるので俺もそれに習い頭を下げた。


「良い、頭を上げよ。最近の調子はどうだ?」

「はい、お陰様で与えられた領土はしっかりと守れています。」

「うむ、リヴァイス子爵の評判は度々耳にしているぞ領民からの信頼も厚いようで何よりだ隣にいるのがリヴァイス子爵の息子かな?」

「はい!息子のレオです」

「レオナルド・フォン・リヴァイスですよろしくお願いします」

「あぁ、よろしく頼むなちょうど今隣にいるのが我が娘のアリシアだ」

「アリシア・フォン・ルステリアです。よろしくお願いします」


そう言ってアリシア王女は綺麗な動作で一礼した。


「アルカードのところの息子もそうだが今年は才能豊かな者が多いと聞く何人かは既に魔法学院入学も決めているようだ。アリシアもその内の1人だからな」

「そうでしたか!先程アルカード公爵とも話しましたが本当にこの子達の世代は凄い子達が揃っていますな!」

「うむ、今から国の未来が楽しみだ」

「全くもって同感です。それでは私たちはこの辺で失礼します」

「あぁ、これからも国のためによろしく頼むぞ」

「えぇ、こちらこそよろしくお願いします」


そう言って俺と父さんは玉座の前から広間の方へ向かった。その後披露宴は無事終わり国王と王家の人達が退出したあとそれぞれ解散となった。

俺は1日の疲れがどっと押し寄せて来たのか帰りの馬車ではぐっすりと眠っていた。

家に変えるとすぐにカレンが出迎えてくれ友達はできたかどうか聞かれ 疲れていたので明日にしてくれと言うと渋々下がって言った。明日は起きたら大変そうだな…

そんなことを思いながら部屋に戻り明日からまた魔法の練習を再開するため今日は早めに寝ることにした。


――そして、時は進み10年後――


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