【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第257話 帝国軍の進軍

公開日時: 2024年7月12日(金) 12:56
更新日時: 2024年7月15日(月) 08:01
文字数:3,082


 街中を走る、一台の黒いブハンカ。



 その後ろには、KAMAZー5320トラックが二両、幌付きトレーラーを牽引しながら走行する。



 この幌内には、大量に警察隊員が乗っており、これから彼等は戦場に運ばれてゆく。



 また、その背後には、三菱アウトランダーが続く。



「救急車だ、どうやら、こちら側も相当な損害を被っているらしいな?」


「隊長、護衛には受領した、Miー24とMiー17が着いてますから、御安心を」


 ルノー2087、4✕4を含む、さまざまな黄色や白い救急車の車体が通り過ぎてゆく。


 それを、フロスト中尉はブハンカの社内から見て、味方兵士が殺られている現状を呟く。



 民間車両すら使う有り様に、不安を感じたのかと思った、ネージュ準尉は護衛機があると話す。


 ジャン・ソビエスキ通りを走る車列は、左側の森にトラック部隊が停車している様子を見た。



「よく、公園に並べたものだ…………」


 HX3の自走榴弾砲トラックが大量に並んでおり、さらに後方にも自走砲部隊が控える。


 巨大タイヤ式自走砲RCH155、重火炎放射器TOSー1などだ。



 その手前には、9A52ー2スメルチが3台も並ぶ。



 そして、何よりも凄いのは、ティルク製の自走ロケット発射器トラックMCLだ。



「始まったか? 凄い震動だっ!」


「まるで、地震ですねっ!」


 MCLは、荷台に四基の多連装ロケットランチャーを搭載しており、それを斜め上に向けた。


 そして、240発ものロケット弾を、一斉発射した。



 また、それを皮切りに、他の重自走砲も集中砲撃が開始した。


 その余波で、ブハンカは車体を激しく揺らし、フロスト中尉とネージュ準尉たちは焦ってしまう。



「ラーケン公園とは、対照的に住宅街は静かだね?」


「ここら辺は、帝国軍が完全制圧し、警察部隊が巡回中ですから」


 フロスト中尉は、閑静な住宅街の景観を眺めて、平和すぎる光景に思わず呟く。


 その理由を、ネージュ準尉は得意気な顔で説明する。



「なるほど、通りで静かなワケだ」


 一人呟くフロスト中尉の目は、運転手と護衛たちが座る座席に向けられる。


 前方に、右側のクロワトル通りから武装を搭載した、大型トラックが現れたからだ。



 フロントガラスに写るのは、ZILー157トラックに、AZPー57対空機関砲を載せた物だ。


 恐らくは、兵器不足により、連合軍部隊に対抗するために急造された、テクニカル・トラックだ。



「デカブツの後ろかよ~~」


「まあ、護衛になるから良いじゃないですか」


「いざと言う時は、盾にも使えますし?」


「そうです、物は使いようです」


 悪態を吐く、フロスト中尉の言葉に、ネージュ準尉は呑気に述べる。


 護衛の女性と運転手も、前を走るZILー157トラックに、苛つく事なく話す。



「それも、そうだな? 雯芮《ルイチア》、連《リェン》」


 フロスト中尉は、運転席の二人から話しかけられて、納得する。



 左側の助手席に座る、ルイチアは頭に、黒いサーマルゴーグル付きIHPSヘルメットを被る。


 ミディアム・ロングの茶髪と青黒い瞳をしているが、肌色と名前から察するに、東アシュア系だ。



 服装は、黒い戦闘服に弾帯付き軽量防弾ベストを着て、膝や肘にプロテクターを装着している。


 脚のレッグホルスターには、ステアーM拳銃が仕舞われていた。



 彼女は、座席に座りながら、ベネリM4スーペル90を両手で確りと握っている。


 座席の後ろには、最新型自動小銃である、XT112式戦闘歩槍が、ベルトで固定されていた。



「ああ、それから? リェン…………イタリィー料理店を通過したあと、交差点からカレル・ボルゲショー通りに進んでくれるな」


「分かりました、安全運転で行きますよ」

 

 フロスト中尉は、作戦地域までの移動ルートを、リェンに指示する。



 リェンは、黒いEHCヘルメットを被っており、日に焼けた赤肌をしている。


 装備は、大きな弾帯つき防弾ベストを身に付けており、野戦服の腕にはベルクロが貼ってある。



 彼は運転に集中するため、武器は二つとも座席裏に、横に並べて置いてある。


 ハンドガードとストックが茶色く染色されている65式K3歩槍&93式狙撃歩槍だ。



「後ろの二人はーー全く喋らないな? レオ、レオ? コイツも喋らないと思ってたら…………」


「隊長、彼も疲れたんでしょう」


「中尉、ミアの言う通りです、そっとしておきましょう」


 車内で、護衛&警戒を勤める、他のリパブリック・チィーナ兵たちは寡黙だ。


 フロスト中尉は、レオを呼んだが、返事が聞こえてこない事を不思議に思い、背後に振り返る。



 すると、彼は疲れていたのか、両腕を組んで居眠りをしていた。


 そんな彼を、ミアとネージュ準尉たちは、フォローする。



「まあ、激戦が続いたからな? 今は寝かせといてやるか」


 フロスト中尉は、眠り続けるレオよりも、背後に控える兵士たちを注視する。



 一人は、ジェイソンと言う、コードネームで呼ばれる防弾兵だ。 


 黒いフリッツヘルメット、鼻先が尖った口が開いてない、防弾マスクを顔に装着している。



 両手には、ダットサイト付きサブマシンガンMP5A5短機関銃を持つ。



 膝上には、ダネルMGLを載せていた。



「はぁ?」


 もう片方は、シャドウと言う兵士であり、こちらも姿と本名が分からず不気味だ。



 頭には、ゴーグル付を着けた、黒いフリッツヘルメットを被る。


 顔は、遠くからだと、小さな白い点のように見える黒いフルフェイスマスクを装着している。



 四角い防弾ガラスの付いた、黒い大楯を床に設置して、自身の膝に立て掛けている。



 そして、77式短機関銃を両手で持っていた。



 腰のプラ製ホルスターには、97式拳銃が見える。



 二人とも、黒に近い紫がかった戦闘服を上下に着ている。


 装備は、肩や襟まで覆うアーマー型の防弾ベストを身に付け、肘や膝にはプロテクターを装着する。



 フロスト中尉は、寡黙な彼等から威圧感と殺意を感じるのだ。



「しかし、味方とは言え、邪魔に感じるな?」


 恐らく、いや見た目の通り、ジェイソンは防弾兵であり、シャドウは楯持ち兵だろう


 そう思っていた、フロスト中尉は、左側のモン・サン=タルバン通りから出てきた兵器を眺めた。



 上部機銃マウントに、AGSー30自動擲弾銃を取り付けた、ジューポン製の黒い高機動車。


 ZUー24ー2対空機関砲を搭載した、KAMAZ4310トラック。


 海軍魚雷艇用25ミリ、2Mー3機関砲塔を搭載した、MTーLB装甲車が、二両続く。



「こうも、数が多いと頼もしい反面、鬱陶しいな?」


「機甲部隊ですね? 同じ場所に向かうから並走していっ! んんっ?」


 左側を走る味方の車列を眺めつつ、フロスト中尉は愚痴る。


 それを率いているのが、ウルシカ中尉だと知って、ネージュ準尉は驚いた。



 高機動車の機銃マウントから、彼女は手を振ってきた。


 そして、上空を轟音を放ちながら何かが通過していく。



「うわあーー!? 空襲だっ! 痛…………たた、あ?」


「何やってんの? 飛んでいるのは味方空軍機よ」


 レオは、ジェットエンジンの音を聞いて飛び起きると、頭を天井に思いっきり、ぶつけてしまう。


 そんな彼の間抜けな姿に、ミアは呆れながら何が起きたか説明する。



「ほら、これでも飲んで落ち着きなさい」


「おっ? ビールか?」


 ミアは、ミネラルウォーターが容れてあるペットボトルを、レオに然り気なく差し出す。



「いやいやいやいや…………」


「ま、水だよな」


「ベールクトか? それに、パックファーだ」


 ミアが否定しながら、ドン引きすると、レオは彼女からボトルを受け取りながら一気飲みする。


 その間、上空を飛びさっていく、Suー47とSuー57を、フロスト中尉は見ていた。



 こうして、彼等は激戦区である、ブリュッセル公園周辺へと再び向かうのであった。

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