【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
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第282話 連合軍は後退し続ける

公開日時: 2024年7月12日(金) 17:22
更新日時: 2024年7月15日(月) 08:38
文字数:3,048


 帝国軍の侵入を、連合側ではチィーナ軍部隊だけが、何とか食い止めていた。



「RPGを出せっ!」


「敵が撃ってくるぞっ!」


「こっちも撃ち返せ」


「フラグ投下っ!」


 帝国軍兵士は、RPGー9を抱えて走ってくると、ウィザードは氷壁を精製する。


 防弾兵は、RGー6を乱発しまくり、バクテリエラー・ゾルダートは手榴弾を投げた。



「ぐわああっ!」


「ぎゃあっ!!」


「怯むなっ! 防弾板を前に出せっ!」


「援護するわっ! 私達の裏に隠れてっ!」


「敵を狙い撃つ、それも正確に」


 入口右側の土嚢に隠れていた、チィーナ軍兵士と機関銃手をRPGー弾が吹き飛ばす。


 他にも、グレネード榴弾や手榴弾などが、周囲の床や壁を穴だらけにする。



 ウェンは、それでも部下を鼓舞して、65式騎兵刀を振るって指揮する。



 一方、左側では先に逃げていた、シルビアとレジーヌ達が魔法で氷壁を作り上げていた。



 どうやら、二人とも兵種が、マジシャンのようだ。



「早く撤退してくれっ! 君達は外に逃げるんだっ!」


「私達は、もう少し留まるわ」


「敵を食い止めて見せるよっ!」


 ウェンの退避指示を聞いても、二人は動じること無く、氷壁から敵を攻撃する。



 シルビアは、コルトM16、9ミリSMGを連射して、土嚢に射撃を集中させる。


 レジーヌは、サーマルスコープを覗き、MKR、SS20狙撃銃で、帝国兵を狙撃する。



「ぐわっ!」


「あっ! ぐあっ!」


 シルビアの銃撃で、身動きが取れなくなった、帝国兵たちは、反撃しようと頭を出した。


 しかし、レジーヌの狙撃により、二連続で放たれた弾丸が、フリッツ・ヘルメットを貫く。



「ぐ、ぐあ、が」


「うわっ!」


「やったな、だが、さらに」


「一人、仕留めたか」


 ワンの80式汎用機関銃から放たれる機銃掃射は、土嚢を破り、帝国兵を射殺する。


 タカヤマが構える、バレットM95も、シュヴァルツ・リッターの頭を撃ち抜いた。



「ぐわっ! 撃たれたっ!」


「リーシアンッ!」


 ロボット戦車、マーカーからのグレネード弾と機銃掃射が、リーシアンを攻撃した。


 彼は、右腕を撃たれて負傷してしまい、ユーシンが助けに行く。



「手榴弾を投げるっ!」


「だが、もう一つしかないぞっ!」


 ミゲルは、手榴弾を何度も投げて、ネレフタ&マーカー部隊を撃退していた。


 一方、カルロスの持つ手榴弾は手に握っている物しかない。



「砲撃だっ!」


 マーカー部隊は、ロケット弾やグレネード弾を発射してきた。


 それにより、榴弾を受けた、ミゲルは爆風に晒されてしまう。



「ぐぅぅ…………ぐ?」


「ミゲル、今助けるからなっ! ぐわっ!」


「大変だっ! 二人を助けないとっ!」


「ナタン、危険よっ!」


 ミゲルは、両脚を撃たれてしまい、カルロスも腹を撃ち抜かれてしまう。


 それを見て、ナタンは放っておけないと走り出す。



 メルヴェは、飛び出していった彼を止めようとしたが遅かった。



「こっちだっ! 二人とも引き摺るから銃を撃ちまくれっ!」


「だが、戦車をどうする?」


「いや、破壊されたぞ?」


 ナタンは、二人の襟を後ろから掴んで、引っ張りながら後退する。


 ミゲルとカルロス達は、敵戦車隊を前にして、車載機銃に撃たれることを覚悟する。



 だが、ネレフタの弾薬箱が吹き飛び、マーカーはカメラが破壊される。



「二人とも、早くこいっ!!」


「カイリー、敵がこっちにくるぞっ!」


 カイリーが、デューシカ38重機関銃を使い、大口径弾で銃撃してきたのだ。


 マフディは、FALで帝国軍に向けて射撃を浴びせている。



「カイリー、助かっ!?」


「ぐああっ!!」


「クソッ! 離れなければっ!!」


 ナタンが礼を言おうとした途端、カイリーは背後から機銃掃射を浴びた。


 マフディは、手榴弾を転がしながら、別の土嚢へと退散していく。



「クソが、これでも喰らえっ! ぐあっ!?」


 カイリーは、付近に置いてあった、ベネリM3散弾銃を単発連射しまくる。


 だが、帝国軍兵士たちにより、大量の銃弾を浴びた彼は、身を崩してしまう。



「カイリー、カイリー!?」


「もう、彼は死んだ、グズグズしてられないぞ?」


「残念だが、終わりだ」


「ナタン、こっちよっ! こっちは安全だわっ!」


 ナタンは、叫びながら彼を呼ぶが、カルロスはM16A1の弾倉を交換しながら呟く。


 ミゲルも、FXー05シウコアトルを連射しながら引き摺られていく。



 そんな彼らを呼ぶ声が聞こえて、振り向くと、メルヴェが左側の壁穴付近で、床に伏せていた。


 これは、RPGー7やグレネード弾を、双方が撃ちまくったために開いた穴である。



「こっちから逃げるわよっ!」


「分かった」


 メルヴェは、壁穴の方から走ってくると、カルロスを引っ張り始める。


 ナタンは、そのまま弾倉を交換する、ミゲルを引き摺っていく。



「ここは、完全に安全じゃない…………静かに来るんだ」


「この部屋から回り込み、負傷者とともに撤退しましょう」


「今、そっちに行くわ、だから先に行ってて」


「負傷者は、俺たちに任せろっ!」


 リーシアンは、ユーシンに支えられながら、廊下の奥を走る敵部隊を指差す。


 メルヴェとナタン達は、小さな声で答え、静かに負傷者を引き摺っていく。



「銃撃音がする?」


「こっちでも、味方が戦っているのよ」


 ナタンは、ミゲルを背負いながら味方部隊と合流するべく歩いていく。


 メルヴェは、カルロスを立たせて肩を貸しながら室内を進んでいく。



「う…………ワーウルフが居る?」


「ヤバい、見つかるわ?」


「ふん? スン、スン…………妙な臭いがするな?」


「どうした、何か見えたのか?」


 ナタンは、顔を入口少しだけ出して、外の様子を確かめて、ワーウルフを見つけた。


 メルヴェは、近くの壁にカルロスを座らせて、自らは壁に張り付く。



 外からは、鼻を動かす奴と帝国軍兵士が近付いてくる気配がする。


 足音を立たずに歩く、連中は遂に四人が隠れている部屋に突入した。



「ここだあ~~? 血生臭さが漂ってくるぜっ!」


「よし、そこに居るんだな、死ねっ!」


「動くなっ! なんだ? 今、連合軍の奴らを捕まえたんだぞ、邪魔するなっ!」


「私達の邪魔をしたいのかしら? たくっ!」


 獣化した、ワーウルフは右手に、トレンチメイスを握り突入してきた。


 帝国軍兵士も、ビゾン短機関銃を両手に、素早く飛び込んできた。



 そこでは、ナタンが床に倒れた、ミゲルに対して、MASー1935を向けていた。


 メルヴェも、同様にサルマスシズK10の銃口を、壁に背中を預ける、カルロスへと合わせる。



「んあ? 味方の工作員か?」


「済まない、邪魔をしたな」


 それだけ言うと、ワーウルフと帝国軍兵士たちは、廊下の方へと走って行った。



「ふぅ~~? 歩けるか? いや、おぶっていく」


「済まないな………」


「置いてけ、足手まといには成りたくない」


「バカ言わないのっ!」


 ナタンは、ミゲルを抱き上げると敵を警戒しながら向こうのドアが開かれた部屋へと進む。


 カルロスを背負うと、メルヴェも後に続いて、早歩きで廊下を移動する。



「走れっ! 敵部隊は、もう少しだっ!」


「味方部隊が追い込んでいるっ!」


 ナタンは、次の部屋に行く前に、ウィザードとミミックマスター達が走る足音を聞き、立ち止まる。


 廊下を連中が、疾走しながら他の兵士たちを引き連れていく陰が見える。



「銃撃音が聞こえてきた、味方部隊も近い?」


「なら、あと少しだわ、二人とも頑張って」


「ああ、具合が悪いが大丈夫だ…………」


「俺は足の調子が悪いだけだ」


 ナタンは、銃声を聞いて、敵味方で銃を撃ち合っている状態だと察した。


 負傷者を気遣う、メルヴェは二人を安心させようと、言葉をかける。



 顔を真っ青にしながら、ミゲルは答え、カルロスも冷や汗をかきながら呟いた。

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