戦局は悪化しているが、どちらも混乱した中で戦っているから勝っているかは分からない。
「どうやら、まだまだ奥に通路はあるようだな?」
「それに、まだまだ敵兵が存在するっ!」
「レオ、ソムサック、無事だったのね?」
「私達は、ここから援護するわっ!」
レオとソムサック達は、どの遮蔽物を攻撃しようかと頭を少しだけ出して、敵を観察する。
そんな彼らの左側にある、橫に倒した、冷蔵庫にロッカーを載せた遮蔽物から声が聞こえた。
メルケル200Eから散弾を放ちながら、ミアは二人が無事だった事に安堵する。
ベーリットは、コングスベルグコルトを右手に握りながら上に出して、何発か拳銃弾を撃つ。
「無事だったが、危うくソムサックに殺られそうになったよ?」
「それは言わんでくれよ」
「え、何? ソムサックが背後から…………そっちの趣味っ?」
「そう言う冗談より、敵を撃ってね? それと、その原因のドリーマーなら片付けたわ」
レオは疲れたと言うような表情で話し、ソムサックは止せと呟く。
ミアは冗談を言うが、ベーリットは真面目に答えながらコングスベルグコルトを撃ち続ける。
「ソイツで最後だと良いんだがな?」
「さあねっ! この様子じゃ、まだ他にも居るかもねっ!」
レオが呟くと、ベーリットは冷蔵庫とロッカーで作られた遮蔽物に身を引っ込めつつ答える。
「サナダとシェラ達は? ドミニック達も全然様子が分からんな? ん、アイツら…………死んで無かったか」
レオは、先程から姿の全く見えない二人組を探しつつ、ドミニック達も何処に居るかと調べる。
すると、先程戦死した兵士たちが、ドラム缶の山から銃を撃つ姿が見えた。
彼らも、アンデッド兵故に死んだ振りをしていたのた。
「連中、しぶとといな…………」
レオが見た、一人はトゥキリ・スヌーカだ。
顔は、フードと黒いガスマスクで被われており、褐色の肌と、大きな目だけしか見えない。
服装は、上は首回りと両腕に、白と青紺で構成される一松模様が描かれた、戦闘服を着ている。
さらに、下は青紺スカートを履いているが、魔術師のローブに見えるから違和感がない。
しかも、その上に青いベストだけを着ているが、これが大変目立つ。
戦闘服と同じく、一松模様の線が、首周り両側・鎖骨部分に描かれている。
また、それが二本腹部にもあるのだ。
さらに、溝内には、白い長四角の中に、青紺色に塗られた字でPORICUと書かれていた。
背中とベルト左側には、バクテリエラー・ゾルダートの細菌保存用装置を装着している。
彼は、RPKー201の二脚を、ドラム缶に載せて、何発かずつ連射を行っている。
銃には、ホロサイト&ハンドガード手前に、フォアグリップが装着されており、それを握っていた。
もう一人は、ペゼリ・スヌーカだ。
褐色肌の顔は、丸っこくて太く、ゴツゴツした感じだ。
銃身右側に、フラッシュライト・長いサプレッサー・リフレックスサイト・フォアグリップなど。
これらを装着した、AKー101の弾倉を交換すると、直ぐに連射する。
服装は、帝国のマークが左側に描かれた、紺色ベレー帽を被る。
着ているのは、黒いタクティカル・ベストだ。
右胸に、白く縁取られた中に、同じく白字でPORICUと書かれているだけだった。
「連携しているのか? あと、さっきはサプレッサーを着けて無かったような?」
レオは、ドミニック達が何をしているか、様子を探るために、二人を眺める。
彼らが隠れているドラム缶の山から、トゥキリはRPKー201を乱射し続ける。
そして、ペゼリも同じように、ピンダッドSPRー2狙撃銃の二脚をドラム缶に載せた。
短いサプレッサーが装着されているコレで、密かに敵を射殺する積もりなのだろう。
「反撃だっ! 奴らを撃ち殺せっ! うぎゃっ!」
「グレネードを射ってきたぞっ!」
アシュア系民兵が、誰が射ったかは分からないが、土嚢ごと榴弾に吹き飛ばされた。
それにより、アラビ系PMC要員は身を伏せる。
「今のは…………ドミニックか? うん?」
遠くにある、ダンボール箱やプラスチック・ケースの山から、ドミニックが銃を構える姿が見えた。
レオは、彼女を観察したが、敵からの直ぐに銃撃を交わすため、直ぐに隠れてしまった。
しかし、身を隠す直前彼女が持つ、ダットサイト付きAK101が見えた。
その銃身下部には、GPー25グレネードランチャーが装着されていた。
「な、なんだっ!!」
突然、外から機関砲による射撃で、分厚い窓ガラスが割られていく。
続いて、黒いウラン9無人戦車が突入してきた。
当然、連合側は防弾兵・民兵の装備に関係なく、30ミリ機関砲で肉片に変えられてゆく。
さらに、多数のグレネードランチャーは、遮蔽物を破壊しまくる。
「突入ーーーー!?」
女性隊長の掛け声が聞こえると、ウラン9に続いて、ネレフタ無人小型戦車が走ってくる。
ネレフタは、プレットフォルマーMの簡易版みたいな小型戦車だ。
武装は、PKP汎用機関銃しか装備していないが、それでも無人戦車は強敵だろう。
これが、複数台で走行しながら、連合軍兵士や民兵たちに銃撃を仕掛けたのだ。
「くっ! 増援はまだかっ! もう待てないぞっ!!」
「もう少しで、チィーナ軍が来るっ!」
「それまで、持ちこたえろってか?」
「やるしかない、やるしかねーーだろぉーー!?」
防弾兵は、M60E4を乱射しまくり、連合軍兵士はM16A4を撃ち続ける。
アシュア系民兵も、イサカM37散弾銃をから弾丸を放ち、白人民兵もRPGー2を発射する。
「怯むな、次は我々が突入する版だっ!」
「あの女隊長、やるなぁーー? おわっ!」
味方の援軍登場とともに現れた、女性隊長を眺めていた、レオだが。
いきなり、正面にドローンが飛んできて、火炎放射を噴射された。
「うわっ! 落ちろっ! この」
「退け、俺が殺るっ!」
機体下部の火炎放射器から噴出される火炎は、土嚢を焼き払う。
ドローンを、レオは撃ち落とそうとしたが、ソムサックは右腕の短機関銃で撃破する。
「やったな、だが、まだドローンが残っているのか?」
「味方の戦車を攻撃してやがる」
レオは素早く構えた、H&K、UMPで、ドローンを二機も撃ち落とす。
ソムサックも、敵兵士やドローンなどを近寄らせまいと、両腕から短機関銃を乱れ撃ちする。
ドローン部隊は、編隊飛行する物や単機で特攻してくる物が目立つ。
この飛行編隊は、C4爆弾などを投下した後、充分な距離を取ってから爆発させる。
また、単発式のグレネードランチャーを二個搭載した型は、遠くから砲撃してくる。
それにより、ネレフタ無人小型戦車が次々と破壊されていく。
「うわっ! ぐわあっ!」
「こばああああっ!?」
「敵にヴァンピールが居るっ! 変装しているぞっ!」
「撃てっ! うっ! ぐあっ! が…………」
増援に現れた部隊が、どうやら敵のヴァンピールに殺られたようだ。
味方に変装しているとなると、見分けるのは困難だろう。
増援部隊に、ワーウルフなどが存在すれば、嗅覚や妙な動きを聴覚で察知できる。
それによって、変装兵や幻術兵を容易に発見できるのだが、どうやら発見できてないようだ。
「不味いな…………カルミーネの野郎は何処に行きやがったんだぁ?」
レオは、キョロキョロと目だけを動かして、仲間たちを探すが。
そんな彼に向かって、凄まじい灼熱の火炎放射が放たれてきた。
「うわっ! な、ななななっ! なんだっ!」
「コイツは、俺でも防げねぇぞっ!!」
燃え盛る炎により、焼き崩れる土嚢から即座に、レオとソムサック達は離れた。
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