「レギナッ! それにベーリットッ! お前らも来たのかっ? じゃあ早速遊ぼうぜ」
「えっと? それは良いけど何して遊ぶの…………」
「えっ! 遅刻して来たのは良いのっ?」
元気で活発なアホである、ナタンに唐突に話し掛けられた、レギナは困惑して答える。
遅刻して来たことは良いのかと、ベーリットも聞いたが。
「ん~~な? 細かい事気にすんなって、それより遊ぶのが先だろっ! さっ! 隠れんぼでもしようぜっ!」
アホなナタンは、やはり逃亡犯よりも、友達との公園で遊ぶことを優先していた。
逃亡犯が強盗をして、逃走中なのを知らない、レギナとベーリット達。
二人以外の皆は、ちゃんと強盗事件が起きた事を教えて、今日は遊ぶ事を中止しようと思った。
レギナは、ピンクがかった甘栗色に染め上げた、ロングパーマ、大きなセラドン・グレーの瞳。
そして、凛とした顔立ちで、可愛らしさと強さの合わさった雰囲気を持つ。
それと、赤みがかった白い肌色の少女であった。
彼女は、暖かそうなスチールグレイ色のジップパーカーを着込む。
さらに上には、ベラ・ミントとサーフ・グリーン色のチェック柄な襟無《ノーカラー》し、ジャケットを羽織る。
頭には、ダークブラウンのマリンキャップを被っている。
下には、ダンディライアン色のフレアスカートを履いていた。
ベーリットは、柔らかそうな、ブライト・ゴールド色のポニーテールが目立つ。
瞳はブルーグレーで、蒼白色肌の正に、北方ハンザ系と言った容姿を持つ、少女であった。
服装は、黒いステンカラーコートを羽織り、首には、ラベンダー色のロングスカーフを撒く。
下には、ターキー・レッド色のワイドチノパンツと、大人びた、茶黒いロングブーツを履いていた。
「ナタン? 逃亡犯の事を二人に教え無くても良いのか…………」
「そうだぜ? お前は何を考えっ・・あっそうか!? お前は遊ぶ事しか頭には無いんだったな?」
「二人とも何を言っているの? 逃亡犯て? …………」
逃亡犯の事を、まだ知らぬであろう、レギナとベーリット達。
そんな彼女たちに、遊ぶ事よりも先に教えろと急かす、キーランとレオ達。
そして、彼等を前に、逃亡犯が警察に追われている事実を知らない、レギナは呆けた顔で話す。
「あっ? ああ…………そういや? そんなのが彷徨いて居るんだったなぁ~~」
「で…………今日はもうお開きよっ」
「マジか? なら危ないし家に帰った方が得策でしょ?」
まるで、逃亡犯が未だ逃げ回っている事実を、どうでも良い事のように言う、ナタン。
そんな彼に対して、メルヴェは真顔で、お開きにして帰ろうと言い出す。
ベーリットも、彼女の意見に賛同して、危険だから家に帰ろうと決心を決める。
「はっ? 何を言ってんの? お前らっ! 遊ぶの中止にして家に帰った方が良い…………それにその方が得策だとぉ!?」
「アホっ! ふざけて無いで帰るわよっ」
メルヴェに頭を殴られた、ナタンは、脳内を駆け巡る鋭い痛みを、両手で押さえて耐えているが。
その隙に、メルヴェに引っ張られてしまい、家路へと、引き摺られながら連れて行かれる。
「いっつぅ~~!」
「黙れっバカぁっ! レオ手伝って頂戴」
「ああ…………仕方ないよな、ほら行くぞっ! ナタン」
暫くの間ジンジンと続く痛みに耐え切れず、ナタンは声を漏らす。
メルヴェは、彼に冷たい罵声を浴びせつつ、レオに頼んで、体を引っ張るのを手伝って貰った。
こうして、今日の公園で遊ぶことは、強制的に中止となった。
「ちきしよーーーー放せっ! 放せぇーー!!」
「さっさと黙らないと騒音被害で訴えるわよっ!」
「おいっ? ナタン…………いい加減、口を閉じた方が良いぞ」
ナタンの左手を、メルヴェは強引に引っ張りながら、またも頭に重く素早い蹴りを入れる。
また、彼女は次いでに容赦なく、暴れようと踠く彼に、罵声を浴びせる。
レオは、頭を蹴られた憐れな彼に対して、もう喋るなと忠告する。
「くぅ~~~~!!!!」
段々遠くなり、痛みを堪える姿を見せる、ナタンを見続けていた遊び仲間の一同。
彼等は、逃亡犯の事を再び思い出して怖くなり、変な事に巻き込まれては、大変だと思った。
それから、一旦解散しようと決めて、自分達の家に帰って行く。
「じゃあな…………今日は残念だが危ないから、早く帰ろうな」
「また、明日も学校で会おうね~~」
キーランとミア達が、そう言い出して自分たちの家まで帰り始めた。
他の遊び仲間たちも、互いに手を振って、トボトボと歩きつつ家路に着く。
一方、メルヴェとレオ達に、むりやり引きずられたままのナタンだが。
彼は、家まで続く帰り道の方向にまで、強引に連れて行かれる。
「お前ら、分かったから放せって…………」
「まぁ~~皆も今頃は家に帰っているだろうし? この馬鹿を放してあげましょうか」
「ナタンも大分懲りた様だしな?」
公園の道を、ひたすらに引きずられていた、ナタンは、ついに降参する。
そうすると、ようやく、メルヴェとレオ達は、彼の体を放した。
「いたたた…………すぅ~~? 痛かったぜぇ」
「で…………どうするの? 素直に帰る、それともまた私に殴られたい?」
頭を右手で押さえ、息を吐きだしつつ、痛みを訴える、ナタン。
彼に対して、メルヴェは右手に、ぎゅうっと力を入れて、握り拳を見せ付ける。
「よせっ! もう暴力は沢山だっ!」
「お前が我が儘言うから殴られるんだろう?」
「そうよ? 私達も帰るから、あんたも大人しくお家に帰りなさいよ」
メルヴェが見せた、握り拳と鬼のような気迫に負けた、ナタン。
根負けした彼は、一歩後ろに下がると、大人しく家に帰る事に決める。
それから直ぐに、レオとメルヴェ達も、それぞれの家路に歩いて帰って行く。
「くそぅーー何だっ! 逃亡犯位でビビりやがってっ! メルヴェの馬鹿野郎ーーーー~~~~!?」
ポツンと一人残された、ナタンは寂しさを紛らわす為に愚痴を呟く。
だが、そこに段々と近付いてくる、人物の影があった。
「あ~~君? ちょっと道を尋ねたいんだけど良いかな?」
「うわっ! 誰っ!!」
突然に背後から、若い男性らしき人物に、ナタンは声を掛けられた。
彼は、一瞬驚いた後に恐る恐る背後に振り返り、そこに立っている謎の男性を見つめる。
「あの? 道を尋ねると言ってましたけど、どちらに行くんですか?」
「実は友人と待ち合わせをしていてね…………それで大体の場所は分かっているんだけど細かい所までは分からなくてね?」
ナタンは、謎の若い男性を勿論怪しいと思い、もしかして、この男は件の逃亡犯ではと考えた。
なので、さっさと道を教えて、すぐさま家に帰ろうとする。
「そう言う訳で済まないが、公園の近くにある私立病院は何処なのか教えて欲しいんだよ?」
「それなら、あっちに行けば建物が見えてくる筈だよ? 白くて大きなビルが直ぐ側に有るからそれがそうだよ」
病院までの場所を、教えて欲しいと頼んできた若い男性に、ナタンは素直に答えつ彼を観察する。
男性の外見は、白い肌に、クシャクシャとした、スノーホワイト色をした髪が目立つ。
また、ニコやかなイージーアン・ブルーの瞳と言った、容姿端麗な顔立ちをした優男であった。
服装は、真っ黒いロングコートを羽織り、その下には上下に黒スーツを着ていた。
ナタンは思う。
眼前に立つ、謎に包まれた、若い男性の容姿と、服装から漂う怪しい雰囲気。
それは、吸血鬼ドラキュラや悪魔を想わせると、彼を見ながら考える。
「どうも有り難う…………さっき散歩中の人と曲がり角でぶつかってしまってね? その後に地図を確認しようとしたらタブレットの画面が割れて地図を確認出来なくてね」
「それで? 俺に地図の場所を質問して来たと…………」
男性が、ナタンに私立病院の場所を質問して来た、理由を説明する。
だが、彼は正体が分からない不審者に見える男性を怪しむ。
「まあ? 場所も教えた事だし俺は家に帰るとするかっ! じゃあなっ謎の人」
ここで、こうしては居られないと思った、ナタンは急いで家まで帰る為に走り出す。
「さよならっ! 元気な少年、気を付けて帰るんだよっ! 行ったかあ~~? 本当に元気な少年だったな…………」
そう一人呟くと、若い男性は、ロングコートのポケットに手を入れる。
それから、白いミルキーハットを取り出して被り、目的地の病院を目指して歩き出す。
面白かったら、ブックマークとポイントを、お願いします。
あと、生活費に直結するので、頼みます。
(^∧^)
読み終わったら、ポイントを付けましょう!