【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第259話 連合軍の善戦

公開日時: 2024年7月12日(金) 12:58
更新日時: 2024年7月15日(月) 08:03
文字数:3,559


 連合軍は、西側から進撃してきた帝国軍を迎え撃つべく、防衛戦を展開していた。



「こっちに来るんだっ! 中で敵の進撃を食い止めているんだっ!」


「中に、敵は侵入して来ているのか?」


 AKMを抱えた、レジスタンス員に対して、ウェストは質問する。



「中は、大丈夫だっ! しかし、敵の激しい攻撃が大聖堂側から行われている」


「分かったぞ、行ってくるっ!」


「内部は、味方が占領しているようだね?」


 レジスタンス員に誘導されながら、ウェストとヤブローチャクは建物内へと走っていく。



「負傷者だっ!」


「弾薬箱を持って来たぞっ!」


「急げ、急げ」


「援軍だっ! 退けっ!」


 負傷者の黒人PMC要員を、背中に抱えて運ぶ、レジスタンス員が後ろから走ってくる。


 前方からは、連合軍兵士とアラビ人兵士たちが、弾薬箱を両脇に抱えて走る。



 左側の入口からは、民兵が何人も駆け込んでくる。



 ナタンは、彼等が混乱しながら動き回る中、ひたすら自身も進んでゆく。



「見えて来た、向こ…………」


「うおっ! 流れ弾に当たったかっ!」


「みんな伏せろっ!」


「匍匐前進で行くしか無いわね」


 12、7ミリ弾に当たった、レジスタンス員は後方に吹き飛んでしまった。



 それを見て、ウェストは、スライディングしながら床に伏せた。


 ハキムも慌てて、床に伏せた後、芋虫のように這って進む。



 また、それに合わせて、メルヴェも何とか前に向かってゆく。



「ぐ、敵の攻撃が激しい…………」


 機銃弾が頭上を飛び越え、ナタンの窓や壁に当たって弾ける音が響く。



「狙撃兵の排除完了っ!」


「まだ、安心できないわよっ!」


「負傷者だっ!」


「衛生兵《マミー》は、まだか」


 建物の角である、円形空間から味方兵士が叫ぶ声が聞こえてくる。



 ハルドルは、シュタイアーSSG69、PI狙撃銃で、遠くに位置する敵を狙い撃ちした。


 ティエンは、コルトXMー177E2で、向かいの建物を銃撃している。



 レジスタンス員は、撃たれた仲間を庇って、窓の下に隠す。


 壁に身を潜める、アラビ人兵士は衛生兵を呼びながらM4A1だけを、窓から出して撃ちまくる。



「ハルドル、ティエン、ここに居たのかっ?」


「ウェストとハキムに…………ナタンッ! メルヴェッ!」


 ウェストは、匍匐しながら進んでいくと、二人の名前を呼んだ。


 ハルドルは、シュタイアーSSG69、PI狙撃銃の銃口を、素早くナタンに向けた。



「くっ! 俺は、スパイじゃないっ! レジスタンスの一員だっ!」


「撃つのは止めて…………」


「よせ、コイツらは帝国兵じゃない、もちろん、帝国警察でもないっ!」


「何故だ、二人は基地内に敵を呼んだじゃないか?」


「スパイと分かれば、後は撃つだけよっ!!」


 ナタンとメルヴェ達は、ハルドルとティエン達に対して、両手を上げながら弁明する。


 ウェストも、殺気だつ二人に銃を下げるように説得を試みた。



「くっ! …………」


「チッ! …………」


 だが、ハルドルは銃口を向けたまま、怒鳴り散らして、敵意を剥き出しにする。


 ティエンも、コルトXMー177E2を構えたまま、鋭い目付きて睨んでくる。



「ナタンとメルヴェ達は、スパイなんかじゃねーー!? 俺は、コイツらが小さいガキの頃から知ってるんだ」


「どうでも良いけど、前に集中しなさいよっ!」


「きゃっ! ハルドル、前に集中してくれないとっ!」


「くぅ? 分かった、だが信用はしないぞっ!」


 ウェストは、さらに説得をしつつ、ナタンとメルヴェ達を庇おうとする。


 その間、ヤブロー・チャクは、両手をグルグルと回転させて、袖から小さな羽根虫を出していく。



 また、銃撃が激しくなり、ティエンは正面の建物に撃ち返す。


 ハルドルも、シュタイアーSSG69、PI狙撃銃を、遠くの公園と広場に向ける。



「ガウッ! ガウッ!」


「アオーーーーンッ!」


「戦車だっ! 不味いっ! 狼も来るぞっ!」


「ヤバイわっ! RPGはどこっ?」


 公園の方から軽戦車である、M10ブッカー戦闘車が走ってきた。


 そして、向かい側の建物から軍用犬と狼たちが放たれてきた。



 レジスタンス員は、AK47を連射しつつ、何とかしようと必死で牽制する。


 それに合わせて、ティエンは火炎瓶の先から出ている、くるめた紙に着火しながらを道路に投げた。



「ギャウッ!?」


「キャウンッ!!」


 ドーベルマンや狼たちは、三匹くらい、火炎に包まれて暴れまわる。


 しかし、何匹からは炎を纏いながらも突っ込んできた。



「ぐわっ! このっ! 退けっ!」


「ヤバイわっ!?」


 ナタンの真上から襲って来た狼は、馬乗りになると、喉を喰い千切らんと大顎《オオアゴ》を開く。


 メルヴェは、KN12を振るい、銃床《ストック》で、ジャーマンシェパードの頭を力強く叩いた。



「この野郎、近づくんじゃねえっ!」


「退けっ! 近寄るな」


「ギャウッ!」


「ギャンッ!?」


「ぐぅっ! ぐああああっ!」


「ぎゃああーーーー!?」


 ウェストは、クリスヴェクターを乱射しながら狼達を倒す。


 さらに、接近してきた一匹を掴むと、即座に投げ飛ばして、壁に当たった瞬間を狙撃した。



 ムーディーAKMSを単発連射しながら、ハキムは冷静に軍用犬たちを倒していく。


 最後に近寄ってきた、ドーベルマンを、コンバットブーツで蹴り飛ばした。



 しかし、レジスタンス員や負傷して横たわっていた、PMC要員たちは噛まれてしまった。



「ぐぅぅ? ガウ?」


「グルルルルッ!」


「はっ! ゾンビ化したぞっ!」


「ギャウッ!!」


「このっ! 死ねっ!」


 レジスタンス員とPMC要員は、ゾンビ化して周囲の者に襲いかかろうとする。


 クリスヴェクターを連射して、ウェストは頭部を撃ち抜いて、レジスタンス員のゾンビを倒す。



 ナタンも、腰から抜いた、MASー1935で、狼の顎を撃ち抜いた。


 そして、動かなくなった死体を、PMC要員のゾンビに投げつける。



「お前も、死ね…………?」


「今のは、私がやったのよ」


 ナタンが、MASー1935を向けた途端、PMC要員のゾンビは両足を撃たれて転ぶ。


 イエローボーイを構えた、メルヴェは不思議がる彼の前で、レバーを引いた。



「これで、終わりかしら?」


「軍用犬の第二波が来るっ!!」


「さっきより、大きいね~~」


「砲撃だっ! 伏せろっ!」


 片手で、ゾンビに一撃を撃ち込んだ、メルヴェだったが、安堵している暇はなかった。


 コルトXMー177E2を連射したまま、ティエンは軍用犬を二匹だけ倒す。



 ヤブロー・チャクは、大きな狼に乗った中量級シュヴァルツ・リッターを見た。


 彼女は、両手から羽根虫を出そうとしたが、ハルドルが叫んだので頭を下げた。



「今まで、他を狙っていたが、こっちに気が向いたのかよっ!」


 建物の二階に着弾したらしく、爆発音ともに、瓦礫が黒灰とともに降り落ちてくる。



「来るよっ! 狼騎兵がっ!」


「ウルフライダーは、任せなあ~~」


 狼騎兵を狙い、パトリシアはバレットM82で、狼を一撃で仕留めた。



 そして、ヤブロー・チャクは灰黒い鎧に身を包んだ、シュヴァルツ・リッター達を攻撃し始めた。


 彼女は、大きな赤紫のフードから羽根虫を放ち、敵を混乱させる。



「ぐわっ! なんだ、この虫はっ!」


「が、痒いっ!」


 シュヴァルツ・リッター達は、狼から転げ落ち、狼自体も、羽根虫に混乱してしまう。


 今の内だと言わんばかりに、ナタン達は連中を狙って、素早く銃撃を行った。



「オラ、オラ、死にやがれっ!」


「来るなら殺すよっ!」


 ウェストは、クリスヴェクターを連射しながら、接近してきた、シュヴァルツ・リッターを蹴る。


 そうして、できた隙をパトリシアは見逃さず、バレットM82で吹き飛ばす。



「うらああああっ!」


「うわあっ!?」


「…………」


 羽根虫による妨害を、上手く潜り抜けた狼騎兵が、別な敵を狙っていた、ナタンにも迫る。


 しかし、奴の握っていた湾刀サーベルが切り落とされた。



「うぐぃっ! 貴様、裏切り者かあっ!」


「違うってのっ!」


 シュヴァルツ・リッターは、乗っている狼ごと腰を斬られて、死ぬ前に恨み言を吐いた。


 それに、平然とした雰囲気で青い鎧のシュヴァルツ・リッターは答えた。



「ダンター、来たのかい? てか、生きてたんだね~~?」


「ああ、ゾンビを斬りながら塹壕で隠れてたからな」


 ヤブロー・チャクの問いに、青血だらけになった鎧を着ている、ダンターは答えた。



「こいつらの鎧は隙間がある、恐らくは狼に騎乗するため、軽量化したんだろう?」


「それより戦車は? 見えなくなったわよ?」


「RPGに追っ払われたんだな?」


「まだ、撃っているわ、味方にも増援が来たのね?」


 ダンターは、死体を蹴飛ばしながら呟くが、ヤブロー・チャクは、M10ブッカー戦闘車を探す。


 ウェストは、二階から向かい側のビルや公園に向かっていく、白煙と爆発を見て呟く。


 バレットM82を窓に置きながら、スコープを覗き、パトリシアは遠く離れたビルを眺める。



 こうして、敵部隊を撃退した連合側だが、帝国側は次なる戦力を用意していた。

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