【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第283話 絶望的な防衛戦

公開日時: 2024年7月12日(金) 17:23
更新日時: 2024年7月15日(月) 08:38
文字数:3,268


 帝国軍は、もう直ぐ郵便局内から連合軍を追い出す、一歩手前にまで迫っていた。


 その一角である廊下でも、双方は互いに銃口を向けあっていた。



「フラグだっ!」


「ここは通さないぞっ!」


「ぐああっ!」


「ぐわっ! が、ぐ?」


 チィーナ軍兵士が、手榴弾を投下すると、帝国軍兵士は吹き飛ぶ。


 自衛隊員が、89式自動小銃を連射しまくり、野戦帽を被るグールが倒す。



 廊下の端である、ここにあった壁は、手榴弾を投げ合った事で、どちら側も無惨に破壊されていた。



「味方だ、撃つなっ!!」


「負傷者を運んでいるのっ!」


「動くなっ! 止まれっ!」


「帝国兵の変装だろう?」


 ナタンとメルヴェ達は、味方の方へと走って行くが、信用して貰えない。



 チィーナ軍兵士は、03式自動小銃を構えて、ナタンに照準を合わせる。


 自衛隊員も、ミニミ分隊支援火器の二脚を、崩れた壁上に載せて、怒鳴り散らす。



「彼らは味方だ、撃たないでくれっ!」


「さっきまで、私達と一緒だったわ」


 そこへ、リーシアンとユーシン達が現れて、二人が味方だと説明してくれた。



「本当にか? なら、早く来いっ!」


「後退するぞ、急げっ!」


 チィーナ軍兵士や自衛隊員たちは、左側の部屋へと移動していく。



「有り難う、助かったよ」


「気にするな? それより、負傷者を運ぶぞ」


「さあ、その人をこちらに」


「分かったわ、」


 ナタンとリーシアン達は、具合が悪そうな、ミゲルの肩を左右から支えて連れていく。


 メルヴェとユーシン達も、真っ青な顔をした、カルロスを両側から持ち上げる。



「ウェン体長、負傷者が来ましたっ!」


「直ぐ、装甲車に載せろっ! そして、お前たちも戦闘配置に着けっ!」


 チィーナ軍兵士が報告すると、ウェンはドラム弾倉を95式自動歩槍に装着しながら命令を出した。



「装甲車は、こっちだっ!」


「急げ、負傷者を搬送するっ!」


 チィーナ軍兵士と自衛隊員が手を振りながら、ナタン達を誘導する。


 そして、重傷者を載せた、カーキ色のパナールM3装甲車が、爆破された穴壁から出ていく。



「こっちだ、重傷者だな? 直ぐに連れていかないと」


「脚の負傷が酷いな、何発も喰らったな? こっちは腹部からの出血も多い、野戦病院へ搬送する」


 連合軍兵士とマミー達が、ミゲルとカルロス達の症状を見て、後方に移送する事を決意する。



「うあ、済まない、戦線離脱する…………」


「後は頼んだぞ」


「任せておけっ!」


 ミゲルとカルロス達が、ナタンに礼を言うと、後部ハッチが閉められて、パナールM3は発進する。



「ナタン、こっちもヤバいわっ!」


「敵部隊を押し留めているが、もう持たないっ!」


 アイリーとチュー達が、必死で入口から侵入を試みる帝国軍兵士達を足止めする。



「私の幻影も、いつまで持つか…………」


「魔法で壁を作りますっ!」


「何か使えそうな物は? あった」


「メルヴェ、もうすぐ来るよっ!」


 アイリーが呟くと、プーニーハットを被る、チィーナ軍兵士は、入口に氷壁を作り出す。


 メルヴェは、山積みされた木箱の中から赤茶色に塗装された画材箱を、二個も見つける。



 それを、彼女が開くと金ピカ装飾が施された、マウザーC96&ストックが入っていた。


 さらに、下の箱には、予備弾薬を挟んだ、クリップが幾つか入っていた。



 そして、フランシーヌが彼女を呼びながら、ストックレスAKを膝だちで構える。



「フランシーヌ、ここに居たのね?」


「ああ、負傷者の搬送を手伝っていたのさ」


 メルヴェは、フランシーヌを見つけると、近付いていき、声をかけた。


 確かに周りを見ると、他にも、シルビアとレジーヌ達が、この場に残っていた。



「氷壁が破壊されたぞっ! もう一回、作り出せっ!」


「何とか持ちこたえるんだっ!」


「我々が、最後の殿を勤めるんだっ!!」


「まだ、重傷者が居るわ、それまで持ちこたえて」


 氷壁に、RPGー弾が当たってしまい、キラキラと白く輝いた、欠片が舞い散る。


 そんな中、チィーナ軍兵士は、09式霰弾槍からタングステン散弾を放つ。



 ウェンとタカヤマ達は、残り僅かな部隊員たちを鼓舞して、銃を撃ち続ける。



 そこに、負傷者の腹部から、ピンセットで金属片を取り出した、サワカワが叫ぶ。


 見ると、重傷を追った兵士達が、担架型テミスに載せられており、搬送作業が終わってなかった。



「帝国軍を、俺が押さえるっ!」


「俺も前に出るっ! 負傷者は、任せたぞっ!」


「隊長、タカヤマさん…………」


「チュー、私達も準備するわよっ!」


 ウェンは、ポリタンクを何個も入口から投げつけて、室内に突入していき、タカヤマも後を追う。


 その後、チューが見ている前で、床に火炎が広がった。



 また、アイリーは、C4爆弾を床に設置し始めていた。



「よし、俺も設置は終わった…………任務完了だっ!」


「きゃあっ! あぐ、ぅ」


「ぐああああっ!」


「うぎゃっ!? があっ!」


「なっ!? ワン、貴様っ!!」


 いきなり、ワンが左右の壁を爆破して、80式汎用機関銃を振り回して、凄まじい機銃掃射する。


 それに、アイリーは撃たれてしまい、チィーナ軍兵士や自衛隊員も射殺される。



 チューは、反撃しようと03式自動歩槍を撃ちまくるが、時既に遅かった。



「やろう、殺してやるっ!!」


「逃がすかっ!」


「はっ! 死んでたまるかっ!」


 シルビアは、コルトM16、9ミリSMGを乱射させ、レジーヌは、MKR、SS20を撃つ。


 しかし、ワンは発煙弾を、何個も転がしながら開いた右側の壁穴へと逃げていく。



 それと、同時に帝国軍兵士たちが、室内に入り込んできた。



「敵を撃ち殺せっ!!」


「ぎゃあーー!!」


「細菌を喰らえっ!」


「ぐああっ!」


 左右の壁穴から、ワラワラと大量に、敵部隊が突入してきた。


 幸い、ワンが落とていった発煙弾の煙は、適当に投げられていた。



 だから、ナタン達の視界を奪うほど、煙を出してはいない。


 それに、素早く敵側に、味方の兵士達が投げた事で、これは何とかなった。



 しかし、その隙を狙って、敵部隊は攻撃してきた。



 帝国軍兵士は、自衛隊員にAK74の弾丸を大量に浴びせる。


 バクテリエラー・ゾルダートは、細菌粘液を口から吐いて、チィーナ軍兵士を殺す。



「不味いわっ! ナタン、敵を押さえないとっ!」


「分かっている、ん? これを使えばっ!」


「もう、ヤバいわ………」


「シルビア、先に後退しなっ!」


 メルヴェは、マウザーC96カービンを単発連射しまくった。


 一方、ナタンは、レミントンM870散弾銃を見つけると直ぐに発砲した。



 コルトM16、9ミリSMGの弾倉を交換しながら、シルビアは冷や汗をかく。


 レジーヌは、MKR、SS20狙撃銃を撃ちながら、ボルトを引く。



「負傷兵か、確保しろっ!」


「させないわっ! 負傷者に手は出させないっ!」


 帝国軍兵士が走ってくると、サワカワは直ぐさま、ミネベア拳銃を手に取り、発砲しまくる。


 その間、重傷者を載せた担架型テミス部隊は、外に向かって、キャタピラを回し出す。



「邪魔をするなら死ねっ!」


「あぐっ! まだ、ぎゃっ!」


 サワカワは、指揮官らしき、ヴァンパイアから、ワルサーPPKで胸を撃たれる。


 さらに、立ちはだかる彼女に対して、次々と拳銃弾が撃ち込まれた。



「不味い、下がるよっ! フラッシュバンでも喰らいなっ!!」


 フランシーヌは、閃光手榴弾を何個も投げて、敵を足留めしようとした。



「ぐわああーーーー!? 目があ~~~~!!」


「ぎゃああああっ!」


 その効果は、絶大な威力を発揮して、帝国軍部隊は目が眩んでしまう。



「みんな、今の内だよ、走りなっ!!」


「分かった、うわっ!」


 フランシーヌが叫ぶと、残り僅かな連合軍部隊は、外に逃げて行こうと走り出す。


 そんな中、ナタンの側に、コロコロと音を立てて、手榴弾が転がってきた。



「危ないっ!?」


「ぐぅぅっ!」


 フランシーヌは、ナタンを庇って彼を蹴飛ばした。



「フランシーヌ?」


「ナタン、行くわよっ!!」


 フランシーヌの背中は真っ赤になり、ナタンに覆い被さるように死んでいた。


 そして、メルヴェは、グズグズしていられないと、彼の襟首を掴んで立たせた。



「ナタン、確りして、脱出する時間よっ!」


「あ、ああ…………」


 メルヴェの声を聞いて、我に帰った、ナタンは素早く走り出した。

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