戦いに終止符を打った、ナタンとメルヴェ達だったが、まだ戦闘が終わってなかった。
「今度は、ロワイヤル通りに面するビルだっ! 急げっ!」
チィーナ軍兵士が、他の兵士たちを向かい側にあるビルへと誘導する。
「行くぞっ! ナタン、メルヴェ、それと…………」
「フランシーヌだよ?」
ワンは、88式汎用機関銃を抱えながら走り、後ろに続く仲間たちに声をかけようとする。
それに対して、フランシーヌは笑顔を向けながら名前を告げる。
「とにかく、昨夜、明けられた出入口から出ていくぞっ! もう既に味方部隊は展開しているからな?」
ワンを先頭にして、ナタン達はビルから出て、向かい側にある建物に入る。
「ここは、昨日の場所だ」
「元いた場所に戻って来たのね?」
そう良いながら、ビル内に入ると、ナタンとメルヴェ達は、一気に階段を駆け上がる。
三階まで来たばかりの彼等は、窓からRPGー7や狙撃銃を撃つ音を聞いた。
「誰か、誰か来てくれっ!」
「ウェン隊長、援軍ですよっ!」
「味方を連れて来ました」
野戦帽を被るウェンは、95式自動歩槍を抱え、味方の増援を呼んでいた。
ワンとチュー達は、とにかく隊長の元へと、一気に駆けていく。
「ワン、チュー、敵が迫撃砲と自走砲を撃って来ているっ! しかも、装甲車と戦車を中心に装甲擲弾兵師団が動いている」
「ヤバい、対戦車兵器を持ってきますっ!」
「俺は残って援護射撃をしますぜ、隊長っ!!」
ウェンは、95式自動歩槍を構えて、屋根すら吹き飛んだ部屋から遠くを狙って銃撃する。
ダットサイト付き03式自動歩槍を床に置くと、チューは廊下に出ていく。
88式汎用機関銃の二脚を、窓辺に載せて、ワンは機銃掃射を始めた。
ナタン・メルヴェ・フランシーヌ達も、各自壁際に貼り付くと、戦況を確かめるべく景色を眺める。
「BTRー80、Tー90Mプラルィブ、BMPー3」
「プーマ装甲歩兵戦闘車、マルダー歩兵戦闘車?」
ナタンとメルヴェ達は、広範囲に展開する敵の機甲部隊を確認する。
真正面から一番奥にあるデュカル通りには、T90Mプラルィブ戦車部隊が布陣する。
BTRー80装甲車は、ブリュッセル公園内の木々に隠れながら進んでくる。
BMPー3は、ロワ通りを隊列を組んで前進してきていた。
プーマ装甲歩兵戦闘車、マルダー歩兵戦闘車なども、ベルビュー博物館の方から走って来ている。
「厄介だねっ! ん、ドローン戦車も走っているっ! それに自爆ドローンが飛んでいるよっ!」
フランシーヌは、公園内に生えた、雪被る木々の間から小型戦車が突撃してくる姿を見た。
また、自爆ドローンが、編隊飛行を組んで向かってくる姿も視認できた。
「私は対空戦闘を行うっ! ナタン、メルヴェ、下は任せたわよっ!」
「…………と言っても、私は散弾銃しか?」
「ここに、M1886イエローボーイがあるっ!」
フランシーヌは、自爆ドローン&爆弾を抱えたドローン部隊を迎撃するべく、空に銃を構える。
ストックレスAKから単発で、ハエを追い払うように、フランシーヌは敵機を撃ち落としていく。
散弾銃である、RDIストライカーしか持たない、メルヴェは困り果てる。
しかし、ナタンが木箱の上で、黄金色に輝く、ライフル銃を発見する。
「これって、どう使うの?」
「左手で構えながら、引き金を引いたあと、右手でレバーを動かすんだっ!」
メルヴェは、使い方が分からず、ナタンは彼女の前で射撃して見せた。
引き金を引く度、レバーを素早く動かし、何度も連射させる。
「しかし、塹壕の中まで敵が入ってやがる」
ナタンが撃った事で、塹壕内に帝国軍兵士たちは、身を潜めた。
だが、連中は見えない影から味方のPMC部隊と撃ち合っている姿が見えた。
「ナタン、貸してっ!」
「もう、使い方は分かっただろう」
「二人とも、しゃべってないで、敵を撃ち殺してくれ」
「オーガー、シュヴァルツ・リッターも来てるよっ!」
投げ渡された、イエローボーイを受け取った、メルヴェは早速階下に向かって連射した。
ナタンも、下の方に見えた建物に突入しようとする、帝国軍兵士をAK12で撃ちまくる。
必死で、88式汎用機関銃をベルト給弾が途切れるまで連射しながら、ワンは叫ぶ。
ストックレスAKの弾倉を交換しながら、階下を見ていた、フランシーヌも大声で怒鳴る。
「隊長、対戦車兵器を持って来ましたっ!」
「チュー、正面のTー90を狙ってくれっ! さっきから砲撃されて不味いんだっ!」
チューは、PF98クイーン・ビーを右肩に担いでおり、直ぐさま壁際まで走る。
ウェンは、95式自動小銃で公園内の敵を狙いつつ、戦車を破壊しろと命令を下す。
「分かってますよ、それっ! でもTー90は無理ですよっ!」
チューが照準を合わせると、PF98クイーン・ビーから弾頭が飛んでいく。
それは、飛翔しながら、Tー90Mプラルィブに当たるかと思われたが、別な目標に当たった。
ロワ通りを走行している、BMPー3部隊の先頭を進んでいた車両を破壊した。
「チュー、それはクイーン・ビーじゃないか? 誘導弾は電波妨害で外れてしまうっ!」
「ウェン隊長、しかし、この距離から撃てる武器には限りが有りますよ? 他にはFHJ84しかないですしっ?」
ウェンは、後ろに振り向くと、チューの持ってきた武器が誘導弾であった事に驚く。
だが、彼の言う通り、Tー90には誘導弾用に、妨害電波や防御機能が搭載されている。
「RPGー7は、外れてやがるし?」
「下から、まだまだ来るよっ!」
「うわっ!! 危ないっ!!」
「まもなく、カールグスタフやジャベリンを持った部隊が到着しますっ!」
「それまで、何とか持ちこたえて下さいっ!?」
建物内から敵に向かって、複数のRPGー弾が発射されるが、遠くの敵には当たらない。
外れてしまい、道路を穴ボコにするだけに終わる、味方の砲撃にナタンは焦って叫ぶ。
フランシーヌは、公園を抜けて、階下に突入しようとする防弾兵部隊を見つけた。
ストックレスAKを、彼女は弾倉が空になるまで、連射しまくった。
二人が、必死の抵抗を試みている間に、砲撃が飛んできて、屋根や壁面を破壊しまくる。
メルヴェは、それで床に伏せて、四散する瓦礫や砲弾の破片から身を守る。
その時、背後からRPK分隊支援火器を持った白人PMC要員が現れた。
また、黒人民兵もクラッグ・ヨルゲンセン・ライフルを抱えて走ってきた。
「隊長、次はコイツを撃ちますっ!」
「なんでも良いから、早くしてくれっ?」
チューは、上下二連装ロケットランチャーFHJ84を放った。
それを見た、ウェンは95式自動歩槍を構えながら怒鳴る。
「ぐわっ?」
「がああっ!」
「ぐゃっ!?」
オーガー&シュヴァルツ・リッターからなる装甲兵の部隊は、二連装ロケット弾に吹き飛ばされた。
しかし、木々を掻き分けてくる連中は、肩にRPGー7やKBPブルを担いでいた。
「向こう側も撃ってくるぞっ!」
「下がれっ!」
「ぐああああっ!」
「うわあっ!?」
ウェンが引き下がりながら言った命令を聞いて、ワンは急いで窓辺から離れた。
その一方で、白人PMC要員と黒人民兵たちは砲弾に当たってしまい、爆風に巻き込まれた。
「ナタン、ヤバいっ! 装甲車が来たわっ!」
「げっ! これじゃあっ! 中に入って来るぞっ!」
メルヴェは、イエローボーイを構えると、必死でレバーを引きながら連射しまくる。
そんな中、一台のフレッチャ歩兵戦闘車が真っ直ぐ走ってくる姿を彼女は捉えた。
しかも、いきなり敵は建物に特効を行い、壁をブチ破って大穴を開けた。
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