【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
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第205話 使い捨て部隊、アスカリの登場

公開日時: 2024年7月12日(金) 10:33
更新日時: 2024年7月14日(日) 21:31
文字数:3,025


 メルヴェは、ノリンコHP9ー1の機関部を眺めて、本体に問題が無いか確かめる。


 もちろん、ミニミ分隊支援火器は、幾つかベルト式機銃弾が残っているので背中に背負う。



「ジャムッてたようだけど、焦って撃とうとするからよ」


「ああ? おい、俺達は先に行っているからな?」


「分かった、そうしてくれ…………」


 メルヴェは、無数の弾痕が空き、青く血まみれになった黒髪女性リッチに銃口を向ける。


 そんな彼女を余所に、ナタンは悲嘆に暮れるドゥロルに声をかけた。



「……そうか、じゃあ俺たちは先に行く」


 ナタンは、それだけ言うと、足早に奥の廊下へと向かっていく。



「チィーナ軍とPMCの連中は、もう奥に行ったようだわ」


「俺たちも、はやく行かないと不味いっ! って?」


 メルヴェが、敵の奇襲を想定しながら警戒心を全開にしつつ先導する。


 その背後に続き、ナタンは後方に時おり振り返りつつ、廊下を進んでゆく。



 二人とも、建物内で何処から攻撃を受けるか分からないので走る事はせず、慎重に歩く他ない。



 だが、そんな彼らも予想できない事態が起きた。



「うわああぁぁぁぁーー!!」


「いやああああああーー!?」


 廊下が崩落したと思った次の瞬間、もうナタンとメルヴェ達は、瓦礫とともに落下していた。



「ぐああ? がっ!?」


「あたた……………」


 二人が落下した場所は、崩落により瓦礫の小山が背後に出来ていた。


 そして、立ち上がろうとした、ナタンの頭に瓦礫が落ちてきた。



 メルヴェも、腰を両手で押さえながら立とうとしたが、直ぐに止めた。


 何故なら、瓦礫の向こう側から機銃掃射により、激しい銃撃と金属音などが鳴り響いたからだ。



「■◥●◢▥っ!!」


「前進、前進しろっ!!」


「敵は制圧できるっ! もう少しだっ! 撃つ勢いを止めるなっ!」


「◣◢▥△◥」


「グレネードッ!」


「▩◉△▥◎◣◇◥◎■」


 瓦礫に身を隠しつつ、二人は左右から少しだけ顔を出して、密かに様子を伺った。


 そこには、帝国軍兵士や警察隊員とともに、アシュア系が大勢存在した。



 さらに、帝国側の部隊には、黒人兵士やアラビ人兵士まで混じっている。


 この帝国側・混成部隊は、多種多様な人種構成が成されており、しかも重武装だ。



「シュトゥルムZ、突撃しろっ! 陸軍部隊は側面から回れっ! 警察隊員は前進しろっ! アスカリは後方から射撃援護だっ!」


「了解しました」


「△◤■◎◥▩◢っ!」


「援護するっ!!」


「ランチャー発射っ!!」


 ヴァンパイアの制帽を被る指揮官が、ワルサーPPを片手で撃ちながら、大声で命令する。


 奴が叫ぶように下した指示に従い、遮蔽物から、ワラワラと、東アシュア系兵士たちが出てきた。



 チュソン軍兵は、ワーウルフに変身すると、68式拳銃を、二丁拳銃で撃ちながら突撃してくる。


 リパブリック・チィーナ人兵は、崋山水平二連散弾銃を発砲すると同時に走り出した。


 K1A機関短銃を構えながら連射しつつ、コリャン人兵士は、真っ直ぐ突っ込んで来る。



 また、他の帝国軍兵士たちも、リボルバー型グレネードランチャー、RGー6を射ってきた。



「◢◥◆◣▤」


「◢▩◎◉■◥」


 それを後ろから、隔て板や事務机などに身を隠す、リパブリック・チィーナ人兵士が援護する。


 連中は、86式歩槍を連射したり、57式歩槍を単発連射で突撃部隊を支援する。



「不味いっ! 突っ込んで来るっ!」


「ぎゃああっ!?」


「ぐわああっ!!」


「二人、殺られたっ! 援軍は、まだ来ないのか?」


 木箱・大きなプラスチック箱などで、バリケードのような遮蔽物を構築している連合側部隊だが。


 PMCと民兵を中心とする、彼等は火力で負けている。



 人数とともに、汎用機関銃や自動小銃の数が不足している。


 しかも、敵が放った、グレネード弾は民兵たちを、隔て板ごと吹き飛ばす。



「ヤバイッ!! 彼らを援護してやらないとっ!!」


「行くわよっ! 喰らええっ!?」


 二人とも、敵部隊が真っ向から畳み掛けるように、猛攻撃をしかけてきた左側から射撃する。



 ナタンは、AK12の弾倉が空になるまで連射すると、今度はヘリカルマガジンを取り付ける。


 その下で床に匍匐した、メルヴェは二脚を開いた、ミニミ分隊支援火器を撃ちまくった。



「■◥▣◉◎◤◥◢■◥◌▩○っ!?」


「○◣◆◆▧▶◣◥っ!?」


「◎▤◉◇◉▨っ!! ◆■▩◎○◌っ!!」


「弾が切れたわ、次はコレを使わないと」


「俺は、ヘリカルマガジンを使う」


 ナタンによるAK12の連射は、何人もの東アシュア系兵士を倒した。


 機銃掃射を行った、メルヴェの射撃も浮き足だった敵分隊を殲滅する。



「なっ! 瓦礫に敵が居るっ! あそこに攻撃を集中しろっ!」


「了解しましたっ! おい、ブルを用意しろっ!」


「弾頭は入っているからな」


 指揮官ヴァンパイアは、ワルサーPPを発砲しながら、次なる命令を下す。


 それは、瓦礫に身を隠す二人に対する集中砲火を加えろと言う指示だ。



 その命令を実行に移すべく、KBPブルを帝国軍兵士たちは準備した。


 これは、黄土色の小さなバズーカ型筒に斜め上下を向いた、スコープが付いた武器だ。



 帝国兵は、砲身を斜め上に向けつつ、眼鏡内を覗いて、二人が隠れる瓦礫を撃った。



「ぐわっ!?」


「ぎゃっ!!」


 ナタンとメルヴェ達が、隠れている瓦礫に榴弾が当たって爆発した。


 その衝撃波とともに、金属片やコンクリート片などが、灰煙に混じって飛び散る。



「んを? あそこに味方部隊が居るぞっ!」


「敵に気を取られて気がつかなかった」


「きっと、瓦礫とともに落下して来たんだっ!?」


 敵の砲撃により、ナタンとメルヴェ達は味方部隊に存在が知られた。


 とは言っても、PMCと民兵たちからなる部隊には、二人を援護するだけの武器と余裕がない。



 何故なら、軽装備で数人程度の分隊だからだ。



「前進してくるぞっ!」


「重機関銃の弾は?」


「まだあるが、切れちまうっ! 次の弾薬箱をくれっ!」


 PMC部隊は、シグMPX短機関銃やVHSブルパップ小銃などしか保有していない。


 重機関銃は、一丁だけ三脚に載せられた、85式12、7ミリ重機関銃があるだけだ。



「クソッ! 敵の火力が強すぎるっ!」


「これじゃ押しきられるぞっ!!」


「分かっている、だが…………どうすれば」


「やるしかない、今は耐えるんだっ?」


 民兵部隊で、強力な武器は、マドセン軽機関銃やザスタヴァM70くらいだ。


 後の者は、ウェルガン短機関銃やオーステン短機関銃を持っているだけだ。



「シュトゥルムZは、再度突撃しろっ!! アスカリ部隊は前進して、警察部隊と合流だっ! 我々帝国軍は砲撃を続けるっ!」


「隊長、敵の増援ですっ!?」


「敵も援軍が来やがったか…………」


 未だ、怒鳴り散らしながら、事務机の裏から指揮官ヴァンパイアは叫び続ける。


 形成は、圧倒的に帝国側が有利であり、このまま押せば、フロアを完全制圧できる。



 そう指揮官を含め、帝国側の兵士たちは考えていたが、ここで思わぬ事態が起こった。



 何と、連合側部隊にも増援が現れたのである。



「援軍だっ! 退いてくれっ!」


「防弾板を前にっ!」


 砂漠用のデジタル迷彩服を着た、アラビ人部隊が救援に駆けつけた。



「ハガナーの登場だっ!!」


「さあ、敵は何処に居る?」


 救援部隊には、OD・グリーンの戦闘服を着た、イズラエル軍兵士も何人か混じっている。


 彼らの中心には、グリーン・シュヴァリエが居て、MK48汎用機関銃を持っていた。


 しかも、緑色の防弾板を何枚も前に出して、彼等はバリケードを強化する。



 こうして、フロアを巡る大規模な戦闘は、益々激化していき、戦火を拡大させるのであった。

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