【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第269話 夜間の会合

公開日時: 2024年7月12日(金) 13:10
更新日時: 2024年7月15日(月) 08:28
文字数:3,375


 あれから時間が立ち、深夜となると、帝国軍&警察部隊は無闇な進軍を停止させていた。


 それは、戦列の立て直しと、戦力を増強させるためだ。



 帝国軍は、市民や連合側の兵士を捕らえては、次々と帝国兵やゾンビに変えている。


 しかし、戦闘は殆ど行われず、現在は狙撃兵による暗殺戦が散発的に発生している。



 ここ、ブリュッセルは、スターリングラードやガリポリのように狙撃手が活躍する場となっていた。



 他に、戦闘があるとすれば、小型ドローンによる空爆と地下道内での遭遇戦が稀にあるくらいだ。



「連合軍の有人機が飛んできている? 連中、遂にピレネーを越えて、マルセイユ、リヨン、ティジョン、ナンシーを押さえたらしい」


「次なる攻略目標は、ベルダン、メッス、ルクセンブルクだろう?」


「そして、奴等はマーケット・ガーデン作戦のように、大規模な空挺師団をベルギューにも展開するでしょうな」


「そんで、連中は包囲されて惨敗すると? ベルダン強襲はWW1以来だわ、マーケット・ガーデン作戦もWW2の戦闘よ」


「それだけ、敵は戦力をかき集めて来たのだ…………そちらに、帝国軍の主力や空挺軍が向かっているから、市内の戦力は拮抗している? さて果て、どうしたものか?」


 舞台の奥にある、スクリーンに写し出されたマップを見ながら、フロスト中尉は詳細を説明する。


 話を聞いて、ザミョール中尉は連合軍が次に狙う都市や町を想定する。



 ドラハンギフト中尉は、空挺部隊による電撃戦と奇襲を受けるだろうと予測する。


 それでも、サスーリカ中尉は、この第三次世界大戦とも言える戦争で帝国側が勝利すると予測する。



 しかし、ウルシカ中尉は両腕を組んで、機甲師団や航空兵力が増援に来ない事で、険しい顔をした。



「まあ、集まってくれた同僚たちに朗報だっ! どうやら、また帝国軍が先人を切って突撃してくれるらしい」


「なら、俺らは安全な掃討戦ができる訳だな…………」


「武功は立てられんだろうが、その分、楽ができる訳か」


 フロスト中尉の言葉を聞いて、ザミョール中尉とウルシカ中尉たちは呟く。



「まあ、それで、帝国軍が進軍した後は、我が隊はサン・ミッシェル大聖堂を制圧に向かう」


「俺たちは、9セントラル・ホテルを制圧する」


「なら、我々は中央銀行を占領しに向かいましょうか」


「第一小隊は、BNP・プラザ・ビルを奪回するわ」


「我ら、第五小隊は郵便局に突撃していく、ここは下手したら、まだ敗残兵が残っているだろうがな」


 スクリーンが拡大されると、フロスト中尉は映像に登場する建物などを説明する。



 ザミョール中尉とドラハンギフト中尉たちも、それぞれ向かう先を決める。


 サスーリカ中尉とウルシカ中尉たちは、敵拠点の制圧に意気込む。



「それじゃ、解散するが~~? 他に、異論や質問はないな?」


「ない、このまま解散だ、ダラダラ会議するのは性に合わんっ!」


 フロスト中尉の問いに、ザミョール中尉は解散に賛同すると同時に威圧した。



「おお~~? 怖い、怖い、分かった? そいじゃ、解散ね」


 フロスト中尉が解散宣言をすると、各部隊長はバラバラに散って行った。



「隊長、お疲れ様ですっ!」


「会議、ご苦労様でした」


「それより、そこの二人は?」


 ヴィサルとシジセ達は、壇上から飛び降りた、ウルシカ中尉を出迎える。



「隊長殿、偵察に出ていたところ、奇襲により我々が捕らえましたっ!」


 誇らしげに胸を張り、ドミニックはローマ式敬礼をしながら答える。



「ほう? そうか、我が隊は人員不足が深刻だったからな? それで、貴様らの名前は」


「マクシム・フィロトカ二等兵です」


「同じく、二等兵のエレーナ・ブブカです」


 ウルシカ中尉が名前を聞くと、二人はローマ式敬礼をしながら答える。



 DP28を抱える、マクシムは茶色がかった金髪を短く纏めており、瞳は青に近い水色だ。


 服装は、黒・青紺・黒鼠・鼠からなる、Астра Люкс社製のデジタル迷彩服を着ている。



 これは、ウクレイナ国家警備隊で着用されていた物だ。



 頭に被る、野戦帽も同じ柄のデジタル迷彩カラーだ。


 装備は、茶鼠色の軽量防弾ベストを装着している。


 それに手榴弾用の弾帯を八個も着けており、パンマガジン用は腰側から二個も、ぶら下げていた。



 一方、エレーナは濃い茶髪をカールミディアムにしている。


 そして、アシンメトリーにした髪を右側に何本か垂らし、左側は耳裏に髪を流している。



 彼女も、青・水色・灰色からなる、Oлтекс社製のデジタル戦闘服を着ている。


 こちらも、ウクレイナ国家警備隊で使用されていた物だ。



 背中には、シンプレックス、アリゲーター1、45ミリ対物ライフルを背負っている。


 両手には、PPSh41にドラム型ではなく、バナナ弾倉を装着している。



「二人とも、これから私の部下だ? それから、現場ではドミニック副隊長の指揮に入れ」


「了解ですっ! ウルシカ隊長っ!」

 

「了解しました…………隊長」


 ウルシカ中尉の言う事に、素直に従う、マクシムとエレーナ達。


 そこに、器材を運びながら話し合う、他の警察隊員たちが通りかかる。



「フロスト中尉の命令なんだ、手伝ってくれ」


「それにしても、重たいわ? 引っ張るだけでも面倒なのに?」


「済まないが、君の隊でも使う物なんだから強力してくれよ」


「分かってる、さあ、引っ張るぞ」


 レオとミア達は、牽引式の青く発光する医療用タンクを二輪を回して運んでいた。


 その後に、同じ牽引台に発電機を搭載した物を、カルミーネと警察隊員が引き摺る。



「ここに、コレは置いておこう?」


「それじゃ、もういいな?」


「オレフ、早くしろっ!」


 四人は、劇場内の右端中間にある、座席が無い空間に、医療用タンクと発電機を設置した。


 これは、重傷を負った隊員を治療するだけでなく、連合側の兵士を洗脳改造する事にも使われる。



 カルミーネが牽引台を置くと、黒い服装に身を包んだ警察隊員は、腰から銃を抜いた。


 彼は、ザミョール中尉から、オレフと名を呼ばれると、急いで近づいていく。



「はっ! ただいま」


「さっさと、こいっ! 後方司令部に地下道から、キューベルワーゲンで行かねば成らんからな」


 オレフは、黒いECHヘルメットに四連ナイトビジョン・ゴーグルを載せている。


 口も黒いマスクで隠しており、光沢のない茶黒い瞳と目元しか、顔が分からない。



 黒い野戦服の上に、防弾ベスト&タクティカルベストを装着している。


 黒いフォルトー230短機関銃を両手に抱えた彼は、ザミョール中尉の元へと走っていく。



 その背中には、デザート・テック、SRS狙撃銃が背負われていた。



「ボルトの補充は終わりっと」


「オフセットマウントと、倍率調整可能スコープを着けて見たんだけど? どう思う?」


「それは、サイドマウントとも言うわ…………あと、ホロサイトも着けると良いかも」


「私は、グレネード弾を取りに行かないと」


 劇場内の左側中間では、弾薬箱や木箱を女性隊員たちが漁っている。


 段ボール箱の上に置いた矢筒に、レギナは様々な特殊矢を居れていく。



 ベーリットは、女性隊員とAGー3に取り付けた倍率調整可能スコープについて話す。


 ハーミアンは、GPー34の弾頭を探しに出入口へと歩いて行った。



「逸欣《イーシン》、みんなの食べ物も貰ってこよう?」


「そうね、軽食だけでも用意しないと」


 ハーミアンは、女性隊員イーシンと呼ぶと、二人して、補給物資を集めている地下道へと歩く。


 名を呼ばれた、彼女の服装は灰黒い戦闘服を着ている。



 頭には、黒灰EHCヘルメットを被り、今は外しているが顎の下には黒マスクがある。


 その顔は、茶髪カールボブショートと茶色く丸い瞳、そして水色に光る唇が目だった。



 装備は、ライフル用・弾帯が三つ付いた防弾ベストには、右側に拳銃弾倉用の弾帯が三つある。


 そして、左側には、白い漢字で憲兵特勤隊&下にMPSSCと蓋に書かれた弾帯がある。



 背中には、サイレンサー付きの108式狙撃歩槍が背負われている。


 両手には、サーマルスコープ&フォアグリップが取り付けられた、91式歩槍が握られていた。



「全く、地下坑道に行くのは面倒だわ?」


「まあまあ、ドローンに狙われるよりマシだわ」


 ハーミアンは愚痴りながら出入口を進むと、その後を追って、イーシンも歩いていく。


 二人が話す通り、現在上空には多数のドローン部隊が地上を音もなく狙っている。



 ゆえに、連合・帝国と双方は身動きが取れなくなり、移動には地下道を使っていた。

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