【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第210話 夜間の狙撃戦は終わりを迎えた

公開日時: 2024年7月12日(金) 10:39
更新日時: 2024年7月14日(日) 21:34
文字数:3,260


 外から、プロペラが回転する音が辺りに木霊する。



「また来るぞっ! 伏せろっ!」


「もうっ! 何なのよっ!」


 MD520、MGヘリが再度飛来してきて、またガンポッドから機銃掃射を開始した。


 ガチャガガッと、機銃弾により窓が割られたり、建物の壁を削るような音が鳴る。



「く、これじゃ? 反撃すら出来ないっ!」


「待って、味方部隊が来たわっ!」


 外から放たれ続けられる機銃掃射に、レオは反撃の機会を伺うが、中々実行に移せない。


 怖いのは機銃弾だけではなく、向かいのビルから続々と撃たれるRPG弾と狙撃だ。


 そんな中、ミアはキャタピラがアッソー通りを走る音を聞いて、増援部隊の到着に歓喜する。



「お? ゲパルトだ?」


「AGFサーバルも?」


 ゲパルト自走対空砲が走ってくると、即座にヘリコプターを狙って、対空射撃を始めた。


 レオとミア達は、その一部始終を見ていたが、残念ながらMD520、MGは撃ち落とせなかった。



 とは言え、対空砲による撃墜の可能性を考慮したらしく、敵機は飛びさっていった。



「やったな、次は建物だっ!」


「あの建物正面を崩してくれればっ!」


 そう思っていた、ミアとレオ達だが、いきなり総合ビルの正面部分が、ぶっ飛んだ。



「はっ?」


「なに?」


 ワケも分からず、レオとミア達が唖然としている中、他の部隊は動く。



 ゲパルト自走対空砲は、二人が潜む建物左側から敵の建物内部に対して、猛烈な射撃を開始する。


 おそらく、まだ敵の敗残兵や伏兵たちが布陣を立ち直そうとしているからだ。



 その右脇から、コレジアル通りをAGFサーバル、トラックが走ってゆく。


 停車した、この車両は上部からH&K、GMW自動擲弾銃を撃ちまくる。



 次いで、車体正面から発煙弾を三機発射させ、後部からも二機発射させる。



「凄い火力だわっ! アレじゃあーー建物全体を破壊しちゃうわよっ?」

 

「そうした方が早いんだけどな、まあ発煙弾が出たって事は、やっぱ制圧するんだろう」


 サーバル&ゲパルトの火力を前に、ミアは敵が完全殲滅されるかも知れないと思った。


 発煙弾の煙が、充満するさまを見ていた、レオは車内から味方兵士が飛び出ただろうと推測する。



 そして、別動隊の車両も、後方から続々と到着する。



「また、援軍が来たわよっ!」


「しかし、敵が狙撃や砲撃してくるっ!」


 ミアが窓の左側から下を見ると、プシュッと大きな音を立てるバスがあった。


 バンホールのノンステップ3車体連節バス、AGG300だ。



 中からは、帝国軍兵士やシュヴァルツ・リッター達が、自動小銃やPKP汎用機関銃を撃ちまくる。


 バスを狙って、敵のRPG兵が砲撃してくる前に、レオは素早く狙撃する。



 未だ、総合ビルの瓦礫内や周辺ビルからは、敵兵士が、さまざまな武器を使って反撃してくる。


 その内、訳が分からない攻撃により、今度は二人が潜んでいた、総合ビルが爆発する。



「うわああ? あ、アレは? ドローンだっ!」


「もう、ここもダメね、飛び降りるわよっ!」


 レオは、空中を浮遊するドローンを発見して、今の爆発が自爆攻撃を受けたと悟る。


 ミアは背中に、SSG、82狙撃銃を回し、MPiーAKー74Nを手に取ると走り出す。



「レオ、急いでっ!」


「分かってるぜぇ?」


 ミアは廊下に出ると、ミサイルによる爆撃で吹き飛んで崩落した場所を、何度も飛び降りていく。



 レオは、H&K、PSGー1狙撃銃を背中に背負い、H&K、G3SG/1を両手で掴む。


 それから彼女を追って、廊下に出ると、階下へと飛び降りる。



「よっ! よっ! よっと?」


「っと、っと、と? うらっ!」


 ミアとレオ達は、バンホール・ノンステップ3車体連節バス、AGG300の屋根に飛び降りた。



「目指すは、あっち?」


「走って行くぜっ!?」


 バス屋上から地面に飛び降りた、ミアは敵の射撃を掻い潜り走ってゆく。


 レオも、機銃狙撃やRPG弾による爆風を避けながら疾走していく。



 二人とも、カントリー・プラザ・BNP・PFビルに繋がる一番手前の建物を目指す。


 それが、狙撃支援を終えた彼等の次なる作戦目標だからだ。



「おっ? ってと?」


「危なっ!?」


 またもや、無人バス、EVO部隊が車列を成して、二人の眼前に現れた。


 紫色や青色の車体を走らせた、三台は真っ直ぐ、ロキヨーム通りを突撃していく。



 そして、茶色い総合ビルの左側入口から侵入した、EVOは内部で大爆発する。



 その噴炎が入口から吹き上がる。



 また、もう一台はビル正面の窓ガラスが多い箇所に突っ込み、こちらも大爆発を起こす。



 最後の一台だけは、入口手前で停車した。



 その両脇にある、ドアから警察部隊員が何人か登場する。



 彼等は、内部へと走っていった。



「行ったみたいね? 私らも早く行かないと」


「じゃなきゃ、どやされちまつからな?」


 交差点を過ぎて、アンペラス通りを走っていた、レオとミア達の背後に誰かが飛び降りた。


 何者かと思った、二人は後ろに振り向いたが、そこに味方が居たので安心した。



「ミネット? 貴方も支援を、やめたのね?」


「そんで、こっちに突撃かっ? ミネット」


「そうよ、そんで合流したと…………は?」


 ミアとレオ達は、蔦《ツタ》を右腕に絡める、ミネットの姿に安堵した。


 彼女は、フックショットみたいに自身から発射した蔦を、会社の敷地内を囲む柵に引っ掛けていた。



 そして、二人に合流したと言うワケだ。



「不味い、早く走ってっ!!」


「うわあっ!?」


「きゃああああっ!!」


 ドンと言う音ともに、遠方から機関砲の連続射撃音が鳴り、柵をボコボコに壊していく。


 ミネット、ミア、レオ達は急ぎながら建物の陰へと入っていく。



 道路を塞ぐように配置されていたのは、ブリティン製、ストーマー30歩兵戦闘車だ。


 タンカラーに塗装された、この歩兵戦闘車は30ミリ機関砲弾を、断続的に放ってくる。



「危なかった、アレは他の兵士に任せて内部に突入するぞっ!」


「この中は無人だけど、罠が仕掛けられているかも知れないわ あと、無人と思わせて伏兵が潜んでいるかも?」


「待って、味方部隊が来たわ…………」

 

 レオは入口から内部に突入しようと試みるが、ミアは慎重に進もうと言う。


 その時、ミネットは遠くから低速で黒いEVOが近づいてくる姿が見えた。



 さらに、その後ろから青い大型バスも走ってくる。



「三人とも、無事だったかい?」


「突入開始ね? さあ行くわよ」


 EVOバスの左右にあるドアが開き、中から第三小隊に所属する警察隊員が出てくる。


 その間、EVO上部に搭載された、MG3とH&K、GMW自動擲弾銃が回転する。



 おそらく、これは自動機銃だろうと思っていた、三人だったが。


 そんな彼等に、カルミーネとベーリット達が声をかけてきた。



「無事だったが、この先は罠があるかも知れないとよ?」


「伏兵も潜んでいるのは間違いないわ」


「大丈夫、僕の鼻に任せてっ!」


「本当に、任せても大丈夫かしら…………?」


 レオとミア達は、敵の不意討ちに気をつけねば成らないと話す。


 それに対して、カルミーネは自信満々に鼻をヒクヒクと動かして見せた。



 しかし、自信過剰じゃないかと、ベーリットは表情を変えずに呟いた。



「罠が有れば、俺だって潰せるし? シェラも多少の爆風なら耐えられる」


「彼女は、中量級のシュヴァルツ・リッターですので」


「鼻なら俺も、ワーウルフだから使えるっ!」


「まあ、それぞれ事前に決めた通り、3チームに別れて動きましょっ?」


 オーガーであるソムサックは、防弾鎧を活かして、仕掛けられた爆弾などを、わざと爆破できる。



 これは、シュヴァルツ・リッターであるシェラも同じだが、今の彼女は防弾ヘルメットを被る。


 彼女のは、漆黒に塗装された、頭部全体を覆う、アーメット型・テンプル騎士団ヘルメットだ。


 バイザーは、長四角い両眼口と、小さな白十字が

左右に三つずつある。



 それを、オルツィが両目を瞑りながら説明した。



 イェスパーも、ワーウルフに獣化しながら鼻を動かし、鋭い犬歯を見せた。



 レギナは、建物内部に突入するべく、WIST《ヴィス》ー94Lピストルを両手で握る。


 そして、安全装置を解除した。



 こうして、第三小隊の面々は建物内部を制圧するべく、突入準備を始めた。

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