【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第60話 雌狼の餌に

公開日時: 2024年7月10日(水) 00:38
更新日時: 2024年7月12日(金) 23:05
文字数:3,733


「では、フロスト、行ってくる」


「はい、ラヴィーネ大佐」


 シャワールームへと、ゆっくりと歩いて行く冷酷な女軍人、ラヴィーネ大佐。


 そんな彼女の横顔を見つめていた、フロスト中尉は緊張している。



『これから、猛獣の相手をするのか…………』


 フロスト中尉は、ラヴィーネ大佐が、シャワーで身体を洗い、汗を流し終えるまで待っていた。



「済まない、待たせてしまったな…………」


「いいえ、ラヴィーネ大佐」


 シャワールームから帰って来た、ラヴィーネ大佐は、白いガウンを羽織っている。


 また、脚には、黒いガーターベルト付きのセクシーな、ストッキングを履いていた。



 細くしなやかで、美しい脚線美を見せつけながら現れた。


 彼女の上気した白い肌は、うっすらとピンク色に染まっていた。



 一人、ベッドの上で寝転んで待っていた、フロスト中尉は、妖艶な彼女に見惚れてしまう。



「大佐の敬称は要らん、ラヴィーネだけで良いぞ…………フロスト」


「分かりました、ラヴィーネ」


 ラヴィーネ大佐は、敬称は要らんと恥ずかしそうに、目を反らしつつ言うが。


 その言葉を聞いた、フロスト中尉も気持ちを尊重して、敬称では呼ばない様にした。



「それでは夜伽と参ろうか…………」


「いよいよ本番ですね?」


 ベッドの側まで歩いて来た、ラヴィーネ大佐は白いガウンを揺らす。


 そして、下に着ていた、黒い薔薇の刺繍が施された、ブラとショーツを、スルリと床に脱ぎ捨てる。



 すると、ベッドの上へと飛び込んで、彼女は四つん這いになる。


 それから、フロスト中尉への方に、ゆっくりと白き雌狼みたいな動きで迫る。



「フロスト、私の姿は美しいか?」


「見惚れる程に…………」


 右手を、ベッドの雪みたいな白いシーツにおくとと、ラヴィーネ大佐。


 次に、彼女は左手で、かなり長いシルバーブロンドの巻き毛を掻き上げる。



 そうして、正面に寝転ぶフロスト中尉の瞳を、じっと覗き込み小さく囁くような声で尋ねる。



『…………だが、中身はヤバいんだよな…………』


 真正面で、扇情的な姿を晒す、絶世の美女軍人に対して、フロスト中尉は世辞を述べる。



「世辞が上手いな? フロスト…………そうだ、私は力強く美しい白い毛並みを持つ雌狼だ、お前は私に相応しい群れのリーダーたる強い雄狼に成れ、これは命令だぞっ」


「リーダーたる雄狼ですか? 私に勲功を重ねて出世しろと」


 世辞として、誉め言葉を言っただけの事だとしても、ラヴィーネ大佐は喜んだ。


 彼女は、真っ白で透き通るような肌色の顔を、赤く染め上げる。



 そうして、嬉しそうな表情を浮かべて、頬を緩ませる。



 また、誉め言葉を言った、フロスト中尉に対しては、さらに強く成れと頬を紅潮させて命令する。



『…………つまり、もっと働けって事だな? …………』


 彼女の命令を聞いた、フロスト中尉は組織内で、さらに出世しろと言うことだと思った。


 また、彼女に並び立つ程の階級まで、上り詰めろと言う事だろうと考えた。



 それと、彼はもう一つの狼に成れと言う意味も、同時に理解していた。



「私が望むのは、それだけで無いのは貴様も分かっているのだろう」


「今直ぐに狼に成れと仰るのですね、では御相手を務めさせて頂きます」


 ラヴィーネ大佐は、フロスト中尉の両頬を、そっと細く綺麗な両手で掴む。


 そして、ラファエロ・ブルーに輝いた瞳を彼に向ける。



『…………ここは、笑顔にならんと…………』


 もう一つ、彼女の望む物が何か分かっている、フロスト中尉だが。


 彼も同じく、イージアン・ブルーの瞳を、ラヴィーネ大佐に向けて微笑む。



「分かっているなら良い…………」


「勿論です…………」


 ラヴィーネ大佐は、ぷっくりとした、ライト・アイス・ブルーの唇を少しずつだけ震わせる。


 フロスト中尉は、ヨット・ブルーの唇を全く動かさないで待つ。


 二つが、愛し合う恋人同士のように重ねられると、彼等は目を瞑った。



「んっ! …………はむ? …………チュ…………ふんん『チュッチュ…………チュ♡ …………」


「…………チュ…………ふっ? チュチュ…………チュ…………」


 青色の唇を何度も重ね、互いに身体を抱いて激しく求め合うカップル。


 こうして、夢みたいな一時の時間を過ごす、ラヴィーネ・フロスト達。



「良いぞ…………フロスト、私の目に狂いは無かった…………お前の本性は、やはり力強い狼だっ!」


「私が狼、光栄です…………ラヴィーネ」


 ベッドの上で、透け通るような白い肌を擦り、絡み合う、二人。


 ラヴィーネ大佐は、フロスト中尉の身体に跨がり、胸板に両手を添える。



 そんな彼女は、まるで幸せに包まれたような蕩けた表情を浮かべる


 彼女の下から、彼は軟らかい脇腹を両手で掴み、優しく撫でる。



「ぷっ! …………ふぅ」


「ラヴィーネ、疲れましたか?」


 数時間もの間、真っ白い肌と青い唇を重ね合わせて、抱擁を続けていた、ラヴィーネ大佐。


 彼女は、唇を離して、満足した顔を浮かべると、そっと、口を僅かに動かして溜め息をはいた。



 その様子に少しだけ身体が疲れたのかと思い、彼女を気遣い声をかける、フロスト中尉。


 彼は、彼女を右隣に抱き寄せ、スゥ~~と、左頬を右手の人指し指で、丁寧に優しく撫でる。



「まさか…………小休止だよ、フロスト」


「暫し休んだら夜伽は再開するんですね」


 右手で頬を支え、ベッドに寝転び、慈愛の女神みたいに笑顔で微笑む、ラヴィーネ大佐。


 そんな彼女に、フロスト中尉は微笑み返して、答える。



「ああ、その通りだ、処で喉が渇いただろう?予め注文して置いたサクランボビールが有るが、お前も飲むだろう?」


「有り難く頂戴します」


 ベッドから立ち上がり、くるりっと身体を翻すと、ラヴィーネ大佐は、ビールを飲むかと尋ねる。


 もちろん、フロスト中尉は笑みを崩さず、短く答えた。



「他にもデウス、シメイブルーに、ワインはソーテルヌから態々《わざわざ》取り寄せた、シャトーディケムもあるから、ドンドン飲んで酔って、獣《けだもの》になって私を抱け」


「そんなに飲んだら、私は獣になる前に酔っぱらって寝てしまいますよ?」


 高級なビールとワインの銘柄を、次々と口から出していく、ラヴィーネ大佐。


 その種類数に、余りに飲んで酔いが回り、寝落ちしてしまう事を案ずる、フロスト中尉だった。



「誰が寝かせるものか、私は貴様の都合の良い娼婦では無いぞ…………それに今宵は貴様が私の玩具何だ、分かっているな?」


「やはり朝まで続けるのですか、明日の任務に差し支え無ければ良いのですが…………」


 先程までの微笑んでいた、顔付きとは違い、急に真剣な表情と成った、ラヴィーネ大佐。


 急変した、彼女の雰囲気に不味い、機嫌を損ねたかと思い困惑する、フロスト中尉。



「つまらない事を言うな? これも貴様の仕事だろう…………それとも私と言う極上の美女を前に抱くのが嫌だと言うのか? 拒否するのは勝手だが、その場合出世は愚か、いや、この場で貴様の首が跳ぶ嵌めに成るが…………」


「御冗談をっ!? 私に拒否する権利は始めから有りませんじゃあ無いですか? それに貴女の様なセクシーな美女を前に抱かないと言う男は居りませんよっ!」


 獲物を狙う、獰猛な雌狼の顔付きとなった、吸血鬼女ラヴィーネ大佐。


 彼女の怒りを鎮めるため、冷静に顔色一つ変えず、フロスト中尉は呆れたような口調で答えた。



「なら文句を言うな、私の気が短いのは貴様も承知の事だろう…………ウフフ♡ それに今のが冗談だと良く分かって居たな…………偉いぞ誉めてやる」


「誉めて下さるのは嬉しいのですが、今の冗談の役半分は本気でしたでしょう? 流石に私も本当に首が跳ぶかと内心ヒヤヒヤしましたよっ!」


 興醒めしたと言うばかりの表情を浮かべる、ラヴィーネ大佐ではあったが。


 直ぐに、冗談だと気を取り直すと、笑みを浮かべて、フロスト中尉の頭を子供みたいに撫でた。



『…………本当に殺されるかと思った…………』


 その行為に、機嫌を損ねたわけでは無かったかと、フロスト中尉は安心した。


 そして、溜め息を吐きつつ、半分は本気で殺す積もりだっただろうと、呆れた顔で言った。



「案ずるな、誰が貴様の様に容姿端麗で強靭な肉体と精神を持った希少な男を殺す者か…………お前からは感じるのだ、テロリストや連合軍の一部精鋭の様な絶対に折れない不屈の闘争心をな…………」


「不屈の闘争心…………私にその様な物は御座いませんよ? 有るのは帝国への忠誠心と飽く無き探究心のみです?」


 ラヴィーネ大佐は、フロスト中尉のに潜む闘争心に自身は惹かれたと語る。


 しかし、当の彼は、自分には、野心や功名心などは微塵もないと誤魔化す。



「謙遜するな、私には分かる、貴様は強い狼だ…………だが貴様自身が違うと言うなら? そう言う事にして置いてやろう、さぁ~~夜伽の続きと行こうか」


 フロストの言葉と態度を、謙遜だと受け取った、ラヴィーネ大佐。


 彼女は、身体が再び疼いてきたことから、夜伽を続けようと笑みを浮かべて、彼の身体に跨がった。



「小休止はっ? …………」


 そして、フロスト中尉が、小休止は終わりかと問う。



「終わりだっ!」  


「そんなぁ~~」


 そうそう、簡単に、ラヴィーネ大佐が疲れ果てるはずは無い。


 その後も、彼女は休む暇も無く、ビールやワインを時折飲みつつだが。



 夜が明けて暗闇から、灰色の曇り空が顔を出すまでは、フロスト中尉を夜伽に付き合わせた。

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