【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第286話 最後に残された、レジスタンスの戦い

公開日時: 2024年7月12日(金) 17:28
更新日時: 2024年7月15日(月) 08:40
文字数:3,106


 大聖堂内を死守していた、連合軍部隊は撤退していき、ナタンだけが残された。


 そして、相変わらず空を飛ぶ、Mi17からは、AGSー30自動擲弾銃から榴弾が放たれる。



「しつこい奴らだっ!」


 ナタンは、レミントンM870で撃ち返すが、もちろん大型ヘリが落ちる訳がない。


 そして、ファストロープで、大聖堂の屋根に帝国軍・特殊部隊が下ろされる。



 彼に、その様子は見えないが、敵は窓ガラスを割って内部に侵入してきた。



「うわっ! 奇襲かっ! 弾切れっ! なら…………」


「奴は一人だっ!」


 ナタンは、レミントンM870を捨てると、腰から両手で、MASー1935を取り出す。


 銀色の二丁拳銃で、彼は帝国軍・特殊部隊を撃ちまくる。



「ぐわっ! ぐ、がっ!」


「残り、一人だっ!」


「奴は、死に体だ、このまま押せっ!」


 特殊部隊員は、ナタンの肩や腕を撃ち抜くが、彼は素早く、右にある石柱へと逃げ込む。


 防弾兵は、MP5を連射しまくり、グールはMP5SDを撃つ。



「ここからなら…………」


「うぎゃっ!」


「ぐわっ!!」


 ナタンは伏せながら、特殊部隊員の脚を、どんどん射撃していく。



 柱の陰から連射されて、防弾兵は床に倒れてしまう。


 グールも、彼から、脚を撃たれたことで転んでしまう。



「フラグだっ!」


「まずい、なら投げ返すだけだっ! そして、撃つっ!」


 手榴弾を投げてきた、帝国兵に対して、ナタンは反撃する。


 投げ返すと言いながら、思いっきり蹴っ飛ばし、次いで、MASー1935を撃ちまくる。



「うわあっ! 手榴弾がっ! ぐわっ!」


「回り込んでいたのに気づいたか? 間抜け」


「気づいて無くても対処するさっ!」


 手榴弾に気を取られた帝国兵を、ナタンは拳銃弾で射殺した。


 だが、今度は無防備なワーウルフに背後を取られた。



「これで、終わりだっ!」


「ぐう~~? だが、お前は動けないだろう?」


 ナタンの背中を深々と、サバイバルナイフが突き刺すが、彼は動じない。



「これでも、喰らえっ!」


「ごあっ!」


 ワーウルフに、後頭部で頭突きを食らわせた、ナタンは体を回して、奴を盾にする。



「撃ち殺せっ!」


「射殺してやるっ!」


「ま、待てっ!」


 グール&バクテリエラー・ゾルダート達は、毒ガスと細菌粘液を吐きながら攻撃してきた。


 もちろん、ナタンから離れた、ワーウルフは床に伏せる。



「お返しだっ!」


「うぐ…………」


 グール&バクテリエラー・ゾルダート達は、AK74とM4A1を連射してきた。


 その間に、ナタンは科学攻撃と銃撃を避けるために、背中を丸めて走っていく。



 また、自身から引き抜いた、サバイバルナイフを、ワーウルフに投げつけた。


 こうして、奴の頭に深々と刃が突き刺さり、仕留める事に成功する。



 残る敵も、奴の死体からMP7を奪い取り、乱射しまくって倒す。



「ぐわあっ!?」


「ぐええーー!」


 残る二人を倒した、ナタンは一人で帝国兵を撃退する。



「ふぅ…………」


 MP7を床に起きながら、ナタンは溜め息を吐きながら、再び祭壇に座る。


 しかし、第二陣が迫っているらしく、天上から、ファストロープと蔦が伸びてきた。



 迫る帝国軍部隊を前に、MASー1935を両手に握り、彼は立ち上がった。



「俺は、最後の人間だぞっ!」


 そう叫んだ彼だったが、自身の一番近くにある、ファストロープに早歩きで向かう。


 すでに、大量に出血している彼は、額から汗を垂らしながら歩く。



 その途上、ワーウルフから電動ウィンチを剥ぎ取り、敵が使った、ファストロープを上がっていく。



「奴が上に行ったぞっ!」


「撃ち殺すんだっ!!」


「逃がすなーー!? 追えっ!」


「機銃を撃ちまくれっ!!」


 屋根へと上がる、ナタンを狙って、MP5SDをドライアドは何発も撃ちまくる。


 別なドライアドも、両手に握るMP5SDで、ナタンを狙い撃つ。



 入口から侵入してきた、シュヴァルツ・リッターも、ドラムマガジン付きAK74Mを連射する。


 防弾兵も、MG3汎用機関銃を斜め上に向けて、凄まじく乱射しまくった。



「よし」


 しかし、ナタンに攻撃が当たる事はなく、彼は天上付近の窓から外に逃げていく。


 そして、屋上に出たばかりの彼は、赤い弾丸を込めた、信号拳銃を撃とうと空に銃口を向けた。



「赤は爆撃だな?」


「させないよ、ガルム?」


 引き金に指を掛けた途端、いきなり、ナタンは左肩を撃たれた。


 周囲は、シャスポー銃を構える、フロスト中尉が率いる第二小隊が展開している。



「ランボー、周辺を見てみろ? 二千丁を超えるAK12が君を狙っているんだぞっ!」


「黙れ、アンタは恩師じゃないし、トラウトマン大佐でもないっ!」


 フロスト中尉は、サンミッシェル大聖堂を囲む地上部隊を指差す。


 ナタンは肩を押さえながら、彼に憎悪の眼差しを向けつつ答える。



「上空を見ろ、ヘリスナイパーも展開しているっ! 戦闘輸送ヘリも先程から爆撃していただろう?」


 NH90TTHヘリからは、宙から垂らされたベルトに、F1A2狙撃銃をミネットは載せている。


 Mi17からも、SAGー30自動擲弾銃が、大聖堂の屋上に向けられている。



 フロスト中尉が言う通り、空には敵航空機が大聖堂を包囲するように飛んでいる。



「それに、ホラ? 彼女も一緒だ」


「ナタン、ごめんなさい、捕まっちゃったわ」


 フロスト中尉は、レオとカルミーネ達に、メルヴェを連れて来させた。



「…………ナタン、諦めろ、もう遊びは終わりだ」


「メルヴェも捕虜になった今、君に戦う理由はないはずだ」


「ナタン君、ご苦労様~~?」


「ナタン、ガキの遊びは大人になったら出来ないのよ」


 レオとカルミーネ達は、ナタンを説得しようと試みた。


 また、背後からは、ミアとベーリット達が近づいて来る。



「うるさいっ!」


 ナタンは躊躇なく、フロストを撃とうとするが、逆に、メルヴェから右手を撃たれた。


 なぜだと思う、彼を前に、彼女は静かに語りだす。



「何故って、思っているでしょう…………ナタン、私達の任務は終わったのよ」


「メルヴェの潜入工作を、サポート&護衛するのか君の任務だったのさ?」


「は? そんなの嘘だ…………」


 自身をスパイだったと告げる、メルヴェとフロスト中尉たちに、ナタンは愕然とする。



「君は自分が、ただのレジスタンスだと思っていたのかい? 今まで負傷しても気にもせず、戦い続け、どんな状況下でも諦めなかった…………さらに、無謀な突撃すら望んで敢行しただろう?」


「それは…………俺は歴戦のレジスタンスだからだっ!!」


 フロスト中尉は、黒渕眼鏡をずらしながら嗤いつつ語るが、ナタンは彼に怒鳴り返す。



「ナタン、安心しなさい」


 落胆して、座り込む彼に、メルヴェは近づいていき、ラップトップの映像を見せる。



『やあ、ナタン? コードネーム、ガルムだ…………これを見ていると言う事は、任務完了したんだな? もう、いい充分に休憩するんだ』


「やめろ、よせっ! トータル・リコールの真似かっ!」


 ナタンは耳を塞ぐが、画面内のガルムを名乗る工作員は喋ることを止めない。


 メルヴェは、ボリュームを上げた上に、彼の前にラップトップを置く。



「ナタン? 言え、ガルム…………任務は無事達成したの? これからは、帝国の統治下で、ずっと一緒に暮らせるのよ」


『では、記憶を呼び起こす、コードを話そう? 007&シャルルマーニュ』


 そして、メルヴェは耳元で囁きながら、ナタンを誘惑する。


 ガルムは画面内から、遂に記憶を呼び起こすコードを言ってしまった。



「う…………」


 その瞬間、ナタンから表情が消えてしまい、過去を全て思い出す。


 帝国に捕まり、改造手術を受けた事。



 射撃訓練で、フロスト中尉から、MASー1935を受け取った事を。



 最終的に、彼の顔は冷淡で軽薄な笑みを浮かべるようになり、全てを思い出した。



 こうして、彼は帝国警察隊員へと戻ったのだった。

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