「挟み内に、なっていたんだよ…………」
「俺の雷撃を喰らったんだ、天国に行けるさ」
立ち上がったばかりのワンガリは、すぐさま正面から攻撃してくる帝国側部隊と向き合う。
雷撃魔法を放ったのは、ヨルギオスだったらしく、彼は十字を切った。
「不味いっ! シェラが死んだっ!」
「…………」
「そんな事より、チィーナ兵達が来るぞっ!」
「連中は、重武装だっ!!」
レオは、何とか身を傾けつつ防弾板の左側から、ワルサーP5Lを乱射する。
サナダは黙ったまま、迫り来る敵を眼前に捉えている。
AKMを、防弾板の右側から単発連射しながら、リッチは敵部隊が走ってくる姿を見て叫ぶ。
チィーナ軍兵士は、連合軍兵士よりも練度が高い上に、重火器を扱うから強敵だ。
ワーウルフは、ビィチャージ短機関銃を乱射して、即座に事務机へと身を伏せる。
「かはっ! まだ、傷が…………だが、やれるっ!」
「無理するなっ!」
吐血して、両手を床に突きながらも、レオは敵に鋭い眼差しを向け続ける。
そんな彼に対して、体を起こしながら右手から回復魔法を掛けるリッチ。
「敵は中々だな?」
「我々が押され始めている…………」
AKMを撃ちまくる、リッチは敵部隊の展開振りを称賛する。
ワーウルフも、ビィチャージ短機関銃だけを頭上に掲げて何発か撃つ。
チィーナ軍だけではなく、砂漠迷彩服を着た、自衛隊も混じるが、彼等は東アシュアの精鋭軍団だ。
さらに、彼等の中には防弾兵が存在しており、軽装兵も素早く動き回る。
また、ギガント&グリーン・シュヴァリエ等の兵種も、機敏に移動しながら攻撃しまくっていた。
「ミニミと95式班用機槍を持ってやがるな?」
「重装兵種は、80式汎用機関銃を撃ってくる」
「くっ! あれっ? サナダは?」
自衛隊員は、ミニミ分隊支援火器の二脚を、ドラム缶に載せて、機銃掃射が途切れなく放たれる。
チィーナ軍兵士も、95式汎用機槍を乱射しながら制圧射撃を加えてくる。
リッチとワーウルフ達は、それぞれの遮蔽物に隠れて、続々と放たれる機銃弾から身を守る。
分隊支援火器に混ざって、汎用機関銃からも強力な弾丸が発射される。
そんな中、レオは今まで近くに居た、サナダが消えている事に気づいた。
「分から…………ぐ、うぅ」
「クソッ! このままじゃっ!」
反撃しようとしていた、リッチが機関銃弾に当たってしまい、床に力なく倒れる。
それを見た、ワーウルフは、ビィチャージ短機関銃を乱射しまくった。
「分隊支援火器、汎用機関銃、火炎魔法、雷撃魔法…………やべぇな、ここは一旦撤退しないと? かひゃっ!」
撤退すると言いながらも、AKMを拾った、レオは乱射しまくりながら、またも吐血する。
「大丈夫かっ? 口から血が出てるぜっ!」
「大丈夫じゃないわぁ~~? それより、ヴァンパイアが暴れていたようだが、アンタが殺ったのかっ!」
ワーウルフは、何発か撃った後、すぐに身を隠し、レオに声をかけた。
それに対して、彼は苦しそうに喋りながら、敵の潜入兵を倒したかと聞いて見た。
「いや、しかし、現れてないようだっ?」
「そうか…………カルミーネ、ファルク達が殺ってくれたか」
ワーウルフの返事を聞いた、レオは呟く。
「ぐばあっ! ああああああっ!!」
「うわわわっ!?」
と、その瞬間、雷撃魔法が放たれた事により、ワーウルフは一瞬で感電死する。
「青い血だっ! あそこに負傷兵が隠れて居るっ!」
「狙い撃ちにしろっ!!」
チィーナ軍兵士による援護の元、89式自動小銃を持った、自衛隊員が何人か走ってくる。
「ヤバい、死んでたまるかっ!」
レオは、走ってくる自衛隊員に、AKMを連射しまくる。
「喰らえっ! 氷結魔法よっ! あと、風刃魔法も合わせてっ!!」
「蔦を伸ばして置けばっ!!」
「うわっ! うっ!」
「ぐ、ぐわ、うあっ!?」
氷結魔法と風刃魔法を組み合わせて、鋭い氷柱が混じった、吹雪の台風をシモーネが放つ。
その隙に、ミネットは蔦網を彼方此方《あちらこちら》に投げて、敵が引っ掛かるように罠を設置する。
さらに、吹雪と台風で視界を遮られた、チィーナ兵や自衛隊員が撃たれてゆく。
「お次は氷壁をっ! こうして置けば、ある程度は耐えられるわっ!」
「案山子《カカシ》も使いましょう」
「あんた達が、やるなら私も行くわよっ!」
「今度は、こっちから仕掛けるわよっ!」
何個か防弾氷壁を設置すると、シモーネは風刃魔法を放ちまくった。
その背後で床に伏せる、ミネットは案山子を動かして、敵から注意を惹きつける。
こうして、体制を立て直した警察隊員たちは、相手が陣取る遮蔽物へと突撃していく。
ベーリットは青毒ガスを吐きながら、レギナは口から細菌粘液を投射しながら特攻していった。
「ぐああ…………ブクブクブクブク」
「ゲホッ! ゲホッ! ガハァ」
自衛隊員は、口から泡を吹きながら後ろに倒れ、チィーナ軍兵士は咳き込んで苦しげに悶える。
「前線に突っ込んでくる連中が居るっ!」
「火力集中だっ!」
「そうは、させないっ!」
「殺らせるかっ!?」
複数のギガント&グリーン・シュヴァリエ達、機関銃手を中心にした部隊は、二人に銃口を向ける。
このままでは、ベーリットとレギナ達が、十字砲火を浴びてしまう。
そう考えた、ヴラウリオは両手に構えた、セトメ・モデロLを撃ちまくる。
同じく、イェスパーもMg M/07軽機関銃を連射して援護射撃を行った。
「こんな攻撃が効くかっ!!」
「ええいっ! こざかしいっ!」
「く、やっぱり銃弾が来るわね? レギナ、行くわよっ!」
「分かっているわっ! やって、頂戴っ!!」
ギガントは、80式汎用機関銃を撃ちまくっていたが、バイザーを攻撃されて怯む。
同じように、グリーン・シュヴァリエも、何発かずつ弾丸を喰らい続けて、気が逸れてしまう。
ベーリットは、青毒ガスを体中から一斉に噴出させて、煙幕みたいに敵の視界を遮った。
レギナも、右から左へと、細菌粘液を口からジェット噴出させ続けて、敵を科学攻撃した。
これにより、二人は姿を隠しながら敵陣へと無事に斬り込むことができた。
「うぐぐ…………ぐぁ?」
「うげぇっ!!」
「視界を遮ったとしても、私には音で位置が分かるっ!!」
またも、チィーナ軍兵士や自衛隊員が死んでいくが、雷撃のカーテンが二人による科学攻撃を遮る。
「不浄なる者どもよっ! 神の雷を喰らうがいいっ!」
ヨルギオスは、両手戦混モールを横凪に振るいつつ、黄色く輝いた稲光を放った。
「ヤバいわっ! 回避しなきゃっ!」
「ぐああっ! あぁ、あっ!」
ベーリットとレギナ達は、急いで床に伏せたが、放射された雷撃は凄まじい威力だった。
遮蔽物のドラム缶や土嚢を、後方へと吹き飛ばしながら完全に破壊する。
「レギナッ! くっ! ブシュアアァァァァ~~~~!?」
「大丈夫、雷撃が掠っただけだから」
ベーリットは急いで、口や体中から青毒ガスを吐き出し、煙幕を張る事で、レギナを庇った。
掠った程度だと、彼女は言うが、雷撃の稲光が少し触れたただけでも、全身にダメージを感じた。
アンデッドたる帝国兵と言えど、流石に無痛ではない。
いや、通常の軽症ならば、脳が痛みを感じ難いように調整されている。
しかし、強力な魔法攻撃や砲撃など、命の危機に際しては、危険信号が脳内から発せられる。
「これで、大丈夫よっ! 次いでに…………ブシュアアァァァァーーーー!?」
「私達の反撃ねっ! ブブゥゥ~~~~~~!!」
青ガスが消える前に、ベーリットとレギナ達は、毒ガスと細菌粘液を、一斉噴射した。
「しまった…………退避するっ!」
ヨルギオスは、青ガス内から発射された二人による科学攻撃を前にして、即座に撤退した。
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