【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第214話 ビル内を進むのだ

公開日時: 2024年7月12日(金) 10:50
更新日時: 2024年7月14日(日) 21:37
文字数:3,110


 警察隊員たちは、強引に罠を解除しつつ前へと進む。



「カルミーネ? ベーリット?」


 そんな中、後ろの方から、レオが声をかけてきた。



「レオ? どうしたんだい?」


「うわっ!」


「ベーリット、驚くなよ…………ここからは再び、ソムサック、シェラ達を前に出す」


「あと、オルツィには幻影で兵士の数を増やして貰うわ」


 カルミーネは、ワーウルフなので背後から聞こえた足音に気づいていた。


 一方、ベーリットは前方に集中していたため、かなり驚いた。



 そんな彼女に、レオも逆に焦ってしまったが、気を取り直して、侵入作戦の説明を始めた。


 ミアも、オルツィを前に出すことで幻影により、敵を人数が多い部隊だと騙そうと考えた。



「オルツィ、幻影を頼めるからしら?」


「任せて下さい、今作りましょう」


「ソムサック、シェラ、そんな訳で前衛を頼むっ!」


「分かってるぜ、敵が出てきたら、ぶん殴ってやるよ」


「了解です」


 ミアの指示に従い、オルツィは幻影魔術により、モザイク壁を作り出した。


 その中から、ゾロゾロと帝国軍兵士が現れる。



 レオは、楯役《タンク》として、防弾鎧を着ている二人に最前列を任せた。


 ソムサックは右腕を振り回し、シェラは細剣フルーレを鞘から抜く。



 こうして、二人を前衛とした陣形で警察部隊は、奥へと進んでいった。



「静かだ…………しかし、何処かに罠が仕掛けてある可能性がある」


「敵部隊も、おそらく潜んでいるだろうし?」


 ソムサックは、両腕を前に出し、トンファー型武器ダンを握りながら歩く。


 オルツィも、湾刀テグハを、二刀流で持ちながら敵に警戒しつつ移動する。



 もちろん、彼女は幻影により作られた、多数の帝国歩兵たちを自身より前に歩かせている。


 そうして、ビルの奥へと通路を彼らは進んでいき、楕円形ビルに繋がる入口にまで来た。



「うわっ!?」


「攻撃…………」


「うぎゃっ!!」


「ぐわわっ!?」


 ガツンガツンッと金属音が、ソムサックとシェラ達を襲う。


 ここには、センサー式のクロスボウが、大量に仕掛けてあった。



 しかし、この奇襲攻撃は、防弾鎧に身を包まれた、彼等には効かない。


 しかも、二人とともに歩いていた帝国兵は、幻影なので、消えはしても死にはしない。



「今だっ! 奇襲開始っ!」


「うらっ!!」


「撃てっ! 奴らを殲滅するんだっ!」


「射撃する、援護を頼む」


 クロスボウを民兵が射ってくると同時、弓から火矢が飛ばされる。


 その次に、自動小銃や軽機関銃による攻撃が一気に始まる。



「やっぱり、敵が出てきたか?」


「待ち伏せ…………」


「皆さん、ここは私の幻影で対処しますっ! 今のうちに遮蔽物へっ!」


「それは、私に任せてっ!」


「火矢じゃなければ、私も蔦木楯を作るんだけどっ?」


 火矢と機銃弾を真っ向から受けながらも、ソムサックは両腕から短機関銃を牽制のため乱射する。


 シェラも、XM8の弾倉を片手で撃ちまくり、弾が空になると、ドラムマガジンに取り替える。



 幻影兵士を作りまくり、彼方此方《あちらこちら》に銃を撃たせながら走らせる、オルツィ。


 そんな彼女の前に出て、シモーネは氷壁を作って、銃撃を防御する。



 その左側に隠れた、ミネットは小型拳銃ル・フランセ・ミリタリーを発砲する。



「敵は、分隊規模だっ! RPGーで吹き飛ばしてやれっ!」


「ダネルを持った奴はっ?」


「どこ行ったんだ?」


「ここだ、今撃ちまくるっ!」


 褐色ラテン系PMCが、RPGー7を発射すると、黒人レジスタンス員は叫ぶ。


 それを聞いて、事務机の裏からPPS短機関銃を撃ちまくる、白人民兵が呟く。



 ダネルMGLを持った、連合軍兵士はグレネード弾を次々と発射してきた。



「わわわわっ! 敵は火力が高すぎんだろっ!」


「こっちは室内戦を想定してたから火力の高い武器は無いわよっ!」


「RPGと汎用機関銃が欲しいよっ!」


 レオは焦りながらも、H&K、UMP短機関銃を頭上に掲げつつ撃ちまくって、左側に走ってゆく。



 こうして、事務机や隔て板の裏側を移動する。



 その動きは、情けないように見えるが、味方に注意が向かないようにしているワケだ。



 ミアは、近くにあった事務机に身を隠しつつ、MPiーAKー74Nの照準を覗きながら敵を撃つ。


 カルミーネは、隔て板の下で伏せながら、芋虫みたいに床を這う。



「ヴラウリオ、イェスパー、ベーリット、右から行くわよっ!」


「分かったわ、でも今は援護するからっ!」


「俺たちは先に進むぞっ!」


「回り込んで、攻撃だ」


 レギナは、左側の黒マントを翻しながら素早く走っていく。


 それを援護するべく、ベーリットはAGー3を単発射撃で敵を撃ってゆく。



 ヴラウリオは、身を屈めながら慎重に遮蔽物の裏を進んでいく。


 イェスパーも、一気に疾走しながら事務机から隔て板の間を走り抜けていく。



「敵を発見した、攻撃集中だっ!」


「援軍だっ! 敵はどこに居る?」


「火力で押しきれっ!!」


「ワータイガーの登場だっ!!」


 ZBー26軽機関銃を、白人民兵は連射させてきた。


 さらに、増援として現れた、グリーン・シュヴァリエは、ミニミ分隊支援火器を乱射し始めた。


 顔を緑色のバラクラバで隠した、民兵はRPGー7を発射する。



 それは、イェスパーやヴラウリオ達が隠れていた事務机を吹き飛ばす。


 戦場に現れた、ワータイガーは、ブローニングオート5を乱射して散弾を放ちまくる。



「ぐうぅぅ!? 破片が刺さった? こんな物っ!!」


「今、回復魔法を掛けてやる、待ってろ」


 RPGー7から放たれた弾頭は、事務机を粉々に破壊したが、イェスパーの左肩に破片が刺さった。



 彼は、それを自分の右手で引き抜くと、ヴラウリオから回復魔法を掛けられた。


 それにより、傷口は塞がった事で、また戦線復帰できるようになった。



「氷を分厚くしてるけど、限界だわっ!」


「私の幻影も、何とか注意を惹き付けてますが、RPGー弾は流石に氷壁を…………」


「分かったわ、私も移動する」


 シモーネは、銃撃を受ける度に氷壁を分厚くし続けていたが、限界も近い。


 今受けている弾丸の中には、強力な物も混じり、しかもRPGー弾やグレネード弾が付近に当たる。



 その爆風を受ける度に、氷壁全体に亀裂ができてゆく。



 オルツィも、彼女の真後ろで幻影兵士を量産していたが、冷静に防護氷壁は限界が近いと悟る。


 そんな中、ミネットは即座に転がりながら左側のコピー機に隠れた。



「今よ、二人ともっ! 私の囮《デコイ》が機能している間にっ!」


「あそこだっ!」


「RPGーを撃ちまくれっ!」


「ダネルもだっ!!」


 ドライアドである、ミネットは事務机や隔て板の上から蔦で分身を作りまくる。


 それに気を取られた、民兵や連合軍兵士たちは、RPGー7やダネルMGLを派手に撃ちまくった。



 ドンドンと遮蔽物が破壊されていくが、それらから頭を出しているのは、蔦でできた囮《デコイ》だ。



「今よって、待ってて、今すぐ行くから…………」


「私は、モザイクをっ!」


 氷壁が破られる前に、シモーネは火炎魔法を右から左へと放射して、炎のカーテンを作った。


 それと合わせて、オルツィも隔て板に隠れたあと、すぐ敵の眼前にモザイクを出現させた。



「うわっ! 何だ、炎で敵が見えないっ!」


「モザイクも邪魔だっ!」


 黒人PMC要員は、敵側付近に現れた炎の壁に、M4A1を乱射しながら驚きつつ叫ぶ。


 グリーン・シュヴァリエも、目の前に現れた虹色モザイクを邪魔がる。



「シモーネ、こっち、こっち…………今、敵は慌ててるでしょ? だから私と貴女で合わせ技を放つわ」


「は? いったい、どんな?」


 ベーリットは、シモーネを手招きすると、互いの連携により、合わせ技を放つと言いだした。



「まあ、それはね…………」


 ベーリットは、遮蔽物の裏から敵を観察しながら呟く。



 こうして、彼女は思い付いた策謀を放つ準備を行うのであった。

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