【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第23話 この拠点はもう駄目だ放棄するっ!

公開日時: 2024年7月9日(火) 13:22
更新日時: 2024年7月12日(金) 22:40
文字数:4,226


「敵襲ーーーー!?」


「直ぐに逃げる準備をしろっ!」


 地下拠点内を、ひたすら慌ただしく走り回る、レジスタンス達。


 彼等は、奇襲攻撃を仕掛けてきた、警察部隊に対して、応戦を始める。



「これより反逆者の排除を始める」


「反逆者は全て撃ち殺す…………」


 ガリーナ二等兵は、PPSh41短機関銃を連射しまくった。


 七十一発もの弾丸を、レジスタンス達に向け、突発的に降り注ぐ、スコールみたいに浴びせる。



 一方、ギルシュ二等兵はと言うと、ドラムマガジンを付けた、AEKー941ライフルを連射する。


 銃口から発射された、5、45ミリ弾は暴風雨の如く放たれ続ける。


 レジスタンス達の身体に浴びせて、制圧射撃を加える。



「カルーラッ! ヴェルナー! お前ら!?」


 レジスタンス員は驚いた表情で叫び、ガリーナ二等兵とギルシュ二等兵たちの姿を見る。



「今の奴等は帝国兵だっ!? 情けは掛けるなっ! 撃ちかえせっ!」


 レジスタンス達も、応戦して段々と後退して行くが、ガリーナ二等兵は青い唇を大きく開く。



「はあぁ~~?」


『ブシャーーーーーーーーーー!!』


「う…………あっ! …………」

  

「ぐっ? …………」


 そして、口から強力な青い毒ガスを噴射し、レジスタンス達を、強力な猛毒で苦しめて殺す。



「グールだっ! 気を付けろっ! 接近してきたら毒ガスをくらうぞっ!」


「ガスマスクは無いのかっ!」


 レジスタンス達は、それぞれの武器で何とか応戦しようとする。


 彼等は、ソードオフショットガンから散弾を撃ち放ったり、スターリング短機関銃で反撃する。


 しかし、レジスタンス側は、徐々に帝国警察特殊部隊に追い詰められていく。



 こうして、彼等は奥の地下道へと走り、即時撤退を始める。



「追えっ! 逃がすな…………」


 警察部隊は、逃走を開始した、レジスタンス側を追い掛けるが。


 その後方から、黒と青で塗装された、ウェットスーツを来た、兵士達が増援に来た。



 彼等は、軽装なプレートアーマーと、弾帯を装備しておる狼人間に見える男女数名の兵士だ。


 そして、人狼たちは先行していた、特殊部隊員の合間をすり抜け、レジスタンス達を追撃して行く。



「クンクン…………彼処だな?」


 一人の人狼兵士が、走りながら壁や段ボール箱に向け、MP7で銃撃を加えて爆発させて行く。



「スンスン…………! ここにも罠があるわよ…………」  


 狼女とでも言うべき、女性兵士が壁に置かれている棚を目掛けて、MP5を構えて撃ちまくる。


 それによって、無数の穴が空いた棚を大爆発させる。



「人狼《ヴィオ・ヴォルフ》…………」


 警察部隊の隊員が、そう呟く中、人狼達はレジスタンスの匂いを辿り素早く掛けて行く。


 一方、連中から追撃されている、レジスタンス達は、ひたすら逃走していた。



「爆破しますっ!」


 その最中、レジスタンス員が、リモコンを掴み、スイッチを押した。


 すると、地下道内で、C4プラスチック爆弾を起爆し始めた。



 これによって、天井から大量の瓦礫を崩落させてしまう。


 レジスタンス側は、道を完全に塞いで、退路を帝国側が、追跡出来ないようにしてしまったのだ。



「これで時間を稼げるな? 皆走れっ! 早くここから離れて次の隠れ家に向かう…………これからは二手に別れて行動する」


 レジスタンス・リーダーは、そう命令を下すと、数名の仲間達と、右側に続く地下道へ行く。


 残りのレジスタンス達は、左側へと続く下水道へと向かう。



「また、逃亡生活か…………まあ帝国に捕まるよりはマシかな?」


「そうね…………」


 逃げ続けるレジスタンス達だが、もちろん、ナタンとメルヴェ達の姿もあった。


 彼等も、別のセーフハウスであるアジトを目指して、ひたすら臭い匂いが充満する下水道を走る。



「ここを曲がるぞ」


「ハキム…………良いのか道を外れて?」


 ハキムと呼ばれたアラビ人男性は、後ろから、レジスタンス仲間に問われる。



「複雑なルートを辿った方が安全に、アジトまで行きやすいからな」


 先頭を進む、ハキムはそう答えると、後は何も言わずに黙々と歩く。


 ナタンとメルヴェ達を含む、レジスタンス達も、彼の後ろに続いて歩いて行く。



 ナタンは、毎日鼬《いたち》ごっこの繰り返しで、もう抵抗運動に嫌気が差していたが。


 だが、それでも諦めずに帝国に対して、抵抗を続けなければ成らない。



 そして、強大な圧政者たる、ノルデンシュヴァイク帝国に勝利する日までは、と気を引き閉め直す。



 でも、非力な自分達レジスタンスに、果たして、何時そんな日が来るのだろうかとも彼は思う。


 何時かは、自分やメルヴェも帝国に殺されるか、洗脳されてしまうんだろうか。



 そう考えて、ナタンは不安になる。



「…………怖い? 恐い? 得体の知れない幽霊の様な帝国が…………彼等に殺されるのが…………洗脳されるのが…………」


 彼は度重なる戦闘による、緊張と恐怖で精神的には、だいぶ参っているのだ。



「…………僕は恐ろしい…………この地下道も何処へと続いている? 下水道からカタコンベ…………レジスタンスのアジト…………昔の地下塹壕…………それとも? 」


 何処に敵が潜み、出口に続くのかも分からない、迷路みたいな下水道を進む、ナタン。


 彼は、得体の知れない恐怖に怯える。



「…………この暗闇は永遠に続き…………僕の悪夢が終わり目が覚めるまで続くのだろうか…………その悪夢が終わると僕は…………に?」


「ナタン? 大丈夫なの? 顔色が悪いわよ?」  


 ナタンの右隣を歩いていた、メルヴェは汗だくになり、顔色が悪い彼を心配して声をかけた。



「大丈夫だよ、メルヴェ…………心配してくれて有り難う、僕は少し考え事をし過ぎただけだよ」


 ナタンは、額から流れでる汗を、デニムのポケットから、ハンカチを取り出して拭き取る。



 その時、いきなり遠い向こう側から、ボート型ドローンが現れた。


 そいつが、こっちに向かって来るのが、大きなエンジン音で分かった。



「横道に逸れろ…………」


 ハキムは、いきなり立ち止まって、すぐさま仲間たちに命令する。


 みんなが彼に続き、横道に隠れて、ボート型ドローンが通り過ぎるのを待つ。



『センサーニ、イジョウナシッ! ワレ…………テキ、ハッケンデキズッ! ジュンカイヲ、ツヅケルッ! …………』


 ボート型ドローンは野太い男の声みたいな合成音声を出すと、また何処か奥へと行ってしまった。


 それから、レジスタンス達は横道から出ず、そのまま静かに直進して行く。



「ボートが行ったな…………俺達も行くぞ」


 ハキムは、ボートの後ろ姿を見ながら冷静に命令を下すと、即座に歩き出す。


 仲間たちも、ボートや潜伏している帝国軍兵士に警戒して、下水道を通って行った。



「過酷な戦い…………時に銃を撃ち合い…………時に民衆に紛れ…………時に罠を張り…………時に罠に気を付ける…………何処へ行こうとも安眠等出来ない…………安心して暮らす事も夢のまた夢の中の話だ…………」


 悪夢の迷宮が如く、永遠に続くかと思われる冥界へと辿る道を、ナタンは歩き続ける。



 その隣を共に歩く、メルヴェは、彼を心配しようにも、帝国兵や罠に警戒しなければ成らない。


 今は、彼女も下水道内を、ただ無言で歩いて行く事しかできなかった。



 彼等レジスタンスは、暗い道を進み、そして、帝国はそれを追い掛ける。



 獲物を仕留めようとする、猛獣の如く。



「崩落したか…………奴等の捜索は他の部隊に任せるとするか?」

 

 部隊長であるザミョールは、即座に判断を下し、自らの部下に退散命令を出した。


 彼は、どうせ奴等は袋の鼠だと思い、また自ら網に掛かりに来るだろう。


 成らば無理をせずに、次にまた連中を狩れば良いと考えたのであった。



「我々は撤収するぞ…………」


 ザミョールに命令を下された、警察隊員たちは、装甲車を止めている地上を目指して撤収を始める。



 彼等が地上に出ると、そこには、かつての美しい町並みは無かった。


 変わりに、無機質で黒い巨大なビル群や、軍事施設が立ち並んでいた。



 それらの建築物は、天を突くように長い建物や横幅の有る建物で、市内を埋め尽くしている。


 さながら、黒と青の巨人軍団が、まるで地上を支配するように、威圧的な雰囲気で聳え立っていた。



「今日も雪が舞っているな…………」


 地下防空壕の入り口から出てきた、ザミョールは分厚い黒雲に覆われた空を眺める。


 それは、まるで闇夜の如く、真っ暗で絶えまなく常に上空を覆っている。


 彼は、太陽の暖かい光を遮る、暗い空を見上げながら、ひらひらと枚落ちる雪を見つめる。



「この雪が、アフレアやアシュアに降れば我々も人類と早く決着をつけられると言うのに…………」


 ザミョールは、分厚い雲に覆われた空を見上げ、頬に冷たく突き刺さるような固さの雪が張り付く。


 そんな中、膠着状態にある南方戦線の事を考え、一人呟く。



 ノルデンシュヴァイク帝国の人間たち。



 或いは、アンデッド達は、太陽が放つ強い陽射しや砂漠の熱気等に弱い。


 それ故に、アフレアやアシュア地域に、本格的な侵攻作戦が、実行できずにいたのだ。



「本国から増派部隊が派遣されれば、この星の人間等、一捻りに出来るんだが…………」


 ザミョールは、右隣にあるビルの屋上に設置されている、巨大な室外機を眺める。


 それから、反対側に位置する工場に作られた、エアコンのような形状をした、機械を見つめる。


 またも、疲れたかのような掠れた声で呟く、彼が立ち止まる。



 これ等の機械は、巨大な冷房装置や、強烈な寒波を出す装置である。


 また、他にも様々な装置が、ハンザを始めとする、北半球地域全域に配備されていた。


 それらの装置が、北半球地域を分厚い雲に覆い、決して絶えることがない雪を降らせる。



 こうして、帝国が設置した機械類は春が来ない永遠の冬を作り続けていた。



 この惑星ヴァースで行動する、帝国軍兵士・帝国警察隊員たちは、常に冬と雲に包まれている。



 彼等は、これらの装置による寒冷化で、太陽に肌を焼かれる事なく、活動する事が出来た。


 また、これ等の装置を小型化&移動できるように改良して、南方戦線に投入する予定もある。



「しかし、本国の命令が無ければ行動する事は出来ない…………」


 ザミョールは、他の惑星や異世界に侵攻している、部隊によるヴァース到着を持っている。


 また、本国による南方戦線に対する侵攻命令が、何時下るのかと思案する。



 そして、先程よりも雪の振り方が強く成ってきた。



 いくら寒さに強い、ノルデンシュヴァイクの人間とは言えだが。


 流石に、雪まみれに成りたくないと思った、ザミョールは歩きだす。



 彼は、道路脇に止めて有る、指揮車両《APC》を目指して行った。

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