【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第243話 ブリュッセル公園を戦場に

公開日時: 2024年7月12日(金) 12:30
更新日時: 2024年7月15日(月) 07:51
文字数:3,012


 連合側が陣取るビル内に、帝国側の部隊が、一気に強行突入してきた。



「ヤバいぞ、連中が上にまで来てしまうっ!」


「そうなったら、私達は終わりよっ!? 何とかしないとっ!!」


 慌てて、後ろに振り向き、部屋内に帝国軍兵士が来るかも知れないと、ナタンはAK12を構える。


 メルヴェも、イエローボーイを木箱に置くと、RDIストライカーを握り締める。



「あら? あんたら、まだ生きてたのね?」


「ベリー?」


「レパード…………」


 飄々とした雰囲気で現れた、ベリー・レパードは、右肩にSVー98狙撃銃を担いでいた。



「それより、呑気な事は言ってられな…………」


「大丈夫、ここはパブロフの家よっ?」


「パブロフの家?」


 慌てて、敵の侵入を伝えようとするナタンに対して、ベリー・レパードは笑顔を見せた。


 そして、メルヴェは不思議そうな顔をしながら呟いたのだった。



「あ~~? スターリングラード、史上最大の戦いって、知ってるかしら?」


「あん、あっ! そう言う事かっ!」


「えっ? どう言う事なの…………」


 ベリー・レパードの説明に、ナタンは納得したが、メルヴェは腑に落ちない。



「つまり、ここは罠だらけって、事だっ!」


「味方は作動しないけど、帝国兵は死ぬわ」


 ナタンは、建物内に仕掛けられた数々の罠が、帝国兵を待ち構えている事を、メルヴェに教える。


 ベリー・レパードも、また飄々とした何食わぬ顔で歩きだした。



「じゃあ、私はベルビュー博物館の方に行くから~~」


「向こう側も、敵が居るのか?」


「ぎゃああああっ!」


「ぐわっ!?」


 そう言って、立ち去ろうとする、ベリー・レパードに、ナタンは行き先の様子を聞こうとした。


 しかし、階下から急に、帝国軍兵士の悲鳴や爆風で吹き飛んでしまった音が鳴り渡る。



「彼女が仕掛けた罠ね?」


「それに、銃声もするっ!」


「お前ら、下の戦いは味方に任せておけっ!」


 ナタンとメルヴェ達を、ウェンは叱りながらも、灯油缶と火炎瓶を、ビル外に投下した。


 それは、フレッチャ歩兵戦闘車を炎上させて、車内から、戦車兵や歩兵たちが逃げ出してくる。



「ぐああああ~~~~?」


「ぎゃあああああっ!?」


 燃え盛る火炎と発火した灯油で、戦車兵たちは車上から転がり落ちる。



「味方の対戦車兵は、まだ来ないのかっ!」


「隊長、正面からTー90、いや、アレは更に大きいっ!」


「何だか分かりませんが、大型戦車が来ますっ!」


 ウェンは、階下に迫らんとする公園内の塹壕から銃撃してくる敵に、猛烈な射撃を浴びせる。



 その最中、88式汎用機関銃を撃っていた、ワンは敵が機甲部隊を突撃させてくる姿を見た。


 チューも、敵がTー90Mプラルィブよりも黒くて、大きい車体に注目する。



「アレは…………Tー95チョールヌイ・オリョールだっ! ゲームでしか見た事がない試作機だ」


「帝国は、正式採用したのよっ!」


 ナタンは、Tー95の部隊を見て叫び、メルヴェは木箱に、RDIストライカーを置く。


 三両からなる戦車部隊は、連邦政府庁舎の方から侵攻してきた。



「どっちにしろ、アレは味方が撃破してくれると良いが…………」


「ウェン隊長、我々が援軍に来ましたぞっ!」


「隊長、バロン・オルタ通りの敵は、狙撃し終えました」


 95式自動歩槍の弾倉を装填しつつ、崩落した壁から離れて屈んで、敵を見据えていた。


 タカヤマとアイリー達が現れて、他にも緊急展開部隊と自衛隊員らが、続々と部屋に入ってきた。



「二人とも、正面から戦車が来ているがっ!」


「うわっ! 伏せろっ!」


「砲撃だわっ!! きゃあっ!?」


 ウェン隊長が、二人に警告すると同時、彼方此方《あちらこちら》の屋根や壁面が爆発する。


 真正面から見ると、半月型に見える、爆発物反応装甲を装着した、Tー95が砲撃してきたのだ。



 重戦車による砲弾の嵐を受けて、建物が激しく揺れ動き、タカヤマとアイリー達は、怯んでしまう。


 それでも、果敢なチィーナ兵と自衛隊員たちは、対戦車用の武器や兵器を使用する。



「カール君だっ! 喰らっておけっ!」


「HJー8の設置完了」


「ジャベリン部隊や機甲部隊が到着するまで持ちこたえるぞっ!」


「ランチャーでも、当たりなっ!」


 自衛隊員が、カールグスタフ無反動砲を肩に担いで、一発弾頭を放った。


 その後ろでは、チィーナ軍兵士たちが、対戦車ミサイルであるHJー8を設置している。



 171式重機関銃の二脚を、窓際に置いた、チィーナ軍機関銃手は機銃掃射しまくった。


 69式火箭筒を、構えたチィーナ軍砲撃手は、下方に弾頭を放つ。



「ぐわああっ!!」


「があっ!?」


「うわ、ぎ、げっ!」


「ぐううううっ!」


 カールグスタフ無反動砲から放たれた、弾頭は見事に、Tー95の砲塔正面に命中した。


 しかし、爆発物反応装甲が吹き飛んだだけで、砲塔本体は、未だ無傷のままだった。



 171式重機関銃は、公園内に張り巡らされた、塹壕を走る帝国軍兵士たちを蹴散らす。



 また、近づき過ぎた、オーガー&シュヴァルツ・リッター達も、機銃掃射や69式の砲撃に倒れる。


 いくら、装甲兵と言えども、この距離なら1、27ミリ弾に防弾装甲を貫かれてしまう。



「すごい勢いだっ! しかし、まだまだ敵は来るぞっ!!」


「下から走って来るわっ! 何とかしないとっ!」


 ナタンは、塹壕内を通り抜ける帝国軍部隊を目にしながら、奴等にAK12を単発連射する。


 メルヴェも、イエローボーイを公園に向かって、猛連射しまくる。



 戦車砲や機関砲による、総攻撃は未だ止まず、Tー95部隊も真っ向から向かってくる。



 その時、空から銀色に光る何かが飛んできた。



「敵のミサイルだっ! 総員退避っ!」

 

「間に合わんっ! 伏せるんだっ!」


 ウェンとタカヤマ達は、叫び声を上げながら銀色に光る物体を恐れた。



 だが、銀色に光る物体は、連合側を攻撃しなかった。



「うわっ?」


「うぐぅーー!!」


「が、ぐっ!」


 その正体は、ロシャ製、民間プロペラ機である、Suー31だった。


 急降下した機体は、左右両側に備えた、AGSー30自動擲弾銃を機銃掃射するように撃ってきた。



 この爆撃により、Tー95部隊と帝国軍歩兵部隊が、空爆に曝されてしまう。



 次々と、爆炎と土煙を上げる公園の中では、歩兵や装甲兵が炎に包まれた。


 そして、Tー95自体に取り付けられた、爆発物反応装甲も、幾つか吹き飛んだ。



「味方機か? 郊外から低空で飛んできたんだなっ!」


「ナタン、それより、アレを見てっ!」


 機体下部から緑色の毒ガスが噴出しつつ、ブリュッセル王宮に、Suー31は飛んでいく。


 ナタンとメルヴェ達は、それを眺めていたが、下から来る帝国兵たちに気を向ける。



「皆さんっ! ここは、私に任せて下さいっ!!」


「はっ? 幻影を展開するんだなっ!」


「味方部隊も、押されてるっ! 頼んだわよっ!」


「俺は…………その間に」


 アイリーは、191式自動歩槍を構えつつ、単発で次から次へと、敵歩兵を仕留めていく。


 ナタンとメルヴェ達は、彼女が幻術を使って、偽者の兵士を作ろうとしている事に気づいた。



 一方、チューはHJー8の砲身をロワ通りに展開しているBMPー3歩兵戦闘車に向けた。



「やった、撃破したぞっ!」


「だが、まだ一両だけ残っているぞ、気を抜くなっ!」


「残りも、完全破壊しろっ!」


 チューの一撃を見ても、ワンは喜ばずに88式汎用機関銃を撃ちまくる。


 ウェンも、95式自動歩槍を床に置いて、背後の壁際に立たせた、87式自动榴弹发射器を取る。



 こうして、東側から攻めてきた、帝国軍装甲擲弾兵師団を相手に、連合軍部隊は苦戦するのだった。

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