【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第239話 後退中…………

公開日時: 2024年7月12日(金) 12:17
更新日時: 2024年7月15日(月) 07:45
文字数:3,049


「逃がすかっ! お前らは死ぬんだっ!」


「させないよっ!!」


「…………」


 Mg M/07軽機関銃を構え、ナタンとメルヴェ達に連射しまくる、イェスパーだが。


 エスメラルは、瓦礫を蹴って、銃身に当てて銃弾の軌道を剃らす。



 しかし、彼女にできた隙を見逃さず、サナダは鉄パイプを振り下ろす。


 さらに、イッセンはAKカスタムで、カディアはAKMカスタムで、それぞれ射撃してくる。



「不味いね、でも、それも当たらないよっ!」


 煙玉を叩きつけながら、エスメラルは後ろに下がったと同時に走り出す。



「ゲフッ! ゲフッ! やろう、逃げやがったな?」


「何処だっ! 奴は何処に逃げたんだっ!」


「分からないわ?」


「ワンガリ、ヨルギオス、援護は頼んだよっ! ジュジース、時間だぁっ!!」


 白煙が吹き出すと、イェスパーは視界を塞がれた事で、誤射を防ぐべく射撃を停止させる。


 狼顔のイッセンは、AKカスタムを構えながら耳と鼻を頼るが、爆風や銃声ばかり聴こえる。



 カディアも、AKMカスタムを構えつつ、様子を探ろうとするが、敵の位置は不明なままだ。



 そんな中、エスメラルは腰の両側ポケットに手を突っ込み、煙玉を転がしてゆく。



「あの女を止めないとっ!」


「待ちなさいっ!」


「誰が待つか、バカやろーーーー!!」


 MABモデルDを発砲するフロスト中尉と、P90を連射し続ける、ネージュ準尉。


 そんな彼らの射撃を物ともせず、エスメラルは円形氷壁にも、煙玉を幾つか投げ込んできた。



「ぐわっ? これじゃあ、前が見えないっ!」


「敵は何処よ?」


「なら、死ぬだけだぞっ!」


「戦場では、油断した者から落命するっ!!」


 敵を探す、フロスト中尉とネージュ準尉たちは、奇襲を警戒する。


 しかし、彼らの懐に易々と、ワンガリとヨルギオス達が侵入してしまう。



「しまったな~~?」


「貰ったぞ…………」


「お前らは、俺がっ!」


 焦るフロスト中尉の前に、いきなりワンガリが現れると同時、投槍エンペレを突き出した。


 ヨルギオスも、二人が存在する中央以外に、雷撃魔法を扇状に放った。



「ぐああああ~~~~!?」


「ぎゃああああっ!!」


「ああああぁぁっ!?」


「ぐぎゃーーーーーー!!」


 ヨルギオスの雷撃を喰らった、ネージュ準尉とシモーネ達は感電しながら床に転がる。


 ラグダとハルーン達も、あまりの苦痛に悶えながら白眼を向いて倒れてしまう。



「やったか?」


「ぐぅ?」


 ワンガリが放った、炎を纏った投槍エンペレによる一突きは、フロスト中尉の胸を貫いた。



「ふっ!」


 串刺しにされた、フロスト中尉は力なく床に投げ捨てられると、ワンガリは撤退するべく走り出す。


 その後を追って、ヨルギオスも駆け出していき、真っ直ぐ向かっていく。



「こんな氷っ!」


「俺たちにはっ!」


 ワンガリは投槍エンペレの柄で氷壁を叩き、ヨルギオスは両手戦混モールを振るう。


 そうして、円形の防弾氷壁は、簡単に崩されてしまい、氷は欠片となって周囲に散らばる。



「逃がさないわっ!」


「まだ、私達がっ!」


「居るわね?」


 左側の部屋から、レギナとルルワ達が登場すると同時、ジュジースが彼女らに白兵戦を仕掛ける。



「さあ、死になさい」


 彼女による剣捌きは凄く、細剣エスパダ・ロペラで、レギナの左腕を切り飛ばす。


 ルルワも、屠殺用短剣プニアルで右手を切り落とされてしまう。



「オマケよっ! 貰っておきなさいっ!」


「ぐぅ? このっ!」


「しまったわ…………」


 ジュジースは、直ぐに彼女たちから離れていき、煙玉を転がしながら逃走する。


 そして、反撃しようにも、レギナとルルワ達は視界を遮られた事で、何もできなくなる。



「ジハード、フランシーヌ、早くしろっ! 援軍が後方で待っているぞっ!」


 遠く後方から、マフディの大声が、ナタン達に聞こえてきた。



「あの野郎、見えないと思ってたら、先に行ってやがったな? たく…………」


「逃げ足だけは、速いんだかさ」


 ジハードとフランシーヌ達は、二人して安全な後方を目指して駆けてゆく。



「ん…………帝国軍兵士だっ! 何処から現れやがったっ!」


「タカヤマ隊長、コイツらは幻影ですっ!」


 後方から、豊和20式小銃を構えていた、タカヤマは急に現れた敵兵に戸惑う。


 しかし、部下からの報告を効いた、彼が実際に銃撃すると弾丸が、敵をスリ抜けてしまう。



「コイツは、不味いなっ! 撤退の足並みが揃わなくなる…………」


 タカヤマは呟きながら、仕方がないので、前方に射撃を集中させる。



「こっちだ、早く来てくれっ!」


「ああ、分かっているっ!」


「敵の様子は、どうなっているんだ?」


 マフディは、ただ一人後退していただけでなく、援軍を呼びに行っていたのだ。


 ここに、現れた増援はレジスタンス達を指揮する、ウェストとハキム達。



「な、なな、何だ、こりゃ? 敵だらけじゃねぇか?」


「敵と味方が混戦しているっ!」


 ウェストは、コルト・デルタエリートを撃ちながら味方が逃走するのを支援する。


 ハキムも、帝国軍兵士に向けて、ヘルワン920拳銃で応戦する。



「後ろからも援軍が来たぞっ! さあ、早く部屋に入るんだっ!」


「こっちよ、今のうちに退避しないと」


「分かっているわ、後はジハードだけよっ!」


「俺なら大丈夫だ、心配しなくていいっ!」


 ナタンは、AK12の弾倉が空になるまで、援護射撃で撃ち尽くす。


 RDIストライカーの弾倉を回転させながら、メルヴェは散弾を一発ずつ込めていく。



 そこに、フランシーヌは必死で走っていき、二人の元にたどり着いた。


 しかし、ベクターSSー77汎用機関銃を撃ち、殿を勤めるジハードは、まだ遠くに残っている。



「お前ら、今行くっ? いうぅぅ…………?」


「奇襲だ」


 ジハードの背中に、塹壕内から立ち上がった、チュソン兵が機銃弾を当てた。



「ジハード、ジハード、早くしろっ!」


「バカやろーー! 俺は置いてけ、ナタンッ!」


 ナタンは口から血を垂らす、ジハードの名を叫ぶが、襟首を捕まれて連れてかれる。



「ナタン、今は撤退が優先よっ!」


「そうだぜ、今戦うのは無意味だ」


「ジハードを置いていくのかっ!?」


 彼を引っ張るメルヴェと援護射撃を続けるフランシーヌは、ナタンを説得する。



「俺は一人でも行くっ!」


「良く言った、それでこそ、男だっ! ナタン?」


 ナタンが怒声を張り上げると、フロスト中尉が彼にシャスポー銃を向けていた。


 そして、一発弾丸が放たれたが、それはナタンの頬を掠める。



「ナタン、メルヴェッ! 今まで何処に行ってたの? 早く戻って来なさいっ! そうすれば、降伏勧告に従ったと見なすわ」


 P90を連射しながら、ナタンとメルヴェ達に対して、降伏勧告を告げる、ネージュ準尉。



「うわっ! 腹を撃たれた…………だが」


「きゃあっ!?」


 P90から放たれた弾丸は、ナタンの腹部を貫いたが、綺麗に体から抜け出てしまった。


 一方、メルヴェは咄嗟に身を伏せたので、一発も銃撃が当たらなかった。



「フロスト、フィーン先生…………」


「ハハッ! 懐かしいな、その呼び名はっ!」


 ナタンは腹を押さえながらも、シャスポー銃を構える、フロスト中尉を睨む。



「このっ! 二人とも、早く部屋に入るんだっ! ん?」


 部屋まで、たどり着いた、フランシーヌはストックレスAKを撃ちまくる。


 その間、ドンッと言う爆発音とともに、黒い軍用ジープが走ってきた。



「機銃弾を、バラ蒔くんだっ!!」


「これで、敵に牽制できるねっ!」


 ブラジラ製、アグラレ・マルア軍用ジープが入ってくるなり、二名の兵士が機銃掃射を始めた。


 一人は、門型バーに備え付けられた、M2キャリバー重機関銃を撃ってきた。



 運転手も、PKTM車載機関銃の座席に移動すると、即座に連射してきた。

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