「逃がすかっ! お前らは死ぬんだっ!」
「させないよっ!!」
「…………」
Mg M/07軽機関銃を構え、ナタンとメルヴェ達に連射しまくる、イェスパーだが。
エスメラルは、瓦礫を蹴って、銃身に当てて銃弾の軌道を剃らす。
しかし、彼女にできた隙を見逃さず、サナダは鉄パイプを振り下ろす。
さらに、イッセンはAKカスタムで、カディアはAKMカスタムで、それぞれ射撃してくる。
「不味いね、でも、それも当たらないよっ!」
煙玉を叩きつけながら、エスメラルは後ろに下がったと同時に走り出す。
「ゲフッ! ゲフッ! やろう、逃げやがったな?」
「何処だっ! 奴は何処に逃げたんだっ!」
「分からないわ?」
「ワンガリ、ヨルギオス、援護は頼んだよっ! ジュジース、時間だぁっ!!」
白煙が吹き出すと、イェスパーは視界を塞がれた事で、誤射を防ぐべく射撃を停止させる。
狼顔のイッセンは、AKカスタムを構えながら耳と鼻を頼るが、爆風や銃声ばかり聴こえる。
カディアも、AKMカスタムを構えつつ、様子を探ろうとするが、敵の位置は不明なままだ。
そんな中、エスメラルは腰の両側ポケットに手を突っ込み、煙玉を転がしてゆく。
「あの女を止めないとっ!」
「待ちなさいっ!」
「誰が待つか、バカやろーーーー!!」
MABモデルDを発砲するフロスト中尉と、P90を連射し続ける、ネージュ準尉。
そんな彼らの射撃を物ともせず、エスメラルは円形氷壁にも、煙玉を幾つか投げ込んできた。
「ぐわっ? これじゃあ、前が見えないっ!」
「敵は何処よ?」
「なら、死ぬだけだぞっ!」
「戦場では、油断した者から落命するっ!!」
敵を探す、フロスト中尉とネージュ準尉たちは、奇襲を警戒する。
しかし、彼らの懐に易々と、ワンガリとヨルギオス達が侵入してしまう。
「しまったな~~?」
「貰ったぞ…………」
「お前らは、俺がっ!」
焦るフロスト中尉の前に、いきなりワンガリが現れると同時、投槍エンペレを突き出した。
ヨルギオスも、二人が存在する中央以外に、雷撃魔法を扇状に放った。
「ぐああああ~~~~!?」
「ぎゃああああっ!!」
「ああああぁぁっ!?」
「ぐぎゃーーーーーー!!」
ヨルギオスの雷撃を喰らった、ネージュ準尉とシモーネ達は感電しながら床に転がる。
ラグダとハルーン達も、あまりの苦痛に悶えながら白眼を向いて倒れてしまう。
「やったか?」
「ぐぅ?」
ワンガリが放った、炎を纏った投槍エンペレによる一突きは、フロスト中尉の胸を貫いた。
「ふっ!」
串刺しにされた、フロスト中尉は力なく床に投げ捨てられると、ワンガリは撤退するべく走り出す。
その後を追って、ヨルギオスも駆け出していき、真っ直ぐ向かっていく。
「こんな氷っ!」
「俺たちにはっ!」
ワンガリは投槍エンペレの柄で氷壁を叩き、ヨルギオスは両手戦混モールを振るう。
そうして、円形の防弾氷壁は、簡単に崩されてしまい、氷は欠片となって周囲に散らばる。
「逃がさないわっ!」
「まだ、私達がっ!」
「居るわね?」
左側の部屋から、レギナとルルワ達が登場すると同時、ジュジースが彼女らに白兵戦を仕掛ける。
「さあ、死になさい」
彼女による剣捌きは凄く、細剣エスパダ・ロペラで、レギナの左腕を切り飛ばす。
ルルワも、屠殺用短剣プニアルで右手を切り落とされてしまう。
「オマケよっ! 貰っておきなさいっ!」
「ぐぅ? このっ!」
「しまったわ…………」
ジュジースは、直ぐに彼女たちから離れていき、煙玉を転がしながら逃走する。
そして、反撃しようにも、レギナとルルワ達は視界を遮られた事で、何もできなくなる。
「ジハード、フランシーヌ、早くしろっ! 援軍が後方で待っているぞっ!」
遠く後方から、マフディの大声が、ナタン達に聞こえてきた。
「あの野郎、見えないと思ってたら、先に行ってやがったな? たく…………」
「逃げ足だけは、速いんだかさ」
ジハードとフランシーヌ達は、二人して安全な後方を目指して駆けてゆく。
「ん…………帝国軍兵士だっ! 何処から現れやがったっ!」
「タカヤマ隊長、コイツらは幻影ですっ!」
後方から、豊和20式小銃を構えていた、タカヤマは急に現れた敵兵に戸惑う。
しかし、部下からの報告を効いた、彼が実際に銃撃すると弾丸が、敵をスリ抜けてしまう。
「コイツは、不味いなっ! 撤退の足並みが揃わなくなる…………」
タカヤマは呟きながら、仕方がないので、前方に射撃を集中させる。
「こっちだ、早く来てくれっ!」
「ああ、分かっているっ!」
「敵の様子は、どうなっているんだ?」
マフディは、ただ一人後退していただけでなく、援軍を呼びに行っていたのだ。
ここに、現れた増援はレジスタンス達を指揮する、ウェストとハキム達。
「な、なな、何だ、こりゃ? 敵だらけじゃねぇか?」
「敵と味方が混戦しているっ!」
ウェストは、コルト・デルタエリートを撃ちながら味方が逃走するのを支援する。
ハキムも、帝国軍兵士に向けて、ヘルワン920拳銃で応戦する。
「後ろからも援軍が来たぞっ! さあ、早く部屋に入るんだっ!」
「こっちよ、今のうちに退避しないと」
「分かっているわ、後はジハードだけよっ!」
「俺なら大丈夫だ、心配しなくていいっ!」
ナタンは、AK12の弾倉が空になるまで、援護射撃で撃ち尽くす。
RDIストライカーの弾倉を回転させながら、メルヴェは散弾を一発ずつ込めていく。
そこに、フランシーヌは必死で走っていき、二人の元にたどり着いた。
しかし、ベクターSSー77汎用機関銃を撃ち、殿を勤めるジハードは、まだ遠くに残っている。
「お前ら、今行くっ? いうぅぅ…………?」
「奇襲だ」
ジハードの背中に、塹壕内から立ち上がった、チュソン兵が機銃弾を当てた。
「ジハード、ジハード、早くしろっ!」
「バカやろーー! 俺は置いてけ、ナタンッ!」
ナタンは口から血を垂らす、ジハードの名を叫ぶが、襟首を捕まれて連れてかれる。
「ナタン、今は撤退が優先よっ!」
「そうだぜ、今戦うのは無意味だ」
「ジハードを置いていくのかっ!?」
彼を引っ張るメルヴェと援護射撃を続けるフランシーヌは、ナタンを説得する。
「俺は一人でも行くっ!」
「良く言った、それでこそ、男だっ! ナタン?」
ナタンが怒声を張り上げると、フロスト中尉が彼にシャスポー銃を向けていた。
そして、一発弾丸が放たれたが、それはナタンの頬を掠める。
「ナタン、メルヴェッ! 今まで何処に行ってたの? 早く戻って来なさいっ! そうすれば、降伏勧告に従ったと見なすわ」
P90を連射しながら、ナタンとメルヴェ達に対して、降伏勧告を告げる、ネージュ準尉。
「うわっ! 腹を撃たれた…………だが」
「きゃあっ!?」
P90から放たれた弾丸は、ナタンの腹部を貫いたが、綺麗に体から抜け出てしまった。
一方、メルヴェは咄嗟に身を伏せたので、一発も銃撃が当たらなかった。
「フロスト、フィーン先生…………」
「ハハッ! 懐かしいな、その呼び名はっ!」
ナタンは腹を押さえながらも、シャスポー銃を構える、フロスト中尉を睨む。
「このっ! 二人とも、早く部屋に入るんだっ! ん?」
部屋まで、たどり着いた、フランシーヌはストックレスAKを撃ちまくる。
その間、ドンッと言う爆発音とともに、黒い軍用ジープが走ってきた。
「機銃弾を、バラ蒔くんだっ!!」
「これで、敵に牽制できるねっ!」
ブラジラ製、アグラレ・マルア軍用ジープが入ってくるなり、二名の兵士が機銃掃射を始めた。
一人は、門型バーに備え付けられた、M2キャリバー重機関銃を撃ってきた。
運転手も、PKTM車載機関銃の座席に移動すると、即座に連射してきた。
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