「やったわっ! でも何が?」
「爆発したっ?」
爆風により防盾《シールド》ごと四散した、NSV重機関銃の機関銃手。
H&K、MG4分隊支援火器を連射していた、シュヴァルツ・リッター。
連中の無惨な残骸を見た、レギナとティエン達は驚いてしまう。
二人は、連続して飛んでくる銃弾から身を守るため、出口の壁裏に隠れていた。
それで、密かに飛んでいた、味方が飛ばした、ドローンの存在には気がつかなかったからだ。
「そんな事より、他の皆は何処へ行ったの?」
「大丈夫よ、直ぐに来るわっ!」
壁裏に張り付き、他の仲間達が何処に居るのだと所在を問うティエン。
彼女に対して、未だ、こちらに銃弾を飛ばし続ける、帝国軍部隊。
連中を、角から顔を少し出して覗いて様子を伺う、レギナは答える。
「…………来たわよっ!」
じっと、下手に身動きせず、壁裏から敵の様子を伺っていた、レギナ。
彼女は、帝国軍部隊の背後から、味方が来たことを視認した。
「うっ!?」
「誰だ?」
「撃たれ…………た」
帝国軍部隊の兵士達が、数人ほど、立て続けに倒れていく。
それで、帝国軍兵士たちは、何処から攻撃されたのかと混乱に陥るが。
連中は、直ぐに背後から銃弾が飛んで来たのだと理解した。
すると、連中は暗闇の中に、レジスタンス達が存在することも見つけた。
それで、後方にも即座に銃撃を開始した。
「連中は、あそこに居るぞっ!」
「直ちに排除します」
帝国軍兵士たちによる銃撃に対して、二人は即座に反撃する。
暗闇からサプレッサーを装着した、AK74をハーミアンは構える。
C7CTマークスマンライフルを、リュファスは両手に握る。
彼等は、攻撃したあと、直ちに消音武器による暗殺射撃を止めて、壁裏に隠れた。
「撃ち返して来たわ、隠れてっ!」
「言われ無くても分かっているさ」
銃撃から逃れるため壁裏に、サッと素早く身を隠した、ハーミアンとリュファス達だが。
二人が隠れた場所の角には、敵が放った銃弾が飛んできた。
その弾丸は、コンクリート壁に小さな穴を幾つも開ける。
「こっちで音がしたぞっ!」
「本当だ、銃撃音がする」
「敵発見っ!」
「掃討する」
壁裏に隠れた、ハーミアンとリュファス達を含む、レジスタンス達だが。
その背後から、レジスタンス・帝国軍部隊と、双方から増援が現れた。
彼等は、互いの姿を視認すると、我先にと機先を制して、相手方を押さえ込もうと銃火を交えた。
「ぐっ! …………私の毒を喰らいなさいっ!」
「俺のマジックで愉快な死に様を見せてくれよ」
レジスタンス達から銃撃を受けた、五人の帝国軍兵士たちだったが。
そこから、兵士二名が、銃弾が自らの身体を貫通することを気にせず、突撃を敢行してきた。
一人は、フリッツ・ヘルメットを被った、バクテリエラー・ゾルダートの女性兵士だ。
もう一人は、黒と青色の丸い王冠を被り、袖と襟足が青く縁取られた、黒いジャケットを着ている。
コイツは、マジシャン姿のミミックマスターである。
「デス・ロープ、ボンバーカード」
「げぇっ!!」
ミミックマスターは、顔に薄ら笑いを浮かべつつ動き出した。
奴は口から、一見すると何の変哲も無い短い縄&トランプ・カードを取り出す。
その二つを、レジスタンス達へと投げ飛ばしてきた。
バクテリエラー・ゾルダートも走るのを、一旦止めると、次いで顔を上に向ける。
それから、頭を一気に振って、口から大量に細菌が混ざった、紫色の毒液を吐き飛ばした。
「ぐぅぅっ! 苦…………」
『ボンッ!』
「うわっ!」
ミミックマスターの攻撃を受けた、先頭を走っていた、二人のレジスタンス達だが。
右側の赤いベレー帽を被った、レジスタンス員がまず殺られてしまう。
彼には、飛んできたピンッと棒のように伸びた縄が首に巻き付く。
それで、ギチギチに絞められてしまい、地面に倒れてしまった。
また、彼は両手で何とか、喉を絞める縄を解こうとするが。
余りに酷い苦しみに耐えられず、のたうち回る事しか出来なくて、息絶えてしまった。
もう一人、頭に緑色のバンダナを巻いた、レジスタンス員だが。
彼も、胸元で爆発したトランプのカードに因って、後方へと弾き飛ばされてしまった。
「くそっ! 二人殺られたぞ」
「怯むな、撃ち返せーー」
残り五人となった、レジスタンス達の足下に、紫色の粘液が落ちる。
すると、彼等の内、三人は突然地面に倒れて苦しみ出した。
「うっ?」
「ぁっ!」
吐き出された粘液には、普通の人間に取っては、猛毒である細菌が多量に含まれている。
レジスタンス達は、それを見たが、もう遅い。
バクテリエラー・ゾルダートの口から吐き飛ばされた、粘液の軌道と落ちた場所だが。
それを、暗闇で視界の悪い為に、レジスタンス達は見切る事が出来なかった。
そして、揮発性が高い、毒粘液の効果を、直に受けてしまう。
それにより、彼等はもがく暇も無く即死してしまった。
「不味い、放れろっ!」
「クソがっ!」
残り二人となった、レジスタンス達は、自身らを狙って、銃弾が飛び交う中を走る。
そして、今来たばかりの他の地下道に続く出口へと、踵を返して向かって行く。
そして、地下通路奥の曲がり角に身を隠した。
「貴方達、彼処に隠れた連中を任せたわよっ」
「了解です」
「了解しました」
バクテリエラー・ゾルダートの命令を聞いた、帝国軍兵士たち。
連中は、短く返事をすると、命令通りに素早く銃を構えた、連中は連射しまくる。
下水道を流れる汚水の川。
それを挟んだ、向かい側奥の通路へと逃げた、二人に連中は制圧射撃を加えた。
「後は任せて、俺達は奴等を挟み撃ちにっ?」
「させるかよっ!」
こちらに向かって走って来た、バクテリエラー・ゾルダート&ミミックマスターだったが。
連中に、サプレッサー付きクリス・ヴェクターの銃口をウェストは向ける。
彼は、ドラムマガジンの弾倉が弾切れに成るまで乱射して、連中を足止めしつつ見事に倒した。
「まだ敵は存在するからな、気を抜くなよ」
「そんな事より早く撃ち返してってば」
仲間達を気遣い、ハキムは壁に背中を預けながら指示を飛ばす。
彼に対して、河川哨戒艇リベラシオンの後部甲板から、帝国軍兵士は銃撃してくる。
メルヴェは、角から身を出して、奴にMKEKーMPTライフルを向けて応戦する。
「そうだな」
今度は、ハキムが動き出し、メルヴェが隠れた瞬間、ムーディーAKMSを連射する。
それに続いて、彼の下から屈んで、ナタンもFAーMASを三点バースト射撃させる。
互いに、挟み撃ち状態になってしまった、レジスタンス・帝国軍部隊。
彼等は双方共に、銃を激しく撃ち合う。
そして、暗い下水道内の彼方此方《あちらこちら》で、銃声を絶やす事なく連続で鳴らす。
「段々有利に成ってきたな」
「後はゾンビ達だけね、畳み掛けるわよっ!」
「行くぞ」
残り僅かとなった、帝国軍兵士達を少しずつ倒していく、ナタン達レジスタンス。
彼等は、戦況が自分達にとって、有利に傾いたと判断する。
また、更なる銃撃を加えて、周囲に散らばる、帝国軍兵士達を蹴散らすように次々と倒していった。
「がはっ!」
「ぐふっ!」
ハルドル・メルヴェ・ナタン達は、残存する帝国軍兵士を、一人、また一人と倒していく。
こうして、ついに全ての敵を殲滅する事に成功した。
「あんた等は無事かぁーー?」
「ああ無事だ、お陰で助かった」
「そっちわぁーー?」
「何とか無事だーー」
ウェストが、四人のレジスタンス達に、声をかけると、彼等も感謝してきた。
ティエンも生き残った、二人のレジスタンス達に声を掛ける。
すると、彼等も無事だと返事してきた。
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