【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
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第266話 ゾンビは続々と投入される

公開日時: 2024年7月12日(金) 13:08
更新日時: 2024年7月15日(月) 08:27
文字数:3,219


 帝国軍は、三角形・大型ヘリコプターMiー32を投入して、ゾンビ玉を連合側に運んでいた。


 ここは、帝国軍と帝国警察が駐屯している、モネ劇場だ。



「ゾンビ玉が敵を制圧しているらしいっ! これなら、僕らの出番は無さそうだな」


「うむ、我々警察隊は楽に掃討戦に移行できるだろう」


 舞台の上に設置された、PC画面を覗いて、フロスト中尉とウルシカ中尉たちは話し合う。


 そこには、連合軍の正面に次々と、ゾンビ玉を投下していく、Miー32が映っている。



 しかも、サーバル装甲兵員輸送車が四台ほど、ベルレモン通りから走ってくる。


 その後、後部ハッチから兵士ではなく、ゾンビ達を下ろした。



 そして、装甲車部隊は敵の攻撃を避けるため、カイゼリラーン通りへと走行していく。



 この動画は、小型偵察用ステルス・ドローンが送信している。



「隊長殿、破壊工作は成功しましたっ!」


「敵の前線後方は、我々の仕掛けた爆弾により混乱しました」


「よくやったな? アリシア、シークン、暫く休んでいてくれ」


 アリシア&シークンと言われた、制帽を被る制服姿の警察隊員たちを、フロスト中尉は褒め称える。



「はっ! 分かりました」


「了解しましたっ!」


 アリシアとシークン達は、舞台から飛び降りると、観客席の階段を歩いていく。



「何処で、あんな連中を手に入れたんだ?」


「政治犯を洗脳したら、連中の半分はリパブリック・チィーナ兵の部隊だったのさ? 残りは各テロリスト組織の一員だったよ」


 ウルシカ中尉の質問に、フロスト中尉は上機嫌で答えた。



「私にも、部下を寄越してくれないか?」


「ああ、まあ次の戦いが終わったらな」


 ウルシカ中尉とフロスト中尉達は、話しながら劇場を見渡す。


 そこには、大量の警察隊員たちが椅子に座って、突撃まで待機していた。



 一方、帝国警察の駐屯地から離れた、連合軍・前線要塞では激戦が続く。



「また、ゾンビが来るわっ! 銃撃じゃ防ぎ切れないわよっ!」


「分かってる、だが、それでも撃つしかない」


 ナタンとメルヴェ達は、走るゾンビに向かって、銃を撃ちまくる。


 その中には、防弾ベストを身に付けている、元連合側だった動く死体もある。



「また、下がるぞっ!」


「なら、援護してやるっ!」


「パチンコ玉は持つかしら?」


「外からも撃ってくるよ」


 ナタンは、何発かAMDカービンを撃ちつつ、後ろに下がっていく。



 スタッロは、彼を早期後退させるべく、ビッグ・クロスボウから矢を放つ。


 その一撃は、床に突き刺さり、爆発して周囲をあるいていた、ゾンビ達を粉々に粉砕する。



 だが、次なる動く死体が迫り、グランマッシュはスリングショットのゴムを何度も引く。


 フランシーヌは、向かいのビルや遠くから撃ってくる敵に銃弾を撃ち返す。



「気をつけろっ! 銃弾には、ゾンビ化する毒が塗ってあるかも知れないっ!!」


「マジで、それを早く言ってよーー」


 ナタンとフランシーヌ達は、踵を返して廊下の奥へと下がってゆく。



「こっちだ、防衛線を構築してあるっ!」


「機銃陣地まで下がれっ!」


 遠くから誰かの声が聞こえたが、何枚か防弾板を並べた、バリケードが奥に見えた。


 その左右には、MG3とヴィッカース重機関銃が設置してある。



 ゾンビの侵入を阻むために、三脚手前にはドラム缶が三個も横に並べられていた。


 ナタン達を読んだのは、機銃掃射を行おうとする、アラビ人兵士たちだった。



「不味い、もう弾が無いわっ!」


「拳銃を使えっ!」


「お前ら、左右に避けてこいっ!」


「援護射撃を行うっ!」


 走りながら、乱射していた、メルヴェのイエローボーイが弾切れを起こした。


 他の弾もない、彼女が叫ぶと、ナタンは立ち止まりながら、AMDカービンを撃つ。



 アラビ人兵士たちは、向かって来る味方部隊を支援するべく凄まじい機銃掃射を行った。



「うわ、このまま行くしかないかっ!」


「手榴弾を投げるよっ!」


 ナタンは、廊下の壁側から走っていき、味方に合流しようとする。


 フランシーヌは、手榴弾を転がしながら敵を吹き飛さんとした。



 機銃掃射を受けて、死んでいくゾンビの群れだが、次々に死体を乗り越えてくる者が現れる。


 ソイツらを爆発が襲い、辺りに纏めて肉片を撒き散らした。



「よし、何とか来られたぞ」


「こっちだ、部屋に入れっ!!」


「援護する、先に行ってちょうだい」


「俺も残るっ!!」


 ナタンが機銃陣地に近寄ると、廊下のドアが開いて、連合軍兵士が手を振って呼び込む。



 そこに、みんな走って行くが、パトリシアは膝だちで抱えた、バレットM82を撃ちまくる。


 単発連射で、撃たれたゾンビ達は、体を大口径弾が貫通してしまい、次々と将棋倒しに倒れてゆく。



 スタッロも、強酸性矢ストロング・アシッド・ボルトを何回も床に射ち込む。


 手前、後ろ、その奥へと、三回も放たれた矢は黄色い強酸性ガスを噴出する。



「スタッロ、早くこいっ!」


「パトリシア、アンタもっ!」


 ダンターとフランシーヌ達は、ドアに入る直前で後ろを向いて、二人を呼んだ。



「分かってる、足止めは成功したようだ」


「何とか、成功したよ」


「ここは、我々が押さえる」


「君達は、砲郭《ほうかく》に向かってくれ」


 スタッロとパトリシア達が入ると、二名の連合軍兵士たちが、ドアに防弾板を並べる。


 次いで、ドラム缶や木箱を置いて完全にドアを塞いでしまった。



「砲郭? なに、それ?」


「機銃陣地の近くにある、塔みたいになっている部分よっ!」


「そうだ、あのドアからでて右側に行けば分かるっ!」


「現場では、既に機関銃手と砲撃手が配置に着いている」


 フランシーヌは、一瞬だけ混乱するが、グランマッシュが直ぐに意味を教えた。


 連合軍兵士たちは、状況を説明しながら、さらに多くの物資をバリケードとして集めていた。



「分かった、それじゃ、向かうぞっ!!」


「とにかく、急ぎましょうっ!!」


 ナタンとメルヴェ達が先頭になって走ると、他の仲間たちも続いてゆく。


 そうして、部屋から飛び出るように駆けていく、二人はアラビ人兵士たちを見た。



「うおおおおっ!」


「死になっ!」


「オーバーヒートするまで、撃ってやるぜ」


「弾を交換するっ!」


 アラビ人機関銃手は、MG3とヴィッカース重機関銃から銃弾を途切れなく連射させている。


 その横では、M16A1を持った、東南アシュア系レジスタンス員が単発連射している。


 また、黒人民兵も機銃弾が切れた時に、マロッキオート半自動散弾銃でゾンビを撃ってゆく。



「あっちだな、うわ、酷い状態だ」


「これは、無理ね? 後ろから通りに出ましょう」


 ナタンとメルヴェ達は、砲郭の崩れた瓦礫を前に、いったん足を止めた。



「そうしよう、取り敢えず、外に出るっ!」


 ナタンは裏口から外に出て、砲郭みたいな部分の影から通りを観察する。


 屋上を見上げると、絶えず機関銃や迫撃砲が弾丸を放つ音がする。



 向かいの高いBNPビルからも、ジャベリンや地対空ミサイルが放たれている。


 背後のホテルや、さらに向こう側から砲撃支援や重機関銃による制圧射撃が行われている。



「ナタン、様子は? いったい、どうなっているの?」


「相変わらず、敵が撃っているっ! ここは不味い…………あのドーム屋根の建物まで退避しようっ! じゃないと、援護はできない」


「なら、援護する、先に行くんだ」


「私達が、グレネードを撃つからっ!」


 メルヴェが背後から言葉をかけると、ナタンは味方が支援を行っているホテルを指差す。


 ダンターは、ハンドモーターを両手で抱えると、斜め上に向けて、グレネード弾を放つ。


 ヤブローも、コップ付きスナイダー銃から同様に弾頭を放つ。



 その間、VBCI歩兵戦闘用装甲車両が、緩やかな坂道であるロキヨーム通りを下る。



「二人とも、分かったぞっ! メルヴェッ!」


「着いてきてくれっ! て、言うんでしょ」


「今、俺達も行くっ!」


「素早く移動するよ」


 ナタンは、向かい側のホテルまで走ると、メルヴェも駆け出す。


 スタッロも走り出すと、フランシーヌは慌てて後を追って来た。


 

 こうして、彼等はドアが開かれたまま放置されている、黒に近い緑色の建物に入って行った。

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