「頼む…………撃つな?」
「落ち着け、撃ちはしない? 俺もレジスタンスだ」
黒人レジスタンス員は、命乞いをするが、ナタンは両手に構える、MASー1935を下げた。
次いで、彼は怯える味方を落ち着かせるために、仲間だと言ったが。
「嘘だろう? どうせ、お前も帝国側のスパイだっ!」
「静かにしろ、他の帝国兵が来っ!?」
「ペクレン、彼は?」
「上の方ね? 行きましょう」
ナタンの事を、レジスタンス仲間だと信じない黒人レジスタンス員だが。
そんな彼を前にして、どうすれば仲間だと信じて貰えるか、ナタンは悩む。
が、しかし考える暇なく階下から、ウィッチカとペクレン達の声が聞こえてきた。
「くそう、逃げるぞっ!!」
「がぁっ!? あっ! 待てっ!!」
急に立ち上がり、ナタンの腹を黒人レジスタンス員は思いっきり蹴りあげた。
突然、逃走し始めた奴の背中を追って、彼も勢いよく走り出す。
「しつこい奴だっ!」
「待てっ! 待てよっ!」
左右にある、廊下の右に曲がった黒人レジスタンス員を追跡して走る、ナタンも右に曲がる。
「あっ! 上の階から声がしたわっ!」
「テロリスト達を見つけたのねっ!」
階下からは、ウィッチカとペクレン達の声が聞こえてきた。
『…………不味い、今彼女たちに見つかると面倒だっ! せっかく逃げ出せると思ったのに…………』
ナタンは追跡しながら思う。
前には、黒人レジスタンス員。
後ろからは帝国の兵士である、ペクレンとウィッチカ達。
一方では、味方を追って。
もう一方では、敵から逃げながら走る。
そうやって、彼は長い廊下を突き進み、やがて黒人レジスタンス員に近づいていく。
「おいっ! 止まれっ! 止まらないと、俺の後ろの連中に撃たれるぞっ!!」
「誰が、そんな嘘を信じるかっ!!」
ナタンの呼び掛けに応じず、黒人レジスタンス員は、直も逃走して、正面にあったドアを開く。
その先へと、二人は走って行くと、奴は急に左へと曲がった。
そこで、彼も後を追ったが、どうやら奴は立ち止まったらしい。
これにより、彼は突っ立っていた、奴の背中にぶつかる。
「なんだ、もう一人は味方か?」
「くぅ…………まさか、逃げた先にも帝国兵が居たなんて…………」
VP9拳銃を、こちらに向ける、帝国軍下士官のヴァンパイア。
その後ろに控える、二名でMP5短機関銃を構える、帝国軍兵士たち。
正面に現れた、帝国軍兵士たちの姿に、黒人レジスタンス員は落胆するが。
ナタンは何度も、MASー1935を撃ち、帝国軍兵士たちに弾丸を撃ち込む。
「ぐっ!!」
「ぐあっ! 貴様、テロリ…………ス? う、ぐ…………」
「ぐあっ!?」
何発も、ナタンは銃弾を放ち、三人も敵を纏めて倒してしまった。
「これで、信じて貰えたか?」
「ああ、助かったぞ…………」
やっと、信頼を得たと思った、ナタンは黒人レジスタンス員に声をかける。
もちろん、彼も窮地を助けて貰ったことで、礼を言ったのだが。
「あっちで、銃声がしたわっ!」
「早く行かないと、大変だわっ!」
いきなり、背後から左側、遠くドアの向こうから、ウィッチカとペクレン達が話す声が聞こえた。
それを、またかと思う、ナタンと黒人レジスタンス員たち。
「奴等から逃げなければ、行くぞっ!!」
「言われなくてもっ!」
ナタンが先に走ると、黒人レジスタンス員も急いで駆け出す。
そうして、彼等は地下道を、ひたすらニゲマクルために進んで行く。
「こっちだ、こっちに行けば…………」
「どこに行くんだよっ!」
黒人レジスタンス員は、ナタンを追い越して、右に曲がる。
その後に続いていった、彼だったが、そこには伏兵が潜んでいた。
「よお? 帝国兵、いや帝国警察か?」
「どっちでも、良いぜ?」
そこに現れた者らは、黒人レジスタンス員を含む、六人のレジスタンス達だった。
今喋ったのは、どうやらレジスタンス達を率いるリーダーらしい。
彼は、頭に真っ赤なベレー帽を被り、手にはトンプソンを構える。
その側で、黒人レジスタンス員も、味方が現れたことで、こちらに振り向いた。
「なっ!? ここにレジスタンス達が居るとは? なあ、さっき助けただろ、それを説明してくれ…………」
頭の後ろに両手を組んで、敵意が無いことを示す、ナタン。
だが、それを信じるほど、レジスタンス達は甘くはない。
彼等は、その手に構える、ステンガンを振るい、銃口を帝国警察に変装しているナタンに向けた。
「待ってくれ、俺はレジスタンスの仲間だ…………」
「いんや、お前は帝国の人げ、ミュータント・アンデッドだろう」
ナタンは、何とか仲間だと信じて貰おうと努力するのだが。
レジスタンス・リーダーは、彼の顎にトンプソンを揺らして、銃口を向ける。
その先端にある物は、カッコンペンセイターと呼ぶ、反動を抑えるため、銃口に備えられた装置だ。
「く…………」
冷たく、黒い円形金属が、ナタンの下顎に押し当てられる。
「撃たないでくれ、頼む…………俺の血液は赤い」
「知るかっ! 今、撃ってやっ!!」
命乞いをする、ナタンに対して、無慈悲にも、レジスタンス・リーダーは引き金を引こうとするが。
後、僅かで引き金は引かれただろうが、タイミングよく、後ろから銃声が聞こえた。
背後から、突如レジスタンス達に浴びせられた銃撃だったが。
それは、背後に音もなく忍び寄っていた、帝国軍兵士の一斉射撃だ。
「撃ち返せっ! ぐ義ゃあっ!!」
「ぐああああぁぁぁぁっ!?」
一斉に浴びせられる銃弾により、レジスタンス達は、あっという間に殲滅された。
「くっ! また、俺一人だけ生き残ったのかよっ!?」
その場で身を伏せていた、黒人レジスタンス員だけが生きていた。
後のレジスタンス達は、リーダーを含めて、全員チーズみたいに、穴だらけにされた。
その死体からは、赤黒い血液がドロりと流れ出ていた。
「大丈夫か、同士?」
「ええ、はい?」
制帽を被る、制服姿の帝国軍士官は、ナタンに声をかけた。
「ふむ、そうか…………では」
いきなり、士官は懐から、ナガン・リボルバーを取りだす。
それを、床に這いつくばる、黒人レジスタンスの後頭部に向けた。
「あっ! 待って下さい、そいつは貴重な情報源ですっ! なので、私が生かして連行しますっ!」
「ふぅ~~? …………分かったっ! 君に、コイツは渡そう、良かったな? 泥人形君」
「くっ! …………」
ナタンが、黒人レジスタンス員を庇うため、士官に言い訳をする。
その嘘を信じた、奴は床に居る、黒人レジスタンスを侮辱する。
その後、直ぐに、奴は兵士達を引き連れて、歩き出した。
『…………あっ! 横に避けなきゃ…………それと? 彼を連れて行かなければな…………』
下士官と、その後に続く兵士達から、右に避けて道を開ける、ナタン。
「ぐあぁぁっ!! ぐぅぅっ!!」
帝国軍兵士達は、黒人レジスタンス員の背中を思いっきり、踏みつけて歩く。
そうして、暴行を加えつつ行進した、彼等は満足したのか、何処かへと消えて行った。
「おい、一人で逃げれば、今見たいに帝国側の連中に撃たれてしまうぞっ! ここは俺に連行されている振りをしろっ!」
「ぐ…………分かった、そうするよ」
ナタンが、しゃがみこんで、黒人レジスタンス員を立ち上がらせた。
「今は信用しなくても良い、だが一人ではアジトに帰れないぞ」
「言わなくても、それくらいは分かっている」
ナタンが立たせた、黒人レジスタンス員は、悪態を吐きながらも、先を目指して歩き出した。
こうして、二人は暗い廊下を、敵の襲撃や伏兵を警戒しながら進んで行ってしまった。
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