【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第120話 逃走する者 それを追う者

公開日時: 2024年7月10日(水) 10:49
更新日時: 2024年7月13日(土) 11:30
文字数:3,002


「頼む…………撃つな?」


「落ち着け、撃ちはしない? 俺もレジスタンスだ」


 黒人レジスタンス員は、命乞いをするが、ナタンは両手に構える、MASー1935を下げた。


 次いで、彼は怯える味方を落ち着かせるために、仲間だと言ったが。



「嘘だろう? どうせ、お前も帝国側のスパイだっ!」


「静かにしろ、他の帝国兵が来っ!?」


「ペクレン、彼は?」


「上の方ね? 行きましょう」


 ナタンの事を、レジスタンス仲間だと信じない黒人レジスタンス員だが。


 そんな彼を前にして、どうすれば仲間だと信じて貰えるか、ナタンは悩む。



 が、しかし考える暇なく階下から、ウィッチカとペクレン達の声が聞こえてきた。



「くそう、逃げるぞっ!!」


「がぁっ!? あっ! 待てっ!!」


 急に立ち上がり、ナタンの腹を黒人レジスタンス員は思いっきり蹴りあげた。


 突然、逃走し始めた奴の背中を追って、彼も勢いよく走り出す。



「しつこい奴だっ!」


「待てっ! 待てよっ!」


 左右にある、廊下の右に曲がった黒人レジスタンス員を追跡して走る、ナタンも右に曲がる。



「あっ! 上の階から声がしたわっ!」


「テロリスト達を見つけたのねっ!」


 階下からは、ウィッチカとペクレン達の声が聞こえてきた。

 


『…………不味い、今彼女たちに見つかると面倒だっ! せっかく逃げ出せると思ったのに…………』


 ナタンは追跡しながら思う。


 前には、黒人レジスタンス員。

 後ろからは帝国の兵士である、ペクレンとウィッチカ達。


 一方では、味方を追って。

 もう一方では、敵から逃げながら走る。


 そうやって、彼は長い廊下を突き進み、やがて黒人レジスタンス員に近づいていく。



「おいっ! 止まれっ! 止まらないと、俺の後ろの連中に撃たれるぞっ!!」


「誰が、そんな嘘を信じるかっ!!」


 

 ナタンの呼び掛けに応じず、黒人レジスタンス員は、直も逃走して、正面にあったドアを開く。


 その先へと、二人は走って行くと、奴は急に左へと曲がった。



 そこで、彼も後を追ったが、どうやら奴は立ち止まったらしい。



 これにより、彼は突っ立っていた、奴の背中にぶつかる。



「なんだ、もう一人は味方か?」


「くぅ…………まさか、逃げた先にも帝国兵が居たなんて…………」


 VP9拳銃を、こちらに向ける、帝国軍下士官のヴァンパイア。


 その後ろに控える、二名でMP5短機関銃を構える、帝国軍兵士たち。



 正面に現れた、帝国軍兵士たちの姿に、黒人レジスタンス員は落胆するが。


 ナタンは何度も、MASー1935を撃ち、帝国軍兵士たちに弾丸を撃ち込む。



「ぐっ!!」


「ぐあっ! 貴様、テロリ…………ス? う、ぐ…………」


「ぐあっ!?」


 何発も、ナタンは銃弾を放ち、三人も敵を纏めて倒してしまった。



「これで、信じて貰えたか?」


「ああ、助かったぞ…………」


 やっと、信頼を得たと思った、ナタンは黒人レジスタンス員に声をかける。


 もちろん、彼も窮地を助けて貰ったことで、礼を言ったのだが。



「あっちで、銃声がしたわっ!」


「早く行かないと、大変だわっ!」


 いきなり、背後から左側、遠くドアの向こうから、ウィッチカとペクレン達が話す声が聞こえた。


 それを、またかと思う、ナタンと黒人レジスタンス員たち。



「奴等から逃げなければ、行くぞっ!!」


「言われなくてもっ!」


 ナタンが先に走ると、黒人レジスタンス員も急いで駆け出す。


 そうして、彼等は地下道を、ひたすらニゲマクルために進んで行く。



「こっちだ、こっちに行けば…………」


「どこに行くんだよっ!」


 黒人レジスタンス員は、ナタンを追い越して、右に曲がる。


 その後に続いていった、彼だったが、そこには伏兵が潜んでいた。



「よお? 帝国兵、いや帝国警察か?」


「どっちでも、良いぜ?」


 そこに現れた者らは、黒人レジスタンス員を含む、六人のレジスタンス達だった。


 今喋ったのは、どうやらレジスタンス達を率いるリーダーらしい。



 彼は、頭に真っ赤なベレー帽を被り、手にはトンプソンを構える。


 その側で、黒人レジスタンス員も、味方が現れたことで、こちらに振り向いた。



「なっ!? ここにレジスタンス達が居るとは? なあ、さっき助けただろ、それを説明してくれ…………」


 頭の後ろに両手を組んで、敵意が無いことを示す、ナタン。


 だが、それを信じるほど、レジスタンス達は甘くはない。



 彼等は、その手に構える、ステンガンを振るい、銃口を帝国警察に変装しているナタンに向けた。



「待ってくれ、俺はレジスタンスの仲間だ…………」


「いんや、お前は帝国の人げ、ミュータント・アンデッドだろう」


 ナタンは、何とか仲間だと信じて貰おうと努力するのだが。


 レジスタンス・リーダーは、彼の顎にトンプソンを揺らして、銃口を向ける。



 その先端にある物は、カッコンペンセイターと呼ぶ、反動を抑えるため、銃口に備えられた装置だ。



「く…………」


 冷たく、黒い円形金属が、ナタンの下顎に押し当てられる。



「撃たないでくれ、頼む…………俺の血液は赤い」


「知るかっ! 今、撃ってやっ!!」


 命乞いをする、ナタンに対して、無慈悲にも、レジスタンス・リーダーは引き金を引こうとするが。


 後、僅かで引き金は引かれただろうが、タイミングよく、後ろから銃声が聞こえた。



 背後から、突如レジスタンス達に浴びせられた銃撃だったが。


 それは、背後に音もなく忍び寄っていた、帝国軍兵士の一斉射撃だ。



「撃ち返せっ! ぐ義ゃあっ!!」


「ぐああああぁぁぁぁっ!?」


 一斉に浴びせられる銃弾により、レジスタンス達は、あっという間に殲滅された。



「くっ! また、俺一人だけ生き残ったのかよっ!?」


 その場で身を伏せていた、黒人レジスタンス員だけが生きていた。


 後のレジスタンス達は、リーダーを含めて、全員チーズみたいに、穴だらけにされた。



 その死体からは、赤黒い血液がドロりと流れ出ていた。



「大丈夫か、同士?」


「ええ、はい?」


 制帽を被る、制服姿の帝国軍士官は、ナタンに声をかけた。



「ふむ、そうか…………では」


 いきなり、士官は懐から、ナガン・リボルバーを取りだす。


 それを、床に這いつくばる、黒人レジスタンスの後頭部に向けた。



「あっ! 待って下さい、そいつは貴重な情報源ですっ! なので、私が生かして連行しますっ!」


「ふぅ~~? …………分かったっ! 君に、コイツは渡そう、良かったな? 泥人形君」


「くっ! …………」


 ナタンが、黒人レジスタンス員を庇うため、士官に言い訳をする。


 その嘘を信じた、奴は床に居る、黒人レジスタンスを侮辱する。



 その後、直ぐに、奴は兵士達を引き連れて、歩き出した。



『…………あっ! 横に避けなきゃ…………それと? 彼を連れて行かなければな…………』


 下士官と、その後に続く兵士達から、右に避けて道を開ける、ナタン。



「ぐあぁぁっ!! ぐぅぅっ!!」


 帝国軍兵士達は、黒人レジスタンス員の背中を思いっきり、踏みつけて歩く。


 そうして、暴行を加えつつ行進した、彼等は満足したのか、何処かへと消えて行った。



「おい、一人で逃げれば、今見たいに帝国側の連中に撃たれてしまうぞっ! ここは俺に連行されている振りをしろっ!」


「ぐ…………分かった、そうするよ」


 ナタンが、しゃがみこんで、黒人レジスタンス員を立ち上がらせた。



「今は信用しなくても良い、だが一人ではアジトに帰れないぞ」


「言わなくても、それくらいは分かっている」


 ナタンが立たせた、黒人レジスタンス員は、悪態を吐きながらも、先を目指して歩き出した。



 こうして、二人は暗い廊下を、敵の襲撃や伏兵を警戒しながら進んで行ってしまった。

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