【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第163話 馬車とドラゴンが

公開日時: 2024年7月11日(木) 17:42
更新日時: 2024年7月14日(日) 08:55
文字数:3,025


 半壊しながらも、カボチャの馬車は走る速度を落とす気配は全くない。



「もう一回、撃ってやるっ!」


「そっちは任せた、俺は上の奴をっ!」


「あのデカイ馬車は、俺がやるっ!」


 M79グレネードランチャーを折り、中に榴弾を装填する連合側兵士。


 その隣に立つ、兵士も両手で握るM16を、ドラゴンに向かって撃ちまくる。


 車内から片腕を出した、兵士はイングラムを、滅茶苦茶に乱射した。



 それにより、ドラゴンに騎乗するシュヴァルツ・リッターは対空射撃に焦り、高度を上げ始める。


 また、オムニバス馬車の屋上や車内から、弓矢を放っていた兵士達も、身を隠しだした。



「気をつけろっ! カボチャの馬車から、なんか攻撃が来るぞっ!!」


「また、何かやる積もりかしら…………」


 ナタンは大声で叫んだが、銃弾を放ちまくり、射撃音を鳴らす、連合側兵士たちには届かなかった。


 メルヴェも目を細めつつ、カボチャの馬車が何をしてくるか警戒する。



 だが、その時、道路左側から再び何かが飛び出てくる。



「ハンヴィーだっ!! あ、しかも二台も…………」


「うわっ! そんな事より、来るわっ!」


 カボチャの馬車は、口から氷結魔法を放ち、分厚く大きな氷壁を作った。


 ドンッと辺りに響くほどの音とともに、緑色に塗装された、ハンヴィーが衝突してしまった。



 しかし、無事な方のハンヴィーは、上部からM2キャリバー重機関銃を撃ちまくる。



「援軍だっ!! あんな馬車くらい、どうって事はないっ!!」


「死にやがれっ!」


「アホんだらが」


「喰らえっ! 喰らえっ!」


「当たれ…………」


 ドドドドと、立て続けに、大口径の12、7ミリ弾を連射する機関銃手。


 ハンヴィー上部から放たれた、この射撃により馬車に穴が空いていく。


 また、左側の窓からも、M4を連合側兵士が単発射撃で撃ち続けた。



 それに合わせて、ダイハツ軽トラの方も、M79グレネードランチャーを撃った。


 さらに、荷台からMI6を、側面からはイングラムを連射しまくる。



「凄い火力だっ!」


「あっ! 反撃してくるわっ!」


 連合側部隊は、敵を倒すべく銃撃を放ち続けたが、グレネード弾は残念ながら外れた。


 そして、近くのビルに当たって、壁面と窓ガラスをを粉々に破壊する。



 こう言った、味方部隊の派手な攻撃に、ナタンは感嘆しながら呟くが。


 当然ながら、敵も黙っているはずもなく、メルヴェは何らかの動きを察知した。



 それは、オムニバス馬車から飛んでくる弓矢による反撃と、カボチャの馬車による強力な雷撃だ。



「ぐわっ!? 雷撃がっ!」


「だあーー! ヤバいっ!」


 雷撃は、ダイハツ軽トラに直撃して、大爆発を起こした。


 直後、カボチャの馬車も、M2キャリバーによる大口径弾に止めを刺されて、大炎上を起こした。



「ぐああああああっ!」


「ぎゃああああっ!」


 爆破四散した、ダイハツ軽トラからは、二名の連合側兵士たちが、悲鳴を上げる声が木霊した。


 それと、同時に黒いタイヤが、ナタンの側を頃がっていった。



 また、カボチャの馬車も走るだけで、もう何も攻撃はしてこなくなった。



 そして、黒いカウボーイハットを被る業者が、四頭のアンデッド・ホース達を馬車から離した。


 さらに、奴は隣を並走していた、オムニバス馬車に飛び移っていった。



「カボチャを殺ったが、こっちはトラックを殺られたっ!」


「でも、まだ馬車が残っているわっ! しかも…………上から、またアイツが来るわよっ!」


 ナタンは、状況を冷静に見て、落ち着こうとするが、敵は余裕を与えてはくれない。



 先ほどから姿を見せなかった、ドラゴンが急降下しながら何かを投下し始めた。


 それは、遠目には両脇に抱える、バルカンポッドのように見えたが、全然ちがう物だった。



 何故なら、それは音もなく、一気に落下してくるからだ。



 彼は目を細めつつ、それを見てドラゴンの両脇にある物が、茶色い樽であることが分かった。



「ヤバい、また減速だっ! メルヴェ、止まれっ!」


「分かっているわ、停止するわよ…………」


 ナタンが落下物を避けるべく、バイクを止めて、メルヴェにも同じ事をするように伝える。


 その直後、上空から飛来した投箭《フレシット》が、ハンヴィーに命中した。



 大量にバラ蒔かれた、コレは第一次世界大戦で使用された兵器だ。


 当時は、航空機から投下され、鋼鉄製の矢が重みにより、頭上から敵兵士へと振り注いで攻撃した。


 それと同じく、ハンヴィー上部の機関銃手に当たった投箭《フレシット》は左肩から貫通してしまった。



「機関銃が殺られたっ!?」


「俺が変わるっ!!」


 ハンヴィーの運転手が怒鳴ると、M4を撃っていた兵士が、M2キャリバー機関銃を握る。


 次いで、彼が目の前を走るオムニバス馬車に対して、強烈な機銃掃射を放った。



 それにより、今度は何人かの帝国兵たちに命中したらしく、馬車から死体が落ちて頃がってくる。


 連中の姿は、よく見ると中世時代を生きた人間みたいな格好をしている。



 彼らが着ていた装備は、防弾ベスト、或いはシュヴァルツ・リッターのよう全身防弾鎧ではない。


 どちらかと言えば、黒色の動きやすい軽鎧や革鎧を着ていた。



「やったぜ、次は上かぁ?」


「いや、まだ馬車から射ってきやがる」


 蜂の巣みたいに穴が空き、ボロボロに成りながらも、オムニバス馬車からは矢が飛んでくる。


 また、上空の竜騎士と騎乗されるドラゴン達も、次なる攻撃を放とうとしていた。



 ハンヴィーの運転手が呟くと、M2重機関銃を握る兵士は、馬車を睨み付けつつ銃弾を放ちまくる。



「また、上空から何か仕掛けようとしているなっ!」


「対空射撃よっ! 今なら狙い撃ち出きるわっ!」


 バイクを止めた、ナタンとメルヴェ達は騎乗したまま両手で、FADを構えた。


 そして、二人とも斜め上方に銃を向けると、一緒ドラゴンに対して連射した。



 一定速度で、弾丸が連射されるFADは、対空射撃で、牽制するのには向いてない。


 だが、その代わりに正確な連続射撃で、航空機などを狙い撃つことが出来る。



 彼等による射撃は、段々と撃ち続けられながら、弾がドラゴンに近づいていく。



「チ…………」


 竜騎士は、対空射撃が自らに迫るのを感じ、舌打ちしながら危険だと判断した。


 こうして、奴が騎乗するドラゴンは、上空へと飛翔していった。



「やったか…………馬車とハンヴィーも行っちまったし」


「きっと、あの様子だと、馬車も何《いず》れは殺られるでしょう?」


 バイクを止めたまま、ナタンはFADの弾倉を取り変えつつ、肩から力を抜いて呟いた。


 二人で戦っている間に、遠くへと走ってゆく、ハンヴィーを見送る、メルヴェ。



「もう、カボチャは当分みたくないわ」


「そりゃ、そうだね、同感だよ…………」


 上空を見上げ、点のように小さくなっていく、ドラゴンに対して愚痴る、メルヴェ。


 疲れきってしまい、もう体をどこかで休めたいと思う、ナタン。



 しかし、そう考えている時間はない。



 帝国軍・帝国警察が、再び襲ってくる可能性があるからだ。



 そう思っていた、二人の前に再び騎兵隊らしき、隊列を組んだ部隊が出現した。



「またかよっ! しつこい連中だっ!」


「はあっ! もう一回、戦うのっ!」


 ナタンとメルヴェ達は、現れた第一次世界大戦頃の格好をした、騎兵隊を見て驚く。


 鶴嘴《ツルハシ》帽子ピッケルハウベを被り、軍服の上に、胸甲を身に付けた、騎兵部隊は突っ込んでくる。


 連中は、騎兵槍を片手に、真っ直ぐ突撃を敢行してきた。



「不味い、また突撃されちまう」


「このままだと…………」


 窮地に陥ってしまった、ナタンとメルヴェ達は、真っ直ぐ敵に向かっていくしか無かった。

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