【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第204話 魔女を倒さねば

公開日時: 2024年7月12日(金) 10:32
更新日時: 2024年7月14日(日) 21:31
文字数:3,064


「うわっ! 凄い勢いだっ! あっ! ドローンが巻き込まれていくっ!!」


「ああ、せっかくの増援がっ!!」


 敵の機銃弾を受けつつも、何機か残っていた、ドローン部隊も強風で吹き飛ばされる。


 そうして、ドローン同士で衝突したり、事務机に当たって爆散する物もあった。



 ナタンとメルヴェ達は、そんな中で強風で飛ばされる物に当たるまいと床に伏せていた。



「暴風の次は、火炎だよ、私の炎に焼かれるが良いさっ?」


 パチンッと指を鳴らし、強烈な青白く光る鬼火を、女性ウィザードは放ってきた。


 そうして出来た、無数の青白い炎光が飛来するが、それに対する稲光が真っ向から当たった。



「はっ! 少しはできる奴が居るようだな?」


「うるせぇっ!」


 女性ウィザードは、次々に青い火球を何発も放つが、ドゥロルも雷撃で迎撃する。


 そうして、二人が魔術勝負している間にも、双方が銃を撃ちまくる。



「むぅ? これは、キツイ戦いだわ」


 シルヴィは、そう呟きながら蔦を絡めて自身の囮である動く案山子を走らせた。



「アレを狙えっ!!」


「◆◥◥■◌◉◢」


 遠隔操作された、蔦製の案山子を狙って、黒毛ワーウルフは91式歩槍を連射させる。


 82式機関銃を、チュソン軍兵士が撃ちまくり、途切れなく弾丸を飛ばす。



「……………」


「ふぅ」


 蔦製、案山子は何十発もの弾丸を浴びて崩れてしまうが、当然だがシルヴィ本人に怪我はない。



「おい? もう、ランチャーは無いのかっ?」


「済まん、もう替えは無いんだっ!」


 ナタンは自身より後方右側に位置する階段付近に隠れている、東南アシュア系PMCに叫んだ。


 肝心の返ってきた返事だが、やはり対戦車兵器は無いと言う返答だった。



「くぅーー!? 数の優位を崩せない」


「中々の精鋭部隊が相手ねっ!」


 ナタンは、東アシュア系の兵士が銃を撃つさまを、すごく恐れる。


 連中は、例え肩や腹を撃ち抜かれようと、リッチが直ぐに負傷を治療してしまう。



 そうして、即座に戦線に復帰させてしまう姿を、やはりゾンビのように思える。



 確かに、彼らはアンデッド兵であり、しかも今は帝国側が人数で圧倒している。



 だから、余計そう感じてしまうのだろう。



 メルヴェは呟きながら、敵の防壁や攻撃体制を崩せない現状に焦りはじめる。



 ウィザード、ヴァンパイア、リッチ、ワーウルフ等は今までの敵兵とは違う。


 彼女は、奴らを連携と統率が取れた、訓練を積んだ歴戦の猛者だと思った。



「◣◢▧◇■〇〇●◌◇▣▤◉」


「■△▩▣▥◣◥◣◢◎◆?」


「◎◆●◣■◎◎◇◉◎っ!?」


「うわっ! 襲撃かっ!」


 いきなり、右側の壁が爆破されたと思った瞬間、東アシュア系兵士たちが灰煙に巻き込まれた。



 それを受けて、ヴァンパイアは今まで血を吸っていた、女性民兵の死体を素早く前に投げ飛ばす。


 と同時に、右手でホルスターからワルサーPPSを抜き取り、何回も引き金を引いて発砲する。



「うららあああっ!?」


「喰らええええっ!!」


「◆◎◢」


「◣◢◥◆◉」


「うげっ!?」


 灰煙の中から機関銃による銃撃音と、大きな砲撃音が成った。


 複数個の機関銃や自動小銃による射撃音が木霊して、灰煙が晴れる。



「チッ? 間に合わなかったか?」


「ヴァンパイアが殺られたぜっ? あん?」


 防弾氷壁を、右側にも展開していた女性ウィザードだったが、時すでに遅かった。


 右側に作成した、氷結防壁の前後には、多数アシュア系・帝国兵が骸と化して転がる。



 しかも、ヴァンパイアも脳天を撃たれて後ろに倒れていた。


 何か、トンッと音がすると思った、シュヴァルツ・リッターは爆発の業火に包まれた。



「突撃っ!?」


「うおおおっ!!」


「喰らえやっ!!」


「撃てーー!」


 チィーナ軍兵士たちが、崩れた壁の向こう側から現れつつ、乱射しながら突撃してくる。


 また、PMC要員たちも、防弾ガラス並みに固い氷壁に銃撃を加えていく。



「集中射撃だっ!!」


「プラスチック爆弾の効果は絶大だぜ」


「メルヴェ、今だっ! 俺たちも、やるんだっ!」


「言われなくても…………」


 帝国側のアシュア系兵士たちは、チィーナ軍兵士による03式自動歩槍による銃撃を受ける。


 それは、氷に空いた銃眼を通って、向こうで銃を構えていた連中を撃ち抜く。



 しかも、PMC要員の中には、背部に自動散弾銃AAー12を装着している巨漢が存在した。


 ドラムマガジンを装着した、AK47Sを抱える、ギガントだ。



 それと、大型二連散弾銃H&Hを装備する、女性ワーキャットも見える。



 ナタンとメルヴェ達を含む、正面から銃を向けていた連合側部隊も、射撃を氷結防壁に集中させる。



「隊長、ヤバいですぜ? 撤退しましょうや」


「死亡者は生き返らせませんよ」


「く……………確かに、ここは引くしかないかっ!」


「逃がすかっ!」


 ピキピキと、氷壁に当たった大量の弾痕により、亀裂が全体に広がりつつあった。


 それを見て、91式歩槍を構えながら黒毛のワーウルフは下がり始める。



 黒髪女性リッチも、ノリンコHP9ー1散弾銃を何回か撃ちながら下がってゆく。


 しかし、女性ウィザードが下がろうとした際に、大型二連散弾銃H&Hが放たれる。



「やったか、いや?」


「ごばぁっ!?」


「う……………!」


「もう少しだったな」


 女性ワーキャットは、大型二連散弾銃H&Hを下げたが、直ぐに視界を白煙で遮られてしまう。


 だが、黒毛ワーウルフと黒髪女性リッチたちの吐血する呻き声だけは聞こえてきた。



 何らかの魔法を使って、白煙を即座に作りだした、女性ウィザードが発する声は遠ざかっていく。


 それにより、彼女だけは逃亡に成功したことが分かった。



「行ってしまったか? 生き残りは……」


 ウィザードを追って、PMCとチィーナ軍兵たちは廊下の奥へと走ってゆく。


 ナタンは、味方の生き残りは居ないかと、背後を振り返る。



「衛生兵は来なかったのか?」


「ヂュー、肩を貸せ、向かいの建物まで連れていく」


「シルヴィ、ヤハウェの元に旅立ったか……………」


 遮蔽物に隠れていた、民兵たちは、全員銃撃や火炎魔法に風刃魔法などを受けて死んでいた。



 また、ヂューと呼ばれた機関銃手は、仲間に肩を担がれて連れていかれる。


 そんな中、ドゥロルは物言わぬ仏と成り果てた、シルヴィの遺体に寄り添う。



「彼女…………殺られちまったか?」


「悲しいわねっ! でも、私達は行かなきゃ」


「おいっ! 早く行くぞっ!」


「敵は未だ、建物の半分を制圧しているっ!」


 机に隠れた、シルヴィの遺体は見えないが、ドゥロルのベレー帽だけは、かろうじて見えた。


 そこで、ナタンとメルヴェ達は、銃か魔法により、彼女が戦死したと推測した。



 一階で見た、白人PMC要員は、MP5Fの弾倉を交換しながら仲間たちの後を追ってゆく。


 同じく、先ほど見た、アシュア系PMC要員も、MP5Nを帝国兵の死体に横凪に連射する。



 そうして、二人とも走っていった。



 これは、死体の振りをした帝国兵が、背後から奇襲を仕掛けぬように用心して行われた攻撃だ。



「我々も行くぞ、さあ前にっ!」


「前進あるのみっ!」


 階段付近に隠れていた、白人民兵も、二連散弾銃を持ち抱えながら素早く走ってゆく。


 アラビ人民兵も、88式自動小銃を構えつつ、ヘリカルマガジンを拾いながら走った。



「そういや、ここぞって言う時のために取って置いたが、結局は使わなかったな」


「あーー弾切れが近いっ? 私の方は、今度はコレを拝借するわ」


 ナタンは、ヘリカルマガジンが四つも入った弾帯ごと、チュソン軍兵から奪い取る。



 メルヴェは、黒髪女性リッチが両手に持ちながら倒れている死体から、ノリンコHP9ー1を取る。


 そして、弾薬を奪い取りつつ、ポンプアクションを動かして、空薬莢を排出するのだった。

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