「良いか? 少しでも妙な真似をしたら即座に撃つからな…………」
「わっ! 分かった、撃た無いでくれ!」
レジスタンス達は、帝国警察隊員に取り押さえられて、身動きが一切取れなくなってしまった。
「くそっ! 奴等め…………」
「ナタン…………どうするの? 撃つ、待つ?」
仲間たちから少し離れた場所に隠れて居た、ナタンとメルヴェ達。
二人は、警察部隊が扉から出てくる前に、地下道奥の地面に伏せて、様子を伺っていた。
「メルヴェ…………落ち着け、今下手に動けば皆も僕たちも全滅だ」
「じゃあどうする? ほっといたら処刑されるか洗脳されるかも知れないわよ」
ナタンとメルヴェ達は更に、警察部隊と、レジスタンスの様子を伺う。
「さて帝国に逆らったお前ら反逆者達には帝国の尖兵として働く名誉を授けよう…………しかし肌の黒い奴と黄色い奴等は帝国には不用だ…………」
帝国警察部隊の下士官は、そう喋ると、ハキムに、バイカルピストルを向ける。
その様を見せ付けられた、ナタンとメルヴェ達や、レジスタンス達は、もう駄目かと諦めかけた。
その時、奥から空を切る小さな音が、冷たい湿気に混じって聞こえて来た。
「ぐっ! 何だ!!」
「背後からレジスタンスの奇襲です…………」
警察隊員たちは、慌てふためき、後方から小さく妙な音と共に飛んでくる銃弾と矢により混乱する。
そして、連中はAK74Uを派手に乱射しながら反撃するが。
「今だっ! メルヴェ撃てーー!!」
「分かってるわよっ!」
反対側から、ナタンとメルヴェ達も、銃撃を開始して、帝国警察部隊を挟み撃ちにする。
「はっ!! また後ろからっ!?」
「今だっ! お前らーーーー!!」
警察部隊・下士官は、再び背後から、ナタンとメルヴェ達の銃撃を喰らう。
さらに足元から、レジスタンス達により、一斉に体を捕まれた。
また、ナイフを握った、レジスタンス員が飛び掛かられたりして、揉み合いに成る。
そうこうしている間に、警察隊員たちは皆残らず殲滅された。
幾ら生命力が高い彼等でも、何発もの銃弾を浴びれば、一堪りも無い。
「助かったぜ…………」
「いったい誰が助けてくれたんだ?」
レジスタンス達は、そう言うと、前方にあるドアの向こうに目を向けた。
そこにある、防空壕の暗闇に潜む、何者かへと、視線を合わせて凝視《ぎょうし》する。
「大丈夫か? 敵はもう居ないな?」
「もう安心ね? さあ早くアジトへ行くわよ?」
暗闇の奥からは、ゆっくりと、レジスタンス仲間らしき人物たちが出てくる。
一人は、体格の良い黒人男性であり、もう一人は、小柄な若い白人女性だ。
黒人男性は、ドラムマガジンとサプレッサー付きのクリス・ヴェクターを装備している。
白人女性は、滑車が付いた強力な弓である、コンパウンド・ボウを装備している。
「ウェストッ! レギナッ! お前らだったか」
ハキムは、暗闇の向こうから出てきた、男女二人に声をかける。
「ハキムッ! 皆もグズグズしている暇は無いぜっ! 帝国の奴等は直ぐに追っ手を差し向けて来るからな?」
「分かっている、だが負傷者を置いて行くわけには…………」
ウェストから、追っ手から早く逃れる為、ハキム達は先を急ぐ様に急かされた。
しかし、彼は負傷者の心配をして、後ろを振り向いて見たが。
「ハキム…………軽傷者一名、死者二名だ」
「そうか…………済まない、私の判断ミスで、お前達を無駄死にさせてしまった」
仲間の死体を調べた、ナタンは報告して、それを聞いた、ハキムは戦死者に十字を切り短く弔う。
そして、彼はグズグズしている暇は無いので、直ぐに移動を開始する事にした。
また、彼は気持ちを無理にでも切り替え、仲間達に出発を告げる。
「ウェストにレギナッ! 久しぶりね…………二週間ぶりの顔合わせに成るわね?」
「ウェスト、レギナ…………助けてくれて、ありがとうっ! 二人が助けてくれなかったら僕達は全滅していた所だった」
親しい人物らに、地下道内で窮地を救って貰った事に感謝する、メルヴェとナタン達。
ウェストは、帝国がこの国を侵略して来た日に、ナタンたち、遊び仲間を救った人物である。
彼は、ナタンたち、三人からの信頼は厚く頼り概がある人物だ。
レギナは、言わずと知れた、昔からの遊び仲間である。
今は、当然だが、彼女もレジスタンス組織の一員で、別動隊に所属している。
「お前達、危ない所だったな? 前にも、こんな風に助けてやった事があったよな?」
「そうねぇ、それで私達は知り合ったのよね?」
ウェストは過去を語り、レギナも助けてくれた当時の懐かしい記憶を思い出す。
「しかし、懐かしい話をしている暇は無いな…………帝国警察がワーウルフを放って来るかも知れないしな」
「そうね? 先を急ぎましょう」
「だな? 何が来るか分からないものな」
先導する、ウェストとレギナ達の後に続き、暗闇を警戒しながら進むらメルヴェとナタン達。
その後ろに、ハキム達レジスタンスが並び、彼等は地下防空壕から、さらに奥へと向かう。
彼等が、地下防空壕の中を歩いていると、所々から奇妙な音が聞こえて来る。
それは、鼠の鳴き声や足音である。
だが、暗闇の中を、ひたすら進み続けるレジスタンス達には、それが不気味に感じる。
微かに聞こえる小さな音が、帝国兵の足音や気配に思える。
また、不気味な防空壕内を、敵が待ち構えているのでは、と緊張感を与える。
帝国警察部隊と帝国軍歩兵部隊。
この両組織は、地下道内を巡回・散策して、レジスタンス狩りを行っている。
特に、今回みたいにアジトが発覚した場合は、地下道内の警備や追跡が強化させる事がある。
「まだまだ、アジトまでは距離が有るからな?」
「それじゃあ、アジトにつく前に帝国兵に殺されるかもね?」
レジスタンス達を先導しながら、防空壕内を進む、ウェストとレギナ達は、呑気な冗談を言った。
そんな中、防空壕内を暫く進む内に、再び帝国部隊が、彼等レジスタンスの前に現れた。
今度の部隊は、防空壕内を警備していた、帝国警察とは、別組織である帝国軍部隊であった。
周囲には、沢山の鉄製コンテナ&プラスチック製ケースが積み上げられていた。
そして、警備を行う部隊には、帝国軍・下士官のヴァンパイア達が二人も居る。
それと、数人の帝国軍兵士たちも、ここに駐留していた。
この中には、オーガーも存在した。
コイツは、シュヴァルツ・リッターよりも、コンパクトな黒い鎧を着ている。
また、二本の角が生えた頭部全体を覆う、ヘルメットを被っている。
さらに、ウィザードも二名存在する。
連中は、帝国軍の黒い制服と、ロシャ人がよく被る、ウシャンカ帽を被っている。
そして、ソーサラーが男女一名ずついた。
コイツらは、青と紫に塗られた、ラバースーツを着ている。
また、、腰のベルトに数個・弾帯を着けていると言う、軽装なピエロの格好をしていた。
「結構な数の帝国兵が居るわね…………」
「ウェスト、帝国兵を暗殺してくれ」
レギナが呟くと、ハキムは脇に控える、ウェストに帝国兵の暗殺を頼む。
それから、ナタンやメルヴェ達にも、隠密行動をしてくれと命令が下る。
「ナタン、メルヴェ、お前達は右側から行け…………帝国軍の背後に回れ、そして警報器を破壊してくれ」
「分かった、ハキム…………」
「警報器を破壊するのね?」
ハキムから指示を受けた、ナタンとメルヴェ達は、直ぐに行動に移る。
二人は、帝国軍兵士たちに見付からないように、木箱の裏に隠れながら、警報器を目指す。
ウェストも、消音器付きのクリス・ヴェクターを撃つ。
レギナも、射撃音が鳴らない、コンパウンドボウを使って、帝国兵を一人また一人と倒して行く。
「敵っ! …………」
帝国軍下士官が、ウェストの姿に気付いて叫ぼうとするが。
クリス・ヴェクターから発射された、45口径弾に、頭を撃ち抜かれて死亡する。
その間に、ナタンとメルヴェ達は警報器を壊そうと、帝国兵の背後に回り込んだ。
こうして、奇襲を仕掛ける準備をする。
そして、レギナがもう一人の下士官を、コンパウンドボウで射ち抜いて殺害する。
「残るソーサラーは二人同時に殺さないと」
「だが? オーガーが一緒にいる…………奴は厄介だな…………」
残る数人の帝国兵、オーガー&ソーサラー達に、警戒しながら、レジスタンス達は配置に付く。
通常は、幻術兵を優先的に倒す。
それは、幻影により、偽者の分身を作りまくって、撹乱されると厄介だからだ。
また、帝国兵の幻を大量に見せたりと、危険なために、最優先で殺害するのだ。
だが、今は重装兵が護衛として、男女二名のソーサラーとともに存在する。
これにより、ウェストとレギナ達も、消音性の武器で攻撃は行えなかった。
「行くぜっ!!」
「撃つわよっ!」
四角い警報器を、ナタンはFAーMASの銃床《ストック》で殴って壊す。
さらに、彼はメルヴェとともに、直ぐさまソーサラーや帝国兵に銃撃を加える。
「ナタンが撃ったぞ」
「俺達も撃つぞ!」
それを合図に、レジスタンス達も、一斉に銃撃を始め、四方から帝国兵を襲う。
「敵襲かっ!」
「幻影をみせましょ~~♡」
「敵を惑わしますよっ!!」
敵から襲撃を受けて、帝国兵も、すぐさまレジスタンス達に反撃してきた。
オーガーは、RRK74を乱射して、ソーサラー達は、幻影を見せようとする。
「うわあっ!?」
男性ソーサラーは、幻影を見せようとしたが、即座に、レジスタンス員に頭を撃ち抜かれてしまう。
「よくも相棒をっ!!!!」
もう一人の女性ソーサラーは、笑みを浮かべた顔を少しも変えず叫ぶ。
さらに、壁から天井を走り出して、逆さまに成りながら手榴弾を投げてきた。
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