放課後、教室中央に集まった、八人の生徒達。
彼等は、仲良く話していたが、会話内容は、フィーン先生とフロスト先生たちの事であった。
「あの二人? 絶対に出来てるわよっ!」
「う~~ん? そうよねぇ~~? 何か怪しいもんねっ!」
メルヴェとミア達が言うと、他の仲間達も、先生達が、そう言う仲だろうと思って話を始める。
「二人は恋仲って、事かしら…………」
「同僚同士で、男女の中って…………」
「あの二人、結婚でもするのか?」
「結婚する前に、そもそも付き合ってるのか、二人は?」
レギナとベーリット達も、二人の仲が、既に深い関係に発展している。
その上、恋愛ドラマみたいな甘いロマンチックな間柄ではないかと、想像する。
そして、悪餓鬼コンビのナタンとレオ達も、二人が正式に交際しているだろうと、不思議に思う。
「まあ…………似合っているとは思うぜ? 美女とイケメンだもんな」
「あの二人は、まるでおとぎ話のお姫様と王子様見たいだよねっ!」
キーランとカルミーネ達も、二人の先生達がカップルだとしたら、お似合いだと思う。
そして、八人の遊び仲間達は話を終える。
「まあ? 付き合っているか、どうかはまだ分からないし、そんな事より遊びに行こうぜっ!」
「そうだなっ! こんな所でウダウダ言ってたって、仕方が無いぜっ!!」
ナタンとレオ達は、二人の先生が恋仲になっている事より、遊びだと言って教室を飛び出して行く。
そんな二人に、キーランとカルミーネ達も、後を追って走って行った。
「あっ! 二人とも、待ってくれよっ!」
「僕たちを置いてか無いでくれっ!」
「あっ! 男子達は先に行っちゃった…………」
「後を追う前に私達だけの話を始めましょうよぉ?」
二人を追って、キーランとカルミーネ達も、教室から出て行く。
四人の男子達に、ミアは着いて行こうとするが、ベーリットが、それを何故か制した。
「何を始めるの?」
「ミア、誰が好きなの?」
「私も知りたいな?」
「いったい誰の事が好きなのよ?」
ベーリットから呼び止められた、ミアは何の話をするんだろうと思うが。
好きな人は誰なのと、メルヴェが聞くと、ベーリットとレギナ達も知りたいとせがむ。
「そんなっ! みんなに言う訳ないじゃないっ!」
「言う訳無いじゃない? って事は好きな人がいる訳ね…………」
「語るに墜ちたわね…………ミア?」
「ミアは分かりやすいんだからっ!」
墓穴を掘ってしまった、ミアに対して、メルヴェは居るのだと確信した。
ベーリットも、罠にまんまと嵌まってくれたと思う。
そして、最後に、レギナも彼女は分かりやすいと思って笑った。
「もぉーー! 皆には絶対に教え無いんだからねっ!!」
「あははっ! 教え無くて良いわよっ大体は皆、検討がついているからね」
「ミアの大好きな人は、いったい誰かな? ナタン、レオ、それともキーラン?」
「カルミーネ、フロスト先生? ねぇ~~誰なのか教えてよぉ~~?」
恥ずかしがり、絶対に教え無いと言って頬をぷんすかと膨らませる、ミア。
それを横から、からかう、メルヴェ。
誰が好きか探ろうと、次々と男子達の名前を出していく、ベーリットとレギナ達。
「ふんっ! 教え無いったら教え無いわよ、て言うか? 何で私だけ言わなければ成らないのっ!」
「ふふっ? …………冗談よっ冗談!」
「じゃあ? 次はメルヴェが答えてよっ」
「そうねぇ~~メルヴェは、やっぱりガキ大将ナタンの事が好きなのかしらぁーー?」
顔を真っ赤にした、ミアの至極真っ当な抗議に対して、メルヴェが冗談だと答えると。
次は、彼女が告白する番だと、ベーリットとレギナ達は騒ぐ。
「なっ! 何であんな奴の事っ! 私はあんな馬鹿好きじゃ無いわよっ!!!!」
『…………やっぱりナタンの事が好きなんだ? …………』
焦る素振りを見せた、メルヴェの反応に、ミアを含む三人は顔を、ニヤケさせる。
そして、やはりと思って、クスリと微かな笑みを浮かべる。
「今度は、あんた達の番よっ! さあ早く教えなさいっ! レギナ! ベーリット!」
『…………でも? メルヴェは何時もナタン君と遊んでいるから好きなのは分かるんだけど…………私だってナタン君の事が好きなんだもん…………どうしよう…………この気持ち…………』
まだ、好きな人を教えていない、ベーリットとレギナ達。
彼女達に、二人も早く教えなさいと怒る、メルヴェ。
そんな中、ミアだけは一人、心の中で純粋な想いに悩む。
『…………あの時に…………私を助けてくれた時から…………』
ミアは過去の事を思い出すが、それは彼女が廊下を歩いていた時だ。
階段下の職員室まで向かう用事が有った、彼女は階段まで来ると。
『…………はぁ~面倒だなあ~~? 何で私が職員室まで行かなきゃ成らないの…………』
急ぎ、職員室を目指して、早歩きで階段を下る、ミア。
「あっ!?」
彼女は、階段から足を踏み外してしまい、階下へと前のめりに落ちそうになるが。
「おいっ危ないぞっ!?」
もう少しで、階段下の硬い床へと転がり落ちそうに成るところだった、ミア。
その服を、ナタンが後ろから襟を掴んで助けた。
「あっと…………」
「おっと?」
助けられた、ミアは引っ張られた勢いで、くるっとわナタンの方へと向き直る。
そうして、二人は正面から向かい合ってしまう。
互いの顔が、吐息が掛かるくらい近くなってしまった、二人。
彼等は、顔を赤く染めて、恥ずかしそうに目を剃らす。
「きっ! …………気をつけろよっ!」
「うん、今度からは気をつけるわ…………」
ナタンとミア達は、気まずくなって、直ぐに少し離れて距離を取る。
彼等は、今にも顔から勢いよく湯気が出そうなほど、緊張する。
また、恥ずかしさで真っ赤にした、顔を下に向けて話し合った。
『…………あの時からなのよね? ナタン君の事を好きになってしまったのは…………』
一人、ナタンの事を考える、ミア。
「ミア? ミアッ!! 聞いてる?」
目を瞑り、右手を頬に添えて、嬉しそうに過去を回想していた、ミアだが。
彼女に対して、話を聞いてるかと、メルヴェが声を掛けてきた。
「えっと? 何の話…………」
「はあーー? 全くぅ~~? ベーリットのっ!?」
『ガタッ』
「うわっ!」
「きゃっ!!」
何の話かと聞いてきた、ミアに対して、メルヴェが内容を教えようとする。
だが、突然ガタッとした音とともに、教室のドアが開かれた。
そして、ベーリットとレギナ達は、その音に驚き、短く叫んだ。
「ま~~た、君達かぁ? …………何時も放課後は用が無ければ帰るように言ってるじゃあないか」
「済みません、フロスト先生」
「ご免なさい、フロスト先生」
「はい…………済みません先生」
「先生、済みませんでした」
現れた、フロスト先生。
彼の口頭注意に対して、素直に謝る、ミア・メルヴェ・ベーリット・レギナ達。
そして、彼女達は謝罪を終えると、矢継ぎ早に喋りまくる。
その内容は、フロスト先生が、フィーン先生を、どう思っているかと言った恋話だ。
「それよりも、フロスト先生っ! 先生はフィーン先生の事をどう思いますか~~?」
「先生もフィーン先生の事は大好きなんでしょうかっ!」
「まさかっ!? 両想い…………」
「それなら何時結婚するんですか? 子供は何人欲しいんですかあーー」
ミア・メルヴェ・ベーリット・レギナ達から、連続口撃を受けた、フロスト先生。
彼は、一辺に質問されたので、タジタジとなってしまった。
「えっあ? それはっ!? あっ! 仕事がまだ残ってたんだ、悪いけど僕は皆の質問には答えられないっ! では失礼」
そう言うと、フロスト先生は、忙しそうな振りをして、くるりと踵を返した。
彼は、そのまま教室から、廊下へと逃げ出して行ってしまった。
「逃げ出しちゃった?」
「やっぱり好きなのかな」
「そうなんじゃない、あの態度は?」
「どうかしらね? 今度はフィーン先生にも質問しなきゃあねっ!」
ミアが呟くと、その場に残された、四人はまた恋話に花を咲かせた。
そして、教室から逃げ出した、フロスト先生はと言うと。
「ふーー? 勘の鋭い子供たちだ…………」
フロスト先生は、一人呟いて、頭の中で計画について考える。
『…………計画は順調だし? Xデーまでは後少しだ…………その時が来たら彼等と彼女等にも僕の本業を手伝って貰おうか…………』
彼が、密かに思案する計画とは、いったい何なのであろうか。
それを知る者は、極一部の人間を除き、誰も知る由も無かった。
「…………あの時までは、僕達は誰も皆幸せだったんだ…………あの時が来るまでは…………」
「…………そうね? あの時が来たから私達は終わりなき戦いに身を投じる事になってしまった…………」
過去の記憶を、懐かしそうに思い出す、ナタンとメルヴェ達。
二人は、あの日に起きた、出来事を脳裏に焼き付け、鮮明に覚えていた。
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