「あん? どう言うこった?」
「私が見てくるわ、ファイア・サンダー」
「俺も援護に回るわ」
レオは敵が慌てる様子を見て、どうしたら良いかと思案する。
そんな中、シモーネは火炎魔法と雷撃魔法を入口の向こう側へと放つ。
次いで、氷壁の防弾楯を作り、両手で構えて内部に突入していく。
防弾鎧に身を包まれた、彼女を援護するべく、ソムサックも内部へと突入していった。
「あ? おいっ! たく………戦況はどうなんだ?」
「味方よ、どうやらロボット戦車隊が活躍しているわ」
「それも、複数台だっ! こりゃあ~~勝てるぞっ!」
先に突入していった二人だが、レオは彼等を心配して声をかける。
すると、シモーネとソムサック達から伝えられるのは味方部隊が現れたと言う情報だ。
「ロボット戦車? デカイのが突っ込んできたのか?」
「取り敢えず、私たちも射つわっ!」
「混乱しているなら、今がチャンスじゃねーーかっ!」
ロボット戦車の姿を見ていない、レオは味方機甲部隊が、本格的に突撃してきたと思う。
レギナは、69式火箭筒を事務机から発射して、入口の中を攻撃する。
飛んで行った弾頭は、天井に当たったらしく、派手に瓦礫をブチ撒ける。
ファルクも、壁に向かって、RPGー弾を射ち込んだ。
「我々も射つっ!」
「よっしゃ、射つわよっ!」
ドミニックがRPGー7を射つと、床に伏せていた、ミネットもRPGー2を射った。
7の弾頭は、分厚い壁を壊したが、中から機銃掃射が飛んできた。
2の方も、弧を描いて飛んでいき壁に穴を開けた。
「反撃だっ! お前たち、伏せるんだっ!」
「シモーネ、こっちに戻れっ! ソムサックも速くしろっ!」
「わわ、分かっているわよっ?」
「コイツは不味い、不味すぎるぜ」
ドミニックは、何発か弾を喰らいながらも、部下に指示を出す。
それを見て、危険だと判断した、レオは先に様子を探るために突入した、二人を案じて叫ぶ。
PK汎用機関銃やM60汎用機関銃による、銃撃は防弾氷壁に、ピキピキと亀裂音を鳴らせる。
このままでは、不味いと思った、シモーネは氷壁を増加させて、分厚くしながら後退を始めた。
ソムサックも、彼方此方《あちらこちら》から飛んでくる銃弾を受けて、防弾鎧が貫通するのではと思い下がりだす。
「二人とも、支援しますっ!」
「今から幻影を作りますよ」
「ミネット、オルツィッ! 頼むっ!」
「今から、下がるわよっ!」
床に伏せる、ミネットが行ったのは援護射撃ではなく、大量に蔦を伸ばして囮《デコイ》を作ることだった。
そして、オルツィも急いで、幻影魔法により帝国軍兵士を多数精製する。
ソムサックは急いで逃げ出し、シモーネは自らを囲むように氷壁を作ってから走った。
「こっちにも、銃弾が飛んでくるな? 連合側は混乱しているが、どうやら未だに戦力は整っているらしい?」
「レオ、私が突撃するわ? 毒ガスで視界を遮りながら進む、だから援護を頼むわよっ!」
事務机の裏へと避難した、レオは戦況を確認するべく、目を細めて密かに様子を探る。
そんな彼に、ベーリットが銃撃を避けるため、背中を丸めながら、遮蔽物に隠れつつ近づいてきた。
「既に、サナダとシェラ達は勝手に行ったし?」
「分かった…………仕方ねえ、連中だな? まあ、援護に行ってやれ」
ベーリットから告げられた言葉を聞いて、独断先行する二人に呆れるレオ。
だが、こうなったら混乱と激闘の渦中にある敵部隊を壊滅掃討するべく、彼も突入を決意する。
「ヴラウリオ、ミネット、レギナ、イェスパー? ベーリットと一緒に右側の穴から前進してくれっ!! 俺とカルミーネ、ミア達は援護しつつ、頃合いを見て正面から強襲するっ!」
「やるしかないわね? なら撃つわよ」
「僕に援護は任せてくれ、」
「トゥキリ、ペゼリ、お前たちも正面から行けっ!!」
レオの命令により、突入指示が下った、各隊員たちは動き出す。
隔て板の裏から、MPiーAKー74Nを構えるミアは何発か連射する。
カルミーネは、空いた壁穴や入口に向かって、ベレッタMX4を単発連射する。
ドミニックも、アスカリ隊員たちに命令を下して、二名を援護に向かわせる。
「聞いたでしょっ? 今から私が毒ガスを吐くわっ! みんな、後に続いてっ!」
ベーリットは、口を大きく開いて、深く息を吸い込み、腹の中で毒ガスを溜め込む。
「準備できてるぜ、いつでも行けるっ!」
「俺も、いつでも良い…………」
「毒ガスの後は、細菌粘液の出番ねっ!」
「囮《デコイ》の用意は完了です」
イェスパーとヴラウリオ達も、銃を構えながら突入準備の覚悟を決めた。
レギナは、毒粘液を飛ばして、敵を混乱させようとする。
一旦、展開していた囮《デコイ》を全て、引っ込ませた、ミネットは向こう側で再び使用する気だ。
「そんじゃ、行くわよっ! ブシャアアァァァァーーーー!?」
ベーリットは、口から一気に毒ガスを吐き出して、壁穴の向こうを攻撃した。
また、体中からも青いガスを噴出させながら突入していく。
「援護するぜっ! 走れっ!」
「行くぞっ! 回復バリアだっ!」
「喰らいなさい…………ブッ!!」
イェスパーは、Mg M/07軽機関銃を乱れ撃ちして走りだし、ヴラウリオは青白い光を発光させる。
この光は、体中から周囲を包むように球体型バリア見たいになる。
その内部から、レギナは口からマスクを外して、首を後ろに傾けると、細菌粘液を吐き飛ばした。
それから、三人が青光の中で、銃を乱射していると、何発も敵が銃弾を撃ち返してくる。
機銃弾の何発かは、彼等を貫いてしまうが、すぐに傷口は塞がってしまう。
ヴラウリオが作成した球体だが、正しくはバリア状の回復魔法を展開し続けているわけだ。
「さて、私も囮《デコイ》を? …………」
「く、敵兵かっ!」
三人を背後から援護しようと、技と突入のタイミングをずらしていた、ミネット。
そんな彼女の目に、毒ガスが届かない範囲に、連合軍兵士が、銃を構えている姿が見えた。
「いや、こうしましょうっ!」
「ぐええっ!」
蔦縄を伸ばした、ミネットは、赤ベレーの連合軍黒人兵を捕まえた。
それも首を閉めながらだ。
「おい、肉盾? 役に立ってよ?」
「ぐおぉぉっ!?」
首を思いっきり力を込めて、締め付けながら、ミネットは黒人兵士を人質にしながら前へと進む。
「ミネットは? よし、大丈夫なようね? さあ、もう一発いくわよっ! ブシャアアアアッ!!」
「私もいくわっ! 喰らえっ! ブーーーー!」
視界を塞いでいた、毒霧から出てきた四人は、直ぐに近くの事務机などに隠れた。
ベーリットは、一人はぐれた、ミネットを探したが、肉盾を構える無事な姿を見て安心する。
それから、彼女は毒ガスを右から左へと横凪に噴射し続けた。
レギナも、細菌粘液を凄まじい勢いで、噴射しながら敵を攻撃する。
この細菌攻撃は、消防車が備える放水銃みたいに吐き出された。
「うわっ! 敵だっ? いや、味方か? 分からない…………」
「うわあ~~? 視界が? 敵ぃ? 味方かぁ?」
「ぐええっ! ブクブクブクブク…………」
「ぐお、げぇっ! ゲロロ、ゲロロロロッ!!」
ベーリットが、吐いた毒ガスを吸った敵は、意識が朦朧としながら敵味方の区別がつかなくなる。
これは、殺傷目的の毒ガスではなく、敵を混乱させる薬物ガスだ。
レギナは、通常の細菌粘液を使って、隔て板に潜む敵を倒す。
これを受けた、連合軍兵士は口から泡を吹いて後ろに倒れた。
そして、アラビ系民兵も嘔吐しながら、前のめりに倒れつつ両手を床に突いた。
「よし、アイツらは上手くやっているな? ドミニック、援護を頼むぞっ!」
「任せてくれっ! トゥキリ、ペゼリ、援護しながら突入するぞっ!」
「了解っ!!」
「了解っ!!」
先行した、五人の活躍を見て、レオは突入するために事務机を跳び越えて走り出した。
ドミニックも、後を追って部下たちを引き連れながら疾走していく。
こうして、警察隊員は混乱する連合軍部隊を、さらに撹乱させるのだった。
面白かったら、ブックマークとポイントを、お願いします。
あと、生活費に直結するので、頼みます。
(^∧^)
読み終わったら、ポイントを付けましょう!