【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第51話 化学物質保管施設の奪還

公開日時: 2024年7月10日(水) 00:22
更新日時: 2024年7月12日(金) 22:56
文字数:3,369


 大きなタンクの陰に隠れた、彼等は、AWOー700から降りる。


 そして、タンクの陰から化学物質保管施設を観察しつつ様子を伺う。



 すると、少しでも顔を出そうならば、相変わらず、レジスタンス達は激しく銃撃してくる。


 連中は、二人に向けて、容赦無く軽機関銃の弾丸を撃ち放ってくる。



 二人が隠れている、タンクには弾の貫通こそしなかったが。


 これで、化学物質保管施設の駐車場前・正面入口で足止めされる部隊同様に、身動きが取れない。



「くっ! これじゃあ、俺達は外の部隊と変わらないじゃないか」


「何か良い物は無いの? 閃光手榴弾とか、煙幕とかさっ!」


 銀色に光る、タンクの陰に隠れて、ホルスターからワルサーP5を抜き取る、レオ。


 そして、腰からステアーGBとステアー・ハーン・ドッペルを抜き取る、ミア。



 二人は暫く、レジスタンス達の様子を大人しく伺う。



「んな物が有るなら? とっくに使ってるって!?」


「ドローンの救援? 来てもバルカンに撃ち落とされてしまうのにっ!」


 レオはら動く空を飛ぶ、黒い羽虫のようなドローン達を見て援軍が来たと思う。


 そして、ミアは味方ドローンが来ても、敵に撃ち落とされてしまう事を考慮するが。


 案の定、それは現実と成ってしまう。



 自動ガトリングガンは、次々と空中から迫り来る、敵飛行物体に照準を合わせる。


 そして、数十機ものドローン軍団を迎撃して、撃ち落としていく。



 だが、撃ち落とされてしまったドローン達は、機体の残骸から、白い煙りを巻き上げる。


 空中を飛ぶ、ドローン達も空中から煙幕弾を投下する。



「うわっ! 奴等は煙幕を焚きやがった!」


「このままじゃあ、突破されるっ! 火炎瓶と手榴弾を投げろっ」


「銃も弾が無くなるまで、撃ちまくれぇ~~」


 レジスタンス達は、煙幕に包まれた駐車場を、帝国側に突破されぬように素早く動いた。


 連中は、軽機関銃と自動小銃による銃撃に加え火炎瓶や手榴弾を投擲する。



 こうして、必死で帝国側の兵士を近づけ無いように抵抗する。



「よしっ! 今の内に側面を突くぞ」


「そう上手く行くのかしら?」


 手元に拳銃しか無いと言う、心許ない装備しか無い、レオとミア達。


 二人は、白い煙幕の煙が充満すると一気に動きだした。



 そして、化学物質保管施設の左側に位置する、運搬車両・出入口を目指して走る。



「今だっ! 自動ガトリングガンが、ドローンに夢中になっている内に強行突破だっ!!」


「あっ! 先に行かないでってばっ! 一番首は私が貰うんだからぁ?」


 化学物質運搬車両の出入口を目指して走る、レオと、後ろを追い掛けて行く、ミア。


 彼等は、やがて出入口の側まで来るが、そこには敵が待ち構えていた。



「やべーーな? 罠だ…………」


「せっかく、ここまで来たのに…………」


 車両出入口から、端にある左側の壁際に、くっついて隠れた、レオとミア達。


 二人は開かれた、シャッターから中の様子を探る。



 その中には、数名のレジスタンス達が、銃を持って待ち構えている。


 そうして、迎撃態勢を整えている上に、数種類の罠が仕掛けられていた。



 吸着型レーザーセンサー爆弾、首閉め用の括り罠。


 鉄パイプ製の三連装簡易ショットガン・トラップ、粘着液を付着させた、マット。


 その直ぐ後ろには、高圧電流が通った有刺鉄線がある。



 バリケード代わりに設置された、それらは帝国側の兵士を、寄せ付けないようにしていた。



「見える所で、これだけ罠が仕掛けられているなら他の入り口も…………」


「超ヘルシーなサラダの野菜みたいに盛り沢山でしょうね?」


 内部の様子を注意深く観察する、レオとミア達は小さな声で呟く。


 そして、二人が下した判断は、出入口から内部への突入は危険だと考えた。



 それで、別の侵入口を探す事にした。



 その別な侵入口にしても、完璧に安全だとは、二人も思っていないが。


 少なくとも、車両出入口よりは、罠の数も多くはなく、侵入も容易だと思った。



「何処かの侵入口を探すとするか」


「それとも強行突破でもする、って無理か」


 壁際から背中を離すと、別の侵入口を探すべく、壁づたいに歩いて進む、レオ。


 彼が動きだすと、ミアは背中から援護射撃できるようにしながら後を追う。



 そして、充満する白い煙幕内を進む二人の前に、チラホラと黒い人影が見えてきた。



「強行突破の可能性が出てきたぞ」


「味方部隊ね? オーガーに、シュヴァルツ・リッターと歩兵達と…………」


 レオとミア達の前に現れた部隊は、幸いな事に味方だった。


 制服姿のヴァンパイア下士官が、先頭に見えた。



 また、その背後に、オーガーとシュヴァルツ・リッター達が控えている。


 彼等を中心とする、帝国地上軍部隊は、計七名の兵士達で構成されていた。



「アッチからもよっ!」


「…………そうだな」


 いきなり、レオとミア達の側面からも、六人で構成される人影が現れた。


 その人影が近付いて来ると、白い煙内から味方兵士達が姿を現す。


 その内、二人は通常兵だったが、他は特殊兵士であった。


 特殊兵だが、二名はグール、もう一人はウィザード、残り一人は手品師の格好をした女性だった。



 女性の姿格好は、明るい金髪ロングヘアを揺らす。


 その上に、黒いシルクハットを右斜めに傾けて被り、青いジャケットを着ている。



 下は、黒いミニスカートを掃いている


 さらに、縦に黒と青のストライプ模様が入った、ストッキング&黒いブーツも掃いていた。



 彼女の格好は、軍人や兵士と言うよりも、まるで手品師みたいな風貌をしていた。



「ミミックマスター?」


「そう見たいだね?」


 ミアとレオ達は、白い煙幕の向こうから現れた、兵士達を見つめる。


 そして、その中に、ミミックマスターが、一人存在することを確認する。



 この兵種だが。



 帝国軍警察で、トラップ設置・解除など、工作任務を遂行する、特殊工兵の名称である。



「そこの二人、さっき独断先行した者達だな? そして、そこの四人っ! 貴官等は今から私の指揮下に入れっ!」


 オーガーとシュヴァルツリッターを引き連れた、帝国軍下士官は、レオとミア達に声をかけた。


 また、彼は、二人を含む四人の帝国軍兵士に命令を下す。



「はっ! 了解しました」


「了解ですっ!」


 レオとミア達、警察隊員を含む、帝国軍兵士は下士官に敬礼する。


 そして、下士官は次なる命令を下す。



 それは、化学物質保管施設への突入命令だった。



「良いかっ! これより我々は施設内部へ突入して、内部に潜むテロリスト達の殲滅任務を敢行する、では行くぞっ! オーガーそこの壁をぶち破れっ!」


 帝国軍下士官は、腰のホルスターから、マカロフPMを抜き取る。


 そして、彼は即席部隊の部下達に、威勢良く指示を下す。



「シュヴァルツ・リッターはその穴を通って前進しろ、他の者はその後に続けっ!」


 命令を聞いた、レオとミア達を含む、帝国側部隊は、施設への突入準備に移る。


 彼等は、まず壁に張り付いて、オーガーが壁をぶち破るまで待機する。



「突入を開始する…………」


 遂に、オーガーが壁を蹴破り、大穴を開いて、内部へと突入する。


 そして、シュヴァルツ・リッターが後に続く。



 その直ぐ後ろには、毒撃兵たる、グール達二名が口から青い毒ガスを吐く。



 さらに、他の兵士達は、先に進んだ装甲兵達に続く。


 彼等は、施設内部へと、催涙弾や手榴弾と言った、投射物を投げ込む。



「続けっ!」


「行くぞっ!」


 先攻する、オーガーとシュヴァルツ・リッター達の陰に隠れながら帝国軍兵士たちは走る。


 そうして、内部の遮蔽物や壁を目指して走って行く。



「敵影は無しっと!」


「誰も居ないわね?」


 帝国側部隊が突入した、施設内は廊下であるらしかった。


 白い蛍光灯の光を反射する、青色に塗装された床、無機質な灰白い色のコンクリート壁。


 などと言った、殺風景な内装が、レオとミア達を出迎えたからだ。



「緊張するな?」


「本当にね…………」


 レオは、両手で構えた、ワルサーP5Lの銃口を下げる事なく歩いていく。


 彼は、周囲に敵である、レジスタンス達が隠れてないかと油断せずに警戒する。



 一方、ミアも両手の拳銃を確りと握りしめて、辺りを、ゆっくりと見回す。


 そうしながら、彼女は警戒心を解かず、神経を集中させる。


 右手に握るステアーGB、左手に握るステアー・ハーン・ドッペル。


 この二つを、左右に構えて、彼女は少しづつ進んでいく。



「居たぞっ!」


「敵だーー撃てっ!!」


 廊下右側の曲がり角から、突如レジスタンス員が現れる。



 連中は、帝国側部隊に向けて銃撃してきた。

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