【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第246話 室内戦と白兵戦

公開日時: 2024年7月12日(金) 12:33
更新日時: 2024年7月15日(月) 07:54
文字数:3,057


 帝国軍部隊は、壁面を登り、三階にまで上がってくる。



「な、なんだよ、コレ? どうなっ!?」


「死ねーーーー!!」


「グラップリングフックだっ!」


「連中、壁を上がってくるぞっ!!」


 ナタンは、敵の歩兵部隊が部屋に入り、暴れ回っているさまに驚く。


 そんな彼の隙を狙って、帝国軍兵士が、スコップを振り回してきた。



 ワンは、床に落ちた重りとロープを見たあと、88式汎用機関銃を撃ちまくる。


 チューも、03式自動歩槍に銃剣を着剣すると、突進する。



「ぐっ! このっ!」


「ぐっ? があっ! う…………」


 AMDカービンで、スコップの柄を抑えた、ナタンは敵兵を蹴る。


 そして、銃床で胸を殴りつけ、フリッツ・ヘルメットを被る頭を力強く叩いてやった。



「このやろ」


「うわああああっ!!」


「喰らえっ!」


「うぐぅぅ…………」


 ワンは、機銃弾で敵兵を次々と射殺していき、チューも銃剣で、ドライアドの喉を一突きした。



「ナタン、その鉤縄のロープを切ってっ!」


「窓際のフックも外すんだよっ!」


 メルヴェは、重りが着いた、グラップリングフックのロープを切るように頼んできた。


 一方、フランシーヌは窓際に引っ掛けてある物を指差す。



「分かった、待っててくれっ!」


「待ってられないわよっ!」


「こっちもだわっ!!」


「ぐぁっ! 狙撃兵も居るぞっ!」


 ナタンは腰から抜いた、レギオールナイフで、ロープを急いで切らんとする。


 しかし、特殊繊維で作られた、金属製の縄は、そう簡単には千切れない。



 メルヴェは、黒い野戦服を着た、獣化した女ワーウルフと対峙する。


 口から毒ガスを放とうとした、グールの顎《アゴ》を、フランシーヌはAKのグリップで叩く。



 そうしている内、下から投げられた鉤縄を落とそうとした、ウェンの左肩を弾丸が貫いた。



「死ねっ! 死ぬんだっ!」


「ナタン、切らないと次から次へと、増援が到着するわよっ!」


「分かっているっ! だが、切れないんだっ! こうなったら…………」


 女ワーウルフの放った鋭いパンチを、メルヴェは交わしつつ、サッと後ろに引き下がる。


 ナタンは、その間に重たいグラップリングフックを持ち運び始めた。



「それっ!」


「ぐわああああああっ!?」


 ナタンの投げた、グラップリングフックは、鉤縄を使って登って来た、帝国兵に当たる。


 そして、そのまま奴は悲鳴を上げながら真下へと落下して行った。



「があっ! 腕がっ! クソッ! スナイパーめっ!」


「それより、私を助けてっ!」


「こっちもだよっ!」


「下からも、まだ来ますよっ!?」


 重りとグラップリングフックを投げたばかりのナタンに、狙撃が浴びせられた。


 それで、彼は左腕を負傷してしまうが、そうこうしている間にも、敵は雪崩れ込んでくる。



 女ワーウルフは、回し蹴りを放つと同時に、鋭い鉤爪による斬撃を仕掛ける。


 メルヴェは、腹に一撃を食らうとともに、何とか二撃目だけは回避しようと体勢を下げる。



 フランシーヌは、全身から毒ガスを噴出し始めた、グールを急いで撃ち殺す。


 また、路上から鉤縄や蔦縄を使って、帝国軍兵士やドライアドが登ってくる。



 それを、アイリーは191式自動歩槍を乱射しながら何とか止めようと試みる。



「メルヴェ、今助けるっ!」


「ぐぎゃっ!?」


「はぁ~~助かったわ…………」


「まだ、外から来るわよっ!」


「安心するのは早い」


 ナタンが咄嗟に投げた、レギオールナイフは、女ワーウルフの左側頭部に突き刺さった。


 それで、右側に奴が倒れると、メルヴェは安堵して、ため息を思いっきり吐いた。



 ようやく、室内に突入してきた、敵部隊は撃退したが、フランシーヌは気を抜かず下を眺める。


 バレットM95で、タカヤマは公園の塹壕内に潜む、ドライアドを撃ち抜く。



「それも、分かっている…………ふん? なんだ、あの紅い瓶は? 燃えているっ?」


「火炎瓶だわ、味方の投射よっ!」


 空高く舞う火炎瓶を、ナタンは眺めながら不思議そうな顔で見ていた。


 しかし、彼もメルヴェの言葉を聞いて、我に返ると公園にAMDカービンを向けた。



「迫撃砲だっ!」


「いや、待てっ! これも味方のだっ!」


 ヒューーと迫撃砲の砲弾が飛翔する音が木霊したが、それは後ろから聞こえる。


 ナタンは、一瞬だけ焦ったが、ウェンの声を聞いて、確かにそうだと思った。


 一門だけしか、砲は無さそうだが、それでも無いよりはマシだ。



「敵が吹き飛んでいるっ! 炎も公園を焼いているわっ!」


「歩兵部隊が後退していくわっ! でも、代わりに?」


 砲弾と火炎瓶は、何回も振り袖いて、公園の彼方此方《あちらこちら》に穴凹と火を広げる。



 イエローボーイを乱射しながら、メルヴェは味方の後方部隊による援護を喜ぶが。


 アイリーは、敵の機甲部隊に動きがある事に気付き、また砲撃が飛んでくると予測した。



「Tー95が動き出したわっ! 奥へ退避して下さいっ!」


「もう、遅いわっ! 伏せてっ!」


 ドンッと大きな音が鳴り響き、アイリーとメルヴェ達は床に身を伏せた。


 しかし、彼女らは砲撃が飛んで来ないので、不思議に思っていると、また爆発音がした。



「味方だっ! 味方の砲撃だっ!」


 チューは、北側のロワイヤル通りから戦車隊が走ってくる姿を見た。


 黄緑色に塗装された、Tー90を中心とする機甲部隊は、Tー95部隊を攻撃する。



「赤い旗が立っている? 滷獲したんだな?」


 ナタンは、味方機甲部隊を眺めたたが、Tー90以外は、旧式のTー64が二両だけしか見えない。


 それでも、貴重な機甲戦力であり、三両とも、Tー95部隊を撃破した。



「敵の反撃が始まるぞっ!」


「あっ! 殺られたっ!」


 Tー95部隊は、いきなり現れた、旧式戦車隊の奇襲に対応できず、何度も砲撃されて撃退された。


 しかし、残るTー90Mプラルィブ部隊は、精密射撃で反撃してきた。



 ナタンは、砲身を動かす敵軍の機甲部隊を見ていたが、戦車以外も兵器が機関砲などを撃ち始めた。



 メルヴェは、味方のTー64が機関砲を浴びて炎上するさまを目にする。


 さらに、Tー90が砲弾を何発も浴びて、爆発物反応装甲を全て破壊される。



 そうして、車体も被弾して、爆破させられてしまった。



「残るは一台、対戦車兵器は?」


「あるには、あるが無誘導型は命中率が低い、誘導型は妨害電波で軌道を剃らされてしまう」


「それに、残り数が少ない…………」


「カールグスタフやジャベリンを持った、対戦車部隊はまだ来ないのか?」


「いや、今来たぞっ!!」


 ナタンが呟きながら、戦車が殺られたあと、自身に砲弾が飛んでくるだろうと考えた。


 それ故、彼は壁に身を隠しながら対戦車兵器を探すが、チューは無駄だと答える。



 ワンも、壁際に立て掛けられた、何本か残る、69式毫米反坦克火箭筒を目にする。


 対戦車兵器を待ち望むウェンに、何処からか声がかけられた。



「ドゥロル? いったい何し…………」


「なぜ、貴方が?」


「援軍に決まってんだろ」


 ナタンとメルヴェ達は、急に登場したドゥロルに驚いたが、彼が指差す方に目を配る。


 すると、ドリアードや民兵たちが塹壕内を通り、戦車隊へと近づいていく姿が見えた。



「うおっ! 戦車を撃破したぞっ!」


「BTRも殺られたわっ!」


 ナタンとメルヴェ達は、次々と破壊炎上していく、敵の機甲部隊を目にする。



「ジャベリンは使い果たしたが、塹壕から近づけばRPGー2でも充分に効果を発揮する…………あと、ブリュッセル宮殿と連邦政府庁舎は制圧済みだ、そっちからも対戦車兵器が放たれるだろう」

 RPGー2とRPGー7を装備した、ドライアドと民兵たちは、一斉発射で奇襲を仕掛けたのだ。


 ドゥロルが語る通り、対戦車兵器は四方八方から飛んできて、敵の機甲部隊を壊滅してしまった。

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