【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第130話 ビル内から通りへ~~

公開日時: 2024年7月10日(水) 20:36
更新日時: 2024年7月13日(土) 11:43
文字数:3,009


 バンバンと発射音を鳴らして、ドラグノフKの銃口からは、次々と弾丸が放たれる。


 このマークスマンによる射撃は、レジスタンス達に取っては、かなり驚異だったらしい。



「ぐわっ! 腕がっ!」


「がはぁ? ああ~~~~」


「う…………? ぁ?」


 ナタンを狙っていた、レジスタンス員達が次々と狙撃されていく。


 一人は、腕を撃たれて、二人目は右肩を撃ち抜かれて、三人目は頭にクリーンヒットした。



「うらっ! くらえっ!」


「死ねっ!」


「後ろからもだとっ!!」


「敵に挟ま…………!?」


 スーラーンとブラトノワ達が、レジスタンス達の背後から現れたらしい。


 突然の奇襲に、連中は慌てて、後ろに振り向いたが、時既に遅かった。



「ぎゃっ!!」


「ぐああああっ!?」


 スーラーンの投げた飛刀《フェイトウ》は、レジスタンス員を二名殺害する。


 ブラトノワがPPS撃った銃弾は、背後に振り返った、レジスタンス員達を三名も倒した。



『…………助かった? ふぅ………………』


 頭上からの攻撃を、何とか凌ぎきった、ナタンは走りだす。



 フォイルスニェーク大尉率いる部隊から離れる為に、彼は急いで前へと進み続ける。


 そんな、彼は受付カウンターを飛び越え、左右のエスカレーターに挟まれた廊下の奥へと向かう。



「何だ?」


 廊下には、無数の爆殺や銃殺された、死体が大量に転がっていた。


 きっと、ここにある亡骸は先ほどの戦闘で死んだ、レジスタンス員たちだ。



 殺ったのは先に突入した、スーラーンとブラトノワ達による強襲攻撃だろう。



『…………さっき二人が投げた手榴弾だな? ずいぶん遠くまで投げたんだな…………』


 走る、ナタンは廊下脇に倒れた死体を見ながら思う。



「なっ! ラジコンだと?」


 不意に前方から、子犬程度の四角い車が走って来る姿が見えた。


 奥から来た、それを見て、即座にナタンは右側の部屋に入り込む。



「な、なんだ、ありゃ?」


 六台もの緑色をした、ラジコン部隊は、ナタンが今来た廊下を走り、入口を目指す。


 この二列で進んでいた超小型車両部隊は、ゴプニカが構えるドラグノフKによって撃たれた。



 幾つかの7、62ミリ弾が四角い装甲板に当たるが、大した効果はない。


 その様子を、息を殺した、ナタンは部屋で息を殺して、隠れながら伺っていた。



「連中が正面から来るぞっ!! 急げ、早く援軍に向かうんだっ!!」


「スナイパーが居るようだぞ、気をつけろっ!!」


 今度は、いきなり廊下の奥から、レジスタンス員たちが走ってきた。


 ナタンは、連中の声や足音を聞いて、静かに部屋で動かず、敵が去ることを待つ。



『…………八人か? こりゃ~~不意打ちは無理だな…………』


 走る足音から敵の人数を、大体把握した、ナタンは額から冷や汗を流す。


 それから反対側のドアまで歩いていき、物音を立てずに開くと部屋を出ていく。



「おや? 何処へ行くんだい?」


「プリンス、声を出すんじゃないよ」


 ナタンは、急に背後から聞こえた声に振り向き、腰から、MASー1935を抜こうとした。


 しかし、そんな彼の正面に立っていたのは、プリンスとゴプニカ達であった。



「ああ、悪いね」


「たく…………」


 プリンスは、浅黒い顔下半分にトゥアレグ族が着用するマフラーを巻いている制服姿の兵士だ。


 拳銃バルチエフを片手に握った、彼はニコニコと柔和な笑みを浮かべて立っている。 



 その後ろには、ゴプニカが背中にドラグノフKを背負っていた。


 金髪ロングパーマのワーウルフである、彼女はアディダス製、青ジャージを上下に着ていた。



「側面を突こうと、回り込んで来たのか? ならば、このまま連中の背後に回ろう」


「出てくる連中は、全員射殺してやるわ」


『…………不味いな~~せっかく逃げられると思ったのに…………』


 プリンスとゴプニカ達は、ナタンとともに、レジスタンス達を、三人で背後から奇襲攻撃する気だ。


 思わぬ人物たちの登場に、密かに逃亡する計画を立てていた、彼は焦ってしまう。



 また、悩む彼だが、今は二人と一緒に、廊下の奥へと進むしかない。



「その通りさ、さあ行こう」


「こっから先は、コバルトでね…………じゃないと戦えない」


 プリンスは、ナタンの右後ろ側を、バルチエフを片手に歩く。


 ゴプニカも、両手でリボルバー拳銃コバルトを握りつつ、左後ろ側を警戒しながら歩く。



 足早に進み、レジスタンス達の背後を取るべく、三人は奥へと向かってゆくが。


 両側のドアを見ながら、行くてから伏兵が現れないかと思う、彼等は緊張する。



「ん? 妙な音がした? これは…………」


 先頭を歩く、ナタンの耳に前方から聞こえてきた、妙な物音。


 それは、誰かが走って、靴が床を踏みつけるようにも、銃を撃つようにも思える。



「戦闘だ、どうやら向こうでも始まったようだっ!」


「急がないとねっ!?」


「別動隊が先に始めたのかっ!!」


 連続する銃声を聞いた、ナタンは急いで、真っ直ぐ廊下の奥へと向かう。


 ゴプニカとプリンス達も、彼と同じく戦闘が行われている場所へと走る。



 遠くから、聞こえてくる銃撃音が大きくなる度に、一向は戦場へと近づいているなと感じる。



「外の方だ、窓の明かりが見える」


 ナタンが前方を見ると、真っ白い光が廊下最奥の割れた窓から射し込んでいた。


 激しい戦闘は、どうやら通りで行われているらしく、外から様々な音が響く。



 建物の外壁や窓ガラスへと、銃弾が当たって砕ける破壊音や銃声などだ。



「外は…………向こうが敵か?」


「背後を取っているから、こっちは有利ね? 私は援護するわ、前衛は頼んだわよ」


「分かった、俺達は先に進むっ!」


 ナタンが、窓の外を見ると、右側からレジスタンス部隊が銃を撃っている姿が見えた。


 流れ弾が跳んで来ると、危ないので、彼は直ぐさま一歩後ろに下がる。



 ゴプニカは、コバルトを腰のホルスターにしまうと、背中からドラグノフKを取り出して構える。


 プリンスは、窓の外に飛び出し、右側へと向かって走り出した。



「あっ! 待てよっ?」


 ナタンは、勝手に走っていった、プリンスを止めようと声を出した。



『…………先に行ったか…………この戦闘の最中なら混乱に乗じて脱出できる…………』


 プリンスの後を追って飛び出した、ナタンは直ぐに近くにあった、自動車の残骸に隠れた。


 ボコボコに膨らみ煤けた、トランクの陰から、様子を伺うべく、彼は左側の方に近寄る。



 そこから、顔を出した彼は、向こう側で戦闘を続けるレジスタンス部隊を眺めた。


 大型バスが、真ん中に陣取り、その両脇を自動車が並び道路を、バリケードとして塞ぐ。



「来たぞっ! 絶対に突破させるなっ!!」


「ドローン部隊の援軍はまだかっ!?」


 自動車の残骸陰や大型バス車内から、レジスタンス員達が、複数人で動く姿が、チラホラ見える。


 自動小銃や汎用機関銃を、撃ちまくる連中は、必死の抵抗を続けているようだ。



 さらに向こう側に位置する、帝国軍部隊も足止めされているが、徐々に前進し始めている。


 このまま行けば、敵部隊は殲滅されてしまい、ナタンが逃げる隙は全く無いだろう。



「おい、ナタンだったか? 仕掛けるぞっ!」


「いや、待て…………もう少し様子を見ようか」


 不意に聞こえた、プリンスの声に、ナタンは右手側・路地に隠れる彼へと振り向く。


 今レジスタンス側に奇襲攻撃をして勝っても、ナタンは再び逃げられぬだけだ。



「いきなり、飛び出すのは不味いからな」


 だから、彼は様子を伺う振りをしつつ、プリンスから離れようと画策するのだった。



 しかし、予想よりもレジスタンス側の抵抗は激しいらしく、中々離脱することは難しそうだった。

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