【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第50話 現れた帝国地上軍指揮官

公開日時: 2024年7月10日(水) 00:21
更新日時: 2024年7月12日(金) 22:56
文字数:3,345


「貴女は…………ラヴィーネ大佐!」


「私達が助けておいて貴様らは先に帰還するのか? 帝国警察がそんな恩知らずだとは夢にも思わなかったな…………」


 後ろに振り向いた、フロスト中尉は突然登場した人物にビックリした。


 護衛として、トーテン・シェーデル・ゾルダードを、二名引き連れた、絶世の美女が映ったからだ。



 それは、彼よりも階級が上である、ラヴィーネ大佐であった。



 彼女ははシルバーホワイトのロングヘアで、後ろ髪は、腰元まで伸びる。


 目は、雌狼《メスオオカミ》を想わせる、鋭い眼光である、ラファエロ・ブルーの瞳。


 ぷっくりとした、ライト・アイス・ブルー色の唇。


 身長は高く、モデルみたいに、スラリとした体型と言った、容姿端麗な肉体の持ち主だ。


 その美しい顔には、柔和な笑みを浮かべているが、どうじに此方《こちら》を睨んでいた。



 彼女は、黒い制帽を被り、両肩に銀色の肩章が付いた黒いロングコートを羽織り、前は開けている。



 その下には、黒い制服を着込む。



 下には、黒いヨークスカートを履き、足には青いストッキング&黒いピンヒール靴を履いていた。



 彼女は、製造国不明の葉巻と、銀色に輝く、イムコ社製ライター、イムコ・スーパーを取り出す。


 この二つを、黒いロングコートにある内ポケットから優雅に出す仕草は妖しく美しい。



 それから、彼女は葉巻に火を着けて、甘い味をゆっくりと煙を吸い込んで味わう。



「フゥ~~~~?」


「ぐっ?」


 フロスト中尉に、ゆっくりと腰を揺らしながら近付いてきた、ラヴィーネ大佐。


 彼女は、彼の肩に抱き着くと、顔面に葉巻から出た甘い匂いが混ざった、吐息を吹きかける。



 さらに、耳元で、悪魔が誘惑する様に囁く。



「中尉? 貴様には今夜たっぷりと夜伽《よとぎ》で礼をして貰うぞ」


「畏まりました、ラヴィーネ大佐…………この私目でよければ何時だって…………」


 フロスト中尉の耳元で囁くと、首筋から耳元までを蒼い舌で舐める、ラヴィーネ大佐。


 彼女は、そのままフロスト中尉の後頭部を鷲掴みにする。



 そして、葉巻を指で摘まんだままの右手で、クシャクシャてした髪を解きほぐすように撫でる。


 そして、背中は左手で、ゆっくりと擽《くすぐ》るように撫でる。


 そんな彼女の強引な願いを、無下に断れる筈も無い、フロスト中尉。



 彼は、大人しく命令に従った。



「今夜、10:00時にラディソン・ブル・ロイヤル ・ホテル・ブルッシェンでな」


「分かりました、今夜かならず参上致します」


 ラヴィーネ大佐は、すぅ~~と、フロスト中尉の肩を掴んでいた両手を放す。


 次いで、そのまま後ろに、クルッと素早く振り向いて行ってしまう。



「ククク…………楽しみに待ってるぞ、遅刻はするなよっ!」


「…………」


 行ってしまった、ラヴィーネ大佐を無言で見送る、フロスト中尉。


 彼は、自分より階級が上の美しき怪物が去って行ったことを確認する。



 そうして、ようやく安心したのか、ホッと胸を撫で下ろした。



「はぁーー? あの人、怒らすと恐いんだよな、今夜を考えると憂鬱に成るなぁ~~」


「中尉っ! これも任務です」


「夜の御仕事、頑張って下さい」


 フロスト中尉は、夜の特別任務を考えると、一気に憂鬱な気分に陥り、愚痴を溢した。


 そんな彼を部下である、ミネットとイェスパー達は横から励ます。



 イェスパーの姿は、黒いフリッツ・ヘルメット、防弾ベスト、制服などを着ている。


 また、見た目は、平均的な兵種であるトーテン・シェーデル・ゾルダードの姿だった



「君達、他人事だからって…………」


 フロスト中尉は、部下である二人に対して、面倒くさそうに呟いたが。


 二人に、文句を言っても仕方が無いと思い、口を閉じて黙った。



「フロスト、良かったら乗ってかない?」


「サースリカ中尉、好意は有り難いけど肝心の車両はどうしたんだい?」


 フロスト中尉が名前を呼んだのは、トカレフを装備した、女性下士官だ。


 彼女は、同じ帝国警察部隊員であり、第一部隊長を勤める、サスーリカ中尉であった。



 それと、ノルデンシュヴァイク帝国が、この星を侵略した際にだが。


 クヌートとレーノチカ達、両名を拉致・洗脳した人物である。



 そして、先程の戦いでも、部下を鼓舞して陣頭指揮を取っていた。



「それなら心配は無いわよ? 署から直ぐ来てくれる様に、待機していた部下達に頼んだから」


「そうかい、それは有り難いね…………じゃあ御言葉に甘えて僕達も乗せて貰おうか」


 こうして、サースリカ中尉の助けを借りた、フロスト中尉たち第三小隊だったが。


 彼等は、無事に署まで帰還する目処がついた。




 一方、その頃。



 化学物質保管施設へ向かった、四人の警察隊員たちだが。



 青・黒・灰などと言った、墓場に多数ある墓石のような色合いに塗られた、ビル郡が並ぶ。


 そんな市街地の間を、ビークルが猛スピードで走り、通り抜けていく。



 四人の前方には、巨大な化学物質・保管施設が目に映る。


 そして、併設された、化学物質・精製工場が左側も見えてきた。



 その右側手前では、帝国警察部隊が保有する、パトカーと装甲車が並ぶ。


 そして、帝国地上軍のティーグルMとBMPー2歩兵戦闘車も存在する。



 これらの車両が、レジスタンス達へと応戦している姿も目に入った。



「何をモタモタしているんだ?」


「歩兵戦闘車まで、あるのに…………」


 AWOー700を運転するレオ、銃座に座り、MG3のグリップを握る、ミア。


 二人は、味方には歩兵戦闘車まであるのに、何故レジスタンスに勝てないんだと。



 帝国警察・帝国地上軍部隊を見て、不思議に思う、二人だったが。



「あっ? 撃ってきたぞっ!!」


「RPGー7?」


 青色のドゥカティ・スーパーバイク1198に乗る、カルミーネ。


 淡い水色の六輪型バギー、ポラリス・スポーツマン・ビッグボスに乗るベーリット。



 二人は、前方に見える白い噴煙を見ると、怪訝な顔をして呟くが。


 次の瞬間、それはBMPー2歩兵戦闘車を正面から吹き飛ばした。



「マジかよ? 吹き飛ばしやがったっ!」


「はぁっ!? あんな簡単に歩兵戦闘車が…………」


「普通、いくらRPG、つっても正面から吹き飛ばせるの…………」


「どうなってるんだ? テロリストの武器が高性能化してるのか?」


 レオ・ミア・カルミーネ・ベーリット達は、自分らが乗っているビークルを停める。


 そして、レジスタンス達が放った攻撃によって、破壊された、歩兵戦闘車の残骸を見て驚愕する。



 また、銃撃を続ける、帝国・レジスタンス双方の戦闘を観察する。



 帝国警察・帝国地上軍の部隊は激しい銃撃に晒されて、車両に隠れており、身動きが取れなかった。



 それは、複数の自動小銃と軽機関銃を構えた、レジスタンス達による銃撃。


 施設の二階・三階に陣取る、連中による機銃掃射。


 警備用として、三つも立てられた、コンクリート製の監視塔に設置された、自動ガトリングガン。



 これら、強力な武器や兵器による制圧射撃のせいで、帝国側は前進できなかった。



「テロリスト達は、警備システムをハッキングして乗っ取ったのかっ!?」


「正面からは、突破出来ないって、訳ね?」


 カルミーネとベーリット達は、苦戦する前方に位置する味方部隊の様子を見てそう呟く。


 そんな二人と違い、レオとミア達は前方を見ても全く怯まなかった。



 彼等は、AWOー700の速度を上げて、銃撃戦が行われている真っ只中に突っ込んで行く。



「いや、やり方に気を付ければ出来るさっ!」


「私達で、それをやって見せましょうっ!」


 凄まじい速度で、化学物質保管施設に突っ込んで行く、レオとミア達。



「じゃあ、行くぞっ!!」


「やってやるわよっ!!」


 二人が、施設の正面まで来ると、レオは斜め左の方へと、AWOー700をかっ飛ばして行く。



 銃座に座る、ミアはMG3から7、62ミリ弾を撃ちまくる。


 こうして、施設の二階と三階に陣取る、レジスタンス達へ向けて、機銃掃射をぶっぱなす。



「奴等を近寄らせるなっ!!」


「二名突破したぞ、撃ち殺せっ? さもないと我々に明日は無いっ!」


 RPK74とPKPを構えた、レジスタンス達は銃を彼方此方《あちらこちら》に撃ちまくる。


 連中は、猛烈な銃撃を加えて、レオとミア達の乗る、AWOー700による突入を止めようとした。



 だが、そうしようとした時には、既に遅かった。



 彼等は、敷地内にある大きなタンクに走っていき、陰に隠れたことで、狙い撃ちはできなかった。

 面白かったら、ブックマークとポイントを、お願いします。


 あと、生活費に直結するので、頼みます。


 (^∧^)

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート