【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第83話 二人の反撃は

公開日時: 2024年7月10日(水) 09:12
更新日時: 2024年7月13日(土) 10:06
文字数:3,011


「次は、貴様等の番だっ!!」


「グウオオォォ~~~~~!?」


 レジスタンス員達を、瞬く間に殺害した、レオとカルミーネ達。


 彼等は、次なる獲物として、連合軍コマンド達の命を狙う。



「まさか? やられたのかよっ!」


「クソがっ! 挟み撃ちだっ!」


 黒人コマンドとアラビ人コマンド達は、目の前で発砲を続けるSIGMAに注意する。


 また、後ろのレオとカルミーネ達にも、挟まれた事により、窮地に陥ってしまった。



「こっちだ、瓦礫の隙間を見つけたぞっ!」


「発砲音がする、こっちだ、こっちに行けぇっ!」


「居たぞ、スパイの正体はっ! …………」


 狭い洞窟みたいに掘られた地下道を、瓦礫の隙間を潜って、救援に駆けつけた、レジスタンス達。


 彼等は、SIGMAを発砲し続けるスパイの正体を視認した。



「あの野郎っ!? ぐゃっ!!」


「撃ち殺せっ! ぐぶっ!」


「気をつけろっ! 奴は手練れだっ!」


「身を隠せっ!?」


 だが、スパイの正体を知ったレジスタンス員は、名前を叫ぶ前に撃ち殺されてしまった。


 こうして、SIGMAを撃つスパイと、まだ生き残っている、レジスタンス達は交戦状態になった。



「これで、こいつ等に集中できる」


「覚悟しろ、帝国兵っ!」


 ワータイガー姿の黒人コマンドは、MAGー7を投げ捨てると、一気に飛び出す。


 それから、すぐに鋭い鉤爪が生えた、右手を突き出してきた。



 ヴァンパイアとして、覚醒した、アラビ人男性も瞳を真っ赤に染める。


 そして、ラシード反自動小銃を放り投げると同時、腰から取り出した、シャンビーヤを振るう。



「ヴァンパイア同士、戦いを楽しもうぜっ!」


「よかろう? さあ、正々堂々と勝負だっ!」


「グルルルルゥゥ…………」


「ガルルルルッ!」


 レオは、不適な笑みを浮かべつつ、アラビ人コマンドと対峙して、格闘戦の構えを取る。


 一方、腰を屈めた、カルミーネは、黒人男性コマンドを、狼男として物凄い憎悪の表情で睨む。



「正々堂々やったら、俺が勝つっ!」


「ほざけっ!!」


 レオが喋ったと同時、アラビ人コマンドが、短剣シャンビーヤを振るう。


 すると、彼は即座に手の甲を拳で殴り、ナイフの軌道を剃らす。



「それっ!」


「くっ!」


 次いで、レオは回し蹴りで、アラビ人コマンドのシャンビーヤを握る手を蹴飛ばす。



「シャァァーーーー!」


「ガルルゥッ!!」


 右手を振るうことを、急きょ止めた、ワータイガー姿の黒人男性コマンド。


 それから、奴は腰を屈めて、カルミーネに飛び掛かると、勢いよく頭突きを繰り出して来た。



「ガウッ! グオォーーーーーー」


 額にダメージを受けた、カルミーネは、一瞬だけふらつくが、すぐに体勢を立て直す。



「シャァァーーーー」


 追撃を狙って、右手から鉤爪を再び振るう、ワータイガー姿の黒人コマンド。


 その右腕に噛みつき、振り払われると、今度は喉元を狙って、カルミーネは鋭い膝蹴りを放つ。



「これでも俺は自由シリヤ軍に居たんだっ! ナイフ何か無くたって、どうって事はないっ!」


 その傍らでは、レオが拳を素早く振るい、重たい蹴りを繰り出す。


 こうして、アラビ人男性コマンドと、激しい格闘戦を演じていた。



「はあっ? その台詞は映画で負ける奴が言うんだよっ!」


 アラビ人コマンドの繰り出した蹴りを避け、溝内を狙って、真っ直ぐにパンチを放つレオ。



「ぐはっ! …………」


「止めだっ!」


 強力なパンチが腹に直撃してしまい、腹を抱え込む、アラビ人コマンドの頭を掴んだ、レオ。


 彼は、さらなる追撃として、下から顎《アゴ》に向かって、アッパーを喰らわす。



「うぅ?」


 アラビ人コマンドが、後ろに退くと、レオは再び頭を掴んで壁に投げつけ、踵落としで仕留める。


 頭から紅い血が吹き出るほど、踵落としを喰らった奴は、そのまま床にバタンと倒れた。



「終わったな、アッチは?」


 戦いに終止符が着いた、レオは後ろに振り向き、今度はカルミーネの戦い振りに、目を向けた。



「まだ、戦っているのか?」


 不意に、レオは呟いていた。



『…………双方とも実力は互角だな…………』


 レオは未だに続く、カルミーネと互角に渡り合う、黒人男性コマンドの戦い振りに感嘆する。



『…………加勢したいが、邪魔したら奴は怒るだろうしな? …………』


 カルミーネの奮闘振りに、加勢するかと悩む、レオだったが。


 彼の眼前では、互いによる攻撃を紙一重で避けつつ、殺し合う獣人達が存在した。



「グオォーーーーーー」


「ミャアーーーー!!」


 相手が僅かでも隙を見せたら、そこを即座に狙う、格闘戦が繰り広げられている。



 こうして、決着は、中々着かなかった。



 カルミーネが、拳を下から突き出すとそれを左手で止める、黒人コマンド。


 奴は、即座に反撃するため、右手の鉤爪で顔を狙ってくる。



「グオオオォーーーーーーーー!!!!」


『…………早く死ねえぇっ!! お前等がいなければ…………あんな、あんな事には成らなかったんだぁーーーー!? …………』


 狼と猫は、激しくぶつかり合って、拳と爪を衝突させる。


 そして、刀の鍔迫り合いのように、振るった鉤爪を引っ掛ける。



「シアャァァーーーー!!」


「ウオオォーーーーーー」


 蹴りを喰らわせると、上手く見せ掛けた、カルミーネが噛みつき攻撃を繰り出す。


 そして、彼は黒人男性の頭を目掛けて、飛び込む。



「ミャーーーーーー!?」


「グルルッ!」


 しかし、カルミーネは噛みつき攻撃はせず、黒人コマンドの両脇に、左右から鉤爪を突き刺した。



「グホッ!!!!」


 それを喰らうと、前のめりに、床へと倒れ込む、黒人男性コマンド。


 彼が力無く地面に横たわった後、カルミーネは冷たい視線を地面に向ける。



「お前等は皆死ぬんだ…………僕が皆殺しにするんだ」


「…………終わったな、カルミーネ、次は扉の方に行くぞ」


 何時までも、黒人男性コマンドの遺体に激しい怒りと憎悪の感情を抱く、カルミーネ。


 変身を解いた後に、どんな理由が有るかは分からないが、彼は直も侮蔑の視線を向ける。



 そんな彼を任務に引き戻すべく、レオは一人で立ち尽くす、カルミーネの名を呼んだ。



「ん、ああ? そうだったね、ごめん」


 地面を見下ろしていた、カルミーネは後ろから聞こえた、レオの声に返事を返す。



「さっさと行こうか? 早く害獣を駆逐しなきゃいけないからね」


「…………そうだな、任務を遂行しなければな」


 昔から変わってしまった、友カルミーネの姿を見て、いったい何があったんだと思うレオだったが。


 今はレジスタンス達を駆逐する任務を優先しようと、気持ちを切り替えた。



「ドアの方に行くぞ、カルミーネッ! 物音がしないのは妙だからな」


「戦闘が終わったのかな? それにしては、どちらか勝った方が、こちらに来るだろうし」


 やけに静かな、扉の向こう側の暗闇に目を配る、レオとカルミーネ達。


 壊れた木製ドアは、少しの木片を残して、ボロボロに成っていた。



「きっと、相討ちになっているのかも知れんな」


「だろうね、行って見ようっ!」


 レオとカルミーネ達は、銃を拾うと、歩き始めて、先ほど通って来た道を警戒しながら戻る。



「それと、発信器《ビーコン》を起動させようか? もう、どうせ電波が傍受されても良いし」


「俺達が潜入しているのは、既にバレているからな」


 カルミーネは、ポケットから取り出した発信器を起動させる。


 こうして、レジスタンス達の拠点で、戦闘が行われている事を、警察署に待機する仲間に伝えた。



 そして、先頭に立ち、暗闇の中を慎重に進みだす、レオとカルミーネ達。


 二人は、何者かとレジスタンスの間で、戦闘が行われた、地下道を歩いて行った。

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