【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第33話 銃の分解掃除作業は完了

公開日時: 2024年7月9日(火) 20:04
更新日時: 2024年7月12日(金) 22:48
文字数:3,439


 MAS《マス》ー1935ーA拳銃を分解して銃身や内部のパーツを掃除をする、ナタン。


 彼は丁寧に、一つ一つのパーツを掃除し弾装に弾を装填していく。



 こうして、ゆっくりと、パーツを組み立てて、分解したMASー1935を完成させる。



「道具を貸してくれて有り難う、礼を言うよ…………」


「礼はいらない? また何かあったら何時でもこい…………」


 彼は、作業机前の丸椅子から立ち上がり、入口から出ていく。


 そして、警備に立つ、レジスタンス員に、工具を貸してくれた事への礼を告げた。



 部屋を出てから、彼は狭い通路を通る。



「あっ! 忘れていた」


 彼は、FAーMASの弾装が、残り二個を残して、他は弾装が空なことを思い出した。


 弾薬庫に向かって、秘密基地内を歩き、狭い通路を出て広い廊下まで、たどり着いた。



 そこにも、物資が道の脇に置いてある。



 彼方此方に木箱。

 防弾楯の鉄板。

 プラスチックボックス。


 ~~等と言った品々が所狭しと並び、邪魔に感じるくらいの量が配置されていた。


 これ等は、帝国軍や帝国警察が襲撃してきた時の為に用意された物だ。



 つまり、バリケードとして設置されており、折角の広い廊下も、狭苦しくて歩き辛かった。



「………何処のアジトも中は薄暗いな…………」


 狭苦しい廊下を歩く、ナタンは 明かりを灯す、照明器具の数が足りないと思う。


 これは、電力節電のために、天井から下げた蛍光灯も光らせてはなかった。



 それ故、変わりに設置されている、ランプの明かりは周りだけを、ボンヤリと照らす。


 また、蝋燭の小さな炎が放つ光では、明るさが全然充分では無い。



 確かに、これでは返って、廊下を薄暗く不気味な雰囲気にさせるだけであった。



「…………メルヴェの所に、戻る前に弾薬庫まで行きたいが…………」


 そんな廊下を、ナタンは進みつつ、弾薬庫はどこに有るのだろうかと探す。


 そして、ふと荷物の運搬作業中である東南アシュア系で、小柄な女性が目に入った。



「あのお? 弾薬庫はどちらでしょうか、場所が分からなくて?」


「貴方は確か新しく、この基地に来た別動隊の人よね? 私に着いてくれば良いわっ! こっちよ」


 ナタンの質問に対して、女性は後を着いてくるように言ってきた。


 彼女は、中に何が入っているのか分からない、ボストンバッグを、両手で抱えて弾薬庫まで向かう。



 アシュア系の女性は、艶々とした、黒髪ストレートヘアで、黒目だった。


 また、明るいベージュの肌、プルンとした真っ赤な唇など、かなり美しく若い女性だった。



 服装は、黄色がかった、タイガーストライプの迷彩服を着ている。


 右足の太股には、プラスチック製レッグホルスターが下げられている。


 そこからは、南部一四年式小型拳銃らしき武器が、ピストルグリップが露出していた。



「僕はナタン、君はジューポン人? 銃はそこまで詳しく無いけど、ホルスターの拳銃はジューポン製のナンブだよね?」



「そう見えるかしら? みんな揃って、私の事をジューポン人か、チィーナ人だって言うけど私はベトニム系で名前は…………」


 アシュア系の女性は、質問に答えつつ良く間違えられると、笑いながら話す。



「ティエン…………ティエン氾《ファム》・妙《ジェウ》・善《ティエン》よっ!」


「ティエンかっ! 良い名前だねっ」


 ティエンとナタン達は、狭苦しい通路を通り弾薬庫までたどり着く。


 そこには、警備を行う、タンタルライフルを装備した、レジスタンス言が居た。



 赤いベレー帽を被った、迷彩服の彼は、二人を呼び止めた。



「武器が欲しいのか? 弾薬が欲しいのかは分からないが今は駄目だ、今は整理作業中で中には入れない」


「固いこと言わないでよ、私はその武器を持って来たんだし、中に入れて貰わないと武器・弾薬庫を預かる主計科員の仕事に支障が出るわよ?」


 警備任務に就く、黒人レジスタンス員に対して、ティエンは、中に入れるように言い訳をする。



「それなら仕方無いが? そっちの新入りは駄目だぞ」


「やっぱり駄目ですか…………」


「彼は私の御手伝いよ、だから入れてねぇ~~」


 黒人レジスタンス員の言葉に対して、ナタンは落胆するが。


 ティエンは、御手伝いだから通してと、笑顔で強引に、彼の手を引っ張り弾薬庫に入室する。



「あっ!? まあ御手伝いって、主計科員が言ってる訳だし、通しても良いか…………」


 勝手に、弾薬庫に入室した、二人の背中を眺めながら、黒人レジスタンスは一人呟く。


 そして、彼はドアを静かに閉めて、タンタルを構え直すと、その後も警備任務を続けた。



「っで? ナタンだっけ? あんたは何が欲しいのさ、銃・弾薬・弾装・オプションパーツ…………それともっ! まさか私の事をここで襲う気じゃっ!?」


「ちちっ! 違うよっ!? 5、56ミリ弾が欲しいんだよ、きっ! 君は美しい女性だけど、だからって手を出せないよっ!!」


 冗談を言って、ケラケラと笑いながら、ナタンをからかう、ティエン。


 いきなり、変な事を言われた、彼は大慌てで、彼女に襲う気はない事を伝える。



「プクク? 冗談よっ! それで本当に欲しいのは何かしら? 何でも言って頂戴、貴方が欲しい物が有れば探して上げるから?」


「悪い冗談は止してくれよ~~それよりも僕はさっき言った通り5、56ミリ弾が欲しいんだよ、弾の詰まった弾装が二個分だけしかなくて他の弾装は空だから」


 ティエンに、冗談を言われた、ナタンはガックシと肩を落とす。


 また、疲れたからか、溜め息を吐きつつ、欲しい物は銃弾だと答えた。



「ライフル用の5、56ミリ弾なら…………確か? 彼処のボックスに入っていた筈ね?」


 ティエンは、弾薬を探しながら、彼方此方《あちらこちら》に歩いていく。


 それから、彼女は大きな大工道具を入れて置くような、プラスチック製のボックスを見つける。



 それが、複数個も置いてある棚まで向かう。



 その内、一つを棚から取りだして蓋を開けるが、中には、なぜか一発も銃弾は無かった。



「あり? 中身は何処に…………」


「中身は、こっちの段ボールの中だよっ?」


 蓋を開けた、ボックスの中身が空なことを不思議がる、ティエン。


 彼女に対して、奥の棚裏から、若い男性が声をかけてきた。



「ハルドル? 弾はそっちに有るのね」


「もちろんだよ、こっちの段ボールに、ギチギチに積めてあるから、取りにお出でっ」


 ティエンが、奥に居るであうハルドルに返事を返すと、彼は勿論と答えた。


 また、こちらに来るようにと、姿を見せない彼は二人を誘う。



「ハ~~ルドル? あんたが弾薬を整理したのねっ?」


「ああーーそうだ? だから何処に整理したのか場所が分かるんだ」


「ああっ!! お前はっ!?」


 棚の裏で、整理作業中だった、ハルドルを見つけたらティエンは声を掛けるが。


 彼の姿を見た、ナタンは即座に帝国軍兵士だと思い込んだ。


 一瞬、ナタンは腰のホルスターから、右手でMAS1935を素早く抜き取ろうとしたが。


 すぐに、彼が敵ではないと気づき、拳銃を抜き取ろうと、構えていた右手をそっと戻す。



「はぁ~~?」


「どした? まさか、ハルドルが帝国兵に見えたのかな…………」


「ううっ? またかぁ~~いつも、他の基地やアジトから来た連中は皆、俺の事を帝国の兵士だと勘違いするんだよなぁ~~?」


 突如拳銃を引き抜こうとした、ナタンの様子を察した、ティエン。


 彼女は、やはり、ハルドルが帝国兵に見えたのだと思う。



 当の彼も、いつも通り、帝国兵だと勘違いされたかと困惑する。



 ハルドルは、プラチナブロンドの柔らかそうな髪に、蒼眼、極め細かい白い肌など。


 帝国軍兵の姿をしており、仲間だと知る由もない、ナタンが敵だと勘違いしても仕方が無い。


 つまり、レジスタンス員にしては、非常に紛らわしい容姿であった。



「て言うか? あんたも何で、その髪を染めてないのよ? 何時もは黒く染めているじゃな~~い」


「それがさーー? また変装して町中に出たり、荷物を地上に運ぶ任務に行けって、上から命令が出てねぇ?」


 何時もは、髪を黒く染めているが、なぜ今は白髪なのだと不思議がる、ティエン。


 それに対して、ハルドルは上からの命令で、仕方無く、色を白に戻しているんだと愚痴る。



「ふぅーーん? それで、髪の毛を真っ白にしているのね? あっ! そんな事より彼に自己紹介をしてっ!」


「あーー? あっ! そうだな!? 俺の名前はハルドル…………ハルドル・ビャルナソンだ」


「ナタン・ル・ロワイエです、宜しくお願いします」


 自己紹介をしてと、ティエンに促された、ハルドルは握手するために右手を差し出してきた。


 そうして、自らのフルネームを名乗る彼に、ナタンも、それに応じて名前を名乗った。


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