【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第184話 警察署を突破せよっ!

公開日時: 2024年7月11日(木) 22:27
更新日時: 2024年7月14日(日) 09:59
文字数:3,377


 歯科医院の駐車場を、トヨタ・テクニカルが走る。



「こっちを追って来たぞっ!」


「分かっているわ、この距離なら……」


 残る三台の軍用ATV、AMー1部隊は、未だ執拗に、トヨタ・テクニカルを追ってくる。



 ナタンはAAー52を撃ち続け、メルヴェはFADに武器を持ち変えたと同時に連射しはじめた。


 その結果、どちらによる攻撃が当たったか分からないが、一台だけAMー1が急に速度を下げた。



 おそらく、体に銃弾が命中したらしく、車両自体が停まってから帝国兵は、車上から転げ落ちた。



「空の部隊は居なくなったなっ! だが、連中が……く、撃ってきやがったかっ!」


「だけど、あとは二台…………いや、空に一機っ!」


 トヨタ・テクニカルは、建物の間を通り抜けようと一気に速度を上げていく。



 もちろん、ATV部隊も追撃は止めず、連中も武器を持ち変えた。


 何発ものマカロフPMMによる拳銃弾が、二人を襲う。



 そして、ナタンは連中に連射しながら照準を合わせようとする。


 だが、車体が激しく揺れるので、うまく狙いが定められない。



 メルヴェは、荷台の鉄板に身を隠しながら拳銃による射撃が止まる隙を待つ。


 しかし、そうやって隠れていた彼女は、暗い陰が自身を包んだことに気づく。



「よし、弾を込めた……って、なんだ?」


「アレは…………魔法を射ってきたぞっ!!」


「ウィザードが乗っているわっ!」


 MP5の弾倉を交換し終えた、アシュア系PMCは、上空を飛ぶ敵に目を配った。



 それは、カラシニコフ社製、フライング・カーだ。



 暗い機体の真ん中には、尖り帽子を被った、女性ウィザードが見える。


 ナタンとメルヴェ達は、空から降ってくる氷柱《つらら》や火球に焦る。



 しかし、丁度トヨタ・テクニカルが、左側にある道に曲がったために、魔法攻撃は外れた。



「ここはーー警察署だっ!!」


「ヤバい、署からも撃ってきたっ!」


 建物に挟まれた、駐車場を疾走する、トヨタ・テクニカルの運転手は気づく。


 何台も、黒いパトカーが停まっていたことで、ここが警察署の敷地であると。



 また、警察署内からも、拳銃や自動小銃から弾丸が放たれる。


 アシュア系PMC要員は、建物の窓に向かって、MP5で応戦する。



「うわ、後ろにも敵が居るのにっ!」


「後ろは任せてっ! 警察署は任せたわっ!」


「あっ!」


 AAー52を、ナタンは警察署の壁に向け、勢いよく機銃弾を乱射しまくる。


 メルヴェは、FADによる射撃で、何発かAMー1の運転手を仕留めた。



 だが、まだ上空には、フライング・カーが飛んでいる。


 しかも、警察署から警察隊員たちが、慌てて飛び出てくる。



「奴らを追えっ! 逃がすなっ!」


「クソ、他で手一杯なのにっ!」


「パトカーを用意しろっ!!」


 警察隊員たちは、窓から飛び出てくると同時に、グラッチ拳銃、ベカス散弾銃などを撃ってきた。



 それと、同じく残る一台のAMー1からも帝国兵が、マカロフPMM拳銃を撃ちまくる。


 また、上空のフライング・カーからも、氷柱と火球が相変わらず降ってくる。



「道に出るぞ、曲がるから気を付けろっ!」


「聞いたか、振り落とされるなよっ!」


「分かっ! ぐわわっ! 当たったっ?」


「車体にだけよっ! 心配しないっ!」


 多数の銃撃が、トヨタ・テクニカルに命中するが、運転手は追撃から逃げようとする。



 警察署の駐車場から逃げだし、再び道路に出ようと言うわけだ。


 そして、荷台後部で戦っている二人を、アシュア系PMCは心配した。



 だが、そんな言葉に答える暇なく、ナタンとメルヴェ達には、銃撃が浴びせられる。


 しかし、運良く弾丸は、AAー52を支えるポールや車体の鉄板に当たった。


 氷柱&火球なども、車体には当たらず、周囲の駐車場を傷つけたり焦がすだけだ。



「これから、また味方部隊と合流する」


「まだ、敵が来てるか?」


「ああ、まだ一台っ! あと上の奴がっ!」


「新手よっ! パトカーが来たわっ!」


 そう言って、運転手はドリフトさせながら、トヨタ・テクニカルを左側に走らせる。


 こうして、道路に出ると、アシュア系PMCは、空に向けつつMP5短機関銃を乱射する。



 ナタンは、しつこいAMー1の運転手と、上空を飛ぶフライング・カーを睨む。


 メルヴェは、さっきの警察隊員たちが、パトカーに乗って、追撃に加わったことを視認する。



「しつっこい、連中だ…………」


「全くだわっ!」


 ナタンは空に向けて、AAー52を機関掃射し、メルヴェは、ダネルMGLに武器を持ち変える。


 彼が放ちまくる機銃弾を恐れたか、フライング・カーは後退しながら魔法を射ってくる。



 良くみると、敵機の機体下には、六角棒型クリスタルが、二個搭載されている。



 一方、追撃に加わった警察隊員が乗るパトカーは二台で、拳銃や散弾銃を撃ちながら追ってくる。


 その車種は、黒と青に塗装された、メルセデス・CLS・ベンツ、ブラバス・ロケットだ。



「はぁっ! おい、お前ら、ヘリが来たぞっ!」


「ヘリだと、何処からっ!」


「また、新手かしらっ!?」


 ルージュ通りから三角交差点に出た、トヨタ・テクニカルを狙って、再び新手が来た。



 そう、アシュア系PMC要員は叫ぶ。



 ナタンとメルヴェ達も、空から聞こえるローター音に思わず上を見てしまう。


 そこには、一機の黒い小型無人ヘリが飛んできており、左右に搭載する自動散弾銃を掃射し始めた。



「また来るの…………いや、アレは?」


「味方…………だった? 良かった?」


 ナタンとメルヴェ達は、低空を飛行する小型無人ヘリに殺られると思った。


 だが、このヘリは自動散弾銃により、フライング・カーを撃墜した。



 二人が良くみると、ヘリ自体は黒ではなく、深緑色をしており、味方の兵器であると分かった。



 一方、炎上しながら墜落していく、敵機からは、ウィザードが脱出していた。


 尖り帽子を被る奴は、強風を操り、木の葉みたいに舞いながら地上へと降りていった。



 そして、二人を乗せた、トヨタ・テクニカルは、グリシア料理店の手前から右側に曲がる。



 そうして、再度ブルグマン通りを走る。



「今度は前から来るぞっ!」


「何とかしてくれっ!」


「している最中だよっ!?」


「これ以上はっ!!」


 運転手は焦りまくり、アシュア系PMC要員は、新手の敵がきたと警告する。



 しかし、ナタンはAAー52機関銃を、後ろから追いかけてくる敵に撃っているので精一杯だ。


 一方、メルヴェもダネルMGLを撃って、何とか一台のパトカーを爆破させた。



「…………て言うか、前から何が来たんだよっ! よし、ん?」


「うぐぅぅ…………」


 ナタンは、機関掃射で残る一台のAMー1を運転していた帝国兵を撃ち殺す。


 運転手が死に、コントロールを失った、これは左側の建物手前にある柵に突っ込んでいった。



 また、パトカーも同じく、機銃弾を受けて窓ガラスを割られた事で、乗車していた警察隊員が死ぬ。


 そして、こちらは、歯科医院の隣にある医療施設へと、フラフラしながら突っ込んでゆく。



「うわわ、アレは装甲列車っ!? いや、市電?」


「きゃっ!? 何が来たのっ!!」


「ブリュッセル市電だよっ! アレを破壊してくれっ!」


 ナタンは、背後から何丁もの重機関銃を撃ってきた敵に驚く。


 こめかみを掠め、大量の7、62ミリ弾が飛んできたからだ。



 メルヴェも訳が分からず、すぐさま頭を下げて、鉄板に身を隠す。



 アシュア系PMCは、二人に敵の正体が、ブリュッセル市電、超低床電車T3000形だと教える。



 路面には、雪が浅く積もっていて、よく見えないが、市電用の鉄道線が敷いてある。


 その上を、大量に帝国兵を載せた、路面電車が走行してきたわけだ。



「喰らえっ! 吹き飛べーー!」


「反撃だっ! この野郎っ!!」


 メルヴェは、ダネルMGLから、何発かグレネード榴弾を発射した。


 ナタンも、お返しに、AAー52を途切れなく撃ち続けながら叫んだ。



 そして、すれ違いった、T3000形の後部は吹き飛び沈黙する。


 だが、前方の車両が無事だったため、路面電車は真っ直ぐ走り続けた。



「行ったか…………」


「やったわね?」


 ナタンとメルヴェ達は、遠くへと走ってゆく敵の電車を見ながら、疲れた表情をしながら呟く。


 そうこうしている内に、右側にあるフース・へーレンズを通り過ぎた。



 その角には、城みたいなドーム屋根と大窓が沢山ある円形塔が存在する。


 これは、英語だと、ホテル・ハーレンスとも呼ばれる建物である。



 元々は、土黄色に近いクリーム色だったが、現在は帝国により鼠色に染められていた。

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