未だに、カントリー・プラザ・BNP・PFビルでは、激闘が続いている。
「あの女兵士、中々やるな? お陰で助かった」
「彼女は優秀なドライアドだからな」
レオとドミニック達は、隔て板に移動して、戦闘を観察する。
既に、味方部隊が用意した全てのプレットフォルマーMも破壊されている。
「不味いなぁ…………ドミニック、左側から攻めてくれないか? 俺とミア達は正面から押すっ!」
「分かった、では行くとしよう…………トゥキリ、ペゼリ、行けっ!」
「突撃しますよ、分隊長」
「行けと言うなら行きますよ」
レオは、ドミニックに対して、指示を伝えると、即座に行動に移る。
そして、彼女はトゥキリとペゼリ達に命令を下す。
二人は、それぞれ銃を腰だめで構えながら走っていく。
「敵兵っ!! こっちに向かっ! ぎゃあっ!」
「敵部隊がっ! このっ! う、ぐ…………」
「うっ! 何処か、ら…………?」
「奇襲っ! うぎゃ、ぐ、ぐふっ!!」
トゥキリと呼ばれた男性兵士は、敵が隔て板や事務机から身を出すと、RPKー201で撃退する。
彼は、勢いよく乱射せず、正確な射撃で何発かずつ機銃弾を撃ちつつ走る。
その後に続く、ペゼリは敵が倒れた事務机まで滑り込むように行くと、直ぐさま床に伏せた。
次いで、AK101で右側の敵部隊に射撃を浴びせる。
「連中は、かなりの精鋭部隊だな? っと、俺もグズグズしていられんなっ! ミア、カルミーネ、行くぞっ!」
「きゃあっ!? レオ、カルミーネは居ないわよっ!」
レオは、突撃を敢行しようと、二人の名前を呼んだが、直後RPGー7の弾頭が飛んできた。
それは、ミアの背後にあった、隔て板を貫通して爆発した。
「は? どう言うこったよ…………それ」
「乱戦で離れてしまったのよ、何処に入るかは分からないわ?」
レオは、居なくなった、カルミーネを心配すると同時、何処に行ったかと思う。
小さな瓦礫の破片や灰塵で汚れた、ミアは戦っている途中で消えたと告げる。
「しゃあーーねぇな? 俺達だけで行くぞっ!!」
「あ、ちょっ! たく…………行くのは待ちなさい」
H&K、UMPを構えて乱射しながら、レオは突撃していく。
ミアも仕方なく指示に従い、メルケル200E二連散弾銃を撃つと走り出す。
「行かせるかっ! このっ!」
「うわあっ! 脅かす…………ぐうっ!」
RPGー7を構えていた、ギガントが防弾板の裏から現れて、レオにタックルしてきた。
その勢いで、彼は吹き飛ばされてしまい、地面に倒れてしまう。
「レオッ!」
「おっと、お前はコレで仕留めてやるっ!!」
ミアは叫ぶが、再びギガントがRPGー7を発射してきた。
「ぎゃああああっ!!」
たちまち、ミアは爆風に包まれてしまう。
「くっ! このっ! くたばりやがれっ!」
レオは、うつぶせ状態で、腰からワルサーP5Lを抜き取り拳銃弾を撃ちまくる。
「そんな物が効くわけ無いだろうっ! お前も死ねっ! ぐおっ!」
何発か撃たれても、拳銃弾ではギガントを倒せるはずもなく、逆に奴はS&W29マグナムを撃つ。
積もりだったのだろうが、いきなり奴は爆発に巻き込まれてしまった。
「大丈夫か? 生きているよな?」
「ファルク…………か? 助かったよ、マジでさ」
ファルクが現れると、彼は弾頭を使い果たした、RPGー7の発射器を背中に回す。
今のギガントが爆発した理由は、彼による砲撃で殺られた。
なので、レオは立ち上がりながら感謝する。
「狼顔になっているな? 敵は、まだまだ多いっ? 気は抜けないな…………」
「全くだぜ、さあ~~直ぐに次の奴を片付けようやっ!!」
立ち上がった、レオはワルサーP5Lを右手に構えながら走り出す。
ファルクも、立ったまま敵がかくれていそうな遮蔽物にダネルMGLを射ちまくる。
それは、ドラム缶の壁を吹っ飛ばし、積み上げられた、土嚢を破壊する。
さらに、事務机やソファーなどを粉々にしていく。
「ぐわああああっ!!」
「ぐおっ!?」
「きゃあ…………ぁ?」
幾つかの遮蔽物には、敵が隠れていたらしく、民兵やPMC要員を爆殺する。
しかも、その中には緑色に染色された衣類を纏う、ペルシャ系と思われるドリーマーも存在した。
「ドリーマーを殺ったのか? でも、敵兵は全く減らないぞっ?」
レオは、ドラム缶の山に潜み、消え失せることなく増え続ける敵を脅威だと思う。
なので、ここは一回後方へと撤退しようかと考えていると。
「ぐあああっ!!」
「うぐ、ブワッ!」
「こっちかっ! ぐっ!」
「居たぞっ! ぐおっ!」
喉を押さえて倒れるアシュア系民兵や、口から血を吐きながら死体と化す、連合軍兵士。
その様子を見て、反対側にレオは目を配ると、そこにはトゥキリとペゼリ達が居た。
二人とも、隔て板に潜伏しながら敵の様子を伺っていた。
次に、トゥキリは口から細菌粘液を噴射しながら、M45A1ピストルを両手で撃つ。
ペゼリは、薔薇《バラ》を何本も投げて、隔て板に潜んでいる敵の注意を惹く。
それに誘き寄せられた、白人民兵と黒人民兵たちは、銃を構えつつ飛び出た。
だが、直ぐに、AK101のライフル弾を何発も浴びてしまった。
「ん? 敵は特殊兵の集まりらしいな? だったら、これを喰らえっ!!」
ドローンを呼んだ、アラビ風のターバンを頭に巻いた兵士は、機体を床に降下させる。
それから、胴体下部のハッチを開いて、投下された武器を受け取った。
次いで、即座に小型マンホール型空中炸裂地雷を、幾つも投げてきた。
「ぐふっ!?」
「ごべぇーー」
小型マンホールは、空中で回転しながら、高速で大量の拳銃弾や、矢が発射されてきた。
今の攻撃により、被弾した、トゥキリとペゼリ達は倒れてしまった。
「チッ! お前は、シェイプシフターかっ!」
「ぐはっ! が、がばあっ!?」
レオは、ドラム缶の陰ならH&K、UMP短機関銃を何発か撃って、シェイプシフター仕留める。
「厄介な連中だな? ふっ!」
「ぐあっ! ごお…………」
シェイプシフターの死体を見ながら、背後から近寄ってきた連合軍兵士をレオは蹴飛ばす。
次いで、H&K、UMPを奴の腹に十何発も撃ち込んでやった。
「これなら防弾ベストも破れただろう?」
レオは、辺りの敵が再び奇襲を仕掛けて来ないかと、周りを見回して状況を確認した。
左側からは、ドミニックの分隊が射撃を仕掛けているらしく、銃撃音が止む事がない。
右側にいるはずのカルミーネ達は、乱戦に持ち込んだか、陽動されたか。
それは、ここからでは分からないが、とにかく姿が見えない。
彼は、次に背後を向いたが、そこに居るはずのミアや仲間たちが居ない。
敵味方ともに、ソーサラー&ミミックマスター達による錯乱と奇襲で、入り乱れてしまったのた。
「んだよっ! この状況は…………? 中々にカオスだな? てか、下手したら同士撃ちしかねないぞ」
「連合兵が居たぞっ!! 死にやがれっ!!」
「止めろ、ソムサックッ!?」
ぶつくさ文句を言いながら、ドラム缶の陰から出た、レオは次に土嚢まで走っていく。
そこにたどり着くと、H&K、UMPの弾倉を交換しながら身を伏せた。
しかし、そこにソムサックが現れると、両手を前に出して、短機関銃を撃とうとした。
だが、幸いにも、カルミーネが彼を止めた事で、拳銃弾は両腕から放たれなかった。
「うわっ!? ソムサック、何すんだっ!」
「済まん…………申し訳ない…………」
「いや、今のは彼に責任は無い、やったのはドリーマーだっ!」
レオは驚きながら、ソムサックを見て叫んだが、カルミーネは冷静に事態を把握していた。
彼は、今の事故で誤射しそうになった事は、全てドリーマーによる幻影魔術が原因だと考えた。
「敵には、まだまだ特殊部隊が居るっ! 連合側の精鋭部隊だっ!」
カルミーネは、そう言いながら、緑煙や手榴弾が爆発する連合側の遮蔽物を眺める。
事務机・隔て板・防弾板など、他にも様々な遮蔽物が、バリケードとして並ぶ。
きっと、どこかに敵のドリーマーが伏兵として、息を殺して潜んでいる。
ソイツを見つけるべく、彼は耳だけを獣化させて、研ぎ澄ますのだった。
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