【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第85話 機銃陣地を潰せ

公開日時: 2024年7月10日(水) 09:15
更新日時: 2024年7月13日(土) 10:07
文字数:3,245


 場違いな青ピエロ少女は、駆け出しながら空中でくるんと、一回転すると、五人に分身した。



「行っくよぉーー!!」


 地面に下りた瞬間に別れた、彼女たちは、再び一斉に駆け出す。


 そして、レジスタンス側の機銃掃射を回避して、走り抜ける。



 地面を、真っすぐ一直線に走っていく者に、天井をすばやく駆けていく者。


 右の壁を、ジグザグに動き回りながら近づいてくる者。


 左側から、空中を何回も一回転しながら、派手に目立つ行動を取る者。


 そして、天井から壁を走り、壁から地面へと、螺旋を描くように走る者。



 これら分身により、レジスタンス側を、トリッキーな動きで撹乱する、ピエロ少女。



「誰か、アイツを止めろっ!」


「駄目だっ! 止めらっ!!」


 それを食い止めようと、レジスタンス側は、機銃の猛火力で、ピエロ少女を狙いを集中するが。


 彼女が、鉄条網やバリケードを飛び越えた辺りで、帝国側が援護射撃を行ってきた。



「ぐわっ!?」


「ぐああああ」


 ピエロ少女の後ろに控える、煙幕に紛れた、帝国側部隊は、レジスタンス達を銃撃を加えていく。


 それにより、キャリバーM50を構えた、レジスタンス員は一人だけとなった。



 こうして、残りのレジスタンス達だけでは、火力不足になり、帝国側部隊に押しきられてしまう。



「これでも喰らえっ!」


「RPGだっ!」


「グレネードランチャーだっ!」


 RPGー7・手榴弾・火炎瓶・M79などの武器を、レジスタンス側が持ちだす。


 こう言った火器で、帝国側部隊を近寄らせぬべく、連中は諦めず必死の抵抗を試みる。



「今だっ!」


「このっ!」


 その後ろでは、追い込まれた、レジスタンス達を挟み撃ちにしようとする二人が存在していた。


 それは、銃を構えた、レオとカルミーネ達であり、彼らは曲がり角から身を乗り出して射撃する。



 こうして、ワルサーMPとベレッタM12を連射して、敵が後退できぬように制圧射撃を加える。



「おっ? 仲間割れかなぁ~~?」


「それじゃあ、チャンスだっ!」


 ピエロ少女の分身も、機銃掃射を、易々と回避しつつ、土嚢に向かって走り抜ける。


 彼女達は、五人とも、スローイングナイフを生き残った、レジスタンス員に素早く投げる。



「ぐわっ!」


「あっ?!」


 生き残った、レジスタンス員達も、ピエロ少女によるナイフ投げで、次々と殺害されていく。



 右首筋・咽仏・額の中心・両こめかみ・心臓・下顎など。


 こう言った、場所に次々と、ピエロ少女のスローイングナイフが何回も当てられる。



「呆気ないね~~?」


「そ~~だねぇーー?」


「はっ! コイツは」


「まだ生きが有る?」


「そう見たいだね?」


 分身を含めた、ピエロ彼女は、ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべながら自分たちで会話する。


 いったい、どれが本物かは分からないが、彼女たちは、レジスタンス達の死体を見下ろす。



「さて、どうしちゃうかしら?」


 やがて、幻術を解いて、一つの身体に纏まった、ピエロ少女。


 彼女は、そこら中に頃がる死体から唯一、苦し気に呻く、レジスタンス員の生き残りに目を向けた。



「あっはぁーー! テロリストをゲットーー!!」


 ピエロ少女は、呻き続ける、レジスタンス員の衣服を調べた。


 どうやら、彼は運良く財布に、スローイングナイフの刃が突き刺さっていたようだ。


 これにより、心臓にまで、切っ先が達していないことを発見した。



「おい、終わったのか?」


「ん、そだよっ♡」


 一人捕虜を確保した、ピエロ少女の元に、グール下士官グールが現れる。


 そして、彼は周囲の安全を確保したかと、聞いてきた。


 その質問に、彼女は短く答え、足下のレジスタンス員の頭を、ブーツで勢いよく踏んだ。



 こうして、捕虜を捕らえた事を自慢した。



「見事に滷獲したよっ」


「うむ、良くやったな」


 ピエロ少女と下士官グール達を、取り囲むように、帝国軍部隊が死体を調べ始めた。


 オーガーは、レジスタンス員の死体を踏み潰して生死を確認する。


 帝国軍兵士たちも蹴飛ばしたり、脈を調べて、死体の振りをした、生き残りが居ないかと探る。



「でっ! そこに隠れているのは誰かな?」


「居るのは分かっている、出てこないのなら手榴弾を」


「まっ! 待てよ? 俺達は味方だっ!」


「変装中の帝国警察隊員だよっ!」


 ピエロ少女と下士官グール達が、睨んだ先の曲がり角から声が聞こえた。


 その後、ゆっくりと銃を捨てて、レオとカルミーネ達は姿を現した。



「貴様ら、証拠はあるのか?」


「そーーよっ! 証拠は? 証拠っ?」


 物陰から姿を見せた、二人を怪しんだ、下士官グールとピエロ少女たち。


 彼等は気を抜かず、少しでも、変な動きを見せたらと、警戒していたが。



「証拠はと言われても…………」


「済みませんが、有りません」


 レジスタンスの残党だと思われている、レオとカルミーネ達。


 信用がない二人は、帝国軍部隊から小銃を向けられるが。



「信じられんな、やはり不意打ちを喰らう前に脳天を撃ち抜くか」


「だよねーー? 私も自爆には巻き込まれたくないしぃ~~」


 グール下士官は、二人に右手に握るGShー18の銃口を向けてくる。


 ピエロ少女も、両腕を交差させ、手指の間に、スローイングナイフを握る。


 周りを取り囲む、帝国軍兵士もまた、険しい表情を銃口と同時に、正面の二人へ向ける。



『…………コイツ等は帝国軍部隊か? 警察部隊なら、話が早いんだが…………』


『…………眠らされるのなら…………まだマシだけど? 撃ち殺されるのは流石に不味いな…………』


 同じ帝国警察部隊なら、面倒な説明が不要だなと思う、レオは気まずそうな顔をする。


 睡眠薬を噴射する、スプレーを嗅がされ眠らされるのなら、まだしもだが。


 組織が違うとは言え、味方に射殺されるのは、洒落にならないと、カルミーネは思った。



「その変で、勘弁してくれ? その悪ガキ共は同僚の部下なんだ」


 その時、不意に曲がり角から、妙に落ち着いた、男性が登場してきた。



「はっ! 何者だ貴様、名を名乗れっ!」


「まだ、レジスタンスの生き残りが居たのねえっ!」


 武器を、曲がり角の奥に武器を向ける、下士官グールとピエロ少女たち。


 だが、彼等の前に、暗闇から現れた人物は、帝国警察に所属する下士官だった。



「味方だと言っているだろう」


 徐々に、暗闇から姿を表して、こちらに足音をカツカツと立てつつ近付いてくる、下士官。



 その正体は何と、ザミョールだった。



「帝国警察、12管区、第二小隊・隊長ザミョール・コウリコスカヤ」


「どうやら、本当に味方の様だな…………」


「確かに味方のようね?」


 両手を、頭の上に掲げ、右手に身分証明書を持つザミョール中尉。


 その姿に、下士官グールとピエロ少女たちは、武器を下げた。



「信じてくれたか?」


「武器を下げろっ!」


 ザミョールの背後から部下達が、ぞろぞろと出てくると、下士官グールが率いる部隊も銃を下げる。



「隊長、こちらは、ほぼ制圧済みです」


 コルト45を両手で握る、略帽を被った、ガリーナ二等兵が暗闇の奥から現れた。


 彼女は、背中にPPSh41を背負っている。



「そうか、御苦労だったな」


 ザミョール中尉は、後ろへ振り向き、短く答えると、再び前を向き、下士官グールに質問する。



「そいつ等は、連れて行っても良いよな?」


「知り合いか? ならば、取りあえずは味方だと信じよう」


 ザミョール中尉が、レジスタンス姿の二人を連れて行こうとする。


 それに対して、下士官グールは、レオとカルミーネ達の身柄を引き渡した。



「あんたとは、話し合わなければ成らない事が、沢山あるな?」


「地上で、話の続きはしよう」


 ザミョール中尉と下士官グール達は、話し合いは明るく落ち着いた場所で、行おうと決めた。


 そう判断した、二人はともに、地上を目指して歩き始めた。



「さぁ、お前ら行くぞ」


「はっ! ザミョール中尉」


「了解、ザミョール中尉」


 先頭を歩く、ザミョール中尉の後を追って、レオとカルミーネ達も、スタスタと歩き始めた。



「ドーリス、貴様も来い」


「はいよ、コフマン少尉」


 下士官グールである、コフマンは地上に向かう前に副官の名前を呼ぶ。


 それに答えた、帝国軍部隊・所属の青いピエロ少女ドーリスも、上官である彼を追ってきた。

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