【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第197話 機甲部隊の壊滅

公開日時: 2024年7月12日(金) 01:14
更新日時: 2024年7月14日(日) 21:27
文字数:3,095


「おおーーーー!」


「うおおおおっ!」


 道路を埋め尽くすほど、人数が多い民兵と連合軍兵士たちは突撃していく。



「撤退っ! 我々は、この区域を放棄するっ! 市立公園まで下がれっ!」


「うわっ! 側面から攻撃してきたぞっ!」


 隊長が、大きな声で撤退命令を出したことで、敵は慌て始めた。


 複合装備《ラトニク》を身に付けていた、帝国兵の生き残りたちは、逃走を開始した。



 その背中を狙って、RPGー7やPK機関銃が何発も放たれる。



 しかも、地上を走る連合軍兵士と民兵たちも、AKMや散弾銃を撃ちまくりながら走ってくる。


 さらには、交差点の右側から、プラサン・ワイルダーが走って来ながら、上部にある機銃を放つ。



「終わったな、ほとんど活躍する場がなかった…………」


「……にしても、大した戦力だわ」


 ナタンとメルヴェ達は、二人とも肩から力を抜いて床に座る。



「チュー、アイリー? 無事なようだな、そっちは先導してくれた、レジスタンス員だな」


「戦いには勝ったが、連中は戦列を立て直して、また攻めてくるかも知れん」


「ナタンです、こっちはメルヴェ」


「メルヴェ・ペケル……隊長さんの指摘通りレジスタンス員よ」


 チィーナ特殊部隊の隊長と機関銃手たちが、二人に近づいてきた。



 ナタンとメルヴェ達は、彼等に名前を名乗った。



「ああ……私は、温《ウェン》・首震《ショウジュン》軍曹だ」


「王《ワン》・継凌《チーリン》伍長っ! 見ての通りの機関銃手だっ!」


 日焼けした肌に、野戦帽を被るウェンの目は鋭く好戦的な顔をしている。



 彼は、カーキ色の防弾ベストに弾帯を四個も下げた、平均的な装備を身に付けている。


 しかし、彼は雰囲気から察するに、歴戦を潜り抜けた猛者だと言う険しい感じがする。



 武器は、95式自動歩槍を両手で抱えている。



 腰には、双刀をベルト両側に下げた鞘に入れておる。


 また、右側には赤茶色の拳銃用ホルスターがある。



 ワンだが、彼の顔は火傷跡が左側にあり、ウェンと同じく、激戦を経験したことが伺える。



 また、被っているフリッツ・ヘルメットには、サーマル・ゴーグルを取り付けている。


 彼は体格がよく、素手でもオーガー渡り合えそうなほど、体が大きい。



 そんな彼は、背中に軽々と、リュックと88式汎用機関銃を背負っている。



 それから、三本の棒らしき物をリュック左側に下げている。


 防弾ベストには、二個も弾薬箱を容れる大きな弾帯を着けている。

 


「おっ? 何か来たな? 味方のバスか…………」


 大型の黄色い観光バスである、バンホール・アストロメガが、三台も走ってくる。


 このバスは、交差点の向こう側へと走行していくことから、恐らく車体で道を封鎖すると思われた。



「銃声がしなくなった…………戦いに決着が着いたな?」


「そうだと嬉しいよ」


 ウェン隊長が呟くと、ナタンも同じように小さな声で愚痴を溢した。

 


 こうして、キャナダ大使館と周辺を巡る戦いは、連合軍側の勝利で終わった。



 夜間、ブリュッセル公園の側にある、BNP社オフィス。



「偵察機からの情報によると、敵はスクワッ・デ・ミユーズ公園に迫撃砲部隊を展開していたらしい」


 オフィス内は、外に灯りが漏れぬように窓は二重三重の黒いカーテンが掛けられていた。


 そんな重たい空気が漂う中、ウェンはブリュッセル市内の地図を円形テーブルに広げる。


 彼は、昼間の戦果を皆に伝え、情報確認を行おうとした。



「この部隊には、多数のウィザード兵とパトリア社製NEMO砲塔式自動迫撃砲が布陣していた…………現在、これらの兵器を二台も我々は滷獲した」


 彼は、スクワッ・デ・ミユーズ公園を指差しながら仲間たちに朗報を伝える。


 その回りには、人民開放軍・特殊部隊員たちが取り囲むように立っていた。



「敵が撤退する際…………一台は逃げ遅れて、ビルに衝突したので、乗員が放棄したらしい? もう一台は速度を出し過ぎて横転してしまった物だ」


 ウェンは、鋭い眼光で地図を指差し続けながら事の詳細を語る。



「また、近くにある、ピアッザ・デ・メユース政府庁舎にも司令部を設けていたらしい」


「しかし、現在は政府庁舎を含め、エギリー・ザ・ジョセフ教会からRTD政府機関ビルに至るまで、我々連合軍が完全制圧したと?」


 ウェン隊長の背後から、ワンが現れるとともに声をかけた。



「そうだ……で、現在の我々はアパート見たいなBNPビルを拠点としている? その後方のBNP社が所有するビルもだ」


「残った戦力は、我ら緊急展開部隊の数十名と、05式、08式が一台ずつ……これらは対戦車戦を考慮し、ビル正面のロワイヤル通りに停車しています」


「それから、我々、IDF部隊もアテムを公園に多数配置している」


「PMCは、IDFとともに公園に塹壕線を構築中、ここに戦力の大半を配置した……残りは背後のBNPビルに立て籠っている? まぁ~~籠城戦って、ヤツだ」


 ウェンの話す隣に、アイリーが来て、機甲戦力と人員数について説明する。



 IDF=イズラエル国防軍の略だが、隊長らしき人物は部隊配置を教えた。


 彼は、OD・グリーンの戦闘服を上下に着ており、アラビ人みたいな髭を顔をに生やしていた。



 PMCの黒人隊長は、上下にウッドランド迷彩服を着ており、丸々と太っていた。


 しかし、太い手足を見るに、かなり体を鍛えている事が分かる。



 恐らく、格闘技術は高いだろうと周りの者は考えるほどだ。



「これから、夜戦になるが朝まで嫌がらせの狙撃や奇襲、砲撃や爆撃は続けられるだろう…………まあ、それまでは各自休憩していてくれ、解散っ!!」


 その場に集まっていた面々は、ウェンから解散と言われると同時に部屋から出ていく。


 ここは、人民開放軍の緊急展開部隊に所属する兵士が多い。



「はあ、ようやく一息つけます…………」


「お? メットを脱いだわね?」


 アイリーが溜め息を吐きながら、カーキ色のモジュラー統合通信ヘルメットを頭から取る。



 そして、マスクを下げたのだった。



 メルヴェは、謎に包まれていた彼女の容姿を確認しようとする。



 ヘルメット&マスクの下から現となった、白肌色な顔は細い卵型で、唇は小さく薄桜色だった。


 頭髪は、キッチリ分けた、7、3の黒髪を短いピクシーヘアにしている。



「わおっ! スッゴい美人さんじゃん」


「あの…………照れるので」


 メルヴェの言葉を聞いて、頬を真っ赤に染めて顔を剃らす、アイリー。



「おい、退いてくれ……弾薬を運び込まなきゃならんのだ」


「ドローンや、俺たちが運搬しているんだからな」


 PMC要員や連合軍兵士たちが、武器弾薬を運搬してくる。


 段ボール箱、プラスチック・ケースなどを彼等は運び込んだ。



 さらに、二機のドローンも袋や網を抱えつつ弾薬類を素早く移動させる。



「あら、何で他の部隊員が?」


「メルヴェ、彼らの邪魔しちゃ悪いよ」


「連絡係りだよ、あとは支援だな」


「狙撃手とか、特技兵が必要だろっ?」


 いきなり現れた、味方部隊の兵士たちに、メルヴェは何故ここにと思う。


 ナタンは、それより運搬作業の妨害になるからと、作業員に気を使う。



 東南アシュア系PMC要員は、バズーカ砲の見た目をした、カールグスタフ無反動砲を窓際に置く。


 中南米系の連合軍兵士は、ダネルNTWー20対物ライフルを壁に立て掛けた。



「それで、解放軍兵士だけじゃなくて、色んな兵隊が居るワケね?」


「見てるくらいなら、済まないが手伝ってくれ」


「アンタ等が使う武器でも、あるんだしな」


「分かった、メルヴェ…………手伝うとしよう?」


 メルヴェは一人納得したようだが、それを見ている作業員は人手が欲しかった。


 黒人PMC要員や白人レジスタンス員たちは、彼女に運搬作業を手伝うように頼んだ。



 ナタンも、彼等を少しでも助けるべく、下の階を目指して歩いていった。

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