ミアとベーリット達は、起き上がると同時に台から降りて、軍靴を履く。
こうして、二人は洗脳されて、すでに目を覚ましているであろう、レギナの事を心配していた。
「レギナは? どうなの?」
「心配ない見たいだわ?」
ミアが心配だと思い呟くと、ベーリットは洗脳用バイザーを外された、レギナが無事だと確認する。
二人は、こちら側に彼女が来ることを願っていたが、その夢が実現したから嬉しいわけだ。
また、同時に彼女の心境を知りたいと言う気持ちも強かった。
「ミア、レギナのことが心配だよね…………」
「そうだね? 彼女がどうなっているのか知りたいし、何か手助けができるかもしれないわ」
ベーリットが不安げな表情で言うと、ミアは頷きながら答える。
二人は決心を固め、レギナが拘束されている場所に向かった。
途中、心配と不安が募る中、彼女たちは何度も話し合いながら進んでいった。
だが、それは杞憂だったらしく、どうやら彼女の様子は元気そうだった。
「ミア、ベーリット…………さっきのは、やはり夢…………いえ、VR世界の戦いだったのね?」
「そうよ、そこで貴女も無事に帝国警察隊員になれたと言うわけ」
不思議そうに話す、レギナに対して、フェスターシュニー博士は微笑みながら説明する。
「さあ、もう拘束は外してあるわ、第三部隊の所まで、自分の装備を取りに行きなさい」
「レギナ、一緒に行きましょう」
「第三部隊の部屋と、貴女の武器が保管している場所まで連れていってあげるわ」
フェスターシュニー博士が言うと、ミアとベーリット達も、レギナを連れて行こうとする。
「分かったわ、行きましょう…………あの?」
「フェスターシュニー博士よ? 宜しく、お嬢ちゃ……いや、レギナ二等兵」
そう、レギナは短く呟いたあと、フェスターシュニー博士に生枝を聞こうとする。
「あちゃーー? 頭ん中に、私の事をインプットするのを、ウッカリ忘れてたわ…………まあ、別に良いわよね? それより早く二人と行きなさい」
「レギナ…………」
「行こ、行こっ!」
「はい、フェスターシュニー博士っ! 二人とも今行くからっ!」
フェスターシュニー博士は、レギナに退室を命じると、ミアとベーリット達も彼女を呼ぶ。
こうして、レギナは二人の背中を追って、101号室から退室していった。
「ふぃ~~? ぷはぁーーーー! 疲れたわぁ」
一人、101号室に残された、フェスターシュニー博士は相変わらず煙草を吸う。
「いやぁ~~苦労したわぁ~~? 少しずつ帝国軍人としての情報を送るのと、都合よく敵や味方を出現させるのもっ!」
誰も居ない101号室内で、フェスターシュニー博士は愚痴を呟いた。
レギナは、ずっとVRの箱庭で、洗脳教育を受け、戦闘技能を強引に底上げされていた。
トヨタ・テクニカルの出現や、バクテリエラー・ゾルダートが、使用する装備が提供された事。
囚人や兵士たちが、レギナを敵と認識したり、彼女が帝国の制服を着ていたり…………と。
こう言った、VRゲーム空間内での出来ごとは、外部から常に干渉されていた。
「全く、骨が折れるわぁ~~?」
ほぼフェスターシュニー博士が干渉していた。
彼女の脳内に、ちょっとずつだが、膨大な改編情報を送られていた。
こうして、彼女は完璧な帝国警察隊員となったのだ。
それから、時間が立ち、現在。
「…………っと、言うワケでさ? 私もとうとう帝国警察の仲間入りしたのよ?」
「そうだったの…………実は、私たちも元はテロリスト側の人間だったの…………」
「私が、巡回任務中に…………一緒に歩いていた、レオとミア達に睡眠薬つきのハンカチで
眠らされてね」
あれから、第三小隊の面々には、テロリストが潜む拠点《アジト》を捜索するよう命令が下った。
その拠点が存在するであろう、付近一帯を捜索する第三小隊・隊員たち。
小隊が移動する中で、レギナは自身が洗脳された時の事を話す。
その話を聞いて、シモーネも同じように自分たちも、レジスタンスからの転向者だと告げる
また、ミネットも自らが帝国警察に捕まった時のことを語り始める。
「それで、その後、私はドライアドに改造されて、シモーネもウィザードに改造して貰ったの?」
「そうだったのね? 貴女たちも、下らない抵抗ごっこに付き合わされていたとは…………」
ミネットの話を真面目に聞いていた、レギナは頷きながら答える。
すると、いきなり周囲を警戒しながら歩いていた、三人の足元に弾痕が幾つもできる。
「散会しろっ! 周囲の遮蔽物に隠れるんだっ!」
「グルルゥゥーーーー!! よくも、私の中尉と部下たちを狙うとはっ!! 覚悟しろっ!」
フロスト中尉は、命令しながら自身もビル内を目指して走る。
しかし、ネージュ准尉はワーウルフに変身したかと思うと、敵に対する激しい銃撃で反撃した。
彼女は、ブローニングBPS、ライフルド・ディアハンターを撃ち、散弾をバラまく。
散弾が切れると、今度はP90をビル屋上から撃ってくる敵に弾がなくなるまで連射する。
「ネージュッ! もう、援護はいいっ! 早く、こっちに来るんだっ!」
自らも、ビルの隙間からMABモデルD拳銃を屋上に向けて撃ちつつ反撃する、フロスト中尉。
彼は、自身が負傷する事を厭わず、仲間たちを助けるために敵の気を惹く、ネージュ准尉を見る。
「それ以上は、敵の的になるだけだぞっ!」
「分かりましたっ! 中尉っ!」
帝国の突撃兵種である、ワーウルフは頑強な肉体を持つが、だからと言って無敵ではない。
だから、フロスト中尉は、ネージュ准尉が敵に殺されぬように名を叫びながら呼ぶ。
「フロスト中尉、了解しましたっ!」
ブローニングM1910拳銃を撃ちながら、ネージュ准尉は駆け出す。
そうして、一気に、フロスト中尉が隠れているビルの隙間まで走る。
「ネージュ、怪我しているじゃないかっ?」
「中尉、これくらい平気ですっ!」
フロスト中尉は、走って来たばかりのネージュ准尉が、肩や腕を撃ち抜かれていることに気づく。
しかし、当の彼女もまた帝国が改造した、アンデッド兵士であるため、痛みを余り感じない。
「だからって、無理は禁物だよ? いいね?」
「はい、中尉っ♡」
フロスト中尉は、ビル陰から表通りを確認したあと、ネージュの身を案じる。
「しかし、君が敵の気を引いた、お陰で他の皆は無事のようだ?」
第三小隊は、全員が上手く敵襲から逃れて、運良く隠れる事が出来たようだ。
フロスト中尉が辺りを警戒しながら戦況を確認すると、部下たちが敢闘している姿が視認できる。
「ミア、ベーリット、援護してっ!」
「私たちは前進するわっ!!」
「私は上から行くねっ!」
そう叫ぶと同時に、三人の女性隊員たちが、一斉に動き出す。
シモーネは走りながら、自分たちの正面に、くるくると回転する雷を纏った小さな台風を作った。
これは、飛んでくる銃弾が当たらないようにする魔法を組み合わせて作った、台風シールドだ。
レギナも、彼女が作成した魔法に身を隠しながら、前進していく。
それに、身を隠しつつ前進していく二人が走る間に、ミネットは右腕から斜め上へと蔦を伸ばす。
そうして、信号機の上に飛び乗ると、今度はビルの室外機へと蔦を伸ばしていく。
「分かったわっ! 援護するっ! ベーリット、行くわよっ!」
「ミア、私は前進しながら撃つわっ!」
ミアは身を屈めると、ヴィーガー941を連射しつつ援護射撃を開始した。
その援護により、ベーリットも走りながら、コングスベルグコルトを発砲する。
「ネージュ、彼女たちを援護してやろうっ!」
「了解です、中尉っ! 彼女たちを助けないとっ! …………ですねっ!」
表通りの右側を見て、フロスト中尉は、女性隊員たちが、勇猛果敢に戦いを挑む姿を視認した。
そして、ネージュ准尉とともに援護してやる事に決めると、左側の表通りに鋭い眼光を向けた。
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