【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第290話 空中戦

公開日時: 2024年7月12日(金) 17:35
更新日時: 2024年7月15日(月) 08:41
文字数:3,239


 連合側と帝国側で、都市上空では壮絶な空中戦が展開されている。


 ナタンとメルヴェ達は、大聖堂内の壁際で背中を預けながら休んでいる。



「見つけたぞ」


「は?」


 急に誰かが、ナタンの背後から声をかけてきた。



「ギデオン? いや、キーランか? 今度も、また俺を撃つ気か?」


「いや、そんな事はしない、済まなかったな…………あの時は見捨てた上に撃ってしまって」


 ナタンが振り返ると、黒い制服と制帽に身を包んだ、キーランが謝罪しに近づいてきた。



「そんな事は、どうでもいい」


 だが、帝国の潜入工作員として、自分も同じ状況に陥った場合なら、ああしただろう。


 そう考えた、ナタンは怒りもせず、彼に目も合わせなかった。



「工作員なら当然の事をしただけだ」


「ちょっと、待って? 見捨てたって、どう言う事かしら?」


 そう呟く、ナタンに対して、メルヴェは聞き捨てならないと前に出てきた。



「あんた、ナタンを見捨てたの? しかも、撃ってたとか? それに、私達に対して散々な目に合わせようとしたわよね」


「それは…………済まなかったとしか、言いようがない」


 冷たい殺気を放ちながら詰め寄る、メルヴェを前にして、キーランは引き下がるしかない。



「済まないじゃ、済まないのよっ!」


「うぅ…………」


 メルヴェは、怒りの余り、鬼女が如く、鼻からしただけを灰狼化させる。


 そして、右手に素早く、サルマスシズK10を握ると、キーランの眉間に銃口を突きつける。



「撃つなら、撃て、それだけだ」


「メルヴェ、俺も立場が同じならば、見捨てるし、キーランを撃っていただろう、分かるな?」


「あ? ふぅ♡…………」


 警察署での爆破計画にて、キーランに足手まといとなった、ナタンは見捨てられた。


 だが、だからと言って、メルヴェに発砲させまいと、彼は背後から抱きつく。



 それで、耳元で囁かれるように説得された彼女は、顔を真っ赤にしながら蕩けて脱力してしまう。



「昔馴染みだし、今は同じ帝国警察の隊員だ、許してやれ」


「はぁ~~! もう、分かったわ♡」


 ナタンは、メルヴェの頭を右手で撫でつつ、左手でサルマスシズK10を、そっと下げさせる。



「彼を赦してくれるんだな?」


「そう言ってるでしょ♡」


 こうして、ナタンの気転によって、メルヴェから殺気と怒りは消え失せた。



「さあっ! クライマックスだっ!」


 規格外貨物輸送機VMーTアトラントは、背中にある葉巻型コンテナ後部が開く。


 そうして、射出するように矢継ぎ早に、黒いドラゴンやワイバーン、大蝙蝠を放つ。



 双胴機、スケールド・コンポジッツ、ストラトローンチは、降下猟兵団を降下させていく。


 戦略輸送機Anーアンテーイからは、空挺軍部隊が地上に降りていく。



 その間、空中では、戦闘機や戦闘ヘリが混戦を展開していた。


 フロスト中尉は、画面に映る、それらを眺めながら嗤う。



「旧式機まで、飛んでいるとはな?」


「ワイバーンや蝙蝠も、敵機を撃墜してますね」


 青い三葉機フォッカー Dr.Iが、白いeVTOLを機銃で撃墜する。


 次に、アパッチ・ガーディアンが、黒い二葉機フォッカー D.VIIを空対空ミサイルで撃墜する。



 旧式機は、友人機か、それとも無人機かは映像を観る限り、フロスト中尉には判断がつかない。


 ネージュ準尉も、大量に空を飛ぶ航空機を、じ~~と見ていた。



「まるで、戦争映画を見ているようです」


「ま、現実なんだけどね」


 もちろん、戦闘には両軍ともに、ジェット戦闘機も多数投入されている。



 連合側の白灰色に塗装された、Jー20が、黒いサーブ35ドラケンを撃墜する。


 帝国側の青いサーブ39グリペンにより、白いJー31が誘導ミサイルに追尾されて爆散した。



 Suー57が、フレアを射出しながら急降下していく。


 機関砲を放ちながら、F22ラプターが斜め上に上昇してゆく。



「敵味方とも、旧式機からCOIN《コイン》機まで出してるが、数は味方が多い」


「てか、何で旧式機が? ドローン化されているのか?」


 白いOVー10ブロンコが、青いフォッカーD.VIIIを執拗に追い回して、撃墜する。


 白灰色のAー37ドラゴンフライは、黒いローナーLに正面から襲いかかる。



 鼠色のウファク C.Iハンザ・ブランデンブルク CCは、白いムワリを撃破する。



 白いピラタスPCー9を、黒いフォッケウルフFw44が背後を取る。


 そして、上空から機銃を放ちつつ、滑空してくる。


 戦闘状況を、レオとカルミーネ達は、YouTubeのゲーム配信を見ているように眺め続けていた。



「ああ~~見飽きたわ? まるで、下らないゲーム見たいだわぁーー」


「だね? 補給物資…………と言うか、敵の集めていた食糧でも漁りに行く?」


「戦利品なら、さっき、ザミョール部隊が持って行ったわよ」


「連中、早い物勝ちだとか、自分たちの方が活躍していたとか言ってたわ」


 ミアは、液晶画面を見続けた事で、目が乾き始めたので、ポケットティッシュを取り出す。


 喉が渇き、腹も減ってきた、ベーリットは何処かに飲食物でも無いかと、首を左右に動かす。



 レギナは、残念そうな顔をして、既に敵から滷獲した品は、第三小隊に持ち去られたと言った。


 ハーミアンも、同じく悪口を言って、悔しそうな表情で呟く。



「あの? 皆様…………それ以上は辞めた方が宜しいかと」


「後ろ見てみ、来てるぜ~~?」


「えっ!」


「はっ!」


 オルツィとソムサック達が、後ろから四人に声をかけると、レギナとハーミアン達は驚く。



「よお? 戦利品を分けて、やろうかと思ったが、気が変わったわ、お前ら殺してやろうか?」


「い、いえ? そのっ!」


「ハハッ! 遠慮します」


「遠慮しなくて良いわよ、タップリ弾丸は残っているから?」


 獣化した、ザミョール中尉を前にして、レギナとハーミアン達は、気まずそうに後ずさる。


 その背後には、GShー18拳銃を片手に握る、カピトリーナが立っていた。



「い、いや、それは~~」


「弾丸も遠慮しときますーー」


 その場から、せっせと、レギナとハーミアン達は逃走して行った。



「たくっ! フロストの奴は隊員に対して、いったい、どんな教育をしているんだ」


「放置教育でしょうかね」


「勘弁してやってくれ、うちは放置主義じゃなくて、各隊員に自主判断させているんだ」


 逃げ出した、二人の背中を見ながら、ザミョール中尉とカピトリーナ達は愚痴る。


 そんな彼らの前に、フロスト中尉が右手に、ラップトップを持ちながら現れた。



「あ? 外の状況を見なくて良いのか?」


「それは、もういい、勝ったからね」


 ザミョール中尉の疑問に、フロスト中尉は嗤いながら答える。



「はあ? どう言うこった?」


「外に出れば分かるさ」


 ザミョール中尉が怪訝な顔をすると、フロスト中尉は大聖堂の外に向かって歩いていく。



「これは…………カスマナーフト&デーモン達だな?」


「そう、帝国宇宙軍まで到着したんだよ」


 漆黒の巨大宇宙戦艦を艦隊旗艦とする、大艦隊が都市上空に現れた。


 宇宙重巡洋艦は五隻、宇宙巡洋艦が四隻、宇宙駆逐艦が七隻も、上空を航行する。



 その他、宇宙護衛艦や小型艦隊と宇宙戦闘機が大量に空を飛行している。



 これらが大聖堂の上から陰を作って、地上を暗くしていた。



 ザミョール中尉が驚く中、フロスト中尉は嗤いながら両手を天に向けながら欠伸《アクビ》する。



 そんな中、上空をジェットパックを背負った、黒い宇宙飛行兵カスマナーフトが飛び回る。


 彼らは、屋根や屋上に着地する度、レーザーガンやビームライフルを射ちまくる。



 装備は、黒いオルラーン宇宙服に、青と紫の線が入った物を着ている。


 また、背中のジェットパックにも、レーザーガトリング&小型ビームポッドを搭載している。



 こうして、レジスタンスや連合軍部隊が殲滅されていく。



「しかし、凄いな~~? まさか、宇宙軍まで到着するなんて」


「それだけじゃない、音楽も聞こえて来たぜ」


 フロスト中尉は、ジェットパックで空を飛んでいく、カスマナーフトの飛行編隊を眺める。


 一方、ザミョール中尉は遥か上空から聞こえてきた、豪快な音楽に耳を傾けた。



 それは、あるベトネミ戦争を描いた映画でも使用された有名な曲だった。

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