【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第26話 ここを越えなければ

公開日時: 2024年7月9日(火) 13:29
更新日時: 2024年7月12日(金) 22:36
文字数:3,587






「やばいっ!! 手榴弾だっ!?」


 ナタンが叫ぶが、手榴弾はレジスタンス仲間の所に、コロコロと転がっていく。


 その回転が泊まると同時に、爆発音と熱風が、一気に炸裂する。



「ぐはぁっ!!」


「うわぁーー!」


 レジスタンス達は、爆発で破片が体中に刺さり、その場に倒れる。


 そうしている間にも、ソーサラーは腰から、グロック17を抜きとり、素早く銃撃を放って来る。



「幻影を見て苦しみなさいっ!」


 ソーサラーは、二人に分裂したかと思うと、さらに四人へと増えた。


 そして、ウィザード達も、AKー107を銃撃しながら反撃行動に移る。



「雷撃っ!!」


「炎よっ!!」


 二名のウィザード達は、強力な魔法を放ちまくり、派手なマジックショーを見せる。


 こうして、レジスタンス達が遮蔽物から身を乗り出せないように圧力を加えているのだ。



 彼等が、放つ魔法は、まるで雷の機関砲と火焔放射器みたいであり、また威力は絶大であった。



「くっ! どうすれば…………」


 ナタンは、目の前で苦境に陥る仲間を、どうにかしようと考えるが。


 その暇も無く、オーガーが、レジスタンス達が隠れている鉄製コンテナを押し倒す。



「ガアァァーーーーーー!!!!」


「うわぁっ!?」


 その陰に隠れていた、レジスタンス員を、オーガーはコンテナの重みで圧殺する。



「このままじゃあ全滅よっ!」


「分かってるよ!」


 メルヴェが叫ぶと、ナタンも流石に今のままではヤバイと思い、手榴弾を投げ始める。


 こうして、何個もの手榴弾が、ばら蒔かれて、宙を舞った。


 その爆発により、ウィザード、オーガー、ソーサラー等を含む、帝国兵たちを吹き飛ばしていく。



「俺達も投げるぜっ!!」


「死ね、帝国の死神っ!」


 ウェストやレギナ達も、手榴弾を投げて、帝国軍兵士たちを吹き飛ばしていく。


 そうして、この物資が備蓄された、地下倉庫内に爆煙が充満していく。



 さらに、スプリンクラーが作動してしまい、火災警報と共に、冷水のシャワーが天井から吹き出す。


 それは、スコールのように勢い良く、レジスタンス・帝国軍兵士を問わず、頭上から降り注ぐ。



「ひゃっ!?」


「冷たっ!!」


 頭上から突如降り注いだ、冷水シャワーの冷たさに、短い悲鳴を上げる、メルヴェとナタン達。


 そんな二人に対して、ソーサラー達が、右手に握るグロック17の銃口を向ける。



「良くも、良くもっ! 良くもやってくれたわねっ! 私一人居れば、貴方達を殺すのに充分よっ!」


 先程までの無気味な笑みを消した、女性ソーサラーは、怒りだす。


 次いで、憎しみが籠った、鷹みたいに鋭い目付きで此方を睨み、グロック17の引き金を引いた。



 それから、一発の大きな銃声が、広い地下倉庫内に響き渡った。



 その凶弾に、誰かが撃たれた。



「なっ? 何? 何でっ! 本物? が分かっ? たの…………」


 青い血液が流れ出る、風穴の空いた腹を、ソーサラーは押さえる。


 奴は、そのまま崩れ落ちるように、力なく床にバタリと倒れる。



 その後ろには、ハキムが立っていた。



「水がすり抜けなかったのは、お前だけだ」


 エズペト、ミスール社製のムーディーAKMSを両手に構えた、ハキム。



 彼は、床に倒れている、ソーサラーに向かって、一言だけ呟く。


 さらに、彼は奴が死んだ振りをしていなか注意深く観察して後頭部へと、二発弾を撃ち込んだ。



「これで、終わったわね…………」


「ああ、だと良いな…………」


 短く疲れたように、メルヴェとナタン達は、溜め息を吐いた。


 二人は、コンテナ裏から立ち上がり、仲間達の元に出ていく。



 すると、レジスタンス達は、地下倉庫中央に集合して、次の作戦を練っていた。



「良いか? 今の戦いで更に、二人戦死した? 残るは俺達七人だけだ」


「このまま行けば全滅か、帝国に捕まるかだ…………だから俺とウェスト以外は直ぐに襤褸《ボロ》くない帝国兵の軍服を剥ぎ取れ、そして、それを着て変装しろ」


 ハキムとウェスト達の指示を聞いた、ナタン・メルヴェ・レギナ達は直ぐに動く。


 そして、三人は帝国兵に変装するために、服装を死体から剥ぎ取る。



 その後、用が済んだ死体をコンテナ裏に隠して、さらに、ケースを積み重ねて完全に隠した。



「おいっ! 此処でレジスタンスの襲撃があった様だがっ!?」


 丁度、帝国警察部隊が増援として、地下倉庫内の出入口から現れた。



 彼等は、ナタン達の姿が目に入ると、段々と近寄ってくる。


 どうやら、味方に変装している、レジスタンスだとは気付かず、敵は何処だと質問してきた。



「大丈夫だ…………もう制圧したし、レジスタンスは捕虜にした」


「だが? 黒いのはその場で殺処分する筈じゃあ無かったか?」


 質問に対して、表情を一つも変えずに、ナタンが答えると、警察部隊の下士官は視線を動かす。


 そして、捕虜として拘束された、ウェストとハキム達を見て、疑問に思う。



「コイツ等は…………」


「コイツ等は情報を引き出す為の書類の様な物です、どうかを気に為さらずに…………」


 ナタンが言葉に詰まると、メルヴェが冷たい微笑を浮かべながら、変わりに言い訳を喋ってくれた。


 すると、帝国警察隊員たちは、彼女の口から出た嘘を簡単に信じた。



「分かった…………では本部まで、この二匹の獣共を連行しろ」


「了解しました…………」


「了解しましたっ!!」


 下士官の命令に従い。ナタンとメルヴェ達は捕虜として、ウェストとハキム達を連行する。


 こうして、五人は警察部隊が入って来たばかりの出入口を目指して、レジスタンス達は歩いて行く。



「メルヴェ? 上手く行ったな…………」


「ええ…………でも余計な事は言わないで?」


 入口から地下道の廊下に出た、ナタンとメルヴェ達は歩き続ける。


 次いで、二人は後ろでレジスタンスの捜索を続ける、警察隊員を振り返り見る。



 それから、警察隊員たちの姿が小さくなるほど、離れると安心して、話を再開する。



 しかし、緊張の糸が切れた、ナタンに対して、気をずっと張るメルヴェは神経を尖らせる。


 彼女は、微笑と抑揚の無い口調を変えず、ボロが出ないようにと、注意を促した。



「大した演技だこと…………それに帝国兵の姿が板に着いてるわよ」


「レギナ、貴女も余計な事は言わないでね…………」


 大した演技だと称賛する、レギナに対しても、メルヴェは注意する。


 また、彼等は地下道を通り、さらに地下の防空壕へと下っていく。



 それから、暫くは運良く帝国軍とも、帝国警察特殊部隊にも出くわさなかった。



 静寂に包まれた地下防空壕内を進む、ナタンを含むレジスタンス達。


 彼等は、長い道程を歩き、別のアジトへと無事に辿り着いた。



 そこは、小さな地下倉庫の壁に作られた、秘密基地である場所だ。


 この秘密基地に設置された、入口は巧妙に擬装されていた。



「到着した…………」


 立ち止まった、ハキムが一言呟くと、ナタンとメルヴェ達は、積み上げられた四個の箱を退かす。


 今度は、ナタンが壁を三回叩くと、向こう側からも、四回叩く音が聞こえて来た。



「今度は蹴らないとな?」


「そうしないと入れないでしょ?」


 壁前に立つ、ナタンとメルヴェ達は、その壁を二人で、五回ほど力強く蹴る。


 今度は、壁が横に移動して、中から鉄板の裏に隠れた、レジスタンス達が二名も見えた。



 即座に動いた彼等は、二人に銃口を向けて、歓迎する。



「帝国兵っ!?」


「待てっ!! 撃つなっ!」


 オレンジ色のニット帽を被る、レジスタンス員は、即座に発砲しようとした。


 彼は、こちらにM11イングラム短機関銃を構えて、銃口を向ける。



 だが、隣に立つ、赤いベレー帽を被るレジスタンス員は、F2000自動小銃の銃身を下げる。


 そして、右手で相方の銃身を着かみら強引に下ろして、静止した。



「合言葉は?」


「合言葉は無い…………」


 赤いベレー帽を被るレジスタンス員が、真剣な表情で質問してくる。


 それに、帝国兵に変装している、ナタンとメルヴェ達の背後に控える、ハキムが答えた。



「よしっ! 味方だ…………入れ」


 ナタン達は、すぐ誤解を解き、秘密基地の入口へと入って行く。


 そして、レギナやウェスト達は箱を積み上げ直して、隠し入口を擬装した。



「漸くたどり着いた…………もう心配は要らないな?」


「また誤解を招いたら面倒だから、上着くらいは帝国兵の服も脱ぎましょう」


 帝国兵が着ている制服の上着を脱ぎ、頭から帽子を取った、ナタンとメルヴェ達だが。


 二人は、秘密基地に着き、安心したかのように表情を柔らかくする。



 そして、仲間達も帝国兵の黒い上着を脱と、奥にある部屋へと向かって行った。



「リーダーのコーバスも着いて居るかな?」


「大丈夫っ! きっと無事よ?」


 秘密基地に辿り着き、安心したのか、ナタンは不意に一言だけ呟いた。


 そんな彼を、メルヴェは安心させるために笑顔でと答えた。



 その後、二人はレジスタンスが有する秘密基地内まで、並んで歩いて行った。



 薄暗い廊下には、段ボール箱と細長い木箱の山が置かれている。


 また、所々に、歩哨に立つレジスタンス員と、銃の整備作業を行う整備員で溢れ返っていた。

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