カルミーネとベーリット達が、第一小隊の面々と射撃場で、話をしてから、一時間後。
地下駐車場を目指して、廊下を歩いていた、ザミョール中尉だったが。
「ザミョール、貴方も新隊員を出迎えに行くの?」
「ああ、サスーリカ…………そうだぜ?」
廊下の曲がり角まで来ると、バッタリと、護衛二人を引き連れた、サスーリカ中尉と出くわす。
彼女の連れた護衛は、帝国による侵攻時に、捕獲された難民から選出された、者達である。
一人は、デパートで運悪く捕獲されてしまった男性隊員である。
もう一人は、アルダンシア州で、山狩りが行われている最中に逮捕された女性隊員だ。
「いつもの副官は、何処にいるのかしら?」
「ガリーナ二等兵は、身体改造と遺伝子調整だ、またグールに戻すんだとよ」
サスーリカ中尉は、ガリーナ二等兵の姿が見えないことに気がつくが。
何時もくっついている、彼女が居ないのは理由があると、ザミョール中尉は答える。
「毒撃兵にね? そんな事より下に行かないとね」
「ああ、俺もそのつもりだよ」
サスーリカ中尉とザミョール中尉たちを含む四人は、地下駐車場への坂を下っていく。
こうして、二人は新しく配属された、警察隊員らを歓迎する。
「諸君、良く来たな…………さあ? 第二小隊《ノイファー》はついてこい、話は後だっ!」
「第一は、私の所に来てくれよ~~? ってか、第四小隊は?」
ザミョール中尉とサスーリカ中尉達は新たに配属された、警察隊員らを連れて行こうと声をかけた。
「御二人が、第一小隊と第二小隊を預かる隊長殿でしょうか」
「あん…………そうだが、あんた等は新しい部隊の者達だな?」
この管区に配属されたばかりで、右も左も分からない下士官が、ザミョール中尉に声をかけてきた。
「やはり、そうでしたか…………私は第四小隊の指揮を預かるドラハンギフト中尉です」
「副官のモワヌ・ドゥ・ドゥルール準尉と申します、以後お見知りおきを…………」
ザミョール中尉に声をかけた、下士官のドラハンギフト中尉は、頭を下げつつ声をかけた。
それとともに、副官のモワヌ準尉も、同様に少しだけ頭を傾ける。
次いで、二人は右手をビシッと上げて、ローマ式敬礼を行った。
「ザミョールズヌチ・ウラージーミロヴィチ=ダニリャン…………ザミョールと呼んでくれ」
「サスーリカ・ムラヴィヨフ=ルソフスカヤ、私もサスーリカって呼んでね」
ザミョール中尉、サスーリカ中尉も、二人に対して、即座にローマ式敬礼を返礼する。
ドラハンギフト中尉は、パールホワイト色の髪に、ウィンタースカイ色に光る瞳が目立つ。
そして、白い肌を持つ、若い騎士のような人物に思えた。
彼は軍服の上に、漆黒のロングコートを着用している。
また、肩には、チュートン騎士団の黒い十字架が描かれた、白いマントを羽織っていた。
腰のベルトには、ピロー・ソードを帯刀している。
脚には、黒い乗馬ズボンに、漆黒の乗馬ブーツを履いていた。
モワヌ・ドゥ・ドゥルール準尉は、オフホワイト色の髪に、エコウ・ブルー色をした瞳だ。
そして、頬に青筋が浮かび上がる程、血色が悪い蒼白い肌の持ち主だ。
彼の体中には、蛙《カエル》や蛆《ウジ》が、怪我や腐敗痕などが、黒い刺青《いれずみ》として描かれている。
当然だが、それらが顔や首にまで描かれていた。
頭には、制帽を被り、黒い司祭服《キャソック》の上に、コート型軍服を羽織っている。
首からは、パフェ・グレープ色に染められた、ストラと、銀色のロレーヌ・ロザリオを垂らす。
脚には、漆黒の乗馬ブーツを履いていた。
手には、鉛色をした、一メートル程で細身の出縁型棍フランジ・メイスが握られていた。
「そう、貴女達が第四小隊ね? 良かったら私の部下が案内して上げるわ」
「有り難う御座います、サスーリカ中尉」
サスーリカ中尉が、部下に案内させるとの申し出を進言したが。
ドラハンギフト中尉は、再び頭を下げて、彼女の歓迎を快く受諾した。
「ヤーブモリ軍曹、ヴァリィズニ兵長…………行くぞっ!!」
そう言って、ドラハンギフト中尉は、後ろに控えた二名の女性兵士達を連れて行く。
ヤーブモリ軍曹と言われた、女性兵士と言うか、女性騎士は、甲冑姿をしている。
彼女は、全身を漆黒のフルプレートアーマーに包んでいた。
頭部は、口許部分だけ、素顔が見える漆黒のアーメット状をした兜を被る。
その後頭部からは、ゴールド・スパーク色に輝くロング・ウェーブパーマ髪を垂らしていた。
彼女は、藍色に染まった唇と、白い頬しか分からず、その素顔は謎に包まれていた。
彼女は武器として、背中に一本のグレートソードを右肩に背負っている。
反対側の左肩には、かなり長い、ロングボウを背負っていた。
ヴァリィズニ兵長も、かなり中世風の格好をしている。
頭には、大きな薔薇《バラ》の髪飾りを二本と、スミレ色をしている羽飾りを付けた、黒い唾広帽《キャペリン》を被る。
顔には、大きな丸眼鏡を掛けており、冷利な雰囲気を醸し出す、パウダーアクア色の瞳が目立つ。
ペールホワイト色ピクシーショートヘアと、バイキング・ブルー色の唇は幼さを感じさせる。
彼女は、全体的に、若い学者を思わせるような感じの容姿だった。
服装は、中世の魔法使いを思わせる漆黒のローブを着ている。
体格は小さく、足は青色のワーレンキ靴を履いておる。
右手には、卵型のブルーサファイアを備えた、ロングスタッフを持つ。
また、左手には、青色のバックラーを装備していた。
「…………」
「御意」
無言で歩きだす、ヤーブモリ軍曹、抑揚の全く無い声で返事を返す、ヴァリィズニ兵長。
その後ろを、ゾロゾロと第四小隊に所属する警察隊員たちは、行進しながら追っていく。
鶴嘴《ツルハシ》帽子ピッケルハウベを被り、軍服の上に、胸甲型・軽量防弾ベストを身に付けた、第四小隊員。
彼等の格好は、全員が古代から近代にかけて、活躍した騎兵であった。
「やれやれ…………新設された部隊に、各部隊には増員か?」
「ザミョール隊長」
ザミョール中尉は、自分を呼ば声に振り返ると、そこにはソロモン一等兵が立っていた。
「ソロモン、お前も来ていたのか?」
「私も、第二小隊の所属と成りましたので、これから宜しくお願いします」
ザミョール中尉は、前に地下道にて、一緒に戦った、ソロモン一等兵が現れた事に驚く。
彼は、やはり中量級シュヴァルツ・リッター用の装甲鎧を、着込んだ姿をしていた。
「まさか、軍から兵士が来るとはな?」
「上からの辞令で来ましたが、テロリスト達の襲撃を想定して、軍・警察ともに装備を強化しているそうですから…………上も混乱しているのでしょうね?」
ザミョール中尉の呟いた言葉にた、ソロモン一等兵は、己が配属された理由を推測しながら答える。
「こんなに、兵器が増強されたり、他組織から人員を寄越すくらいだからな? 確かに、上は混乱しているらしいな」
「じゃなきゃ、私にも移動辞令が下らないですからね?」
ザミョール中尉は、ソロモン一等兵の意見を聞いて、納得する。
「まあ、今から、お前も俺の部下だっ! 早速だが着いてこいっ!」
「はっ! 中尉、了解ですっ!」
ザミョール中尉とソロモン一等兵たちは、歩きながら、第二小隊の待機室を目指して行く。
「さっきも言ったが、第二小隊…………ノイファーに配属された連中は上に来い」
振り向いた、ザミョール中尉は、他の増員された隊員たちにも命令を告げる。
そして、また上の階を目指して、彼は新たな部下を率いつつ、歩いていった。
このように、帝国警察も来るべき、レジスタンス&連合軍と、激闘に備えて組織を増強していた。
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