【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第137話 彼女と面会へ

公開日時: 2024年7月10日(水) 21:46
更新日時: 2024年7月13日(土) 11:49
文字数:3,074


 レオとカルミーネ達の前で、フロスト中尉は、両肩から力を抜いて、疲れたと言う雰囲気を出した。



「行ったか? 今日は、かなり機嫌が悪そうだったな…………」


 フロスト中尉は、ザミョール中尉の姿が見えなくなった後、静かに呟いた。



「あーー隊長? あの人、かなり機嫌が悪そうでしたね?」


「いつも、そうだけど…………今日は特に悪そうだったし?」


「上から、テロリスト達による攻撃を受けた、警察書内の被害調査や、その後始末をしろと命令が出てね~~」


 レオは、恐る恐るワーウルフであり、聴覚がすぐれる、ザミョール中尉に聴こえないように話す。


 カルミーネも同様に、強面で実力者である彼を恐れて、ゆっくりと呟く。



 彼のイラついた様子を、理由が何であるか分かっている、フロスト中尉は、二人に訳を話す。



「それで、機嫌が悪いのさ…………とまあ? それよりも、レギナを捕らえたんだって」


「フロスト隊長、何故それを?」


「まだ、私たちは報告していないのに?」


 フロスト中尉の口から、レギナと出た事に、ミアとベーリット達は驚く。



「フェスターシュニー博士から連絡が来てね、それで彼女の様子を見に行こうかと思ったんだが…………」


 ーーと言いつつ、言葉を詰まらせる、フロスト中尉。



「彼女の体力が回復するまでは、本格的な洗脳や尋問は無理だって言われてさ?」


 困ったような表情で語る、フロスト中尉は両腕を組む。

 


「その間、われわれ第三小隊は待機する事とする、テロリストが何かやらかした場合は、現場に急行するけどね」


「じゃあ、レギナに対する尋問は後回しね」


「命令されたんじゃあ、仕方ないわ」


 フロスト中尉からの指示に従う他ないと、ミアとベーリット達は思った。



 それから、数時間後。



「フェスターシュニー博士? それじゃあ~~始めて下さい」


「あいよっ! ホラ、はやく目を覚ましなさいっての?」


 フロスト中尉が頼むと、煙草を咥えながら、フェスターシュニー博士はコンソールパネルを触る。


 そうして、彼女が作業を行うと。



 キュラ、キュラ、キュララと、音を立てつつ拘束用の車椅子型ドローンが走ってくる。


 フェスターシュニー博士は、この車椅子型ドローに、天上からロボットアームを何本も近づける。


 アーム先には、注射器があり、そこから輸血パックが延びていた。



「うあっ! ぅ…………ぁーー?」


 椅子に拘束されたままだった、レギナは注射器を射たれると、体をビクつかせ、熱い吐息を漏らす。


 今の彼女は、水色パジャマを着させられており、両手は肘に、両足は左右にある台にと。



 それぞれ、拘束バンドで身動きが取れないようになっている。


 また、頭にはアイマスク型のヘッドマウントディスプレイが装着されたままだ。



「は? ここは何処っ! 暗い…………」


「ここは警察書内よ、お嬢ちゃん?」


「それも、恐怖の101号室だよ……レギナ」


 レギナが目を覚ますと、自らが拘束されて視界をうばわれていると知る。


 そして、そんな彼女へと、フェスターシュニー博士とフロスト中尉が声をかける。



「その声は、フロストッ! 絶対に貴様を殺してやるっ!」


「…………それは無理な話しだね? 君の意識は残してあるけど、もう既に脳と体は帝国の人間なんだよ」


「お嬢ちゃん? 第一、帝国に捕まった時点で終わりだろ? それに、今アンタの全身を巡る血は青色なんだよ」


 叫ぶように激しい怒声を上げる、レギナは今にも飛びかからん限りだ。



 だが、それは、フロスト中尉が楽し気な感じで言うようにであるが。


 彼女が、眠っている間に洗脳と肉体改造は殆ど完了している。



 また、フェスターシュニー博士が言った通り、帝国のアンデッド兵士が持つ青い血液。


 それが、今レギナの全身を駆け巡り、頑強な肉体と強靭な生命力を彼女に与えている訳だ。



「今、輸血パックから帝国人のブルー・ブラッドだけでなく、多様な細菌と薬剤を流し込んでいる…………ま、その内、快楽と幸福感で満たされて身悶えするさ? アハハ…………」


「ーーと言う訳なんだ、レギナ…………あと、君が情報を吐かなくても、大丈夫だよ? 君らのことは僕が放った、二匹の猟犬たちが教えてくれるからね」


 フェスターシュニー博士は、嗤《わら》いながら、レギナに状況を説明する。


 彼女の首には、両側から毒々しい黄緑色に光る薬液が注射器により、流し込まれている。



 また、右腕には水色の薬物が、左腕にはピンク色をした細菌が注入されていた。


 そんな彼女に向かって、フロスト中尉は意味深な言葉を吐いた。


 それは、彼の指揮下にあるスパイが、二名もレジスタンス側に紛れている事を示す言葉だ。



 二人の言葉を聞いていた、レギナに装着されていた、ヘッドマウントディスプレイだが。


 それが、カチッと音を立てて、すぐに取り外される。



「ケッ! 何が大丈夫だよっ! 猟犬なんて知るかっ! …………ふざけないでっ!」


「ずいぶん威勢がいい嬢ちゃんだね?」


「ああ~~彼等と一緒で、この子も困ったもんだよ」


 レギナは、目の前に立つ帝国警察隊員たちに向かって叫ぶ。


 怒鳴る相手は、もちろんフロスト中尉とフェスターシュニー博士だ。



「レギナ、アンタは変わらないわねぇ~~?」


「ほんと、昔のまんまだわーー」


「けど、もういい加減に大人に成らないとな」


「そうだぜぇ~~俺達みたいに立派な帝国市民に成らないとダメだろ」


 今まで待機していた、第三小隊の隊員にして、元遊び仲間たち。


 彼等は、それぞれ強気な姿勢を見せて、虚勢を張り続ける、レギナに声をかける。



 ミアとベーリット達は、大人になっても変わらない、レギナの気が強い性格に懐かしさを感じた。


 一方で、レオとカルミーネ達は、ニヤリと嗤《わら》いながら犬歯と青い舌を、レギナに見せる。



「みんな…………くぅ、帝国の傀儡にっ!!」


 悔しがるレギナは、周りを囲む、かつては仲間だった敵達を睨む



「さあ、そろそろ無駄話はここまでにしようか?」


「依頼された通り、この子はバクテリエラ・ゾルダートにするわね」


「いや、いやあっ!? 帝国兵になんか成りたくないっ!! 死んだ方がマシよっ!」


 フロスト中尉が嗤いながら言うと、フェスターシュニー博士も再びコンソールパネルを操作する。


 それにより、レギナの頭部に、ヘッドマウントディスプレイが、ガッチリと再装着される。



 彼女は、強く嫌がりながら叫びまくるが、頭から洗脳装着は外れず、また拘束も解けない。



「そう叫ぶなって、帝国の人間として働くのも悪くないさっ!」


「そうよ、意外と楽しいかもよ~~?」


「ギャーーーー!! いやぁ~~~~~~!?」


 レオとミア達による声も、洗脳用ヘッドホンを装着されている、レギナの耳には届かない。



「うるさいわね?」


「ぐぁっ!? ………………」


 泣き叫ぶ、レギナを面倒だと思った、フェスターシュニー博士は注射器を首に打ち込んだ。


 そうすると、レギナは静かになり、ブルブルと震えた後、グッタリとなって顔は下を向いた。



「鎮静剤を打ったわ、これで暫くは大人しく眠ってくれるわよ」


「なら、彼女には夢の中で、変身を遂げて貰おうか」


 フェスターシュニー博士が何気なく言うと、フロスト中尉はニヤリと嗤いつつ、レギナを見据えた。



「夢の中での変身…………それは素晴らしい表現だわね~~? 彼女には、自身の内なる攻撃性を見つける機会と、さらなる戦闘力を与えることができるわ」


「そして、こちら側に彼女が堕ちるのが、今から楽しみで仕方ないですよっ! クク…………」


 フフッと微笑みながら、フェスターシュニー博士は、フロスト中尉に話しかける。


 すると、彼も同様に嗤いながら呟きつつ、口角を吊り上げる。



 そんな二人の会話は、薬効により昏睡状態となった、レギナには聞こえなかった。

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